世界初の抗がんエビデンスを取得したフアイアは漢方薬なのか

フアイアは世界初の明らかな抗がんエビデンスを獲得した生薬と説明しています。明らかなエビデンスとは、米国臨床腫瘍学会のエビデンスピラミッドなどを参考にすると最上位は1000例規模のランダム化された大規模臨床試験です。フアイアは肝臓がん手術後の約1000人のくじ引きで(ランダム化して)内服群と非内服群に分けて、96週後の生存率で明らかに有効であったと結論されました。そして2018年にその結果が一流英文誌GUTに報告されました。2018年から5年が経過します。その間に、「異議のある方は教えて下さい!」とあちらこちらで話していますが、反論は1回もありません。僕が調べている限りでも、現状はフアイア以外に明らかな抗がんエビデンスを獲得した生薬はありません。

さて、漢方薬は生薬の足し算です。生薬とは自然界にある天然物で、薬理作用を持つものです。多くは植物ですが、動物や鉱物でも薬理作用を持てば生薬に分類されます。フアイアはエンジュの老木に寄生するキノコのひとつです。エンジュには多数のキノコが寄生しますが、その中のひとつがフアイアです。1993年に中国ではフアイアは抗がん新薬に認定されました。そしてフアイアは乱獲され、ほぼ天然物は存在しません。そこで現在は菌糸体から培養してエキス製剤としています。工場の中ですべて生産される工業製品ですので、農薬や重金属などの汚染の心配がなく、高品質のものを永続的に提供可能なのです。

日本で漢方薬と正式に名乗るには、「一般用漢方製剤製造販売基準」に載っている294処方か、保険適用漢方エキス製剤として認可されている148処方である必要があります。148処方の中の4つは「一般用漢方製剤製造販売基準」に載っていません。葛根加朮附湯と桔梗石膏、大承気湯、腸癰湯ですが、294処方にこの4処方を加えた298処方が本邦では漢方製剤と正式に名乗ることができます。中国では有名なかぜ薬である銀翹散は本邦では漢方製剤とは名乗れず、生薬製剤という分類になります。

ですから、フアイアは本邦では漢方薬ではなく生薬になります。生薬の中には、「もっぱら医薬品」と「もっぱら食品」という分類があります。フアイアは健康食品として認められているので、「もっぱら食品」の生薬という理解が正しいのです。

漢方薬の甘麦大棗湯は甘草(甘味料)、小麦(コムギ)、大棗(ナツメ)という食品成分の3種類で構成されていますが、パニック障害などに著効します。同じようにフアイアも本邦では健康食品扱いでありながら、明らかな抗がんエビデンスがあるのです。そして新見正則医院ではこの生薬フアイアに漢方薬を加えて処方することが多いのです。

フアイアは中国では中国の漢方医(中医)によって使用されているよりも、遙かに多くの西洋医が西洋薬と同じようなイメージで使用しています。そして処方箋医薬品ですので、中国の薬局では手に入りません。

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