子宮頸がんのステージとは?わかりにくい分類と、治療・生存率がどう変わるか

机の上に置かれた子宮と卵巣の透明な立体模型

子宮頸がんのステージは、がんの大きさと広がり、リンパ節転移の有無でⅠ〜Ⅳ期に分けられ、治療の組み合わせが変わります。

いま日本で使われているのは、国際産科婦人科連合(FIGO)が2018年に改訂した分類です。改訂でリンパ節転移を表す「ⅢC期」ができ、ⅠB期は3つに分かれました。そのため、古い資料や海外の試験とは、同じ「ⅠB2期」でも中身が違うことがあります。

この記事では、ステージの決まり方と各ステージの状態、分類の新旧の違い、ステージ別の治療、子宮を残せる条件、5年生存率、再発と通院の目安を、学会のガイドラインと国立がん研究センターの資料、臨床試験の原著で整理します。

この記事の内容

子宮頸がんのステージは、どう決まりますか?

内診、画像検査、組織の検査を合わせて治療の前に決め、手術をした場合は取った組織の結果で見直されることがあります。

国立がん研究センターによると、子宮頸がんと診断されると、内診・直腸診、超音波、CT、MRI、PETで、子宮の周りや全身への広がりを確かめます(がん情報サービス「子宮頸がん」治療の章 2023年2月28日更新)。組織型は扁平上皮がんが8割程度、腺がんが2割程度です。

2018年の改訂で、FIGOはステージを決めるときに画像と病理の結果を使ってよいことにしました。ⅠA期の「広がり(横の長さ)」の条件をなくし、ⅠB期を大きさで3つに分け、リンパ節転移をⅢC期としています(Bhatla N, et al. Int J Gynaecol Obstet 2019)。

日本産科婦人科学会はこれを『子宮頸癌取扱い規約 臨床編 第4版』(2020年)に取り入れ、子宮頸癌治療ガイドライン2022年版もこの分類(日産婦2020)で推奨を書いています(子宮頸癌治療ガイドライン2022年版 総説)。同じ総説は、判定の決まりを次のように定めています。

  • 内診、画像、病理の結果が食い違うときは、原則として病理を優先する。ただし腫瘍の大きさは画像を優先する
  • ⅢB期は画像だけでは決めず、内診・直腸診の所見と合わせて決める
  • 膀胱や直腸の粘膜への広がりがMRIで明らかなら、それだけでⅣA期とできる
  • どちらか迷うときは、低いほうのステージにする

子宮頸がんのガイドラインの最新版は2022年版(2022年7月発行)です(Minds ガイドラインライブラリ)。ステージという考え方そのものや、がんの種類による数え方の違いは、がんのステージはいくつまであるかの記事で、検査の違いはCTとMRIの違いの記事で説明しています。

子宮頸がんのⅠ期からⅣ期は、それぞれどんな状態ですか?

Ⅰ期は子宮頸部にとどまり、Ⅱ期は子宮の外に出ても骨盤の壁や膣の下部には届かず、Ⅲ期は膣の下部や骨盤の壁に届くかリンパ節に転移し、Ⅳ期は膀胱・直腸の粘膜か骨盤の外に広がった状態です。

ステージ がんの状態
ⅠA1期 顕微鏡で見つかるがんで、深さ(間質浸潤)が3mm以下
ⅠA2期 深さが3mmを超え、5mm以下
ⅠB1期 深さが5mmを超え、大きさ(最大径)が2cm以下
ⅠB2期 大きさが2cmを超え、4cm以下
ⅠB3期 大きさが4cmを超える
ⅡA1期 膣の上3分の2まで広がり、子宮の横の組織(子宮傍組織)には広がっていない。大きさ4cm以下
ⅡA2期 ⅡA1期と同じ広がりで、大きさが4cmを超える
ⅡB期 子宮傍組織に広がっているが、骨盤の壁には達していない
ⅢA期 膣の下3分の1まで広がっているが、骨盤の壁には達していない
ⅢB期 骨盤の壁に達しているか、明らかな水腎症・腎臓が働かない状態がある
ⅢC1期 骨盤のリンパ節にだけ転移がある
ⅢC2期 大動脈の周り(傍大動脈)のリンパ節に転移がある
ⅣA期 膀胱か直腸の粘膜に広がっている
ⅣB期 小骨盤(骨盤の内側)を越えて広がっている

