免疫チェックポイント阻害薬とは?効かない不安と、使える病院の条件

免疫のブレーキを外す免疫チェックポイント阻害薬のイメージ

免疫チェックポイント阻害薬は、がんが免疫にかけているブレーキを外し、自分の免疫でがんを攻撃させる薬です。国立がん研究センターのがん情報サービスが「効果が証明された免疫療法」とする中心の薬で、保険診療で使えます。ただし、効く人は一部です。

この記事では、免疫チェックポイント阻害薬の仕組み(PD-1・PD-L1・CTLA-4)、薬の種類、使い方、効き方の特徴、副作用の概要、費用を、国立がん研究センターや厚生労働省、学会の資料から整理します。あわせて、この薬を保険で使える病院と医師に条件が決められている理由と、自由診療で使われることについての学会の見解もまとめました。

この記事の内容

免疫チェックポイント阻害薬とは何ですか?

免疫ががんを攻撃する力を保つために、がんがかけるブレーキを外す薬です。効果が証明された免疫療法の中心にある薬で、保険診療で使えます。

体の中では、T細胞(Tリンパ球)という免疫細胞が、がん細胞を攻撃する役目を持っています。ところが、がん細胞はT細胞にブレーキをかけ、攻撃を止めることがあります。このブレーキの仕組みを「免疫チェックポイント」と呼びます。免疫チェックポイント阻害薬は、そのブレーキがかからないようにする薬です(がん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」2025年)。

国立がん研究センターのがん情報サービスは、免疫療法を「効果が証明された免疫療法」と「効果が証明されていない免疫療法」に分け、証明されたものは一部に限られるとしています。その主なものが免疫チェックポイント阻害薬です(がん情報サービス「免疫療法」2025年)。

従来の抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)や分子標的薬が、がん細胞そのものに働くのに対し、免疫チェックポイント阻害薬が働きかけるのは免疫です。分子標的薬との違いは、分子標的薬とは何かを説明した記事で扱っています。

免疫チェックポイント阻害薬は、どんな仕組みで効くのですか?

T細胞にかかるブレーキには、T細胞が動き出す段階のもの(CTLA-4)と、がんを攻撃する段階のもの(PD-1とPD-L1)があり、薬はそれぞれをふさぎます。

免疫チェックポイント阻害薬が働く2つの場所の模式図。リンパ節でT細胞が動き出す段階ではCTLA-4が、がんのある場所でT細胞ががん細胞を攻撃する段階ではPD-1とPD-L1の結びつきがブレーキになり、薬がそのブレーキを外す

日本臨床腫瘍学会のがん免疫療法ガイドラインは、3つの分子を次のように説明しています(日本臨床腫瘍学会「がん免疫療法ガイドライン第3版(案)」2022年)。

分子 どこにあるか 働く段階
CTLA-4 T細胞 T細胞が活性化する初期の段階。主にリンパ組織で、がんの目印を見せる細胞とのやりとりを制御する
PD-1 T細胞 T細胞が活性化したあとの段階(がんを攻撃する段階)
PD-L1 がん細胞など PD-1に結合して、T細胞の活性化を抑える

出典:日本臨床腫瘍学会「がん免疫療法ガイドライン第3版(案)」(2022年)。

がん情報サービスはこれを「アンテナ」にたとえています。T細胞には、がん細胞から出る「攻撃するな」という合図を受け取るアンテナがあります。がん細胞がそこに結びつくと、T細胞にブレーキがかかります。薬はT細胞の側か、がん細胞の側のアンテナに付いて、この結びつきを防ぎます(がん情報サービス 2025年)。

この仕組みからわかることがあります。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞を直接壊す薬ではありません。働くのは、患者さん自身の免疫細胞を通してです。

免疫チェックポイント阻害薬には、どんな種類がありますか?

