2023年3月に公開された院内がん登録生存率の最新集計値です。がん診療連携拠点病院等/小児がん拠点/都道府県推薦病院で、集計対象施設が316,集計対象者が34万1335人、生存状況把握割合が96.9%です。
ここでは10年生存率のネット・サバイバルを示します。オリジナルは以下のサイトをご覧ください。
ここには5年生存率も掲載されています。
2010年登録に登録されたものの10年後までの生存率の集計になっています。
(表組みが見えにくい場合は画面を横にするか、スクロールしてご確認ください)
がんの部位 | I期 | II期 | III期 | IV期 |
食道がん | 61.2 | 34.1 | 15.8 | 7.3 |
胃がん | 77.7 | 51.6 | 31.5 | 6 |
結腸がん | 80.1 | 69.7 | 61.3 | 10.7 |
直腸がん | 81 | 68 | 59.4 | 12 |
肝細胞がん | 30.5 | 18.1 | 8 | 1.2 |
肝内胆管がん | 44.1 | 25.3 | 5 | 0.5 |
胆のうがん | 66.4 | 15.4 | 3 | 0.6 |
膵臓がん | 28.6 | 10.3 | 2.8 | 0.8 |
小細胞肺がん | 22.8 | 10.8 | 8.3 | 0.9 |
非小細胞肺がん | 62.5 | 28.7 | 12.7 | 2.2 |
喉頭がん | 73.2 | 63.5 | 50.9 | 30.4 |
女性乳がん | 94.1 | 85.8 | 63.7 | 16 |
子宮頸がん | 91.9 | 62.5 | 53.1 | 18.6 |
子宮体がん | 92 | 84.4 | 63.8 | 16.7 |
卵巣がん | 83.8 | 58.2 | 29.4 | 18.5 |
前立腺がん | 90.6 | 94.4 | 87.2 | 36.9 |
腎がん | 82.4 | 70.8 | 54.9 | 7.3 |
腎盂尿管がん | 56.6 | 52.6 | 42.1 | 5.6 |
膀胱がん | 64.8 | 43.4 | 28.9 | 13.3 |
甲状腺乳頭濾胞がん | 96.4 | 97.1 | 96 | 74.6 |
がんの種類によりステージ分類は異なりますが、通常は腫瘍の大きさとリンパ節転移、そして遠隔転移で分類しています。ステージはI期からIV期までで、腫瘍が大きくなるほど、そしてリンパ節転移が増えるほどステージが上がります。遠隔転移があればステージIV期になります。
ネット・サバイバルとはがんのみが死因となる場合の生存率を推定したものです。実測生存率はすべての死亡を計算に含めた生存率で、こちらを知りたい方は上記のオリジナルサイトをご覧ください。
数字は生存率ですから、数字が大きいほど、100%に近いほど、そのがんが原因で死亡することが少ないことを意味しています。ステージが上がるほど、生存率は低くなりますが、例外があり、前立腺がんのI期(90.6%)とII期(94.4%)、そして甲状腺乳頭濾胞がんのI期(96.4%)とII期(97.1%)です。
そして10年生存率でみると、I期でも100%のものはなく、またIV期でも0%のものもありません。つまり運が悪いとI期でもがんが原因で死亡することがあり、運が良ければIV期でも10年後に生存可能です。
同じステージのがんでもバラツキがあるのです。プレシジョンメディシンと呼ばれる個別化医療が将来進歩すれば、他の要素を勘案して、それぞれの個人にもっと当てはまる現状での生存率の数字が提示できるようになるでしょう。それまでは、運がいい群に入ることを願って、標準治療を行い、合併症が起こらないことを願い、そして日常生活で改善できるものは行うことです。日常生活には標準治療に当たる明らかなエビデンスを獲得したものは多くはありません。経験的に良さそうに思われることを積み重ねましょう。僕は明らかな抗がんエビデンスがないことを、些細なことと呼んでいますが、そんな些細なことの積み重ねで、同じステージのがんでも、生き抜ける人と、運悪くがんが原因で亡くなる人に分かれると思っています。