出典:日本婦人科腫瘍学会 子宮頸癌治療ガイドライン2022年版 総説(日産婦2020、FIGO2018)

ⅠA1期とⅠA2期は、取った組織を顕微鏡で調べて決めます(2022年版 総説)。そのため、子宮の入り口を円すい状に切除する円錐切除術が、診断と治療を兼ねることがあります。組織の検査に何日かかるかは、病理検査の結果は何日で出るかの記事にまとめています。

リンパ節転移があると、なぜⅢC期になるのですか?

2018年の改訂で、がんが小さくてもリンパ節に転移していればⅢC期とすることになり、画像で判断したか病理で確かめたかを「r」「p」で書き分けます。

改訂前の分類(日産婦2011、FIGO2008)には、ⅢC期がありませんでした(2022年版 総説の参考表)。いまの分類では、子宮の中のがんがⅠB1期の大きさでも、骨盤のリンパ節に転移があればⅢC1期、大動脈の周りのリンパ節に転移があればⅢC2期です。

総説の注では、CTやMRI、PETなどの画像を根拠に骨盤のリンパ節転移ありと判断した場合を「ⅢC1r期」、手術で取ったリンパ節を顕微鏡で調べて確かめた場合を「ⅢC1p期」と書くとしています。顕微鏡でごく少数のがん細胞が見つかるだけの状態(遊離腫瘍細胞)は、転移として数えません。

同じⅢC1期でも、rは画像からの見立て、pは組織で確かめた結果です。国立がん研究センターの解説は、ⅢC期でも手術を検討することがあるとしています(がん情報サービス「子宮頸がん」)。紹介状や説明書にⅢC1rやⅢC1pとあれば、どちらの根拠で決まったステージかがわかります。

資料によって、同じ「ⅠB2期」の意味が違うのはなぜですか?

分類の版が違うためで、改訂前のⅠB2期は4cmを超えるもの、いまのⅠB2期は2cmを超え4cm以下のものを指します。

項目 改訂前(日産婦2011・FIGO2008) いま(日産婦2020・FIGO2018)
ⅠA期 深さ5mm以内で、横の広がりが7mmを超えない 深さだけで決める(横の広がりの条件なし)
ⅠB1期 4cm以下 2cm以下
ⅠB2期 4cmを超える 2cmを超え4cm以下
ⅠB3期 なし 4cmを超える
リンパ節転移 ⅢC期はない 骨盤はⅢC1期、傍大動脈はⅢC2期

出典:日本婦人科腫瘍学会 子宮頸癌治療ガイドライン2022年版 総説(日産婦2011とFIGO2008の参考表を含む)

この違いは、治療の根拠になった臨床試験を読むときに効いてきます。試験は、それぞれ始まった時点の分類で対象を決めているためです。

  • 腹腔鏡などの低侵襲手術と開腹手術を比べたLACC試験:ⅠA1期(脈管侵襲あり)、ⅠA2期、ⅠB1期が対象。このⅠB1期は改訂前の「4cm以下」です(Ramirez PT, et al. N Engl J Med 2018)
  • 化学放射線療法の前に抗がん剤を加えたINTERLACE試験:FIGO2008のⅠB1期(リンパ節転移あり)、ⅠB2期、ⅡA期、ⅡB期、ⅢB期、ⅣA期が対象(McCormack M, et al. Lancet 2024)
  • 化学放射線療法にペムブロリズマブを加えたKEYNOTE-A18試験:FIGO2014のⅠB2〜ⅡB期(リンパ節転移あり)か、Ⅲ〜ⅣA期が対象(Lorusso D, et al. Lancet 2024)

KEYNOTE-A18の結果で承認されたペムブロリズマブの電子添文も、使う人を選ぶ条件を、この試験の対象(FIGO2014の進行期)で示しています(MSD キイトルーダ 添付文書改訂のお知らせ 2024年11月)。いまの分類のステージだけでは、試験の対象に入るかどうかは決まらないことがあります。

ステージごとに、治療はどう変わりますか?