どのアンテナをふさぐかで、PD-1阻害薬、PD-L1阻害薬、CTLA-4阻害薬の3つの型に分かれます。

がん情報サービスが2025年10月時点で保険診療で使えるとしている薬は、次のとおりです。

型 ふさぐもの 一般名(商品名)
PD-1阻害薬 T細胞のPD-1 ニボルマブ(オプジーボ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、セミプリマブ(リブタヨ)、チスレリズマブ(テビムブラ)
PD-L1阻害薬 がん細胞などのPD-L1 デュルバルマブ(イミフィンジ)、アテゾリズマブ(テセントリク)、アベルマブ(バベンチオ)
CTLA-4阻害薬 T細胞のCTLA-4 イピリムマブ(ヤーボイ)、トレメリムマブ(イジュド)

出典:がん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」(2025年11月6日更新、2025年10月時点の表)。

型が違えば、使えるがんも、組み合わせる薬も違います。同じ「PD-1阻害薬」でも、薬ごとに承認されたがんの種類は同じではありません。

どのがんで使えますか?

薬ごとに、使えるがんの種類と条件が決まっています。検査の結果が条件になることもあります。

がん情報サービスは、対象のがんとして、メラノーマ、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫、子宮頸がん、食道がん、肝細胞がんなどを挙げています(2025年)。薬ごとの対象と、ここまでの承認の歩みは、がん免疫療法の歴史をまとめた記事で一覧にしています。

がんの種類だけで決まらない場合もあります。

  • PD-L1検査:がん細胞にPD-L1というタンパク質がどの程度あるかを調べる病理検査です。非小細胞肺がんでは、この結果によって免疫チェックポイント阻害薬を使うかどうかや、使い方が決まります(がん情報サービス「非小細胞肺がん 治療」2026年)
  • 遺伝子の特徴:ペムブロリズマブには、がんの種類ではなく、MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)という特徴をもつ固形がんに使う承認もあります。抗がん剤の治療後に悪くなり、標準的な治療が難しい場合に限られます(キイトルーダ点滴静注 電子添文「効能又は効果」)

自分のがんで使えるかどうか、そのためにどの検査が要るかは、担当医に確認します。

免疫チェックポイント阻害薬は、どのように使うのですか?

点滴で使います。単独で使う場合と、別の免疫チェックポイント阻害薬や抗がん剤と組み合わせる場合があり、手術の前後に使うこともあります。

がん情報サービスは、単独で使う場合と、別の免疫チェックポイント阻害薬や細胞障害性抗がん薬と併用する場合があると説明しています(2025年)。日本臨床腫瘍学会のガイドラインも、単剤での効果は限定的なため、さまざまな組み合わせが検討されていると書いています(2022年)。

使う時期も1つではありません。非小細胞肺がんを例にとると、がん情報サービスは次のような使い方を挙げています(2026年)。

時期 使い方
手術の前(術前) Ⅱ期または一部のⅢ期で、細胞障害性抗がん薬と組み合わせる方法がある
手術の後(術後) PD-L1検査の結果によって使うことがある
化学放射線療法の後 病状がコントロールできている場合に、続けて使うことがある
進行・再発(Ⅳ期) がん遺伝子に変化がなくPD-L1が陽性の場合に、単独で、または細胞障害性抗がん薬と併用して使う

出典:がん情報サービス「非小細胞肺がん 治療」(2026年8月26日更新)。

点滴の間隔は薬と量で決まります。たとえばニボルマブの患者向けの説明書では、量に応じて2週間、3週間、4週間の間隔が示され、点滴は30分以上かけて行います(オプジーボ 患者向医薬品ガイド)。

免疫チェックポイント阻害薬は、誰にでも効くのですか?

