術前化学療法は、手術の前に薬物療法を行い、がんを小さくしたり見えない転移を早く抑えたりする治療です。
手術ができると言われたのに、先に抗がん剤から始めると聞くと、手術が遅れる間にがんが進まないかと不安になる人は少なくありません。この記事では、術前化学療法の定義と目的、術後に行う治療との違い、手術の前の治療が行われている主ながん、手術で調べる「病理学的完全奏効(pCR)」の意味と限界、デメリット、効かなかったときの進み方を、国のがん情報と臨床試験の数字で整理します。
この記事の内容
術前化学療法とは、どんな治療ですか?
手術でがんを取り除くことを予定したうえで、その前に一定期間、抗がん薬などの薬物療法を行う治療です。
国立がん研究センターのがん情報サービスは、手術の前に薬物療法を行うことを「術前薬物療法」と呼んでいます(がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」2025年3月11日更新)。
術前化学療法、術前補助化学療法、ネオアジュバント化学療法(英語の頭文字でNAC)も、ほぼ同じ意味で使われる呼び方です。厳密には「化学療法」は細胞障害性抗がん薬を指しますが、いまは手術の前に使う薬が増えています。
- 細胞障害性抗がん薬(いわゆる抗がん剤)
- 細胞障害性抗がん薬と放射線治療を同時に行う術前化学放射線療法
- 分子標的薬(HER2陽性乳がんのトラスツズマブ、ペルツズマブなど)
- 免疫チェックポイント阻害薬(非小細胞肺がんなど)
- ホルモン療法(閉経後のホルモン受容体陽性乳がんなど)
どれを使うかは、がんの種類、病期、がんの性質で決まります。この記事では、これらをまとめて「術前の治療」と書く場合があります。
何のために、手術より先に薬を使うのですか?
がんを小さくして手術しやすくする、切除する範囲を小さくする、見えない転移を早く抑える、薬の効き目を手術の前に確かめる、の4つが主な目的です。
がん情報サービスは、術前薬物療法の目的として、転移や再発のリスクを下げること、薬で腫瘍を小さくして手術できるようにしたり切除する範囲を小さくしたりすること、薬の治療効果を手術の前に確認して術後の薬物療法を検討する参考にすること、を挙げています(がん情報サービス 2025年)。
- 切除しやすくする:大きいがんや周りに広がったがんを小さくして、切除できる見込みを上げる
- 温存手術を可能にする:乳がんでは、しこりを小さくして乳房を部分的に残す手術ができる場合がある
- 見えない転移を早く抑える:画像検査では映らない小さな転移に、手術を待たずに薬を届ける
- 効き目を確かめる:薬が効いたかどうかを、がんの大きさの変化と手術で取り出した組織で確認できる
日本乳癌学会の「患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版」も、手術が難しい進行乳がんを手術できるようにすること、しこりを小さくして乳房部分切除術を可能にすること、薬の効果を判断しやすく術後の治療を考えられることを挙げています(患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q30)。
術後補助化学療法とは、何が違うのですか?
薬を使う時期が手術の前か後かの違いで、それに伴って、治療を決める材料と、効き目が見えるかどうかが変わります。

手術でがんを切除したあと、見えない転移による再発を減らすために行う薬物療法の対象や効果の大きさは、術後補助化学療法とは何かの記事で説明しています。
| 術前化学療法 | 術後補助化学療法 | |
| 薬を使う時期 | 手術の前 | 手術のあと |
| 治療を決める材料 | 画像検査と、針で採った組織(生検)での診断 | 手術で取り出した組織を調べた結果(病理検査) |
| 効き目が見えるか | がんの大きさの変化と、手術で取り出した組織で確かめられる | 相手が見えない転移なので、本人には確かめられない |
| 手術の時期 | 薬の期間のぶん、あとになる | 予定どおり |
出典:がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」2025年、患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q30
術前と術後の両方に薬を使う場合もあり、そのときは手術の前後で別の薬の組み合わせを使うことがあります。
よく似た言葉の「コンバージョン手術」は、切除できないと判断されたがんが薬で縮んだあとに検討する手術で、ステージ4で手術を検討する例外としてステージ4はなぜ手術できないのかの記事で扱っています。
どのがんで、手術の前の治療が行われていますか?
