樹状細胞ワクチンとは?効果が不安な人へ、NK細胞療法との違いと根拠

自分の細胞を体の外で育てて戻す免疫細胞療法のイメージ

樹状細胞ワクチンは、自分の樹状細胞にがんの目印を覚えさせて戻す治療です。小規模な臨床試験で良い結果が出たものがある一方、偽薬と比べた多施設の試験では、2年後に再発していない人の割合に差はありませんでした。日本では保険の対象外で、国立がん研究センターのがん情報サービスは「効果が証明されていない免疫療法」に分類しています。

この記事では、樹状細胞ワクチンとは何か、NK細胞療法や活性化リンパ球療法とどう違うのかを、同じ「取り出して、手を加えて、戻す」という形の中で整理します。臨床試験でどこまで確かめられているか、承認まで届いた細胞療法と何が違うのか、日本での制度と費用、受ける前に確かめることも、国立がん研究センターや学会の資料、臨床試験の論文をもとにまとめました。

樹状細胞ワクチンとは何ですか?

自分の血液から樹状細胞のもとになる細胞を取り出し、体の外でがんの目印(抗原)を載せてから、注射で体に戻す治療です。

樹状細胞は、がんなどの目印を取り込み、それをT細胞に示して攻撃の相手を覚えさせる役割を持つ免疫細胞です。樹状細胞ワクチンは、この働きを使って、がんを攻撃するT細胞を体の中で増やすことをねらいます(Bol KF, et al. Nat Commun. 2024)。

国内で公開されている治療の説明文書の一例では、手順は次のようになっています(厚生労働省「e-再生医療」で公開された説明文書、2023年)。

  1. 採血して、樹状細胞のもとになる単球を集める
  2. 約3週間培養して樹状細胞に育て、人工的に合成したがんの目印(ペプチド)を取り込ませる
  3. 皮内・皮下に注射する。2〜3週間おきに5〜7回が目安

がん情報サービスは、自由診療で行われる樹状細胞ワクチンを使うがんワクチン療法を「効果が証明されていない免疫療法」に分類しています(がん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」2025年)。

この記事では、ペプチドワクチンやmRNAワクチン、予防のためのワクチンではなく、細胞を使う治療としての樹状細胞ワクチンに絞ります。

免疫細胞療法には、どんな種類がありますか?

どれも「細胞を取り出し、体の外で手を加え、体に戻す」という同じ形をしています。違うのは、取り出す細胞と、外で何をするかです。

免疫細胞療法の共通の形を示した図。血液や腫瘍から細胞を取り出し、体の外で手を加えて、本人に戻す。手の加え方は、活性化リンパ球は増やす、NK細胞は増やす、樹状細胞ワクチンはがんの目印を載せる、TIL療法は腫瘍の中のT細胞を増やす、CAR-T細胞療法は目印を見分ける遺伝子を組み込む

日本臨床腫瘍学会のガイドラインは、患者さんの血液や腫瘍から採った細胞を体の外で処理・増殖させてから戻す方法を、ひとまとまりの治療として扱っています(日本臨床腫瘍学会「がん免疫療法ガイドライン 第3版(案)」2022年)。主なものを並べると次のとおりです。

名前 取り出す細胞 体の外で何をするか 日本での位置づけ
活性化リンパ球療法(LAK療法、αβT細胞療法など) 血液のリンパ球 薬で刺激して数を増やす。狙う目印は決めていない 自由診療
NK細胞療法 血液のNK細胞 数を増やす 自由診療
樹状細胞ワクチン 血液の単球(樹状細胞のもと) 樹状細胞に育て、がんの目印を載せる 自由診療
TIL療法(腫瘍浸潤リンパ球療法) 腫瘍の中にいたT細胞 がんの中にいたT細胞を選んで増やす 米国で2024年に承認
CAR-T細胞療法 血液のT細胞 がんの目印を見分ける遺伝子を組み込み、増やす 一部の血液のがんで保険診療