効く人は一部です。一方で、効いた人では効果が長く続くことがあり、効き始める前に一時的に大きく見えることもあります。

効く人は限られる

PD-1阻害薬ペムブロリズマブの初期の臨床試験(KEYNOTE-001、進行した非小細胞肺がん550人)では、5年後に生きていた人の割合(5年全生存率)は、それまで治療を受けていなかった人で23.2%、すでに治療を受けていた人で15.5%でした(Garon EB, et al. J Clin Oncol. 2019)。進行した肺がんで5年後に生きている人がいるという数字であると同時に、多くの人には長い効果が出なかったという数字でもあります。

効いた人では、長く続くことがある

免疫チェックポイント阻害薬の生存曲線では、後半が横ばいに近づく形が報告されており、これはテイルプラトーと呼ばれます。その割合と、「治った」とは言えない理由は、テイルプラトーとは何かを説明した記事で扱っています。

一時的に大きく見えることがある

治療のはじめに腫瘍が大きく見えたあとで、縮んでいくことがあります。これを偽増悪(ぎぞうあく)と呼びます。フランスの1施設で、PD-1阻害薬またはPD-L1阻害薬を単独で使う初期の試験に参加した169人を調べた報告では、最初の画像評価で進行に見えた77人のうち6人(8%)が、その後の評価で縮小または安定でした(Martin-Romano P, et al. Cancer Med. 2020)。

「大きくなった」の多くは、本当の進行です

この報告で、進行に見えた人のうち偽増悪だったのは77人中6人でした。残りの多くは、そのまま進行しています。1施設・169人の報告で、がんの種類も薬も混ざっています。「大きくなったけれど偽増悪かもしれない」と期待してよい根拠にはなりません。どちらなのかは、次の画像で確かめることになります。

画像でどう判定し、偽増悪をどう見分けるかは、この記事の最後の「次に読む」で紹介する記事で説明しています。

免疫チェックポイント阻害薬の副作用には、どんなものがありますか?

免疫が強く働きすぎて、がんのない臓器も攻撃してしまう副作用が、全身のどこにでも起こりえます。治療が終わったあとに起こることもあります。

がん情報サービスによると、従来の抗がん剤で起こりやすい吐き気や脱毛は比較的少ないとされています。その代わり、全身にさまざまな副作用が起こる可能性があり、個人差が大きく、いつ・どんな副作用が出るかを予測しにくいとされています(2025年)。

重い副作用として、日本臨床腫瘍学会は次のものを挙げ、死亡例の報告もあるとしています(日本臨床腫瘍学会「免疫チェックポイント阻害薬の治療を受ける患者さんへ」2016年)。

  • 間質性肺炎
  • 甲状腺の働きの異常
  • 劇症1型糖尿病
  • 自己免疫性の腸炎
  • 重症筋無力症

副作用が出たときは、ステロイド剤や免疫を抑える薬で治療することがあります(がん情報サービス 2025年)。

受診の目安

がん情報サービスは、いつもと違う症状があれば、すぐに医師、薬剤師、看護師に相談するよう勧めています(2025年)。症状として挙げられているのは、たとえば次のようなものです。

  • 全身:高熱、だるさ、黄疸、むくみ
  • 頭と首:視力の低下、頭痛、甲状腺の腫れ
  • 胸:息切れ、呼吸困難、動悸、咳
  • おなか:下痢、血便、腹痛
  • 手足:まひ、筋力の低下

かぜや疲れと区別しにくいものが多く、治療が終わって数週間から数か月たってから出ることもあります。別の医療機関や救急にかかるときは、この薬を使った(使っている)ことを伝えます。

なぜ、保険で使える病院と医師には条件があるのですか?

厚生労働省が「最適使用推進ガイドライン」で、この薬を使う施設・医師・副作用への対応体制の要件を定め、それを保険で使うときの条件にしているからです。

最適使用推進ガイドラインとは

これまでにない仕組みで効く新しい薬は、効き方も副作用の出方も既存の薬と大きく違うことがあります。そこで、その薬を本当に必要とする患者さんの選び方と、薬を使う医師・医療機関の要件を示すために作られたのが、最適使用推進ガイドラインです。関係学会と医薬品医療機器総合機構(PMDA)が科学的根拠にもとづいて作り、2016年度にオプジーボ(ニボルマブ)とその類薬を最初の対象として試行することが検討されました(厚生労働省 中医協資料「『最適使用推進ガイドライン』の概要(案)」2016年)。