日本では、食道がんで標準治療とされているほか、乳がん、膵臓がん、肺がん、膀胱がん、胃がん、直腸がんなどで、病期や条件によって行われます。
| がんの種類 | 対象(がん情報サービス等の記載) | 手術の前の治療 |
| 食道がん | Ⅱ〜Ⅲ期 | 細胞障害性抗がん薬による術前化学療法が標準治療とされる |
| 乳がん | 局所進行乳がん・炎症性乳がん、乳房温存を希望ししこりが大きい早期乳がん、など | 化学療法(HER2陽性ではトラスツズマブ、ペルツズマブとの併用など)、閉経後のホルモン受容体陽性ではホルモン療法 |
| 膵臓がん | 切除可能(0期を除く)、切除可能境界 | 手術の前や後に一定期間の薬物療法。切除可能境界では化学療法や化学放射線療法のあとに手術を判断 |
| 非小細胞肺がん | Ⅱ期または一部のⅢ期 | 免疫チェックポイント阻害薬と細胞障害性抗がん薬の組み合わせ、または化学放射線療法(術前導入療法) |
| 膀胱がん | 膀胱全摘除術を受ける場合 | 細胞障害性抗がん薬(術前化学療法)を行うことがある |
| 胃がん | リンパ節転移がある場合や、手術での切除が難しい場合 | 術前補助化学療法が行われる場合がある |
| 直腸がん | 切除可能な直腸がん | 骨盤内の再発を抑えるための術前照射(多くは薬物療法と一緒に) |
出典:がん情報サービス「食道がん 治療」2023年3月29日、「膵臓がん 治療」2026年3月19日、「肺がん 非小細胞肺がん 治療」2026年8月26日、「膀胱がん 治療」2024年6月28日、「胃がん 治療」2026年1月13日、「大腸がん 治療」2025年3月24日更新/患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q30
出典はそれぞれ、がん情報サービスの食道がん、膵臓がん、非小細胞肺がん、膀胱がん、胃がん、大腸がんの「治療」のページです。膵臓がんのページは膵癌診療ガイドライン2025年版にもとづいて更新されています。同じ「手術の前の治療」でも、標準治療とされるがん、条件によって行うがん、行う場合があるとされるがんで、位置づけが違います。
食道がん:手術の前と後を比べた試験と、手術の前の薬を比べた試験
食道がんで術前化学療法が標準になった根拠は、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)のJCOG9907試験です。T4を除く臨床病期Ⅱ・Ⅲ期の胸部食道の扁平上皮がん330人を、手術のあとにシスプラチンとフルオロウラシルを2コース行う群と、同じ薬を手術の前に2コース行う群に分けました。5年全生存率は、術後の群で43%、術前の群で55%でした(ハザード比0.73、95%信頼区間0.54〜0.99)。この試験の主要評価項目は無増悪生存期間で、こちらは中間解析で早期終了の基準に届きませんでした。標準になる根拠となったのは、主要評価項目ではない全生存期間の差です。手術後の腎機能障害は、術前の群でやや多くなっています(Ando N, et al. Ann Surg Oncol 2012)。
続くJCOG1109試験は、手術の前に何を行うかを比べた試験です。臨床病期ⅠB・Ⅱ・Ⅲ期(TNM分類第8版)の食道扁平上皮がんなど601人を、術前にシスプラチンとフルオロウラシルの2剤を行う群、ドセタキセルを加えた3剤を行う群、2剤に放射線治療を加える群に分けました。3年全生存割合は、2剤の群62.6%、3剤の群72.1%、放射線を加えた群68.3%で、3剤の群だけが2剤の群より統計的に長くなりました(ハザード比0.68、95%信頼区間0.50〜0.92)(国立がん研究センター プレスリリース 2024年6月27日、Kato K, et al. Lancet 2024)。
JCOG9907は「手術の前か後か」、JCOG1109は「手術の前に何を使うか」を比べた試験で、問いが違います。
乳がん:前でも後でも生存は同じ、変わるのは手術の形
乳がんでは、手術の前と後のどちらに化学療法を行っても、再発率や生存率は変わらないとされています(患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q30)。1983〜2002年に始まった10のランダム化比較試験の4,756人をまとめた解析では、15年の遠隔再発は術前の群で38.2%、術後の群で38.0%、乳がんによる死亡は34.4%と33.7%で、差はありませんでした。一方、乳房を残す治療を受けた人は術前の群で65%、術後の群で49%と多く、15年の局所再発(同じ側の乳房や周りの再発)は21.4%と15.9%で、術前の群のほうが多くなっていました(EBCTCG. Lancet Oncol 2018)。
日本のガイドラインも、術前化学療法では温存した乳房の中の再発がやや高くなるという報告があるとしています。
直腸がん:海外と日本で扱いが分かれてきた治療
