センチネルリンパ節生検は、最初に転移しやすいリンパ節だけを調べ、不要なリンパ節郭清を省くための検査です。
乳がんでは、手術前の触診や画像診断でわきの下(腋窩)のリンパ節に転移がないと判断された人や、転移があるかはっきりしない人に、手術の途中で行います(国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」2025年6月19日更新)。2026年度の診療報酬では、乳がんのほか、悪性黒色腫などの皮膚がん、外陰がん、子宮頸がん・子宮体がんでも保険で行えます(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」)。
この記事の内容
センチネルリンパ節とは、何ですか?
がん細胞がリンパ液の流れに乗って転移するとき、最初にたどり着くリンパ節です。
センチネル(sentinel)は、英語で「見張り」を意味します。国立がん研究センターは、乳がんのセンチネルリンパ節を「がん細胞が乳房内からリンパ管に入り込み、リンパ液の流れに乗って転移するときに、最初にたどりつくリンパ節」と説明しています(がん情報サービス「乳がん 治療」2025年)。
このリンパ節を取り出して、がんが転移しているかを調べる検査がセンチネルリンパ節生検です。最初にたどり着く場所に転移がなければ、その先のリンパ節にも転移していない可能性が高い、という考え方にもとづいています。ただし、その可能性は100%ではありません。どのくらい外れるかは、偽陰性の節で数字を示します。
これに対して腋窩リンパ節郭清は、わきの下のリンパ節をまとめて切除する手術です。センチネルリンパ節生検は、この郭清が必要な人と必要でない人を分けるために行います。
センチネルリンパ節生検は、どのように行いますか?
がんの近くに色素や放射性同位元素を注射し、それが集まったリンパ節を目印にして取り出します。

国立がん研究センター中央病院は、悪性黒色腫(メラノーマ)の場合について、手術の前にがんの周りに色素やごく微量の放射性同位元素を注射し、これらがリンパの流れに乗ってセンチネルリンパ節に集まるため、それを目印に探し出して摘出すると説明しています(国立がん研究センター中央病院「メラノーマ」)。
目印に使う物質(トレーサー)の使い方には、次の方法があります(日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 外科療法 総説2)。
| 方法 | 目印の見つけ方 |
| 色素法 | 色素を注射し、色素で染まったリンパ節を探して取り出します |
| ラジオアイソトープ(RI)法 | ごく微量の放射性同位元素を注射し、それが集まったリンパ節を、放射線を検出して探します |
| 併用法 | 色素とRIの両方を使います |
| 蛍光法 | インドシアニングリーン(ICG)という色素を使い、蛍光で探します |
出典:日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 外科療法 総説2、国立がん研究センター中央病院「メラノーマ」をもとに作成
乳がんの保険診療では、色素とRIを両方使う併用法が5,000点、どちらか一方だけを使う単独法が3,000点と定められています。触診と画像診断で腋窩リンパ節に転移がないと判断され、手術が予定されている場合に限られ、施設基準を満たして届け出た医療機関で行います(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」)。
臨床的にリンパ節転移のない乳がんの5,611人を対象にした臨床試験NSABP B-32では、センチネルリンパ節を取り出せた人は97.2%(5,536人中5,379人)でした。取り出したリンパ節の65.1%は、放射性同位元素と色素の両方で目印がついていました。色素によるアレルギー反応は0.7%の人に起きています(Krag DN, et al. Lancet Oncol 2007)。
センチネルリンパ節生検で、何がわかりますか?
わきの下のリンパ節に転移があるかと、あればその大きさがわかり、郭清をするかどうかを決める材料になります。
取り出したセンチネルリンパ節は、病理検査で顕微鏡で調べます。乳がんでは、手術中のセンチネルリンパ節生検などで腋窩リンパ節に転移していると診断された場合に、腋窩リンパ節郭清を行います(がん情報サービス「乳がん 治療」2025年)。
転移が見つかった場合は、転移の大きさで扱いが分かれます。日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン2022年版は、0.2mmを超え2mm以下の転移を微小転移、2mmを超える転移をマクロ転移として、それぞれに推奨を分けていました(乳癌診療ガイドライン2022年版 外科療法 CQ1)。
- 転移なし:腋窩リンパ節郭清を行わない
- 微小転移:2022年版では郭清の省略が強く推奨されていた
- マクロ転移:手術の方法、転移の数、術後の放射線治療の有無などで、郭清するか、省くか、放射線治療に置き換えるかが分かれる
センチネルリンパ節に転移がなくても、ほかのリンパ節に転移していることはありますか?