ⅠA期は円錐切除術や子宮全摘、ⅠB〜Ⅱ期は手術か放射線(化学放射線療法)、Ⅲ〜ⅣA期は化学放射線療法、ⅣB期は薬物療法が中心です。

国立がん研究センターの解説は、ⅠB期・Ⅱ期では手術、放射線治療、同時化学放射線療法が中心、Ⅲ期・ⅣA期では同時化学放射線療法、ⅣB期では薬物療法が中心としています(がん情報サービス「子宮頸がん」)。2022年版のガイドラインの主な推奨は次のとおりです。

ステージ 2022年版ガイドラインの主な推奨 推奨の強さ
ⅠA1期(脈管侵襲なし) 単純子宮全摘出術 推奨
ⅠA1期(脈管侵襲あり) 子宮全摘に骨盤リンパ節郭清を加える 提案
ⅠB1・ⅠB2・ⅡA1期 手術、または放射線治療・同時化学放射線療法 どちらも提案
ⅠB3・ⅡA2期 広汎子宮全摘出術と同時化学放射線療法で生存率に差がないとして、どちらも選べる 推奨
ⅡB期 同時化学放射線療法。手術をする場合は、資格を持つ十分に経験を積んだ婦人科腫瘍医が行う 前者は推奨、後者は提案
Ⅲ・ⅣA期 放射線だけでなく同時化学放射線療法。併用する薬はシスプラチン単剤 推奨
ⅣB期 全身状態がよければ全身の薬物療法、ベバシズマブの追加。症状の強い病変には緩和の放射線 薬物療法は提案、ベバシズマブと緩和照射は推奨

出典:Seino M, et al. Japan Society of Gynecologic Oncology 2022 guidelines for uterine cervical neoplasm treatment. J Gynecol Oncol 2024;35(1):e15

手術のあとは、取った組織の所見から再発のリスクを高・中に分けます。2022年版は、高リスクには同時化学放射線療法を推奨し、中リスクには危険因子の数と程度を考えて放射線治療か同時化学放射線療法を提案しています(Seino M, et al. J Gynecol Oncol 2024)。

腹腔鏡やロボットの手術は選べるのか

LACC試験では、631人を低侵襲手術と開腹手術に分けました。4.5年の無病生存率は低侵襲手術86.0%、開腹96.5%、3年の全生存率は93.8%と99.0%で、低侵襲手術のほうが低い結果でした(Ramirez PT, et al. N Engl J Med 2018)。

この結果を受けて2022年版は、腫瘍の大きさが2cm以下なら、がんをこぼさない工夫をしたうえで、国内外の成績と施設の経験を十分に説明して低侵襲手術を行うことを提案しています。4cmを超える場合は提案していません。

日本では、ⅠB〜Ⅱ期に手術が多く選ばれてきたのですか?

日本では広汎子宮全摘出術が多く選ばれてきましたが、ⅡB期については2022年版のガイドラインで同時化学放射線療法が「推奨」となりました。

2017年版のガイドラインは、ⅡB期の主な治療が日本と欧米で大きく異なると書いています。欧米では同時化学放射線療法が選ばれることが多く、日本では広汎子宮全摘出術を含む手術が多く選ばれてきた、という説明です(子宮頸癌治療ガイドライン2017年版 第3章)。

同じ章は、日本産科婦人科学会の2014年の報告を引いて、ⅡB期で手術を主な治療にした人は44%で、2004年の60%から減ったとしています。放射線治療を主な治療にした人は、2004年の18%から2014年の39%に増えていました。2017年版の推奨は、ⅡB期の扁平上皮がんに「広汎子宮全摘出術(+補助療法)あるいは同時化学放射線療法」でした。

