がんの再発予防で、効果が確かめられているのは術後補助療法です。運動は、結腸がんで1本のランダム化試験が差を示した段階です。
手術や初めの治療を終えたあと、再発を防ぐために自分にできることを探す人は少なくありません。この記事では、術後補助療法、運動、食事、体重、禁煙、飲酒、サプリメント、経過観察の検査について、再発予防として何がどこまでわかっているのかを、研究の種類と数字の大きさで並べます。
この記事の内容
がんの再発予防とは、何を防ぐことですか?
治療でなくしたはずのがんが、同じ場所や別の臓器にふたたび現れること(再発)を防ぐことです。新しく別のがんができること(二次がん)とは分けて考えます。
手術でがんを切除したあとにも再発が起こるのは、検査では写らないほど小さながん細胞が体に残っていることがあるためです。そのしくみと、術後補助化学療法の対象や期間は術後補助化学療法とはの記事で説明しています。
再発と二次がんは、防ぐ手段も根拠も違います。国立がん研究センターのがん情報サービスは、喫煙について、再発・転移とは別に、新たに発生するがん(二次がん)の原因になることが明らかとしています(がん情報サービス「がんの発生や治療へのたばこの影響」2022年)。
また、がん情報サービスの「日本人のためのがん予防法(5+1)」は、日本人を対象とした研究結果から、がんの発生に影響する6つの要因(たばこ・お酒・食生活・身体活動・体重・感染)をまとめたものです。目的はがんになるリスクを減らすことで、がんになった人の再発予防を検証したものではありません(がん情報サービス「科学的根拠に基づくがん予防法」2026年)。がんの予防として知られる生活習慣が、そのまま再発予防の効果として確かめられているわけではない、という点が出発点になります。
再発予防の手段には、何がありますか?
治療としての術後補助療法と、運動・食事・体重・禁煙・飲酒などの生活、サプリメント、経過観察の検査があります。根拠の強さは手段ごとに大きく違います。
| 手段 | 再発予防としてわかっていること | 主な根拠の種類 |
| 術後補助療法(薬物療法・放射線治療・ホルモン療法) | がんの種類と病期によって、再発を減らすことが示されている | ランダム化比較試験と、その統合解析 |
| 運動 | 大腸(結腸)がんのⅢ期と再発リスクの高いⅡ期で、運動プログラムが無病生存期間を延ばした | ランダム化比較試験1本(2025年)と観察研究 |
| 食事 | 野菜・果物・食物繊維を大きく増やした乳がんの試験では、再発に差がなかった | ランダム化比較試験と観察研究 |
| 体重 | 肥満と乳がんの経過の悪さに関連がある。意図して減量すると経過がよくなるかの根拠は限られる | 観察研究 |
| 禁煙 | 喫煙が二次がんの原因になることは確実(判定レベル1)。診断後の禁煙でリスクが下がることも報告されている。喫煙と再発の関係は示唆されているが十分ではない | 厚生労働省の報告書による判定 |
| 飲酒 | 飲まないか、控えることが勧められている | 米国がん協会の指針 |
| サプリメント | がんそのものへの効果は証明されていない。ビタミンDの試験では無再発生存率に統計的な差がなかった | がん情報サービス、ランダム化比較試験 |
| 経過観察の検査 | 再発を防ぐのではなく見つける手段。検査を増やしても生存に差が出なかった試験がある | ランダム化比較試験 |
出典:国立がん研究センター がん情報サービス(2022年・2026年)、EBCTCG(Lancet 2011)、Courneya KS, et al.(N Engl J Med 2025)、Pierce JP, et al.(JAMA 2007)、Urashima M, et al.(JAMA 2019)、Rock CL, et al.(CA Cancer J Clin 2022)、Wille-Jørgensen P, et al.(JAMA 2018)をもとに作成
以下、手段ごとに、どんな研究で、どのくらいの大きさの効果が出たのかを見ていきます。
術後補助療法で、再発はどのくらい減りますか?
