寛解とはどういう状態?完治との違いがわからない人へ

窓辺の花とカップ。寛解と完治の違いを説明する記事

寛解は、治療によってがんの症状や検査で見える病気がおさまった状態です。治った(完治した)ことと同じ意味ではありません。

「寛解しました」と言われて、治ったと受け取ってよいのか迷う人は少なくありません。寛解は、いまの検査で病気がどう見えるかを表す言葉で、治ったかどうかを決める言葉ではないからです。この記事では、寛解の意味、完全寛解と部分寛解の違い、固形がんと血液のがんでの使い方の違い、そして完全寛解のあとにも残りうるがんを測る検査が何を示しているかを、国立がん研究センターのがん情報サービスと研究から整理します。

寛解とは何ですか?

治療によって、症状が一時的または永続的に軽くなったり、消えたりした状態のことです。

がん情報サービスの用語集は、寛解を「治療によって一時的、または永続的に症状が軽快したり、消失したりした状態」と説明しています。がんの寛解については、「症状がおさまり、再発しない状態が続いていること」で、がんの種類によって定義が異なるとしています(がん情報サービス 用語集「寛解」)。

米国国立がん研究所(NCI)の用語集も、寛解を、がんの徴候や症状が減ること、または消えることと定義しています。そのうえで、完全寛解では徴候と症状がすべて消えているが、がんがまだ体内にある可能性はあると書いています(NCI Dictionary of Cancer Terms「remission」)。

完全寛解と部分寛解は、何が違いますか?

完全寛解は、治療のあとにがんが検査で確認できなくなった状態です。部分寛解は、がんが一定の大きさや割合以下に減った状態です。

がん情報サービスは、次のように説明しています(がん情報サービス 用語集「寛解」「完全寛解」「治療効果判定」)。

言葉 意味
完全寛解 治療の結果、がんによる症状が消え、いろいろな検査でもがんが確認されない状態
部分寛解 固形がんの大きさが一定以下に縮小するか、血液のがんでがん細胞が一定の割合以下に減少した状態

出典:がん情報サービス 用語集「寛解」「完全寛解」。

治療の効果を判定するときは、同じ内容を「奏効」という言葉で表すこともあります。がん情報サービスの用語集は、判定の結果を、がんの兆候がすべてなくなる「完全奏効[完全寛解]」(必ずしも治癒ではない)、状態が改善した「部分奏効[部分寛解]」、悪化した「進行」、変化が見られない「安定」の4つに分けています(がん情報サービス 用語集「治療効果判定」)。

この「必ずしも治癒ではない」という一言が、寛解と完治の違いを表しています。

固形がんと血液のがんで、寛解の使い方は違いますか?

違います。固形がんは主に画像で測った腫瘍の大きさで、血液のがんは血液や骨髄の中のがん細胞の数で判定します。

がん情報サービスは、薬物療法の効果は、腫瘍の大きさを測れる固形がんではがんの大きさで、腫瘍の大きさが測れない血液のがんでは腫瘍細胞の数や血液細胞の状態などで判定するとしています(がん情報サービス 用語集「治療効果判定」)。

区別 固形がん(胃・肺・大腸・乳房など) 血液のがん(白血病・リンパ腫・骨髄腫など)
何で判定するか CTなどの画像で測った腫瘍の大きさ 血液や骨髄の中のがん細胞の数、血液細胞の状態など
よく使われる言葉 奏効(完全奏効・部分奏効) 寛解(完全寛解・部分寛解)

出典:がん情報サービス 用語集「治療効果判定」。

固形がんでは、診療の場でも「寛解」より「奏効」という言葉が使われることが多く、奏効の判定の基準と、縮小と生存の関係は奏効率とは何かを説明した記事で扱っています。CTの結果がどう判定されるかの流れは抗がん剤の効果判定を説明した記事にまとめています。

寛解と完治は、何が違いますか?

寛解は、いまの検査で病気がどう見えるかを表す言葉です。完治(治癒)は、がんが体からなくなり、その後も再発しないことを指します。その時点の1回の検査で、完治を確かめる方法はありません。

完全寛解は、検査で「がんが確認されない」状態です。検査で見つけられないほど少ないがん細胞が体に残っているかどうかは、その時点の検査だけでは分かりません。そのため、完全寛解のあとも、決まった間隔で検査を続けて、再発がないかを確かめていきます。

がん情報サービスが、がんの寛解を「症状がおさまり、再発しない状態が続いていること」と説明しているのは、この「続いていること」が大事だからです(がん情報サービス 用語集「寛解」)。

治療のあと何年たてば安心できるのかは、がんの種類によって違います。その目安は、この記事の最後の「次に読む」で紹介する記事で扱っています。生存曲線が平らになったとき「完治した」と言えるのかは、テイルプラトーとは何かを説明した記事で扱っています。

完全寛解でも、がんが残っていることはありますか?

