(超)高齢者には「がん放置療法」で、そして漢方薬や生薬は?

ご高齢の方ががんになったのですね。人生観を大切に!

私が外科医になった40年近く前、がんは不治の病でした。固形がんには手術、血液がんには骨髄移植が一縷の望みを繋ぐ手段でした。そして比較的大きな手術や骨髄移植は死亡率が高いものでした。当時、病院では治療行為で亡くなる患者さんが少なくありませんでした。

高齢者の患者さんも少なからずいましたが、当時は「○○がんの手術は○○歳以上の手術は禁忌」という時代でした。

その後、外科治療は進歩し、放射線治療の装置も改良され、まったく新しい機器(陽子線や重粒子線)も導入されています。古典的抗がん剤である殺細胞性抗がん剤は使用方法や組合せが工夫され、そして21世紀になり分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤が導入されて、がん患者さんの生存率はどんどんと改善しています。そして、以前は治療の禁忌とされた高齢者も治療のターゲットになっています。

厚生労働省の第82回がん対策推進協議会の資料によると固形がんでは65歳以上、急性白血病では60歳以上を高齢者と定義しています。そして65歳から75歳を前期高齢者(老年前期)、75歳から89歳を後期高齢者(老年後期)、そして90歳以上を超高齢者としています。

2025年には団塊の世代が75歳となり、後期高齢者の仲間入りをします。ますます、高齢者でがんの罹患者が増加します。がん罹患者の約75%が65歳以上で、がん死亡者の85%以上が65歳以上です。がんは高齢者にとっては、生活習慣病の延長と考えることもでき、よくある病気なのです。

そして高齢がん患者の特徴として以下があげられています。

  • 寿命が短い:ただ、元気な人と状態の悪い人の間に 3 倍以上の生存期間に開きがある。
  • 様々な併存疾患を複数有している。
  • 多種類の薬剤を服用している。
  • 生理学的な機能が低下している。(老化現象) 脆弱性、とくに、85 歳以上で生理機能の低下による脆弱性、フレイルの増加。
  • 認知機能に制限がある。
  • 社会的経済的に制限がある。
  • なによりも個人差が極めて大きく、がんに限らず高齢者ほど個別化医療が必要なものはない。

そして、高齢がん患者の治療に対する効果として以下が上げられています。

治療可能な全身状態であれば、非高齢者と同様の治療を受けることができ、同様の治療効果が望める。ただし、合併症は増加する。

がん薬物療法(+支持療法):成人の用法・用量に十分耐えられ、予想される効果も得られる。 ただ、高齢者は生理的にすべての臓器において機能が低下している。さらに、筋肉量が減り、相対的に脂肪が多く、薬物代謝が非高齢者と異なることもあり、薬剤量を20%ほど減量するといった、やや保存的な考え方で対応することでも、治療成績を包括的にみたとき、標準治療の成績に劣ることはない可能性がある。今後、種々のがん種で検証していくべき課題である。

放射線照射:がん関連の効果に差なし
外科手術:がん関連の効果に差なし
移植医療:造血幹細胞移植は、条件が整えば 70 歳台前半まで実施可能

そして有害事象として

がん薬物療法: 生理的な臓器機能の低下のため、骨髄抑制、粘膜障害が成人より多い。
放射線照射: 照射技術の進歩 (小線源治療、強度変調放射線照射)もあり、非高齢者と差なし。ただし、体重減少、急性反応回復遅延、入院期間遅延がみられる。
外科手術: 緊急手術の場合、合併症、死亡率が年齢とともに上昇する。 手術リスク評価として POSSUM、P-POSSUM (operative mortality)が使用される。 30 日合併症発生率はIADL(手段的ADL)に反比例し、術後入院期間はADLに反比例する、せん妄の発症率高い。

となっています。つまり、がんの3大治療であるがん薬物療法、放射線照射、そして外科手術とも、高齢者とそれ以外で効果に差はないと思われるが、高齢者では有害事象(合併症)が増加するということです。この効果と合併症を天秤に掛けて、熟慮の上に決めて下さい。

いっそ(超)高齢者にはがん放置療法では?

年齢を重ねるに従って、有害事象(合併症)が増加するということは、どこかで治療を行うよりは「がん放置療法」が選ばれるということです。その年齢は個人の暦歴(実年齢)ではなく、本人の気力と体力によるということです。認知機能と筋力が低下するとフレイルという状態になります。

現在の医療は基本的に出来高制になっていますから、ご本人やご家族の意向に反して、治療が行われる傾向になります。ご家族が「治療はお任せします」と医療サイドに伝えれば、最期を伸ばしてできるかぎり医療サービスを提供することが病院の収益という観点から選択されれます。

高齢者では人生のほぼ2/3以上が終了しています。

残りの長くても1/3かそれより短い時間をどう生きるかは、ご本人に人生観を決めることができる状態ならば、ご本人の人生観に沿って決めるべきことです。そしてご本人が自分で意志決定をできないときは、私の個人的意見としては「お迎えの時期」と思っています。

わたしはそんな患者さんには「がん放置療法」を勧めています。そして「がん放置療法」で症状が出現したときには、症状をとるための(緩和目的の)手術や放射線治療を行えばいいと思っています。将来的に抗がん剤が極めて有効になれば、がんがある程度の大きさになっても効果を発揮するはずです。そうなれば、がん治療の開始を慌てる必要がなくなります。

一方で、経済毒性がなく、そして有害事象(副作用)がない治療法があれば、そんな治療は積み重ねるべきでしょう。そのひとつが漢方薬です。

治療したいときは、まず放射線治療を!