ガイドラインが作られた薬については、その内容をふまえた「保険適用上の留意事項」が通知されます(厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報 No.342」2017年)。現在は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブなどについて、がんの種類ごとに作られています(PMDA「最適使用推進ガイドライン」)。

何が決められているか

ニボルマブの非小細胞肺がん用のガイドラインを例にとると、要件は次の3つの柱になっています(厚生労働省「最適使用推進ガイドライン ニボルマブ(非小細胞肺癌)」2023年改訂案)。

項目 主な内容
施設 がん診療連携拠点病院等、特定機能病院、都道府県が指定するがん診療連携病院、外来腫瘍化学療法診療料などの届出をしている施設、抗悪性腫瘍剤処方管理加算の届出をしている施設のいずれか
医師 肺がんの薬物療法と副作用への対応に十分な知識と経験を持つ医師を、治療の責任者として置く。例:初期研修のあと5年以上のがん治療の研修を行い、そのうち2年以上はがん薬物療法を主とした研修
副作用への対応 間質性肺疾患などの重い副作用に、24時間の診療体制のもと、その施設か連携施設で入院管理ができる。CTなど副作用の見分けに必要な検査の結果が当日中に得られ、すぐ対応できる

出典:厚生労働省「最適使用推進ガイドライン ニボルマブ(遺伝子組換え)非小細胞肺癌」(2023年改訂案)。

副作用への対応の項目には、ほかに、専門の医療者が副作用を含めた苦痛を確認して主治医と共有するチーム体制、副作用ごとに専門性のある医師と連携して指導や支援を受けられることも含まれています。

保険で請求するときには、どの施設要件・医師要件に当てはまるかを、診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄に書くことが求められます(中医協資料「保険適用上の留意事項の改正内容」オプジーボ点滴静注 2024年)。

体制そのものが、使う条件になっている

ここから読み取れるのは、免疫チェックポイント阻害薬では「薬が効くかどうか」と並んで、「副作用が出たときに受け止められるか」が、保険で使うための条件に組み込まれているということです。薬の添付文書も、緊急時に十分対応できる医療機関で、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師のもとで使うよう定めています(日本臨床腫瘍学会 2016年)。

がん情報サービスも、効果が証明された免疫療法にも副作用があるため、副作用に十分対応できる体制の医療機関で受けることが大切だとしています(2025年)。

条件を満たす病院なら、副作用が起きないわけではありません

要件が求めているのは、副作用が起きたときにすぐ見つけて対応できる体制です。副作用を防ぐことを約束するものではありません。また、ここで挙げた要件はニボルマブの非小細胞肺がん用の例で、薬とがんの種類によって細部は違います。

24時間

ニボルマブの最適使用推進ガイドライン(非小細胞肺がん)が、重い副作用に入院で対応するための診療体制として求めている時間。CTなど副作用を見分ける検査の結果は「当日中」に得られることも求められています。

出典:厚生労働省「最適使用推進ガイドライン ニボルマブ(遺伝子組換え)非小細胞肺癌」(2023年改訂案)

免疫チェックポイント阻害薬の費用は、どうなりますか?

承認された範囲で使う場合は保険診療になり、高額療養費制度の対象です。自由診療で使う場合は、全額が自己負担になります。

保険診療では、窓口で払うのは年齢と所得に応じた1〜3割です。同じ月の自己負担が上限額を超えると、超えた分が高額療養費として支給されます(厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」2026年)。

免疫チェックポイント阻害薬のように点滴を何か月も続ける治療で、知っておくとよい仕組みがあります。

  • 多数回該当:直近12か月に高額療養費に該当した月が3か月以上あると、4か月目から上限額がさらに下がります
  • 年間上限:2026年8月から、8月から翌年7月までの1年単位の上限が新しく設けられました
  • 窓口での支払い:限度額適用認定証かマイナ保険証を示せば、外来でも月の上限額を超える分を窓口で払わずに済みます

出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年7月31日更新)。

高額療養費の対象は、保険診療の自己負担分です。先進医療にかかる費用や差額ベッド代などは含まれません(厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」)。保険の外で受けた治療の費用は、この上限の外にあります。

自由診療で免疫チェックポイント阻害薬が使われることはありますか?