直腸がんでは、従来は手術のあとに行っていた化学療法まで含めて、手術の前に済ませる方法をTNT(トータル・ネオアジュバント・セラピー)と呼びます。オランダなど7か国の54施設で行われたRAPIDO試験(912人)は、骨盤のMRIで再発の危険が高いと判断された局所進行直腸がん(cT4、腸の壁の外の血管への浸潤、cN2、直腸間膜筋膜への浸潤、側方リンパ節の腫大のいずれかがある人)だけを対象にしています。短期の放射線治療のあとに化学療法を行ってから手術する群と、従来の術前化学放射線療法のあとに手術し、術後の化学療法は任意とする群を比べ、3年の疾患関連治療失敗(disease-related treatment failure)の割合は、TNTの群23.7%、従来の群30.4%でした(ハザード比0.75、95%信頼区間0.60〜0.95)(Bahadoer RR, et al. Lancet Oncol 2021)。
同じ試験を5年あまり追跡した解析では、手術で切除したあとの局所再発が、TNTの群で10%(431人中44人)、従来の群で6%(428人中26人)と、TNTの群で多くなっていました。疾患関連治療失敗と遠隔転移が少ない傾向は5年後も続いていました(Dijkstra EA, et al. Ann Surg 2023)。
日本の大腸癌治療ガイドライン2024年版は、直腸がんへのTNTを「行わないことを弱く推奨する」(推奨度2、エビデンスレベルC、合意率70%)としていました(大腸癌研究会 大腸癌治療ガイドライン2024年版 CQ12。文言はガイドライン本文ではなくCareNet 2024年11月7日の報道で確認)。大腸癌治療ガイドラインは2026年7月に2026年版が出ており、最新の版での扱いは主治医に確かめる必要があります。
病理学的完全奏効(pCR)とは何ですか?
術前の治療のあとに手術で取り出した組織を顕微鏡で調べ、がん細胞が残っていなかった状態です。
pCRは、英語のpathological complete responseの頭文字です。CTやMRIでがんが見えなくなった状態とは別で、手術で取り出した組織の病理検査で確かめます。病理検査の流れは、病理検査の結果は何日で出るかの記事で説明しています。どこまで消えればpCRとするかの定義は、がんの種類や研究によって違います。
pCRになった人は、ならなかった人より再発が少ない傾向があります。日本乳癌学会の患者向けガイドラインは、乳房の中の浸潤がんが消えた場合、再発の危険性は消えなかった場合の約半分になり、乳房とリンパ節の両方で消えた場合は約4分の1程度になるとしています(患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版)。12の国際試験の11,955人をまとめた解析(CTNeoBC)でも、乳房とリンパ節の浸潤がんが消えた人(ypT0/is ypN0)の無イベント生存のハザード比は0.48(95%信頼区間0.43〜0.54)、全生存は0.36(同0.31〜0.42)でした(Cortazar P, et al. Lancet 2014)。
pCRと生存のあいだの距離
pCRになった人の経過がよいことと、pCRを増やす治療が生存を延ばすことは、別の問題です。前出のCTNeoBCで、試験ごとのpCRの上がり幅と生存の改善幅の関係を調べると、決定係数(R²、0〜1で1に近いほど連動する)は無イベント生存で0.03(95%信頼区間0.00〜0.25)、全生存で0.24(同0.00〜0.70)にとどまり、著者らはpCRを生存の代わりの指標(代替エンドポイント)として確認できなかったとしています(Cortazar P, et al. Lancet 2014)。54のランダム化比較試験の32,611人をまとめた別の解析でも、R²は無病生存で0.14、全生存で0.08でした(Conforti F, et al. BMJ 2021)。食道がんのJCOG1109で手術で取り出した原発巣にがんが残っていなかった人は、放射線を加えた群で43.5%、3剤の群で21.9%でした。リンパ節を含まない判定で、上の乳がんのpCR(乳房とリンパ節の両方)とは定義が違いますが、放射線を加えた群のほうが高かったのに、3年全生存割合は3剤の群のほうが高くなっています(国立がん研究センター 2024年)。直腸がんのRAPIDOでも、pCRはTNTの群28%、従来の群14%でしたが、3年全生存率は89.1%と88.8%で差がありませんでした(Bahadoer RR, et al. Lancet Oncol 2021)。
pCRは、その人の見通しを考える材料としては意味があります。ただし、ある治療のpCRの割合が高いという情報だけでは、その治療で長生きできるかどうかはわかりません。新しい術前の治療の説明を聞くときは、pCRの割合と、無イベント生存や全生存の結果が出ているかを分けて確かめると、数字を読み違えにくくなります。
術前化学療法のデメリットは何ですか?
