がんの緩和医療(ホスピス/がんの終末期医療/がんの在宅医療/がんの疼痛管理)に漢方薬や生薬は?

がんの緩和医療を勧められたんですね。治療は進歩しました。

私が医学生であった40年近く前、緩和医療という講義はありませんでした。がんは固形がんも血液がんも含めて、基本的に不治の病でした。固形がんには手術、血液がんには骨髄移植が一縷の望みでした。抗がん剤も放射線治療もがんに効くとは頭で理解できても、実臨床で効果を体感できるようなものではないとほとんどの医師が思っていました。

そして、外科治療は進歩しました。麻酔の安全性も増し、外科手技も向上し、手術死亡はこの40年間で激減しました。外科手術の治療成績が改善するに歩調を合わせて、抗がん剤も進歩しました。従来型の殺細胞性抗がん剤の使用方法や組合せが試行錯誤されながら、安全で有効なプロトコールとなっていきました。そして21世紀になり分子標的薬が登場し、その後免疫チェックポイント阻害剤がいろいろながん種に保険適用されました。また、放射線治療もがんには高線量を、周囲の正常組織にはできる限り低線量を照射する工夫がなされていきます。強度変調放射線治療(IMRT)の登場などです。そして全く新しいタイプの放射線治療である陽子線や重粒子線治療にも保険適用が広がっています。がん治療は外科治療、放射線治療、そして抗がん剤という3本柱になりました。また抗がん剤を従来型の殺細胞性抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤の3つに分けて5本柱とすることもあります。

緩和医療という領域は、がんを扱う外科医や内科医が、「ついでに」行う領域でした。2002年WHO(世界保健機関)が緩和ケアの定義をしました。日本緩和医療学会の翻訳は以下です。

  • 痛みやその他のつらい症状を和らげる
  • 生命を肯定し、死にゆくことを自然な過程と捉える
  • 死を早めようとしたり遅らせようとしたりするものではない
  • 心理的およびスピリチュアルなケアを含む
  • 患者が最期までできる限り能動的に生きられるように支援する体制を提供する
  • 患者の病の間も死別後も、家族が対処していけるように支援する体制を提供する
  • 患者と家族のニーズに応えるためにチームアプローチを活用し、必要に応じて死別後のカウンセリングも行う
  • QOLを高める。さらに、病の経過にも良い影響を及ぼす可能性がある
  • 病の早い時期から化学療法や放射線療法などの生存期間の延長を意図して行われる治療と組み合わせて適応でき、つらい合併症をよりよく理解し対処するための精査も含む

と言うものです。そして、徐々に緩和医療が特別な領域、専門家が携わる領域として認識されるようになります。ホスピスという言葉も流布していきます。

精神的な苦痛はがんと診断された時から生じます。ですからがん治療全般に亘って実は緩和医療にはお世話になった方がいいのです。がんの痛みに対しては、医療用麻薬(モルヒネの類)の使用が問題なく行われるようになりました。

現在では日本緩和医療学会が積極的に活動しています。そして緩和医療はホスピスや終末期に限られるものではなく、がん治療を含めた医療の最初から関わるものであるという認識が定着していきました。

がん治療の終末期は病院でも、ホスピスでも、在宅でも可能です。がんの疼痛管理も在宅医療でも対応可能になっています。自分の人生観で過ごす場所を決めて下さい。そして、終末期となっても諦めないでください。免疫力を保てば、がんと共存が可能です。

最期まで希望を

がんの外科治療は何度もできる訳ではありません。抗がん剤も、がん細胞が抗がん剤に耐性を持ち、効かなくなります。抗がん剤治療で生き残ったがん細胞が増殖するからです。同じく放射線治療にもがんは耐性化すると言われています。ですから外科治療、放射線治療、抗がん剤はいずれどれもできなくなる、効かなくなる可能性があります。

また症例数が多いがんでは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を基にエビデンスがある治療方法が選択されていきますが、再発例になるとたくさんの症例数を集めることが徐々に困難になります。同じタイプの再発を多数集めることが困難だからです。

明らかな抗がんエビデンスがある治療がなくなると、医療サイドは今までの経験から、または似たような1000例規模のランダム化された大規模臨床試験の結果から推論して、患者さんによさそうな治療方法を提示します。

エビデンスがある治療とは抗がん剤の投与群と非投与群に明らかな統計的有意差があるということです。その差の程度については言及していません。ですから、医療サイドが治療方法を提示したときは、①明らかな抗がんエビデンスがあるのか? ②そしてどの程度の御利益があるのか? ③その治療の副作用は?の3点を確認しましょう。

そして、ご本人の人生観で決めて下さい。副作用の激しい抗がん剤を行うために何ヶ月も入院し、そして得られた御利益が数ヶ月の延命ではあまり意味がありません。闘病のために人生を賭けたようにも映ります。一方で、御利益が大してないのなら、少々の御利益があっても副作用が激烈ならば、治療をやらずに残された人生を謳歌するという選択肢もあります。

理想は、副作用がなく延命効果のある治療を加えることです。

日本緩和医療学会が「がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版)」を出しています。日本緩和医療学会のホームページから閲覧可能です。