がんの種類と病期で違います。同じ治療でも、再発の減り方と、がんで亡くなる人の減り方は同じ大きさではありません。
乳房の部分切除のあとの放射線治療は、その違いが数字で見える例です。17のランダム化比較試験に参加した10,801人をまとめた解析(EBCTCG)の結果は次のとおりです(EBCTCG. Lancet 2011)。
| 項目 | 放射線治療あり | 放射線治療なし | 差 |
| 10年以内の再発(部位を問わない最初の再発) | 19.3% | 35.0% | 15.7ポイント |
| 15年以内の乳がんによる死亡 | 21.4% | 25.2% | 3.8ポイント |
出典:EBCTCG. Effect of radiotherapy after breast-conserving surgery on 10-year recurrence and 15-year breast cancer death. Lancet 2011
再発は100人あたり15.7人減りましたが、乳がんによる死亡が減ったのは100人あたり3.8人でした。著者らは、10年までに再発をおよそ4件防ぐごとに、15年までに乳がんによる死亡がおよそ1件防がれたとまとめています。放射線治療の受け方と副作用は放射線治療とはの記事で扱っています。
ホルモン受容体陽性の乳がんでは、手術後のホルモン療法が再発を減らします。20の試験に参加した21,457人(うちエストロゲン受容体陽性は10,645人)の解析では、タモキシフェンを約5年間飲んだ群の再発の比は、0〜4年目で0.53、5〜9年目で0.68でした。10〜14年目は0.97で、それ以上の上乗せも、失われることもありませんでした。乳がんによる死亡は、15年間を通じておよそ3分の1少なくなっています(EBCTCG. Lancet 2011;378:771-784)。ホルモン療法の期間と副作用はホルモン療法の副作用はいつまで続くかの記事にまとめています。
大腸がんでは、手術後に低用量のアスピリンを飲むランダム化比較試験もあります。北欧4か国のALASCCA試験は、PI3K経路の遺伝子に変異がある直腸がん(Ⅰ〜Ⅲ期)と結腸がん(Ⅱ〜Ⅲ期)の626人を、アスピリン160mgを1日1回3年間飲む群と偽薬の群に分けました。主な評価の対象とした、PIK3CA遺伝子の特定の変異(エクソン9・20)がある人では、3年の再発率がアスピリン群7.7%、偽薬群14.1%で、ハザード比は0.49(95%信頼区間0.24〜0.98)でした(Martling A, et al. N Engl J Med 2025;393:1051-1064)。ただし、一部の遺伝子変異のある大腸がんに限った1本の試験です。同じ人たちの無病生存のハザード比は0.61(95%信頼区間0.34〜1.08)で統計的な差はなく、重い有害事象はアスピリン群16.8%、偽薬群11.6%でした。
「再発が○%減る」は、100人のうち何人のことですか?
割合で語られる減り方は、もとの再発の多さによって、100人あたりの人数が大きく変わります。
再発予防の効果は、「再発のリスクが○%低い」という相対的な言い方で伝えられることがよくあります。これはハザード比などの「比」を言い換えたもので、100人のうち何人に違いが出たかは、この数字だけではわかりません。
仮の数字で考えます。再発を3割減らす治療があるとします。治療しなければ100人中40人が再発するがんなら、減るのは12人です。100人中10人しか再発しないがんなら、減るのは3人です。どちらも「再発を30%減らす」治療です。
実際の試験でも同じことが起こります。次の節の大腸がんの運動の試験は、「再発または新たながんのリスクが28%低い」と発表されました。100人あたりに直すと、5年後に再発や新たながんがなく生きていた人の差は6.4人です。術後補助化学療法で同じ見方をした数字は、前に挙げた「術後補助化学療法とは」の記事で紹介しています。
再発予防の説明を受けるときは、次の点を確かめると、数字の大きさがつかみやすくなります。
- 何を数えた数字か(再発、がんによる死亡、すべての死亡)
- 何年後の数字か
- その予防をしない場合に、100人のうち何人が再発すると見込まれるか
- 予防を加えると、100人あたり何人の差になるか
- 何と比べた結果か(何もしない、偽薬、別の治療)
奏効率や生存率など、がんの数字の種類による違いは奏効率とはの記事で説明しています。
運動で、再発は減りますか?