治療中にがんが進む人がいること、副作用で治療を続けられなかったり手術に影響したりすること、手術の前の見立てで治療を始めるため薬が要らなかった人も含まれうることです。
- 治療中にがんが進むことがある:米国の1施設で乳がんの術前化学療法を受けた1,928人では、3%(59人)で治療中のどこかの時点でがんが進行しました(Caudle AS, et al. J Clin Oncol 2010)
- 副作用が強く出ることがある:JCOG1109の3剤の群では、術前の治療中にグレード3〜4の好中球減少が85.2%、発熱性好中球減少が16.3%に起きました(国立がん研究センター 2024年)
- 手術のあとへの影響:JCOG9907では、手術後の腎機能障害が術前の群でやや多くなっていました(Ando N, et al. Ann Surg Oncol 2012)
- 乳がんでは、15年の局所再発が術前の群で21.4%、術後の群で15.9%だった(EBCTCG. Lancet Oncol 2018)
乳がんの患者向けガイドラインは、がんが広い範囲に及んでいてしこりが縮んでも部分切除ができない人や、もともとしこりが小さい人には、術前の化学療法のメリットがないとしています(患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q30)。
手術の前に見えている病期は、見立てです
術後の治療は、手術で取り出した組織を調べて病期やリンパ節転移の数が確定してから決めます。術前の治療は、画像検査と針で採った組織という限られた材料で始めます。日本乳癌学会の患者向けガイドラインも、限られた検体で診断するため治療前の状態がわかりにくく、術後の治療の選択が難しくなることがあるとしています。手術をしてみれば早い病期で、術前の薬がなくてもよかった人が含まれる可能性は、この方法の仕組みから避けられません。
術前化学療法が効かなかったときは、どうなりますか?
多くの場合は手術に進むか、薬を変えるかを検討し、手術のあとに残ったがんの状態に合わせて術後の治療を追加することがあります。
効いたかどうかは、治療の途中のCTなどで腫瘍の大きさを測って判定します。判定の基準(RECIST)は、抗がん剤の効果判定はどう決まるかの記事で説明しています。
乳がんの患者向けガイドラインは、効果が十分でなかった場合の進み方を次のように説明しています(患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版 Q30)。
- 化学療法の途中でしこりが大きくなった場合:早めの手術や、別の抗がん薬への変更を検討する
- ホルモン療法の途中で大きくなった場合:術後にホルモン療法の薬を変える、抗がん薬を加える、などを検討する
- 手術でがんが残っていた場合(HER2陰性):術後にカペシタビンを約6か月飲むことで、再発の危険性を減らせる場合がある
- 手術でがんが残っていた場合(HER2陽性):術後にトラスツズマブの代わりにトラスツズマブ エムタンシンを使うことで、再発のリスクを減らせる
トリプルネガティブ乳がんで術前・術後に使う免疫チェックポイント阻害薬は、トリプルネガティブ乳がんとはの記事で扱っています。
食道がんでは、手術の前に化学放射線療法を行い、切除後の病理検査でがんが完全に消えたと確かめられなかった場合、術後補助療法として免疫チェックポイント阻害薬を使うことが勧められています(がん情報サービス「食道がん 治療」2023年)。膵臓がんの切除可能境界では、薬物療法を一定期間行ったあと、もう一度がんの状態を確かめて手術するかどうかを判断します(がん情報サービス「膵臓がん 治療」2026年)。
術前の治療中にがんが進み、手術でがんを切除することが難しくなった場合は、手術を予定しない薬物療法などに方針が切り替わることがあります。治療を始める前に、主治医に次のことを確かめておくと、途中で方針が変わったときに理由をつかみやすくなります。
- 術前の治療を何回、どのくらいの期間行う予定か
- 効き目を、いつ、どの検査で確かめるか
- 効かなかったとき、または進んだときに、手術を早めるのか、薬を変えるのか
- 手術のあとにも薬を使う予定があるか、それは何で決まるか
43.5%
食道がんのJCOG1109試験で、手術の前に2剤の抗がん薬と放射線治療を行った群で、手術で取り出した原発巣にがんが残っていなかった人の割合です。リンパ節を含まない判定で、乳がんのpCR(乳房とリンパ節の両方)とは定義が違います。2剤だけの群の2.2%の約20倍でしたが、3年全生存割合は68.3%と62.6%で、統計的な差はありませんでした(ハザード比0.84、95%信頼区間0.63〜1.12。死亡が37%減る側から12%増える側までを含む)。
がんが消えた人の割合と、生き延びた人の割合は、同じ物差しではありません。
出典:国立がん研究センター プレスリリース 2024年6月27日(Kato K, et al. Lancet 2024、JCOG1109、601人)
監修
新見正則(にいみ まさのり)
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。
日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)
