がんの例え話「雑草と土壌」

先日患者さんと1時間お話しをしていて辿り着いた喩えが「雑草と土壌」です。患者さんは乳がん手術後の方で、部分切除をして今後の治療をいろいろ悩んでいたので、僕とのご縁ができました。

主治医の先生は、部分切除内の再発防止のために、残存乳腺への放射線治療と抗がん剤の投与を強く勧めています。主治医の先生は「標準治療だからやるべきです!」とのご意見だそうです。

そこで患者さんは疑問に思いました。「残存乳腺にもがんが発生するのなら、反対側の現状問題ない方の乳腺にも今後発生する危険はないのだろうか?」と。

患者さんには家族歴もなく、BRCAの遺伝子も陰性なので、健側に乳がんが高率に発生することはなさそうです。また、患者さんは「日本人の2人に1人ががんと診断されて、3人に1人ががんでなくなる時代なのに、今後乳がんを克服しても、他のがんが起こる可能性が、一度がんを経験すれば他の方よりも高いですよね」と僕に語りかけます。

当院の外来は自費診療なので、30分から1時間じっくりとお話しを伺います。短い時間ではないので、簡潔に語る必要もありません。いろいろな雑談から始まって、そして本人が語りたいこと、疑問に思っていることを僕に投げかけます。そんな問いに僕が答えるという外来風景です。そして、この外来診療は電話やズームでも可能です。

そんなゆっくりとした時間のなかで、患者さんと一緒に答えが出たことは、「雑草と土壌」でした。

つまりがんが雑草で、体の体質が土壌です。がん治療はこの20年で素晴らしい進歩を遂げました。がんは不治の病ではなくなってきています。早期発見をしてさっさと見つかったがんとおさらばする人も増えました。またがんが転移をしても共存して長く生き抜く人も増えました。多くの人に明らかに御利益がある治療は標準治療と称してガイドラインに記載されています。そんながん治療の進歩で多くの命が救われています。

「ただ、今のがん治療って、雑草を摘んでいるだけで、雑草が生えないような土壌の改良は行っていないのですね」と患者さんが喩えてくれました。そうなのです。土壌を改良すれば、雑草は自然と生えなくなり、今は生えている雑草も元気がなくなるのです。そんな土壌の改良も行いたいと切望されました。

土壌は健康力です。がんが発生しにくいように免疫力を上げる、鍛えることが実は最重要なのです。免疫力を長期に亘って落とすような侵襲的な外科治療や抗がん剤は使い方を間違えればかえって命取りになります。

確かに僕の周囲の優秀な外科医や腫瘍内科医は、雑草を摘む努力をしてきました。そしてまったく手に負えなかった雑草を上手に刈り取る技術は進歩しました。でも土壌の改良のお話しを、指導をしてくれる外科医も腫瘍内科医も僕の周りには本当に少ないです。

がんを育む土壌の改良を行いたい、つまり免疫力をアップしたい患者さんは是非とも新見正則医院を受診してください。

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執筆者略歴 新見正則

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主催者。

新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
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