出典:がん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」(2025年)、米国食品医薬品局(FDA)(2024年)、厚生労働省「e-再生医療」で公開された説明文書。

活性化リンパ球療法の一例では、20〜100mLを採血し、抗CD3抗体とインターロイキン2という物質で12〜19日間刺激して増やし、2〜4週間に1回点滴で戻すと説明されています(e-再生医療で公開された説明文書)。自由診療では、このほかにNKT細胞療法、キラーT細胞療法など、さまざまな名前の治療が行われています。

CAR-T細胞療法は、自分のT細胞を取り出し、がん細胞を攻撃するCAR(キメラ抗原受容体)遺伝子を組み込んで増やし、体に戻す治療で、一部の血液・リンパのがんで使われます(がん情報サービス 2025年)。国内で承認されるまでの経緯は「がん免疫療法の歴史」で説明しています。

NK細胞療法は、樹状細胞ワクチンと何が違いますか?

NK細胞は、前もって目印を覚えなくてもがん細胞を攻撃できる細胞です。目印をT細胞に覚えさせる樹状細胞ワクチンとは、仕組みが違います。

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は1975年に名づけられた細胞で、前もってがんにさらされていなくても、がん細胞を殺す働きを持っていました(Lanier LL. J Exp Med. 2024)。とくに、正常な細胞が表面に出している「自分の印」(MHCクラスI)を失った細胞を攻撃しやすいことがわかっています(同)。

樹状細胞ワクチン NK細胞療法
戻す細胞 がんの目印を載せた樹状細胞 増やしたNK細胞
ねらい 体の中のT細胞に、特定の目印を覚えさせる 戻した細胞そのものが、目印によらずに攻撃する
戻し方の例 皮内・皮下に注射 点滴

出典:Bol KF, et al. Nat Commun. 2024、Lanier LL. J Exp Med. 2024、e-再生医療で公開された説明文書。

NK細胞を体に戻す治療には課題もあります。同じ総説は、多くのNK細胞は寿命が短く、固形がん(かたまりをつくるがん)の中の環境では働きを失いやすいことを、主な課題に挙げています(Lanier 2024)。

効果は、臨床試験でどこまで確かめられていますか?

比べる相手を置いた試験で良い結果が出たものもありますが、多施設の大規模な試験で確かめられて承認に至ったものは、日本ではまだありません。

免疫細胞療法は1980年代から試されてきました。主な試験を、比べた相手と結果で並べます。

試験 対象 比べたもの 結果
Rosenberg ら(1987年) 転移したがん157人 比べる群を置かず、LAK細胞+インターロイキン2とインターロイキン2単独を報告 LAKを使った106人中、完全奏効8人・部分奏効15人。治療に関連した死亡4人
Law ら(1995年) 進行した腎細胞がん71人 インターロイキン2単独とLAK細胞の上乗せをくじ引きで比べた 奏効(P=0.61)にも生存(P=0.67)にも差なし。肺の副作用はLAK群に多かった
Takayama ら(2000年) 肝細胞がんの手術後150人 活性化リンパ球と経過観察をくじ引きで比べた 再発の危険が41%低下(P=0.01)。全生存は差がはっきりしなかった(P=0.09)
Kimura ら(2015年) 肺がんの手術後103人 抗がん剤に活性化T細胞と樹状細胞を加えるかをくじ引きで比べた 5年生存率81.4%と48.3%で、全生存に差があった(ハザード比0.229)。1施設の小規模な試験で、著者らは多施設の大規模な試験を待つとした
MIND-DC(2024年) 手術を終えた悪性黒色腫(ステージIIIB/C)148人 樹状細胞ワクチンと偽薬(プラセボ)をくじ引きで比べた。樹状細胞は単球から育てず、血液から直接取り出したものを使った 2年無再発生存率36.8%と46.9%(P=0.31)。差なし

出典:Rosenberg SA, et al. N Engl J Med. 1987、Law TM, et al. Cancer. 1995、Takayama T, et al. Lancet. 2000、Kimura H, et al. Cancer Immunol Immunother. 2015、Bol KF, et al. Nat Commun. 2024。