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術前化学療法は、手術・放射線治療・薬物療法を組み合わせる治療の1つの形です。
集学的治療とは?手術・放射線・薬の組み合わせ方がわからない人へ
手術・放射線治療・薬物療法を組み合わせるがん治療について、術前・術後・同時併用それぞれのねらい、がん種ごとの例、治療方針の決まり方、順番を変えると何が変わり何が変わらないかを一次資料で整理した手引きです。
よくある質問
Q術前化学療法の期間は、どのくらいですか?
がんの種類と使う薬で違います。乳がんの患者向けガイドラインは、術前化学療法は3〜6か月の期間で行うのが一般的で、術前ホルモン療法は一般的に6か月ほどとしています。食道がんのJCOG9907試験では、手術の前にシスプラチンとフルオロウラシルを2コース行いました。
Q術前化学療法と術後化学療法は、どちらが効果がありますか?
がんの種類で違います。食道がんのJCOG9907試験では、同じ薬を手術の前に行った群の5年全生存率が55%で、手術の後に行った群の43%より高くなりました。乳がんでは、10の試験をまとめた解析で、術前と術後で遠隔再発や乳がんによる死亡に差はありませんでした。
Q術前化学療法中にがんが大きくなったら、どうなりますか?
乳がんの患者向けガイドラインは、化学療法の途中でしこりが大きくなった場合、早めの手術や別の抗がん薬への変更を検討するとしています。米国の1施設の乳がん1,928人では、術前化学療法中に進行した人は3%でした。手術での切除が難しくなれば、薬物療法などに方針が変わることがあります。
Q術前化学療法でpCRになれば、再発しないのですか?
再発しないとは限りません。pCRになった人は再発が少ない傾向があり、乳がんの患者向けガイドラインは、乳房とリンパ節の両方でがんが消えた場合、再発の危険性は約4分の1程度になるとしています。危険性が下がるという意味で、なくなるわけではありません。
Q術前化学療法の副作用で、手術を受けられなくなることはありますか?
副作用で薬を減らす、休む、中止するなどの調整が必要になり、手術の時期が変わることはあります。食道がんのJCOG1109試験の3剤の群では、グレード3〜4の好中球減少が85.2%、発熱性好中球減少が16.3%に起きました。この試験で手術を受けたのは601人中546人で、手術に至らなかった理由は国立がん研究センターの発表資料には示されていません。
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」(2025年3月11日更新)
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/dt02.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「食道がん 治療」(2023年3月29日更新)
https://ganjoho.jp/public/cancer/esophagus/treatment.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん 治療」(2026年1月13日更新)
https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん 治療」(2026年3月19日更新、膵癌診療ガイドライン2025年版に基づく)
https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/treatment.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「肺がん 非小細胞肺がん 治療」(2026年8月26日更新)
https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment_nsclc.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん 治療」(2024年6月28日更新)
https://ganjoho.jp/public/cancer/bladder/treatment.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん) 治療」(2025年3月24日更新)
https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/treatment.html - 日本乳癌学会編.患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版.Q30 手術前の薬物療法について教えてください
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https://doi.org/10.1200/JCO.2009.25.3286 - CareNet「大腸癌治療ガイドライン2024年版」関連記事(2024年11月7日)
https://www.carenet.com/news/general/carenet/59576