2022年版では、ⅡB期の推奨が同時化学放射線療法に絞られ、手術は資格を持つ婦人科腫瘍医が行うことを条件とする「提案」になりました(Seino M, et al. J Gynecol Oncol 2024)。ⅠB3期・ⅡA2期では、手術と同時化学放射線療法のどちらも選べるとしています。

2017年版が挙げた理由の1つは、ⅡB期では手術をしても、多くの人で手術のあとの治療が必要になることです。手術のあとに放射線を加えると、手術と放射線の両方の後遺症を負うことになります。

9.0%

2014年に手術を主な治療にした子宮頸がんの人のうち、手術だけで治療を終えた人の割合です。
子宮頸癌治療ガイドライン2017年版がⅡB期の項で示した数字で、多くの人が手術のあとに追加の治療を受けていました。

出典:子宮頸癌治療ガイドライン2017年版 第3章 CQ08(日本産科婦人科学会 婦人科腫瘍委員会報告 2014年を引用)

同時化学放射線療法では、どんな治療をしますか?

骨盤の外からの照射と、膣から器具を入れて内側から当てる腔内照射を組み合わせ、その期間中に週1回シスプラチンを点滴します。

2022年版の総説は、根治を目指す放射線治療として、骨盤全体への外部照射と、高線量率の腔内照射を組み合わせる方法を標準としています。腔内照射の代わりに強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療で追加の照射をすることは、通常の方法としては勧めていません。同時に使う抗がん剤の例として、シスプラチン40mg/m²を週1回とする方法が載っています(2022年版 総説)。

手術・放射線・薬を組み合わせる考え方は集学的治療とは、放射線治療の通院回数や副作用は放射線治療とはの記事で、がんの種類を問わず説明しています。

化学放射線療法の前に抗がん剤を加える方法(INTERLACE試験)

INTERLACE試験は、局所進行の子宮頸がん500人を、通常の化学放射線療法だけの群と、その前に6週間、週1回のカルボプラチンとパクリタキセルを加える群に分けました(McCormack M, et al. Lancet 2024)。追跡期間の中央値は67か月です。

評価項目 前に抗がん剤を加えた群 化学放射線療法だけの群 ハザード比(95%信頼区間)
5年無増悪生存率 72% 64% 0.65(0.46〜0.91)
5年全生存率 80% 72% 0.60(0.40〜0.91)
グレード3以上の有害事象 59% 48% —

出典:McCormack M, et al. Lancet 2024(GCIG INTERLACE試験)

全生存率のハザード比の信頼区間は0.40〜0.91で、死亡のリスクが60%低い側から9%低い側までの範囲にあります。対象の7割はFIGO2008のⅡB期で、大動脈の周りのリンパ節に転移がある人は含まれていません。

2022年版のガイドラインは、この試験の結果が出る前に作られ、化学放射線療法の前に抗がん剤を加えることを提案していません。改訂後の推奨は、この記事の執筆時点で確認できていません。

化学放射線療法にペムブロリズマブを加える方法(KEYNOTE-A18試験)

KEYNOTE-A18試験は、リンパ節転移のあるFIGO2014のⅠB2〜ⅡB期か、Ⅲ〜ⅣA期の1,060人を、化学放射線療法に免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブ(キイトルーダ)を加える群とプラセボを加える群に分けました。3年の全生存率は82.6%と74.8%、死亡のハザード比は0.67(95%信頼区間0.50〜0.90)でした(Lorusso D, et al. Lancet 2024)。

グレード3以上の有害事象は78%と70%で、ペムブロリズマブを加えた群で多く出ています。日本では2024年11月に「局所進行子宮頸癌」の効能が承認され、シスプラチンを使う化学放射線療法と併用し、最長24か月使います(PMDA キイトルーダ 審査報告書 2024年、添付文書改訂のお知らせ)。仕組みと副作用の考え方は、免疫チェックポイント阻害薬とはの記事にあります。

どちらの上乗せも、選ばれた人の結果

INTERLACEもKEYNOTE-A18も、改訂前の分類で対象を決めた試験です。KEYNOTE-A18の対象はリンパ節転移のある人かⅢ〜ⅣA期に限られ、INTERLACEには大動脈の周りのリンパ節転移がある人が入っていません。どちらの上乗せも、グレード3以上の有害事象は増えています。いまの分類のステージが同じでも、試験の条件に当てはまるとは限りません。

ⅣB期や再発では、どんな薬を使いますか?