あります。がん情報サービスは、そうした使い方の効果は明らかではなく、医療として確立されていないとしています。

がん情報サービスによると、有効性が証明されている免疫チェックポイント阻害薬でも、一部の民間クリニックや病院で、保険の対象になっていないがんに使ったり、承認された用法・用量と違う方法で使ったりすることがあります。同サービスは、こうした場合の治療効果は明らかではなく、医療として確立されたものではないと説明しています(2025年)。

日本臨床腫瘍学会は、次のように注意を呼びかけています。

  • 承認されていないがんへの投与は、原則として治験や臨床研究として行い、倫理審査委員会などの第三者の評価を受けるべきとしている(日本臨床腫瘍学会 2016年)
  • 要件を満たさない施設や医師が、国内の販売会社を通さずに海外から個人輸入し、添付文書と違う用法・用量や承認外のがんに使う例を問題として挙げている(同 2016年)
  • 個人輸入した免疫チェックポイント阻害薬と免疫細胞療法を組み合わせて行うクリニックがあり、副作用に対処できずに亡くなった例が報告されているとしている(日本臨床腫瘍学会「がん免疫療法に関する注意喚起について」2019年)

同じ学会は、「保険が適用されている」とは、患者さんを対象にした臨床試験で効果が確認され、薬として使うことが認められているという意味だと説明しています(2019年)。前の節で見た施設・医師・副作用対応の要件も、この保険診療の側に付いているものです。

承認されていないがんで新しい使い方を試す正規の道は、臨床試験や治験です。参加の条件や費用は、がんの治験に参加する方法をまとめた記事で扱っています。保険診療の薬と自由診療の薬の制度上の違いは、保険適用の医薬品と自由診療の医薬品の違いを説明した記事にまとめています。

自由診療を考えるときは、がん情報サービスが勧めているように、その治療の効果が証明されているか、副作用が出たときの対応と連携先はどこか、副作用の治療費を含めて総額がいくらになるかを確かめ、必ず担当医に伝えます。臨床試験や治験に詳しい医師のセカンドオピニオンや、がん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターも利用できます(2025年)。

同じ名前の薬でも、どこで、どの体制のもとで使うかによって、確かめられている範囲が変わります。薬の名前を聞いたときは、使う場所と、副作用が出たときに誰が受け止めるのかも、あわせて確かめてください。

免疫細胞が存在しないと、免疫チェックポイント阻害薬は効果を現さない

今までの抗がん剤は、がん細胞と一緒にシャーレで培養すると、がん細胞を傷つけて消滅させます。ところが、免疫チェックポイント阻害薬と一緒に培養しても、がん細胞は死にません。免疫細胞が存在しないと、免疫チェックポイント阻害薬は効果を現さないのです。免疫力をアップさせる薬だからです。

免疫チェックポイント阻害薬は免疫力を明らかにアップさせますが、上がりすぎによる自己免疫疾患類似の副作用が稀に生じます。命に関わることもあります。今後の課題は、副作用なく、最大限の免疫力アップを導く作戦展開の方法です。

新見正則医院院長 新見正則

監修者

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

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よくある質問

Q免疫チェックポイント阻害薬とはどんな薬ですか?

がんがT細胞(免疫細胞)にかけているブレーキを外し、免疫ががんを攻撃する力を保つ薬です。ふさぐ相手によって、PD-1阻害薬、PD-L1阻害薬、CTLA-4阻害薬の3つの型があります。がん細胞を直接壊すのではなく、患者さん自身の免疫を通して働きます。

Qオプジーボとキイトルーダは何が違いますか?