大腸(結腸)がんでは、運動プログラムが無病生存期間を延ばしたランダム化比較試験があります。ほかのがんでは、観察研究が中心です。
CHALLENGE試験は、Ⅲ期または再発リスクの高いⅡ期の結腸がんで、手術と術後補助化学療法を終えた889人を、3年間の運動プログラムを受ける群と、健康についての教育資料を受け取るだけの群に分けた試験です。55施設(主にカナダとオーストラリア)で2009〜2024年に参加者を集め、追跡期間の中央値は7.9年でした(Courneya KS, et al. N Engl J Med 2025;393:13-25)。
運動群は、最初の6か月で有酸素運動を開始時より週10MET時(運動の強さ×時間の単位)以上増やすことを目標に、資格を持つ身体活動の専門家による面談と、監督下での運動を受けました。その後も面談を続けています。米国がん協会の指針は、週10MET時をおよそ3時間の歩行にあたるとしています(Rock CL, et al. CA Cancer J Clin 2022)。
| 項目 | 運動プログラム | 教育資料のみ |
| 5年無病生存率(再発や新たながんがなく生存している割合) | 80.3% | 73.9% |
| 8年生存率 | 90.3% | 83.2% |
| 筋肉・骨格の有害事象 | 18.5% | 11.5% |
出典:Courneya KS, et al. Structured Exercise after Adjuvant Chemotherapy for Colon Cancer. N Engl J Med 2025
無病生存(再発、新たながん、あらゆる原因による死亡のいずれかが起きるまでの期間)のハザード比は0.72(95%信頼区間0.55〜0.94)、死亡のハザード比は0.63(95%信頼区間0.43〜0.94)でした。5年無病生存率の差は6.4ポイント(95%信頼区間0.6〜12.2)です。一方で、筋肉や骨格の有害事象は運動群で多く起きています。
6.4ポイントの差が出た条件
対象は、結腸がんのⅢ期と再発リスクの高いⅡ期で、術後補助化学療法を終えた人です。乳がんや肺がんなど、ほかのがんにそのまま当てはまるかはわかりません。比べた相手は教育資料だけの群で、運動群は専門家の面談と監督下の運動を3年間受けています。自分で歩くだけで同じ結果になるかは、この試験では確かめていません。5年無病生存率の差の95%信頼区間は0.6〜12.2ポイントと幅があり、1本の試験の結果です。
ほかのがんでは、米国がん協会の指針(2022年)が、診断後に体を動かしている人で乳がんによる死亡とすべての死亡が少ないという、強く一貫した関連があるとしています。大腸がんと前立腺がんでも、診断後の身体活動とがんによる死亡の低さに関連があります。ただし、再発そのものについての根拠はより限られ、多くは観察研究で、運動量は本人の申告によるものです。体調のよい人ほど運動できるという、逆向きの関係が混じる可能性も指摘されています。
米国臨床腫瘍学会(ASCO)の指針(2022年)は、治癒を目指す治療を受けている人に、治療中の定期的な有酸素運動と筋力をつける運動を勧めるよう医師に推奨しています(Ligibel JA, et al. J Clin Oncol 2022)。どのくらいの運動から始めてよいかは、手術の傷や治療の副作用で変わるため、主治医と相談して決めます。
食事を変えると、再発は減りますか?
乳がんで食事を大きく変えたランダム化比較試験では、再発に差はありませんでした。食事のとり方と経過との関連は、観察研究で報告されています。
WHEL試験は、Ⅰ期(しこり1cm以上)〜ⅢA期の乳がんの治療を終えた3,088人を、野菜・果物・食物繊維を大幅に増やし、脂質を減らす食事指導を受ける群と、1日5皿の野菜・果物を勧める資料を受け取る群に分けた試験です。電話での指導や料理教室を含む指導でしたが、乳がんの再発または新たな乳がんは16.7%と16.9%、死亡は10.1%と10.3%で、差はありませんでした(Pierce JP, et al. JAMA 2007;298:289-298)。
米国がん協会の指針(2022年)は、野菜、果物、全粒穀物、豆類を中心にし、赤身肉や加工肉、砂糖入り飲料、加工度の高い食品を控える食事を勧めています。そのうえで、食事と経過についての根拠は観察研究が中心で、結果は一様ではないとしています。米国臨床腫瘍学会の指針(2022年)は、治療中のケトン食、糖質制限、低脂肪食、断食、機能性食品について、根拠が足りないため勧めるとも勧めないとも言えないとしています。
糖質制限や断食についての研究は、がんの食事は何を食べればいいかの記事で詳しく扱っています。
体重や禁煙、飲酒はどうですか?