ここでは漢方薬の項もあり、残念ながら漢方薬や生薬に明らかな抗がんエビデンスがあるものはないと結論されています。

漢方薬はがん治療の副作用対策と、患者さんの気力と体力を改善させるために主に使用されています。

緩和医療と漢方薬

まず、がん患者さんの気力と体力を保つための漢方薬は、朝鮮人参と黄耆を含む参耆剤と呼ばれる種類のものです。保険適用漢方エキス製剤には10種類の参耆剤がありますが、その中で高頻度に利用されるのは、補中益気湯、十全大補湯、加味帰脾湯の3つです。補中益気湯は飲みやすく、まずファーストチョイスとして試して見ると良いでしょう。十全大補湯は気力と体力(気血両虚)を高める薬剤ですが、地黄が入っているので胃に障ることがあります。加味帰脾湯は不眠や不安も解消する参耆剤です。

がん治療の副作用対策としては、口内炎や下痢には半夏瀉心湯、体液の貯留には五苓散、食欲不振には六君子湯、しびれには附子を増量した牛車腎気丸などを使用しています。

また、体のどこかに筋肉が攣縮するような痛み(こむら返りのような痛み)があれば芍薬甘草湯の頓服がお勧めです。

詳しくはサイト内のブログ記事「がんに漢方薬は効くの?補完医療として漢方薬を有効活用する方法」もご覧下さい。

上記の漢方薬は保険適用です。しかし、まったく同じものが一般用医薬品としても販売されています。正確には、製造メーカーが同じであれば、医療用漢方薬も一般用漢方薬も同じものです(容量が異なることがあります)。お急ぎの時は近くの薬店やドラッグストアでも購入可能です。

また、漢方薬は在宅医療としても利用できます。担当の医師や看護師に漢方薬希望と告げてください。

まだまだできることがあります。いろいろな治療を組み合わせましょう!

終末期の緩和医療やホスピスを勧められても、希望を持って下さい。免疫力を上げると、がんとの共存でも長生きが可能です。「手術や抗がん剤や放射線治療がもうできない」と言われても、諦めないでください。免疫力を上げる方法はいろいろあります。

明らかな抗がんエビデンスがないことでも良さそうで、経済毒性(過度な費用負担)がないことは積み上げましょう。①散歩(適度な運動)、②日光浴、③バランスのよい食事(タンパク質を多く)、④適度な睡眠、⑤安心と希望(ストレスを減らす)などなどです。

明らかな抗がんエビデンスとは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験です。ランダム化とはクジ引きのことで、1000例規模の大規模臨床試験を勝ち抜くと明らかな抗がんエビデンスがあるとされ、通常は保険収載されます。明らかな抗がんエビデンスがなくても経済毒性を含めた副作用がないものは加えましょう。

そして多成分系の薬剤である漢方薬や生薬が嫌いでなければ、生薬フアイアを是非とも治療に加えてください。

なんと生薬フアイアは明らかな抗がんエビデンスがあります。

生薬フアイアはなんと、1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いています。約1000例の肝臓がん手術後の患者さんをクジ引きでフアイアの内服群と内服しない群に分けて、生存率で内服群は非内服群を96週後に約14%も上まわりました。この結果は超一流英文誌「GUT」に掲載されました。

肝臓がんの結果ですが、どのがんにも有効だと推論が可能です。そして実際に新見正則医院でも緩和医療を勧められた方で、主治医の予想に反して、長生きした方が少なからずいます。

日本緩和医療学会が「がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス」を出したのは2016年です。生薬フアイアが1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いたという報告は2018年ですから、日本緩和医療学会の内容に生薬フアイアは含まれていません。

どんな治療にも併用可能です。

フアイアは生薬ですから漢方薬と同じく多成分系の薬剤です。残念ながら、フアイア以外の生薬や漢方薬には明らかな抗がんエビデンスを有するものはありません。そして単一成分由来の西洋薬とは異なり、フアイアにはいろいろと不思議なことが起こります。フアイアはオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤と同じように免疫力をアップさせますが、オプジーボなどとは異なり免疫が上がりすぎて起こる副作用を生じません。その理由は多成分系の解析技術が未だに発展途上である現在、まだまだ解明されていません。ただただ、生薬フアイアを他の治療に加えると、または単独で使用しても、有効性を体感できることが多いという事実が多数存在します。そんな多成分系で、かつ明らかな抗がんエビデンスがあるフアイアを是非とも治療の選択肢に加えてください。

新見正則医院にご連絡ください。

フアイアは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜きましたが、保険収載されていません。少々経済毒性があります。しかし経済毒性以外の副作用はなく(まれに起こる下痢のみ)、またどの治療とも併用可能なため、機会損失(他の治療が行えない)もありません。

フアイアのお試し希望の方は以下を参考にして下さい。1ヶ月分30包が3万3000円(税込、送料無料)です。電話対応の場合は、初診料は不要です。

内部リンク(当サイト内でご参考になる記事)


がんの例え話「雑草と土壌」
がんの例え話「雑草と土壌」2
がんの例え話「雑草と土壌」3
がんの例え話「雑草と土壌」4
生薬フアイア概説
まずフアイアを試したいときには

執筆者略歴 新見正則

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主宰者。

新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
新見正則オフィシャルサイトはこちら

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