最初はプラチナ製剤とパクリタキセルの併用にベバシズマブやペムブロリズマブを加え、そのあと悪化したときはセミプリマブやチソツマブ ベドチンが使えます。

薬 日本の承認 根拠の試験と全生存期間
ベバシズマブ(アバスチン)を化学療法に追加 2016年5月(進行又は再発の子宮頸癌) GOG-0240(452人):中央値16.8か月 vs 12.9か月、ハザード比0.74
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)を化学療法に追加(ベバシズマブの有無を問わない) 2022年9月(進行又は再発の子宮頸癌) KEYNOTE-826(617人):中央値24.4か月 vs 16.5か月、ハザード比0.67(95%信頼区間0.54〜0.84)。1回目の中間解析
セミプリマブ(リブタヨ)単独 2022年12月(がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸癌) EMPOWER-Cervical 1(608人):中央値12.0か月 vs 8.5か月、ハザード比0.69(0.56〜0.84)。対照は医師が選んだ抗がん剤
チソツマブ ベドチン(テブダック)単独 2025年3月(がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸癌) innovaTV 301(502人):中央値11.5か月 vs 9.5か月、ハザード比0.70(0.54〜0.89)。対照は医師が選んだ抗がん剤

出典:アバスチン電子添文(2026年6月改訂)と再審査報告書(2024年)、PMDA キイトルーダ 審査報告書(2022年)、Tewari KS, et al. N Engl J Med 2022、Vergote I, et al. N Engl J Med 2024、PMDA 医療用医薬品情報(リブタヨ、テブダック)

ベバシズマブの子宮頸がんへの効能は、2016年5月23日に追加されました(PMDA アバスチン 再審査報告書 2024年)。表のGOG-0240の数字は、電子添文の臨床成績の項によります(アバスチン 電子添文 2026年6月改訂)。セミプリマブのEMPOWER-Cervical 1は、プラチナ製剤による治療のあとに悪化した608人を対象にした試験です(Tewari KS, et al. N Engl J Med 2022)。

2022年版のガイドラインは、再発の化学療法として、パクリタキセルとシスプラチンの併用、プラチナ製剤を使ったことがある人や腎臓の働きが落ちている人ではパクリタキセルとカルボプラチンの併用、さらにベバシズマブの併用を推奨しています(Seino M, et al. J Gynecol Oncol 2024)。ペムブロリズマブの記載は、MSI-HighやTMB-Highのがんでの提案にとどまっています。

ガイドラインの発行(2022年7月)のあと、2022年9月に、化学療法にペムブロリズマブを加える使い方が承認されました(PMDA キイトルーダ 審査報告書 2022年)。KEYNOTE-826は、化学療法をまだ受けていない617人を対象にした試験です。

チソツマブ ベドチンは、がん細胞の表面の組織因子に結合する抗体に抗がん剤を付けた薬(抗体薬物複合体)です。電子添文は、最初の治療(1次治療)での有効性と安全性は確立していないとしています。審査報告書は、眼の障害が起きるリスクを製造販売後にさらに調べる必要があるとしています(PMDA テブダック 審査報告書 2025年、Vergote I, et al. N Engl J Med 2024)。セミプリマブの承認日は2022年12月23日です(PMDA 医療用医薬品情報 リブタヨ)。

子宮を残して妊娠を目指せるのは、どのステージまでですか?