良い結果が出た試験もあります。ただ、肝細胞がんの試験は再発を減らしたものの全生存では差がはっきりせず、肺がんの試験は1施設103人の規模でした。日本臨床腫瘍学会は2019年、効果や安全性が証明されていない免疫細胞療法やがんワクチン療法は、本来は臨床試験として行うべきもので、診療として提供されるべきではないと呼びかけています(日本臨床腫瘍学会「免疫療法を受ける患者さんへ」2019年5月30日)。

「効果がない」と証明されたわけでもありません

表の試験は、がんの種類も、治療の中身も、使った時期もそれぞれ違います。1つの試験で差が出なかったことは、別のがんや別のやり方で効かないことの証明にはなりません。言えるのは、多施設の大規模な試験で効果が確かめられ、承認に至ったものは日本ではまだない、ということです。

67.1%

MIND-DC試験で、樹状細胞ワクチンを受け、免疫の反応を調べた人のうち、がんの目印に反応するT細胞が見つかった人の割合です。偽薬の群では3.8%でした。
それでも、主な評価項目だった2年無再発生存率は、樹状細胞ワクチンの群が36.8%、偽薬の群が46.9%で、差はありませんでした(P=0.31)。重い副作用(グレード3〜4)は5%と6%でした。体の中で免疫の反応が起きることと、再発が減ることは、別々に確かめる必要があります。

出典:Bol KF, et al. Adjuvant dendritic cell therapy in stage IIIB/C melanoma: the MIND-DC randomized phase III trial. Nat Commun. 2024

この試験は、手術後の悪性黒色腫で免疫チェックポイント阻害薬が標準治療になったため、予定より早く登録を打ち切っています(Radboud大学医療センター 2024年)。

承認まで届いた細胞療法は、何が違ったのですか?

狙う相手がはっきり決まっていることと、生存期間や奏効という評価項目で結果を示したことです。

細胞を取り出して戻す治療の中にも、国の承認まで届いたものがあります。

治療 細胞に何をしたか 承認の根拠になった結果
CAR-T細胞療法 目印を見分ける遺伝子を組み込んだ(狙う相手を遺伝子で決めた) 一部の白血病とリンパ腫で国内承認(2019年)
TIL療法(リフィリューセル) 腫瘍の中にいた、がんを認識していたT細胞を選んで増やした 米国で2024年2月16日に迅速承認。73人で奏効率31.5%(95%信頼区間21.1〜43.4%)
シプリューセルT 樹状細胞を含む細胞に、前立腺がんの目印(PAP)と刺激物質を結合させたたんぱく質を載せた 米国で承認。512人の偽薬対照試験で、全生存期間の中央値25.8か月と21.7か月

出典:がん情報サービス(2025年)、FDA「lifileucel」2024年、FDA「PROVENGE」、Kantoff PW, et al. N Engl J Med. 2010。

CAR-TとTILに共通するのは、戻すT細胞が「どのがんを狙うか」を、遺伝子の組み込みや腫瘍からの選び出しで決めている点です。数を増やすだけの活性化リンパ球療法や、目印によらないNK細胞療法とは、ここが違います。

TIL療法の対象は、抗PD-1抗体による治療を受けたあとの(BRAF V600遺伝子変異がある場合はBRAF阻害薬による治療も受けたあとの)、切除できないか転移した悪性黒色腫です(FDA 2024年)。細胞を戻す前に、体の中のリンパ球を減らす抗がん剤(シクロホスファミドとフルダラビン)を使い、戻したあとにインターロイキン2を最大6回投与します。添付文書の警告には、治療に関連した死亡、長引く血球の減少、重い感染症、心臓や肺への影響、腎臓の障害が挙げられています(同)。奏効率の意味は「奏効率とは?生存率との違い」で説明しています。

樹状細胞を含む細胞を使った治療で承認まで届いたシプリューセルTも、効いた大きさは全生存期間の中央値で約4か月の差でした(25.8か月と21.7か月)。この治療は、がん情報サービスが挙げる日本の「効果が証明された免疫療法」には入っていません(がん情報サービス 2025年)。

承認された細胞療法は、使える病気が限られています。CAR-TやTILのように、リンパ球を減らす前処置や入院を伴うものもあります。狙いを絞って結果を示した治療ほど、体への負担も、治療を受けられる条件も、はっきり示されています。

日本では、どんな制度のもとで行われていますか?