オプジーボ(ニボルマブ)とキイトルーダ(ペムブロリズマブ)は、どちらもPD-1阻害薬です。違いは、承認されているがんの種類と条件、点滴の量と間隔などです。自分のがんでどちらが使えるかは、薬ごとの承認内容によって決まるので、担当医に確認します。

Q免疫チェックポイント阻害薬はどの病院でも受けられますか?

保険で使う場合は、厚生労働省の最適使用推進ガイドラインで、施設、医師、副作用への対応体制の要件が決められています。ニボルマブの非小細胞肺がんの例では、がん診療連携拠点病院などの施設であること、24時間の診療体制で重い副作用に入院対応できることなどが求められます。

Q免疫チェックポイント阻害薬の副作用はいつ出ますか?

がん情報サービスは、いつ・どんな副作用が出るかを予測しにくく、治療が終わって数週間から数か月後に出るものもあるとしています。いつもと違う症状があれば、すぐに医師、薬剤師、看護師に相談します。

Q免疫チェックポイント阻害薬は高額療養費の対象になりますか?

承認された範囲で保険診療として使う場合は対象です。同じ月の自己負担が上限額を超えた分が支給され、2026年8月からは年間の上限も設けられました。自由診療で使う場合は保険が使えず、全額が自己負担になります。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」2025年11月6日更新
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu02.html
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法」2025年11月6日更新
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/index.html
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス「肺がん 非小細胞肺がん 治療」2026年8月26日更新
    https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment_nsclc.html
  4. 日本臨床腫瘍学会「がん免疫療法ガイドライン第3版(案)」パブリックコメント用、2022年12月
    https://www.jsmo.or.jp/news/jsmo/doc/20221212.pdf
  5. 厚生労働省 中医協 総-7-2「『最適使用推進ガイドライン』の概要(案)」2016年7月27日
    https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000131477.pdf
  6. 厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報 No.342 最適使用推進ガイドラインについて」2017年4月
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000162318.pdf
  7. 厚生労働省「最適使用推進ガイドライン ニボルマブ(遺伝子組換え)非小細胞肺癌」2023年改訂案
    https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001161679.pdf
  8. 中央社会保険医療協議会 総-2参考2「保険適用上の留意事項の改正内容(オプジーボ点滴静注)」2024年3月13日
    https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001223984.pdf
  9. 医薬品医療機器総合機構「最適使用推進ガイドライン」(2026年10月確認)
    https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0028.html
  10. MSD株式会社「キイトルーダ点滴静注 電子添文」(効能又は効果。医薬品医療機器総合機構の医療用医薬品情報検索で閲覧できる)
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
  11. オプジーボ点滴静注 患者向医薬品ガイド
    https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/180188_4291427A1024_1_00G.pdf
  12. 日本臨床腫瘍学会「免疫チェックポイント阻害薬の治療を受ける患者さんへ」2016年7月13日
    https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/gyomu/gyomu/yakkan/documents/20160713jsmostatement.pdf
  13. 日本臨床腫瘍学会「がん免疫療法に関する注意喚起について」2019年5月30日
    https://www.jsmo.or.jp/wp/wp-content/uploads/免疫療法を受ける患者さんへ.pdf
  14. Garon EB, Hellmann MD, Rizvi NA, et al. Five-Year Overall Survival for Patients With Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Treated With Pembrolizumab: Results From the Phase I KEYNOTE-001 Study. J Clin Oncol. 2019. doi:10.1200/JCO.19.00934
  15. Martin-Romano P, et al. Evidence of pseudoprogression in patients treated with PD1/PDL1 antibodies across tumor types. Cancer Med. 2020;9(8):2643-2652. doi:10.1002/cam4.2797
  16. 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」2026年7月31日更新
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html
  17. 厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(平成27年1月診療分から)
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000075107.pdf

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