ⅠA1期で条件を満たせば円錐切除術のあとの慎重な経過観察、ⅠA2〜ⅠB1期では広汎子宮頸部摘出術が選択肢になります。

2022年版のガイドラインは、ⅠA1期で妊娠を強く希望する人には、脈管侵襲がなく、切除した端(断端)にがんがなく、病変が残っていないことを条件に、子宮を残す治療を提案しています(Seino M, et al. J Gynecol Oncol 2024)。

ⅠA2〜ⅠB1期では、妊娠の可能性を残す方法の1つとして広汎子宮頸部摘出術を提案しています。子宮の頸部と周りの組織を取り、子宮の体部を残して膣とつなぐ手術です。国立がん研究センターの解説は、明らかなリンパ節転移がないなど一定の基準を満たす必要があるとしています。

ここでいうⅠB1期は、いまの分類の「2cm以下」です。改訂前の資料のⅠB1期(4cm以下)とは範囲が違います。円錐切除術のあとは、妊娠や出産に影響が出ることがあるとされています。

抗がん剤や放射線の前に卵子や受精卵を残す方法は、妊孕性温存とはの記事で扱っています。

子宮頸がんのステージ別の5年生存率は、どのくらいですか?

院内がん登録で2014〜2015年に診断された人の5年生存率(ネット・サバイバル)は、Ⅰ期94.9%、Ⅱ期79.4%、Ⅲ期64.0%、Ⅳ期25.9%です。

区分 人数 5年実測生存率 5年生存率(ネット・サバイバル)
Ⅰ期 6,427人 93.3% 94.9%
Ⅱ期 2,355人 76.5% 79.4%
Ⅲ期 3,359人 62.2% 64.0%
Ⅳ期 2,171人 25.1% 25.9%
手術あり 8,186人 89.9% 90.9%
手術なし 6,268人 50.2% 52.8%
全症例 14,454人 72.7% 74.4%

出典:国立がん研究センター 院内がん登録 2014-2015年5年生存率(2023年3月公表)。全症例には病期不明などを含む

14,454人の平均年齢は54.7歳でした(院内がん登録生存率 最新集計値)。同じページの10年生存率(2012年に診断された6,576人)は、ネット・サバイバルでⅠ期91.0%、Ⅱ期71.0%、Ⅲ期52.6%、Ⅳ期16.0%、全症例67.5%です。年ごとの推移は、院内がん登録生存率集計結果閲覧システム(子宮頸がん)でも見られます。

全国がん登録では、2018年に子宮頸部のがんと診断された人の5年相対生存率は73.1%です。2023年に子宮頸部のがんと診断されたのは10,457例、2024年に亡くなったのは2,751人でした(がん統計「子宮頸部」2026年7月22日更新)。実測生存率とネット・サバイバルの違いは、がんの生存率(部位別・ステージ別)の記事にあります。

2014〜2015年の「Ⅲ期」と、いまの「Ⅲ期」

院内がん登録の生存率は、UICC TNM分類の総合ステージで集計されています(院内がん登録 2014-2015年5年生存率集計 報告書)。院内がん登録がTNM分類第8版を採用したのは2018年診断例からで(院内がん登録 2018年全国集計 報告書)、この表の人たちはそれより前の版で登録されています。リンパ節転移をⅢC期とするいまの分類とは分け方が違い、いまの分類でⅢC期とされる人が、この表のどのステージに入っているかは表からはわかりません。「手術あり」と「手術なし」の差も、手術を受けられる状態の人とそうでない人の違いを含んでおり、手術の効果の大きさではありません。

再発したときはどう治療し、治療のあとはどのくらいの間隔で通院しますか?