自由診療の免疫細胞療法は、再生医療等安全性確保法にもとづき、計画を厚生労働省(地方厚生局)に提出して行われます。

再生医療等安全性確保法は、2013年に公布され、2014年11月25日に施行されました。細胞を加工して人に使う医療を、リスクの高さで3つに分けています(厚生労働省「認定再生医療等委員会の役割について」2015年)。

区分 例 計画を審査する委員会
第1種(リスクが高い) iPS細胞・ES細胞などを使うもの 特定認定再生医療等委員会
第2種(リスクが中程度) 体性幹細胞などを使うもの 特定認定再生医療等委員会
第3種(リスクが低い) 加工した体細胞を使うもの。例として「活性化自己リンパ球を用いたがん治療」 認定再生医療等委員会

出典:厚生労働省「再生医療等安全性確保法のイメージ図」(参考資料)、同「認定再生医療等委員会の役割について」(2015年)。

医療機関は、委員会の意見を聴いたうえで、再生医療等提供計画を提出します。提出先は、第2種・第3種は地方厚生局長、第1種は地方厚生局長を経由して厚生労働大臣です(厚生労働省 2015年)。提出された計画の一部や患者向けの説明文書は、厚生労働省のサイト「e-再生医療」で公開されており、治療の名前や手順、費用の項目を確かめることができます。

この法律は、細胞を使う医療を安全に提供するための手続きを定めたものです。計画を提出していることは、その治療の効果が臨床試験で確かめられたことを意味しません。

費用と副作用は、どう考えればよいですか?

費用は全額自己負担で、副作用が出たときの治療費も自費になることがあります。

自由診療の免疫療法は保険診療の対象外で、治療費は全額自己負担です。副作用の治療費も全額自費になる場合があります(がん情報サービス 2025年)。日本臨床腫瘍学会は、未承認の治療を受けることで高額な費用を負担するだけでなく、標準治療や治験・臨床試験を受ける機会を失いかねないと注意しています(日本臨床腫瘍学会 2019年)。

公開されている説明文書の例では、活性化リンパ球を戻したあとに軽い発熱やだるさが出ることがあり、多くは1〜2日で治まるとされています(e-再生医療で公開された説明文書)。一方で、同学会は、こうした治療は有効性だけでなく安全性も確かではないとしています。免疫チェックポイント阻害薬を個人輸入して免疫細胞療法と組み合わせるクリニックがあり、副作用に十分対処できずに患者さんが亡くなった例が報告されていることも挙げています(日本臨床腫瘍学会 2019年)。

費用を比べるときは、1回の金額だけでなく、何回、どのくらいの期間続ける前提なのか、採血や培養の費用が別にかかるのか、効果がなかったときに何で判断してやめるのかを、合わせて確かめておく必要があります。

効果をうたう数字は、どう読めばよいですか?

無作為に、何人を、何と比べ、何を測った数字かを確かめます。奏効率、「進行を抑えた割合」、1つの医療機関の集計は、それだけでは長く生きられるかどうかを示していません。

治療の効果を示す数字を見るときは、次の3つを確かめます。

  • 比べる相手:無作為にくじ引きで分けた、その治療を受けない人たちと比べたか
  • 規模:何人を、いくつの医療機関で調べたか
  • 測ったもの:免疫の反応か、がんの縮小か、進行までの期間か、再発や生存か

