コロナ後遺症のファーストチョイスは加味帰脾湯137です。2022年上梓してAmazonでベストセラーに長く輝いた「フローチャートコロナ後遺症漢方薬」(新興医学出版社)は多くの患者さんや医療従事者に漢方薬の有用性を伝えるために緊急発刊したものです。その中にどんなコロナ後遺症にもファーストチョイスは加味帰脾湯137と記載しています。
加味帰脾湯137は朝鮮人参を含む漢方薬で、その朝鮮人参の作用を強めるために黄耆という生薬が加えられています。朝鮮人参と黄耆を含む漢方薬は参耆剤と呼ばれ、実は加味帰脾湯137を含めて保険適用漢方薬148種類の中に、実は10種類存在します。補中益気湯㊶、十全大補湯㊽、人参養栄湯108、帰脾湯65、半夏白朮天麻湯㊲、大防風場97、当帰湯102、清心蓮子飲111、清暑益気湯136で、加味帰脾湯137を加えて10種類になります。ですから、もしも加味帰脾湯137が薬局にない時、または医療機関では処方できないときは次善の作戦として、参耆剤の中でいまあるものを内服する作戦で問題ありません。そして加味帰脾湯137が手に入る状況になったら変更すればいいのです。
漢方薬は生薬の足し算です。生薬は多くは植物、希に鉱物や動物という天然物です。合成物とは異なり天然物は多成分が含まれています。多成分系の生薬を足し合わせたものが漢方薬なので、漢方薬も当然に多成分系の薬剤になります。多成分系の薬剤の利点はいろいろな訴えに有効なことです。ですから、いろいろな漢方薬がいろいろな訴えに有効という、西洋薬ではあり得ないようなことが実際に起こるのです。
葛根湯①や麻黄湯㉗は漢方薬でともに麻黄という生薬を含んでいます。この麻黄には鎮痛作用があります。ですから、コロナ後遺症の頭痛や肩こりなどには有効なのです。しかし、コロナ後遺症で日常生活に支障を来す頻度が高い倦怠感とブレインフォグには実はあまり有効ではありません。「実はあまり」と言い添えてあるのは、コロナ後遺症の倦怠感やブレインフォグにも、葛根湯①や麻黄湯㉗などの麻黄剤が有効なこともあるのです。
漢方薬は多成分系の薬剤でいろいろな訴えを治すので、そんな不思議なことも起こりえます。ただ頻度的には少ないと言うことです。「漢方薬は食事と西洋薬の中間として理解して下さい!」と僕は説明しています。飲もうか飲まないか悩んだ時に、西洋薬は飲まない、漢方は飲むという論理展開になります。日本の漢方薬は発祥元である中国の漢方薬と比べて、使用量が1/3から1/10です。副作用は少ないのです。いろいろな症状で困っているとき、特に西洋薬で軽快しないときには、漢方薬をいろいろ試してみることがお勧めです。不思議に効くからです。
2009年の新型インフルエンザ感染症の時に僕は臨床試験を行いました。約400人の病院職員に新型インフルエンザの予防を目的に、先ほど説明した参耆剤のひとつである補中益気湯㊶を内服を勧めたのです。179人が内服し、その中のひとりが新型インフルエンザに感染しました。丁度同じ人数の179人は補中益気湯㊶を内服せず経過を観たところ8人が感染しました。明らかに補中益気湯㊶は新型インフルエンザに対する予防効果があったのです。この結果は英文誌BMJの緊急報告に掲載されました。
今回の新型コロナ感染症でも、上記の僕の論文を参考に、補中益気湯㊶の内服を勧めた医師は多数います。そして多数の医師が感染防止目的で補中益気湯㊶を内服していました。
そんな後遺症にも発症防止にも効果がある保険適用漢方薬ですが、保険適用漢方薬では軽快しない方が、がん、難病・難症を扱う新見正則医院に来院されます。その時は、世界初の免疫力のアップさせる効果が確認された生薬フアイアを漢方薬に加えた薬剤を使用して対応しています。がんや難病・難症で難儀している方は新見正則医院も選択枝のひとつに加えて下さい。
また、僕も家内も補中益気湯㊶ではなく生薬フアイアを免疫力アップによる抗がん作用、感染防止、老化防止、認知症防止の作用を期待して毎日飲んでいます。
西洋医学的治療で治らない、漢方医学的治療でなおらない、保険診療では治らない、いわゆる難症に分類されるコロナ後遺症の患者さんで当院を受診した方は、幸いなことにフアイア+加味帰脾湯+生薬でみなさん症状が改善しています(経過を追えた人のみ)。
当院の患者さんの7割以上はがん患者さんです。がんと併存している、がんの再発が心配、家族ががんなのでがんになりたくないなどの方です。そんな彼らもフアイアを飲んでコロナ禍を過ごしました。なんと、コロナが重症化したひとはだれもいませんでした。そしてコロナで入院した人は少数いましたが、みな何事もなく退院しました。そして重篤なコロナ後遺症を患った人は、当院の患者さん(コロナ後遺症の治療目的は除く)にはいません。フアイアがコロナ後遺症の防止にお役にたったと思っています。
●内部リンク(当サイト内でご参考になる記事)
【生薬フアイア概説】がんや難症に有効
がんの例え話「雑草と土壌」
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世界初の抗がんエビデンスを取得したフアイアは漢方薬なのか
執筆者略歴 新見正則
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主宰者。
新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
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