放射線を当てたことのある場所かどうかで治療が分かれ、通院は治療後2年までは3〜6か月ごと、5年までは6〜12か月ごとが目安です。

国立がん研究センターの解説によると、放射線を当てていない場所の再発には、放射線治療や化学放射線療法を検討します。骨盤の中の再発では骨盤除臓術を行うことがあり、その場合は人工肛門や人工膀胱が必要になることがあります。放射線を当てた場所の再発では、合併症のリスクから薬物療法が選ばれることが多く、痛みなどを和らげる治療も検討します(がん情報サービス「子宮頸がん」)。

2022年版のガイドラインは、標準治療を終えたあとの選択肢として、がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング)を扱っています(Seino M, et al. J Gynecol Oncol 2024)。検査で薬が見つかる割合と限界は、がんゲノム医療の遺伝子パネル検査とはの記事で説明しています。

治療後の通院について、2022年版は、治療終了から2年までは3〜6か月ごと、その後5年までは再発のリスクに応じて6〜12か月ごとの定期的な診察を推奨しています。国立がん研究センターの解説では、通院のたびに問診、腟鏡診、内診・直腸診を行い、画像検査は再発が強く疑われる場合に行うとしています。

手術でリンパ節を取ると、足や下腹部のむくみ(リンパ浮腫)が起こることがあります。広汎子宮全摘出術のあとは排尿の障害が起こりやすく、卵巣を取ったり放射線を当てたりして卵巣の働きが失われると、ほてりや発汗などの更年期障害に似た症状が出ることがあります。

新見正則医院院長 新見正則

監修

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

詳しいプロフィール

次に読む

治療が終わったあとの通院は、いつまで続くのか。5年が過ぎれば安心してよいのかと考える人は少なくありません。

がんの経過観察は何年?5年で安心できるのか不安な人へ

経過観察の目安が「5年」とされる理由と、がんの種類によって期間や検査の頻度が違うこと、5年を過ぎても通院が勧められるがんがあることを、学会のガイドラインをもとに整理した記事です。

この記事を読む

よくある質問

Q子宮頸がんのステージ1の5年生存率はどのくらいですか?

国立がん研究センターの院内がん登録で2014〜2015年に診断された人では、Ⅰ期の5年生存率(ネット・サバイバル)は94.9%でした。Ⅱ期は79.4%、Ⅲ期は64.0%、Ⅳ期は25.9%です。この集計は、リンパ節転移をⅢC期とするいまの分類より前の版で登録された人のものです。

Q子宮頸がんでリンパ節に転移があると何期になりますか?

いまの分類(FIGO2018、日産婦2020)では、子宮の中のがんの大きさにかかわらず、骨盤のリンパ節に転移があればⅢC1期、大動脈の周りのリンパ節に転移があればⅢC2期です。画像で判断した場合は「r」、手術で取ったリンパ節で確かめた場合は「p」を付けて書き分けます。

Q子宮頸がんのⅡB期は手術できますか?

子宮頸癌治療ガイドライン2022年版は、ⅡB期には同時化学放射線療法を推奨し、手術をする場合は資格を持つ十分に経験を積んだ婦人科腫瘍医が行うことを提案しています。日本ではかつてⅡB期にも手術が多く選ばれてきましたが、手術のあとに追加の治療が必要になる人が多いとされています。

Q子宮頸がんで子宮を残せるのはどのステージまでですか?

ⅠA1期では、脈管侵襲がなく、断端にがんがなく、病変が残っていないことを条件に、子宮を残す治療が提案されています。ⅠA2〜ⅠB1期(2cm以下)では、子宮の体部を残す広汎子宮頸部摘出術が選択肢の1つです。

Q子宮頸がんの治療後は何年通院しますか?

