がんのステージ4/遠隔転移/手術不可に漢方薬や生薬は?

がんのステージ4なんですね。治療は進歩しました。

腫瘍には良性と悪性があります。良性腫瘍と悪性腫瘍(がんと呼ばれます)の違いは、悪性腫瘍は浸潤、転移することです。そしてがんのボリュームが多くなると悪液質になります。浸潤とは濡れたスポンジにインクを垂らすとジワーーーっと広がるイメージです。転移はがんの原発巣から離れた部位に新しいがんができることです。飛び火するイメージです。悪液質とは進行がんで生じる病態で体重減少、筋肉量の減少、食欲不振などを生じる状態で、その原因は未だに不明ですが、いわゆる栄養失調の状態です。

私が医師になった当時、約40年前は、固形がんも血液がんも不治の病でした。当時の抗がん剤はほぼ無効で、手術治療や骨髄移植のみが一縷の望みを繋ぐ手段でした。そしてイチかバチかの手術や骨髄移植を行って、まずその治療から生き延びたひとの何人かが、再発することなくがんを克服できました。

しかし、手術治療や骨髄移植を生き延びても、再発するともはや打つ手はありませんでした。手術や骨髄移植を乗り越えるのも、そして再発しないことを願うのも、「運」に任せる以外方法がない時代でした。

手術治療や骨髄移植(造血幹細胞移植)の成績はこの数十年で劇的に改善しました。

がんではステージ分類が行われています。がんの種類により、1から4までの4段階か、ゼロから4までの5段階に分類されます。基本的に遠隔転移があればステージ4です。また、がんの浸潤があり手術ができない時はステージ3とすることが多いです。ステージ分類の数字は、ガイドラインなどではローマ数字 (I、II、III、IV)が使用されていますが、私のブログでは普通のアラビア数字を使用しています。

さて、ステージ3や4となると「手術不可」となります。昔は、ステージ3や4でもイチかバチかの手術が行われていました。しかし、大きな手術を行って免疫力を落とすと、手術後にがんが活性化し、急速に進行することを多数経験しました。そして手術死亡する患者さんが相当数に上りました。そこで、イチかバチかの手術よりも、抗がん剤治療や放射線治療を行った方が延命できるという結論になったのです。従来型の殺細胞性抗がん剤の使用方法が進歩したのと、また殺細胞性抗がん剤の組合せも工夫されました。そして21世紀になり分子標的薬が導入され、その後免疫チェックポイント阻害剤も臨床で使用され始めました。

免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボを開発した本庶佑先生は2018年のノーベル賞に輝きました。本庶佑先生が「免疫力を上げる」という文言をノーベル賞の記念講演などで何度も使用したお陰で、「免疫力を上げる」という文言をNHKも使用するようになりました。それ以前は、「免疫力を上げる」という文言はちょっと怪しさを感じるものだったのです。「免疫力を上げる」ことが健康力には大切だという当たり前の思考が、私を含めて多くの西洋医にはあり得ないことと思われていたのです。

そんな「免疫力を上げる」という当たり前の治療が目の前で繰り広げられる素晴らしい時代が到来したのです。その免疫チェックポイント阻害剤の最初の臨床試験はステージ4のがんで施行されました。本庶佑先生ご自身が、臨床試験が始まる当時、腫瘍内科のほぼすべての医師が免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験には積極的には参加しなかったと語っています。そして西洋医学的治療では打つ手がなくなったステージ4のがん患者さんを致し方なく臨床試験に登録したのです。そんな西洋医学的治療では手詰まりな病態に対して、なんと免疫チェックポイント阻害剤は効果を発揮しました。そしていろいろなステージ4のがんに保険適用となり、その後、がん初発時の一次治療にも免疫チェックポイント阻害剤が保険適用になるという順番で、臨床での使用範囲が広がっています。本当に素晴らしい時代です。

また、最近はがんの遺伝子解析を行って、異常がある遺伝子に則した分子標的薬を利用することが行われています。つまり「○○がんならこの治療」という作戦ではなく、「○○の遺伝子異常ならこの治療」という作戦になります。こうなるとステージ4や遠隔転移で従来の臓器別の治療法では選択肢がないという状態でも使用可能な薬剤の幅がとっても広がるのです。

放射線治療も線量を適切に病巣部位にのみ照射できる強度変調放射線治療(IMRT)が導入され、転移巣にも使用されています。陽子線や重粒子線という今までとは異なる線源による治療施設が開発され、保険適用の病名も増えています。切除不可や転移、再発などもがん腫によりますが、保険適用されています。

いろいろな治療方法が開発され、ステージ3/ステージ4/遠隔転移/手術不可は不治の病から、長生きできる可能性があるがんになりました。

ステージ4/遠隔転移は今でも難治

ステージ4や遠隔転移は今でも難治です。治療方法が進歩し、いろいろな治療方法が導入された今日でもがんを体から消滅させることが難しいのです。ステージ4や遠隔転移ではがんを消滅させるよりも共存を目指しましょう。消滅させることを念頭に治療を望むと命を失うことも少なからず起こります。共存すればいいのです。共存して延命すれば、新しい治療が次々に開発され、臨床応用され、保険適用される時代になりました。その開発から保険適用までの時間がどんどんと短くなっています。ともかく長生きして下さい。がんと共存で十分です。がんがぼつぼつ大きくなっても、数が増えても延命を目標に治療してください。