あります。白血病では、完全寛解に入った人の中でも、より細かい検査でがん細胞が見つかる人と見つからない人がいて、その後の経過に差があることが分かっています。

血液のがんでは、完全寛解の判定に使うふつうの検査では見えないほど少ないがん細胞を、より感度の高い方法で測る検査があります。この検査で測る、残っているがん細胞を「測定可能残存病変(MRD)」と呼びます。

急性骨髄性白血病で、MRDとその後の経過を調べた研究81報、11,151人をまとめた解析があります(Short NJ, et al. JAMA Oncol 2020)。

MRDの結果 5年無病生存率(推定) 5年全生存率(推定)
見つからなかった(MRD陰性) 64% 68%
見つかった(MRD陽性) 25% 34%

出典:Short NJ, et al. JAMA Oncol 2020。ハザード比は無病生存0.37、全生存0.36。

34%

急性骨髄性白血病で、より細かい検査(MRD)でがん細胞が見つかった人の5年全生存率の推定値。見つからなかった人では68%でした。同じ「寛解」の中にも、これだけの差があります。

出典:Short NJ, et al. JAMA Oncol 2020

この解析から言えること、言えないこと

この数字は、急性骨髄性白血病での結果です。ほかのがんにそのまま当てはまるわけではありません。また、MRDの測り方(検査の方法、測る時期、陽性と判定する基準)は研究ごとに違い、それらをまとめた推定値です。MRDが陽性だったことが経過を悪くした原因だと示したものではなく、MRDの結果と経過が結びついていたことを示した解析です。

固形がんでは、画像で見えなくなった完全奏効のあとにも、画像に写らないがんが残っていることがあります。そのため、手術や薬物療法のあとに、再発を防ぐ目的の治療を続けるかどうかが検討されます。手術で取り切れたあとに抗がん剤を勧められる理由は、術後補助化学療法を説明した記事で扱っています。

寛解と言われたら、何を確かめればよいですか?

完全寛解か部分寛解か、どの検査で判定したか、そしてこのあと治療を続けるのか、どの間隔で検査をするのかです。

担当医に確かめる項目は次のとおりです。

  • 完全寛解(完全奏効)か、部分寛解(部分奏効)か
  • どの検査で判定したか(CT、PET、血液検査、骨髄検査など)
  • 血液のがんの場合、MRDなどのより細かい検査を行ったか。その結果
  • このあと治療を続けるのか(再発を防ぐ治療、維持のための治療など)。続けない場合、その理由
  • 次の検査はいつで、どのくらいの間隔で続けるか
  • 再発しやすい時期と、そのとき出やすい症状

寛解は、治療がうまくいったことを示す、大事な節目の言葉です。そのうえで、寛解という言葉が言っているのは「いまの検査で見えなくなった」までで、その先は時間をかけて確かめていくものです。どの検査で「見えない」と判定されたのかを知っておくと、その後の検査結果の受け止め方が変わります。

新見正則医院院長 新見正則

監修

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

詳しいプロフィール

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寛解のあとは、検査を続けて再発がないかを確かめていく時間になります。何年続けるのか、5年で区切ってよいのかを知っておくと、検査の予定を立てやすくなります。

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よくある質問

Q寛解とはどういう意味ですか?

治療によって、症状が一時的または永続的に軽くなったり消えたりした状態のことです。がん情報サービスは、がんの寛解を「症状がおさまり、再発しない状態が続いていること」と説明し、がんの種類によって定義が異なるとしています。

Q完全寛解と完治は同じですか?

同じではありません。完全寛解は、治療の結果、検査でがんが確認されない状態です。検査で見つけられないほど少ないがん細胞が残っていることがあり、がん情報サービスの用語集も完全奏効[完全寛解]は「必ずしも治癒ではない」としています。完治かどうかは、その後に再発しないことを時間をかけて確かめていきます。

Q完全寛解と部分寛解の違いは何ですか?

完全寛解は、がんによる症状が消え、検査でもがんが確認されない状態です。部分寛解は、固形がんの大きさが一定以下に縮小するか、血液のがんでがん細胞が一定の割合以下に減った状態です。

Q寛解したら治療は終わりですか?

がんの種類と状態によって違います。寛解や完全奏効のあとも、再発を防ぐ目的で治療を続けることがあります。治療を続けるかどうか、続けない場合の理由、次の検査の時期を担当医に確かめてください。

Qステージ4のがんでも寛解しますか?

寛解(奏効)に至る割合は、がんの種類、治療、病状によって大きく違うため、1つの数字では言えません。治療の効果を表す数字の読み方は、奏効率の記事で説明しています。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「寛解」(2026年10月25日確認)
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/kankai.html
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「完全寛解」(2026年10月25日確認)
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/kanzenkankai.html
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「治療効果判定」(2026年10月25日確認)
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/RECIST.html
  4. National Cancer Institute. NCI Dictionary of Cancer Terms「remission」(2026年10月25日確認)
    https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms
  5. Short NJ, Zhou S, Fu C, et al. Association of Measurable Residual Disease With Survival Outcomes in Patients With Acute Myeloid Leukemia: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Oncol. 2020;6(12):1890-1899.
    https://doi.org/10.1001/jamaoncol.2020.4600

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