フアイアの内服で上手く行っていた人から諸般の事情で、「フアイアを増量した方がいいですか?」と聞かれることがあります。その事情とは腫瘍がちょっと大きくなった、腫瘍マーカーが少し増えた、コロナ後遺症がまた辛くなった、神経難病が落ち着いていたのにちょっと症状が辛くなった、などなどです。
クスリを増やすことをエスカレーション(escalation)といいます。クスリを減らすことはデエスカレーション(de-escalation)です。抗がん剤で使われる言葉です。抗がん剤は21世紀になってもの凄く進歩しました。そして新しい抗がん剤が開発され市場に送り出されると、今までの抗がん剤と併用することなどがエスカレーションです。またクスリの量を増やすこともエスカレーションです。エスカレーションは副作用の問題がなければ簡単に行われます。抗がん剤は基本的に増量すればするほどがん細胞に対して抗がん作用を発揮しますが、副作用の頻度も増加し、副作用自体も重篤になります。ですから、簡単に抗がん剤のエスカレーションができないのです。
一方でデエスカレーションは大規模臨床試験からも経験的にも上手く行っている治療で、薬剤の量を減らしたり、併用薬を止めたりします。これは医療サイドからはなかなか言いだしにくいことなのです。ですからデエスカレーションは患者さんから「副作用が辛いのでクスリを減らしていただけませんか?」とか、「経済的に苦しいのでこの薬剤を止めることはできませんか?」といったお願いがあれば行われるのです。
フアイアの副作用は希に起こる下痢しかありません。ですから、治療のエスカレーションを選択しやすいのです。経済毒性だけが問題です。抗がん剤のように副作用と効果のバランスで至適用量が決められているのではありません。内服量は経済毒性と効果のバランスで決まっています。ですから、諸般の事情で「フアイアを増やした方がいいですか?」と相談されると、それを断る理由がないのです。
がんの再発防止を希望する方には毎日3グラム、がんとの共存を希望する方には6グラム以上をお勧めしています。ですから、トリプルネガティブ乳がんなどでは手術後2年間で再発が多く、それを乗り切れば再発の可能性が減るので、最初の2年間は18グラムを内服している人も複数います。
また、がんとの共存で18グラムを内服して長く存命の方もいます。重篤な副作用がフアイアにはないのでフアイア増量のお伺いに対して、こちらから「増量しなくていいですよ」と言える根拠がないのです。もしも、フアイア増量をこちらから「必要はない」と御返事して、何か不利益なことが起これば、患者さんに釈明ができないからです。
そんな事情でフアイアでは特にエスカレーションには(経済毒性以外)まったく問題がなく、デエスカレーションはなおさら行う理由がないのです。
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まずフアイアを試したいときには
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執筆者略歴 新見正則
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主宰者。
新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
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