奏効率は、がんが一定以上縮んだ人の割合です。縮むことと長く生きることは、いつも一致するとは限りません(奏効率とは?)。この記事で紹介したMIND-DC試験では、免疫の反応は67.1%の人に出ましたが、2年無再発生存率に差はありませんでした。

「進行を抑えた割合」(病勢コントロール率)は、がんが縮んだ人に、大きさが変わらなかった人も加えて数えた割合です。比べる相手がいないと、その期間に治療がどれだけ役立ったのかを見分けにくくなります(画像の判定の決まりは「抗がん剤の効果判定」)。

1つの医療機関の集計は、比べる相手がいないことが多い数字です。体力があって治療を続けられた人ほど、集計に残りやすくもなります。良い数字が治療の効果である可能性はあります。ただ、その数字だけでは、経過の良い人だけの集計とも区別がつきません。

受ける前に、何を確かめればよいですか?

多くの人を対象にした臨床試験で効果が確かめられた治療かどうかを、まず担当医に聞くことです。

がん情報サービスは、自由診療の免疫療法を考えるときは必ず担当医に話すよう勧め、質問の例を挙げています(がん情報サービス 2025年)。それをもとに、確かめたいことをまとめます。

  • その治療は、多くの人を対象にした臨床試験で効果が証明されたものか。無作為に割り付けた比べる相手を置いた試験の結果はあるか
  • 何を評価項目にした結果か。免疫の反応か、がんの縮小か、再発や生存か
  • 副作用が出たとき、その医療機関で対応できるか。夜間や休日はどうするか
  • 保険は使えるか。治療全体の費用はいくらか
  • 今の治療や、これから受けられる治験・臨床試験と並行できるか

副作用や費用の負担が大きいときほど、慎重に判断します。そのうえで、標準治療、治験、セカンドオピニオンを含めて、選べる道を狭めずに確かめることが大切です。

効果が期待できるかわからない場合は、受けないという選択も大切だとされています(同)。研究段階の医療に詳しい医師のセカンドオピニオンを聞くことや、がん相談支援センターに相談することもできます(同)。新しい細胞療法を試験として受ける道を探すなら、「がんの治験に参加するには?」で探し方を説明しています。

取り出して、手を加えて、戻す。形は同じでも、狙う相手が決まっているか、何で効果を確かめたかは治療ごとに違います。説明を受けるときは、その2つを聞くことで、名前だけではわからない違いが見えてきます。

その治療が本当に無効だと結論付けるのは実は相当難しいのです

今まで効果が確認できなかった自己免疫細胞療法やANK細胞療法、ペプチドワクチン療法、樹状細胞療法、養子細胞免疫療法などの「免疫治療」は免疫のアクセルを強める試みでした。これらの治療は、実は1990年代から大学の研究室でも実験が重ねられ、そして臨床でも使用され、残念ながら芳しい結果は残せませんでした。

しかし、その治療が本当に無効だと結論付けるのは実は相当難しいのです。そして、それらを今でも効くように謳っているいかがわしいクリニックが存在することも事実でしょう。

免疫チェックポイント阻害剤は免疫系のブレーキを外す薬剤です。私の免疫学者からの立場では、免疫チェックポイント阻害剤でブレーキを外した上で、いままで効果が確認できなかった「免疫療法」のどれかを併用すると、効果が得られる可能性を否定できません。

新見正則医院院長 新見正則

監修者

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

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よくある質問

Q樹状細胞ワクチンとは何ですか?

自分の血液から樹状細胞のもとになる細胞を取り出し、体の外でがんの目印(抗原)を載せてから体に戻す治療です。体の中のT細胞にがんの目印を覚えさせることをねらいます。国立がん研究センターのがん情報サービスは、自由診療で行われる樹状細胞ワクチンを「効果が証明されていない免疫療法」に分類しています。

Q樹状細胞ワクチンは保険適用ですか?

日本では保険適用ではなく、自由診療として全額自己負担で行われています。副作用の治療費も自費になる場合があります。

Q樹状細胞ワクチンの効果はどのくらいですか?