(超)高齢者ががん治療を行うときは、まず放射線治療をファーストチョイスにしてください。

放射線治療は手術と違って組織を切除するのではなく、組織を火傷させるイメージなので、大きな欠損が起こりませんし、機能の廃絶もありません。そして体への侵襲(負担)が少ないので、まず考慮されるべき治療です。

最近は放射線治療も腫瘍には高線量を、周囲の正常組織には低線量を当てることができる強度変調放射線治療(IMRT)が導入され、放射線治療の精度が増しました。また、陽子線や重粒子線などのまったく新しい粒子を使用した放射線治療も保険適用範囲が広がっています。手術や抗がん剤は体への負担が大きく、(超)高齢者にはお勧めできないことが多いのです。高齢者ががん治療の病院を選ぶときは、放射線治療ができるという条件はMUSTです。

保険適用の漢方薬では免疫力は上がらない。

漢方薬のなかには、白血病という保険適用病名を持っているものもあります。三和生薬の十全大補湯です。約50年前に経験的にそんな病名が保険適用になりました。漢方薬は1967年に4処方が保険適用され、その後148処方まで保険適用が拡大されました。しかし、その保険適用に西洋薬剤には必須とされる臨床試験は要求されていません。経験的に、超法規的に保険適用されたのが漢方薬の148処方です。

明らかな抗がんエビデンスとは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験ですが、保険適用漢方薬にはそれがありません。本当に漢方薬を飲むと、がんの患者さんが長生きできるのか、免疫力があがるのかの証拠がまったくありません。

しかし、保険適用ですから経済毒性が少ないのです。私はがんの患者さんにはまず補中益気湯か十全大補湯の内服をお勧めしています。高齢者の方には不眠や不安を収める加味帰脾湯を勧めることが多いです。

(超)高齢者でも、ともかく免疫力を上げる努力を!

高齢者でも免疫力をあげる努力をすることで健康寿命も命の寿命も延びます。

明らかな抗がんエビデンスがないことでも良さそうで、経済毒性(過度な費用負担)がないことは積み上げましょう。①散歩(適度な運動)、②日光浴、③バランスのよい食事(タンパク質を多く)、④適度な睡眠、⑤安心と希望(ストレスを減らす)などなどです。

明らかな抗がんエビデンスとは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験です。ランダム化とはクジ引きのことで、1000例規模の大規模臨床試験を勝ち抜くと明らかな抗がんエビデンスがあるとされ、通常は保険収載されます。明らかな抗がんエビデンスがなくても経済毒性を含めた副作用がないものは加えましょう。

そして多成分系の薬剤である漢方薬や生薬が嫌いでなければ、生薬フアイアを是非とも治療に加えてください。

なんと生薬フアイアは明らかな抗がんエビデンスがあります。

生薬フアイアはなんと、1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いています。約1000例の肝臓がん手術後の患者さんをクジ引きでフアイアの内服群と内服しない群に分けて、生存率で内服群は非内服群を96週後に約14%も上まわりました。この結果は超一流英文誌「GUT」に掲載されました。

肝臓がんの結果ですが、どのがんにも有効だと推論が可能です。そして実際に新見正則医院でも(超)高齢を理由に「がん放置療法」を選んだ患者さんが、その後のフアイアの内服で、主治医が予想したよりも遙かに長く生きている人、生きた人が少なからずいます。

どんな治療にも併用可能です。

フアイアは生薬ですから漢方薬と同じく多成分系の薬剤です。残念ながら、フアイア以外の生薬や漢方薬には明らかな抗がんエビデンスを有するものはありません。そして単一成分由来の西洋薬とは異なり、フアイアにはいろいろと不思議なことが起こります。フアイアはオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤と同じように免疫力をアップさせますが、オプジーボなどとは異なり免疫が上がりすぎて起こる副作用を生じません。その理由は多成分系の解析技術が未だに発展途上である現在、まだまだ解明されていません。ただただ、生薬フアイアを他の治療に加えると、または単独で使用しても、有効性を体感できることが多いという事実が多数存在します。そんな多成分系で、かつ明らかな抗がんエビデンスがあるフアイアを是非とも治療の選択肢に加えてください。

新見正則医院にご連絡ください。

フアイアは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜きましたが、保険収載されていません。少々経済毒性があります。しかし経済毒性以外の副作用はなく(まれに起こる下痢のみ)、またどの治療とも併用可能なため、機会損失(他の治療が行えない)もありません。

フアイアのお試し希望の方は以下を参考にして下さい。1ヶ月分30包が3万3000円(税込、送料無料)です。電話対応の場合は、初診料は不要です。

内部リンク(当サイト内でご参考になる記事)


がんの例え話「雑草と土壌」
がんの例え話「雑草と土壌」2
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生薬フアイア概説
まずフアイアを試したいときには

執筆者略歴 新見正則

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主宰者。

新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
新見正則オフィシャルサイトはこちら

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