未知なことはまだまだ山積されています。ですから、いろいろと良さそうなことをトライすることが大切です。50歳を越えれば毎日数千個以上のがん細胞の芽が産生され、それを免疫力が退治しています。いろいろな治療を組み合わせながら、しっかりと免疫力をアップしましょう。免疫力が落ちて、がんの芽を摘めなくなり、画像診断でわかる大きさになったものが遠隔転移です。免疫力をアップさせましょう。

ステージ4や遠隔転移と共存して長く生き抜くには、ともかく免疫力をアップすることを可能な限り並行して行うことが大切です。

オリゴ転移

オリゴとは複数という意味合いです。転移は1つあっても無数にあってもステージ4で不治の病でした。ところが少数の転移は不治の病ではなく、対処した方が延命できるのではないかというストーリーです。

確かに大腸がんでは肝臓や肺などに転移をしても手術で取り除いて、そして5年以上、10年以上存命な患者さんは多数存在します。大腸がんと同じように遠隔転移でも手術を行おうという作戦です。まず大切なことは免疫力が落ちない範囲で転移病変の治療に臨むことです。比較的簡単な手術ならば問題ありません。体に負担がある場合には、ラジオ波焼灼療法や重粒子線治療や陽子線治療が選択されることもあります。からだに優しい治療がどんどんと開発されています。そんな体に優しい(=免疫力を落とさない)治療が可能なら積極的に行いましょう。

オリゴ転移は、諦めずにステージ4でも治療しましょうという意味合いでは、とても大切な概念だと思っています。しかし、私は免疫力が上がれば、転移巣がオリゴ転移の数を超えても対応可能だと思っています。免疫力は常に遺伝子異常から生じるがんの芽を摘んでいるのです。目に見えない体に蒔かれているがんの芽を摘むことができるのが免疫力です。そのがんの芽が画像診断で映るようになっただけです。オリゴ転移を越えても諦めずに、しっかりと免疫力を上げて共存作戦で延命してください。

いろいろな治療を組み合わせましょう

ステージ4でも手術が可能ならからだから腫瘍のボリュームを減らすために手術を行うことも増えています。骨肉腫などは救肢のために少々がんが残こる手術を選択することもあります。

手術のみの時代は昔の話です。重粒子線や陽子線などを含めた放射線治療もこの20年で相当進歩しました。また、抗がん剤も21世紀になって飛躍的に進歩しています。免疫力を温存して抗がん剤や放射線治療を併用した方が長生きできるようになったのです。免疫力の低下はがんの進行を早めます。悪液質を招きます。進歩した薬剤治療に期待しましょう。

そして、免疫力を上げる努力を積み重ねましょう。明らかな抗がんエビデンスがないことでも良さそうで、経済毒性(過度な費用負担)がないことは積み上げましょう。①散歩(適度な運動)、②日光浴、③バランスのよい食事(タンパク質を多く)、④適度な睡眠、⑤安心と希望(ストレスを減らす)などなどです。明らかな抗がんエビデンスとは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験です。ランダム化とはクジ引きのことで、1000例規模の大規模臨床試験を勝ち抜くと明らかな抗がんエビデンスがあるとされ、通常は保険収載されます。明らかな抗がんエビデンスがなくても経済毒性を含めた副作用がないものは加えましょう。

そして多成分系の薬剤である漢方薬や生薬が嫌いでなければ、生薬フアイアを是非とも治療に加えてください。

なんと生薬フアイアは明らかな抗がんエビデンスがあります。

生薬フアイアはなんと、1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いています。約1000例の肝臓がん手術後の患者さんをクジ引きでフアイアの内服群と内服しない群に分けて、生存率で内服群は非内服群を96週後に約14%も上まわりました。この結果は超一流英文誌「GUT」に掲載されました。

肝臓がんの結果ですが、がんのステージ4/遠隔転移も有効だと推論が可能です。フアイアは免疫力を上げる生薬にて、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤が有効であるがんには著効を期待できるのです。そして、がんのステージ4/遠隔転移の患者さんは新見正則医院にはとっても多く、主治医の予後予想よりも遙かに長生きしている患者さんが多数います。

どんな治療にも併用可能です。

フアイアは生薬ですから漢方薬と同じく多成分系の薬剤です。残念ながら、フアイア以外の生薬や漢方薬には明らかな抗がんエビデンスを有するものはありません。そして単一成分由来の西洋薬とは異なり、フアイアにはいろいろと不思議なことが起こります。フアイアはオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤と同じように免疫力をアップさせますが、オプジーボなどとは異なり免疫が上がりすぎて起こる副作用を生じません。その理由は多成分系の解析技術が未だに発展途上である現在、まだまだ解明されていません。ただただ、生薬フアイアを他の治療に加えると、または単独で使用しても、有効性を体感できることが多いという事実が多数存在します。そんな多成分系で、かつ明らかな抗がんエビデンスがあるフアイアを是非とも治療の選択肢に加えてください。

新見正則医院にご連絡ください。

フアイアは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜きましたが、保険収載されていません。少々経済毒性があります。しかし経済毒性以外の副作用はなく(まれに起こる下痢のみ)、またどの治療とも併用可能なため、機会損失(他の治療が行えない)もありません。

フアイアのお試し希望の方は以下を参考にして下さい。1ヶ月分30包が3万3000円(税込、送料無料)です。電話対応の場合は、初診料は不要です。

内部リンク(当サイト内でご参考になる記事)


がんの例え話「雑草と土壌」
がんの例え話「雑草と土壌」2
がんの例え話「雑草と土壌」3
がんの例え話「雑草と土壌」4
生薬フアイア概説
まずフアイアを試したいときには

執筆者略歴 新見正則

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主宰者。

新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
新見正則オフィシャルサイトはこちら

PAGE TOP