悪性黒色腫の手術後の148人を偽薬と比べた試験(MIND-DC、2024年)では、がんの目印に反応するT細胞は、調べた人の67.1%で見つかりましたが、2年無再発生存率は36.8%と46.9%で差はありませんでした。小規模な試験で生存期間に差が出た例はありますが、多施設の大規模な試験で確かめられて承認に至ったものは、日本ではまだありません。

QNK細胞療法と樹状細胞ワクチンの違いは何ですか?

NK細胞療法は、前もって目印を覚えなくてもがん細胞を攻撃できるNK細胞を増やして戻す治療です。樹状細胞ワクチンは、がんの目印を載せた樹状細胞を戻し、体の中のT細胞に目印を覚えさせることをねらいます。どちらも日本では自由診療です。

QCAR-T細胞療法と免疫細胞療法は同じですか?

細胞を取り出して手を加え、体に戻すという形は同じです。CAR-T細胞療法は、がんの目印を見分ける遺伝子をT細胞に組み込む点が違い、日本では一部の血液のがんで保険診療として使われています。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」(2025年11月6日更新・確認)
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu02.html
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法」(2025年11月6日更新・確認)
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/index.html
  3. 日本臨床腫瘍学会「免疫療法を受ける患者さんへ」(2019年5月30日)
    https://jsmo.or.jp/wp/wp-content/uploads/免疫療法を受ける患者さんへ.pdf
  4. 日本臨床腫瘍学会編「がん免疫療法ガイドライン 第3版(案)」(パブリックコメント版、2022年12月)
    https://www.jsmo.or.jp/news/jsmo/doc/20221212.pdf
  5. 厚生労働省 医政局研究開発振興課「認定再生医療等委員会の役割について」(2015年9月28日)
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000099539.pdf
  6. 厚生労働省「再生医療等安全性確保法のイメージ図」(参考資料4)
    https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000049233.pdf
  7. Bol KF, Schreibelt G, Bloemendal M, et al. Adjuvant dendritic cell therapy in stage IIIB/C melanoma: the MIND-DC randomized phase III trial. Nat Commun. 2024;15(1):1632.
    https://doi.org/10.1038/s41467-024-45358-0
  8. Lanier LL. Five decades of natural killer cell discovery. J Exp Med. 2024;221(8):e20231222.
    https://doi.org/10.1084/jem.20231222
  9. Rosenberg SA, Lotze MT, Muul LM, et al. A progress report on the treatment of 157 patients with advanced cancer using lymphokine-activated killer cells and interleukin-2 or high-dose interleukin-2 alone. N Engl J Med. 1987;316(15):889-897.
    https://doi.org/10.1056/NEJM198704093161501
  10. Law TM, Motzer RJ, Mazumdar M, et al. Phase III randomized trial of interleukin-2 with or without lymphokine-activated killer cells in the treatment of patients with advanced renal cell carcinoma. Cancer. 1995;76(5):824-832.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8625186/
  11. Takayama T, Sekine T, Makuuchi M, et al. Adoptive immunotherapy to lower postsurgical recurrence rates of hepatocellular carcinoma: a randomised trial. Lancet. 2000.
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    https://doi.org/10.1007/s00262-014-1613-0
  13. U.S. Food and Drug Administration「FDA grants accelerated approval to lifileucel for unresectable or metastatic melanoma」(2024年2月)
    https://www.fda.gov/drugs/resources-information-approved-drugs/fda-grants-accelerated-approval-lifileucel-unresectable-or-metastatic-melanoma
  14. Kantoff PW, Higano CS, Shore ND, et al. Sipuleucel-T immunotherapy for castration-resistant prostate cancer. N Engl J Med. 2010;363(5):411-422.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20818862/
  15. U.S. Food and Drug Administration「Questions and Answers – PROVENGE」
    https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/cellular-gene-therapy-products/questions-and-answers-provenge
  16. 厚生労働省「e-再生医療(再生医療等の各種申請等のオンライン手続サイト)」
    https://saiseiiryo.mhlw.go.jp/

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