喫煙は二次がんの原因になることが確実(判定レベル1)で、診断後の禁煙でそのリスクが下がることも報告されています。喫煙と再発の関係は示唆されている段階です。体重と飲酒は指針で管理が勧められていますが、再発予防としての根拠は限られています。
がん情報サービスは、厚生労働省の報告書(2016年)にもとづき、がんの診断後の喫煙について次のように判定を示しています(がん情報サービス「がんの発生や治療へのたばこの影響」2022年)。
| 判定 | 内容 |
| 因果関係を推定するのに十分(レベル1) | 二次がん、肺がん患者の予後の悪化 |
| 因果関係を示唆しているが十分ではない(レベル2) | がん患者全体の予後の悪化、がんの再発、治療効果の低下 |
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「がんの発生や治療へのたばこの影響」(2022年)
同じページは、がんの診断後に禁煙した人は、喫煙を続けた人より二次がんが発生するリスクが下がると報告されているとしています。肺がんの療養のページも、喫煙は予後の悪化や二次がんのリスク要因となるため、禁煙を続けることは重要としています(がん情報サービス「肺がん 療養」2026年)。手術を控えた時期の禁煙についてはがんの手術前に準備することの記事で扱っています。
体重について、米国がん協会の指針(2022年)は、BMI30以上の肥満が乳がんの経過の悪さと関連するとしたうえで、意図して体重を減らすことで経過がよくなるという根拠は限られるとしています。米国臨床腫瘍学会の指針(2022年)も、治療中の減量については根拠が足りず、勧めるとも勧めないとも言えないとしています。
飲酒について、米国がん協会の指針は、飲まないか控えることを勧め、喉頭・頭頸部・肝臓のがんのあとは控えるか避けるよう勧めています。
サプリメントや自由診療で、再発は防げますか?
がん情報サービスは、健康食品やサプリメントについて、がんそのものへの効果は科学的に証明されていないとしています。
サプリメントでも、ランダム化比較試験が行われたものがあります。日本のAMATERASU試験は、食道から直腸までの消化管のがん(Ⅰ〜Ⅲ期)の手術を受けた417人を、ビタミンD3を1日2,000IU飲む群と偽薬の群に分けました。5年無再発生存率はビタミンD群77%、偽薬群69%で、ハザード比は0.76(95%信頼区間0.50〜1.14、P=0.18)。統計的な差はありませんでした(Urashima M, et al. JAMA 2019;321:1361-1369)。
8ポイントの差があっても、417人の試験では偶然の差と区別できなかった、ということです。血液中のビタミンDの値で一部の人を取り出した解析では差が出たと報告されていますが、主な評価項目で差が出なかった試験の一部を取り出した結果は、別の試験で確かめる必要があります。
「証明されていない」と「効かない」は違います
AMATERASU試験の信頼区間0.50〜1.14には、再発を半分近くに減らす可能性から、効果がない可能性、さらに上限の1.14のように再発がやや増える可能性までが含まれています。この試験は、ビタミンDが効かないことを証明したのではなく、効くとも言えなかった試験です。再発予防の効果を確かめるには、ランダム化して比べ、1,000人規模の参加者で、無再発生存率や生存率で差が出ることが一つの目安になります。
がん情報サービスは、健康食品やサプリメントには、がんの治療の薬との飲み合わせで治療効果に悪い影響が出る場合や、医薬品の成分が違法に加えられている場合があるとしています。とても高額なものがあることにも触れ、始める前に主治医や医療者に相談するよう勧めています(がん情報サービス「がんと民間療法」2022年)。
自由診療で行われる治療にも、同じ物差しが使えます。治療を受けて再発しなかった人の体験や、その施設で治療を受けた人だけを集めた再発率は、比べる群がないため、治療を受けなくても再発しなかった人と区別できません。費用は自己負担で、長く続けるほど負担が大きくなるため、副作用とあわせて慎重に考える必要があります。判断のしかたはがんの補完代替療法やサプリメントをどう判断するか、免疫細胞療法の研究の現状は樹状細胞ワクチンとはの記事にまとめています。
経過観察の検査で、再発を早く見つける意味は?
経過観察の検査は、再発を防ぐのではなく、見つけるためのものです。検査の回数を増やしても、生存に差が出なかった試験があります。
大腸がんのCOLOFOL試験は、Ⅱ・Ⅲ期の大腸がんの手術を受けた2,509人を、CTと腫瘍マーカー(CEA)を術後5回受ける群と、2回受ける群に分けました。5年間の全死亡率は13.0%と14.1%、がんによる死亡率は10.6%と11.4%で、差は統計的に意味のあるものではありませんでした(Wille-Jørgensen P, et al. JAMA 2018)。
経過観察の期間の目安は、肺がんでは5年間で、10年ほどになることもあるとされています(がん情報サービス「肺がん 療養」2026年)。がんの種類ごとの期間と検査の頻度、乳がんや肺がんの試験の結果は、がんの経過観察は何年かの記事で説明しています。
6.4人
大腸がんの術後補助化学療法を終えた人が3年間の運動プログラムを受けたとき、5年後に再発や新たながんがなく生存していた人の、100人あたりの差です。
「再発リスク28%減」と伝えられた結果を人数に直すと、この大きさになります。
出典:Courneya KS, et al. N Engl J Med 2025(CHALLENGE試験、結腸がんⅢ期・高リスクⅡ期の889人)
監修
新見正則(にいみ まさのり)
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。
日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)
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再発予防の数字は、試験に参加した人たち全体の平均です。自分がその6.4人に入るかどうかは、前もってわかりません。
エビデンスのある治療が、あなたにとって最良とは限らない
エビデンスは集団についての結果であって、自分に効くという保証ではないこと、試験の数字は体調のよい人を集めて出したものでもあることを書いたブログです。副作用や費用の負担まで含めて、納得して選ぶための考え方を、医師の立場から述べています。
よくある質問
Qがんの再発を防ぐために、自分でできることはありますか?