子宮頸癌治療ガイドライン2022年版は、治療終了から2年までは3〜6か月ごと、その後5年までは再発のリスクに応じて6〜12か月ごとの定期的な診察を推奨しています。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「子宮頸がん 全ページ」(治療 2023年2月28日更新、検査 2023年7月13日更新、療養 2025年3月28日更新)
    https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/print.html
  2. 国立がん研究センター がん統計「子宮頸部」(2026年7月22日更新・確認)
    https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス「院内がん登録生存率 最新集計値」(2014-2015年5年生存率 2023年3月公表、2012年10年生存率 2025年3月公表)
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_reg_surv/latest.html
  4. 国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 子宮頸がん 2014-2015年5年生存率
    https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c13
  5. 国立がん研究センター「院内がん登録 2014-2015年5年生存率集計 報告書」付表2
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_reg_surv/pdf/hosp_c_reg_surv_2_2014-2015.pdf
  6. 国立がん研究センター「院内がん登録 2018年全国集計 報告書」
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/pdf/2018_report.pdf
  7. 日本婦人科腫瘍学会編 子宮頸癌治療ガイドライン2022年版 総説・基本事項(PDF)
    https://jsgo.or.jp/guideline/img/keiganguide2022_kihon.pdf
  8. Minds ガイドラインライブラリ「子宮頸癌治療ガイドライン 2022年版」(2022年7月15日発行、金原出版)
    https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00732/
  9. Seino M, Nagase S, Tokunaga H, et al. Japan Society of Gynecologic Oncology 2022 guidelines for uterine cervical neoplasm treatment. J Gynecol Oncol. 2024;35(1):e15. doi:10.3802/jgo.2024.35.e15
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38037547/
  10. 日本婦人科腫瘍学会編 子宮頸癌治療ガイドライン2017年版 第3章(PDF)
    https://www.jsgo.or.jp/guideline/kiegan2017/keigan2017_03.pdf
  11. Bhatla N, Berek JS, Cuello Fredes M, et al. Revised FIGO staging for carcinoma of the cervix uteri. Int J Gynaecol Obstet. 2019;145(1):129-135. doi:10.1002/ijgo.12749
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30656645/
  12. Ramirez PT, Frumovitz M, Pareja R, et al. Minimally invasive versus abdominal radical hysterectomy for cervical cancer. N Engl J Med. 2018;379(20):1895-1904
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30380365/
  13. McCormack M, et al. Induction chemotherapy followed by standard chemoradiotherapy versus standard chemoradiotherapy alone in patients with locally advanced cervical cancer (GCIG INTERLACE): an international, multicentre, randomised phase 3 trial. Lancet. 2024
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39419054/
  14. Lorusso D, Xiang Y, Hasegawa K, et al. Pembrolizumab or placebo with chemoradiotherapy followed by pembrolizumab or placebo for newly diagnosed, high-risk, locally advanced cervical cancer (ENGOT-cx11/GOG-3047/KEYNOTE-A18): overall survival results. Lancet. 2024;404(10460):1321-1332
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39288779/
  15. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)キイトルーダ点滴静注 審査報告書(2024年10月15日、局所進行子宮頸癌)
    https://www.pmda.go.jp/drugs/2024/P20241112001/170050000_22800AMX00696_A100_1.pdf
  16. MSD キイトルーダ 添付文書改訂のお知らせ(2024年11月)
    https://msdconnect.jp/revision_202411_keytruda
  17. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)キイトルーダ点滴静注 審査報告書(2022年8月10日、進行又は再発の子宮頸癌)
    https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20220915001/170050000_22800AMX00696_A100_1.pdf
  18. アバスチン点滴静注用 電子添文(2026年6月改訂 第7版)
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/450045_4291413A1022_1_27
  19. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)アバスチン点滴静注用 再審査報告書(2024年6月17日)
    https://www.pmda.go.jp/drugs_reexam/2024/P20240902003/450045000_21900AMX00910_A100_1.pdf
  20. Tewari KS, Monk BJ, Vergote I, et al. Survival with cemiplimab in recurrent cervical cancer. N Engl J Med. 2022;386(6):544-555
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35139273/
  21. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報 リブタヨ点滴静注350mg
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4291466A1024
  22. Vergote I, et al. Tisotumab vedotin as second- or third-line therapy for recurrent cervical cancer. N Engl J Med. 2024. doi:10.1056/NEJMoa2313811
    https://doi.org/10.1056/NEJMoa2313811
  23. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報 テブダック点滴静注用40mg
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4291479D1028
  24. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)テブダック点滴静注用40mg 審査報告書(2025年2月14日)
    https://www.pmda.go.jp/drugs/2025/P20250422001/343257000_30700AMX00085_A100_1.pdf

PAGE TOP