喫煙は二次がんの原因になることが確実とされ(判定レベル1)、診断後に禁煙するとそのリスクが下がることも報告されています。運動は、術後補助化学療法を終えた結腸がんの人を対象にしたランダム化比較試験で、5年無病生存率が運動プログラムの群で80.3%、教育資料のみの群で73.9%でした(N Engl J Med 2025)。食事を大きく変えた乳がんの試験や、ビタミンDの試験では、再発に統計的な差はありませんでした。
Q術後補助療法で、再発はどのくらい減りますか?
がんの種類と病期で違います。乳房の部分切除のあとの放射線治療では、10年以内の再発が35.0%から19.3%に減り、15年以内の乳がんによる死亡は25.2%から21.4%に減りました(EBCTCG, Lancet 2011)。再発の減り方と死亡の減り方は、同じ大きさではありません。
Q再発予防の運動は、どのくらいすればよいですか?
結腸がんの試験では、有酸素運動を開始時より週10MET時以上増やすことを目標にしました。米国がん協会の指針は、週10MET時をおよそ3時間の歩行にあたるとしています。手術の傷や治療の副作用で始められる運動は変わるため、主治医と相談して決めてください。
Qサプリメントで、がんの再発は防げますか?
国立がん研究センターのがん情報サービスは、健康食品やサプリメントについて、がんそのものへの効果は科学的に証明されていないとしています。消化管のがんの手術後にビタミンDを飲んだ試験では、5年無再発生存率は77%と69%で、統計的な差はありませんでした(JAMA 2019)。治療の薬との飲み合わせに注意が必要なものもあります。
Q経過観察の検査を増やせば、再発を防げますか?
経過観察の検査は、再発を防ぐのではなく見つけるためのものです。大腸がんの試験では、術後にCTとCEAを5回受けた群と2回の群で、5年間の全死亡率は13.0%と14.1%で、統計的な差はありませんでした(JAMA 2018)。
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がんの発生や治療へのたばこの影響」(2022年8月30日更新)
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/smoking/tobacco02.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「肺がん 療養」(2026年8月26日更新)
https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/follow_up.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「科学的根拠に基づくがん予防法」(2026年7月14日更新)
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「がんと民間療法(健康食品・サプリメント・食事療法を中心に)」(2022年2月2日更新)
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/cam/health_food_products.html - Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group (EBCTCG). Effect of radiotherapy after breast-conserving surgery on 10-year recurrence and 15-year breast cancer death: meta-analysis of individual patient data for 10,801 women in 17 randomised trials. Lancet. 2011;378(9804). doi:10.1016/S0140-6736(11)61629-2
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22019144/ - Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group (EBCTCG). Relevance of breast cancer hormone receptors and other factors to the efficacy of adjuvant tamoxifen: patient-level meta-analysis of randomised trials. Lancet. 2011;378(9793):771-784.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21802721/ - Courneya KS, et al. Structured Exercise after Adjuvant Chemotherapy for Colon Cancer. N Engl J Med. 2025;393:13-25. doi:10.1056/NEJMoa2502760
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40450658/ - Pierce JP, et al. Influence of a diet very high in vegetables, fruit, and fiber and low in fat on prognosis following treatment for breast cancer: the Women’s Healthy Eating and Living (WHEL) randomized trial. JAMA. 2007;298(3):289-298.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17635889/ - Urashima M, et al. Effect of Vitamin D Supplementation on Relapse-Free Survival Among Patients With Digestive Tract Cancers: The AMATERASU Randomized Clinical Trial. JAMA. 2019;321(14):1361-1369.
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