あります。NSABP B-32試験では、わきのリンパ節に実際に転移があった人の9.8%で、センチネルリンパ節には転移が見つかりませんでした。
実際には腋窩リンパ節に転移がある人のうち、センチネルリンパ節生検で「転移なし」と判定された人の割合を、偽陰性率といいます。
NSABP B-32試験では、センチネルリンパ節生検のあとに全員が腋窩リンパ節郭清を受けた群で、郭清まで含めて転移が確認された766人のうち75人は、センチネルリンパ節に転移がありませんでした。偽陰性率は9.8%(95%信頼区間7.8〜12.2%)です(Krag DN, et al. Lancet Oncol 2007)。
術前化学療法を受けた場合
手術の前に薬物療法(術前化学療法)を受けた場合は、もともとリンパ節転移があったかどうかで扱いが変わります。乳癌診療ガイドライン2022年版は、術前化学療法の前も後も臨床的にリンパ節転移がない人では、センチネルリンパ節生検による郭清の省略を強く推奨していました(推奨の強さ1、エビデンスの強さ「弱」)。もともと転移があり、術前化学療法のあとに転移がないと判断された人では、センチネルリンパ節生検の結果だけで郭清を省くことを弱く推奨しないとしていました(推奨の強さ3、エビデンスの強さ「弱」)(乳癌診療ガイドライン2022年版 外科療法 CQ2)。後者では、偽陰性率が10%を超えて高いことが報告されています(同 総説2)。
転移がなければ、なぜ郭清を省けるのですか?
転移がなかった人で、郭清をした群としなかった群を比べた大規模な試験で、生存率に統計的な差が出なかったためです。
NSABP B-32試験は、5,611人を、センチネルリンパ節生検のあとに全員が郭清を受ける群と、センチネルリンパ節に転移がなければ郭清をしない群に、くじ引きで分けました(ランダム化比較試験)。センチネルリンパ節に転移がなかった3,986人で比べると、8年全生存率は郭清をした群で91.8%、郭清をしなかった群で90.3%でした。8年無病生存率は82.4%と81.5%、最初の再発がわきなどの領域リンパ節だった人は8人と14人です(Krag DN, et al. Lancet Oncol 2010)。
ハザード比1.20が含む幅
B-32試験の全生存率のハザード比は1.20(95%信頼区間0.96〜1.50、p=0.12)でした(Krag DN, et al. Lancet Oncol 2010)。郭清をしなかった群の死亡の危険が、郭清をした群より4%低い可能性から、50%高い可能性までを含む幅です。数字の上では郭清をしなかった群がわずかに低く、その差は偶然でも起こりうる範囲とされました。この試験は差を検出しなかったのであって、2つの手術の成績が同じだと証明したわけではありません。
この結果をもとに、センチネルリンパ節生検で郭清を省くことは、臨床的にリンパ節転移のない乳がんの標準治療となっています(乳癌診療ガイドライン2022年版 総説2)。国立がん研究センターも、「腋窩リンパ節への転移がない、あるいは転移があってもわずかなときは、腋窩リンパ節郭清を行いません」と説明しています(がん情報サービス「乳がん 治療」2025年)。
センチネルリンパ節に転移があっても、郭清を省けることはありますか?
あります。しこりの大きさ、転移の数と大きさ、乳房の手術の方法、術後の放射線治療の有無で、省けるかどうかが変わります。
ACOSOG Z0011試験は、しこりが臨床的にT1〜T2で、わきに腫れたリンパ節を触れず、センチネルリンパ節1〜2個に転移があった女性891人が対象です。全員が乳房部分切除術と、乳房全体への放射線治療、術後の薬物療法を受けました。郭清をしなかった群の10年全生存率は86.3%、郭清をした群は83.6%で、郭清をしなくても劣らないという結果でした(ハザード比0.85、非劣性のp=0.02)。10年無病生存率は80.2%と78.2%です(Giuliano AE, et al. JAMA 2017)。
AMAROS試験は、T1〜T2で触れるリンパ節がなく、センチネルリンパ節に転移があった1,425人を、郭清(744人)と、わきへの放射線治療(681人)に分けました。10年間のわきの再発は、郭清で0.93%、放射線治療で1.82%でした(ハザード比1.71、95%信頼区間0.67〜4.39)。全生存率と無病生存率には差がありませんでした(Bartels SAL, et al. J Clin Oncol 2023)。
SENOMAC試験は、臨床的にリンパ節転移のないT1〜T3で、センチネルリンパ節に1〜2個のマクロ転移があった5か国の2,766人が対象です。主要評価項目は全生存期間で、2024年に報告されたのは副次評価項目の無再発生存率です。治療計画どおりに治療を受けた2,540人の推定5年無再発生存率は、郭清をしなかった群で89.7%、郭清をした群で88.7%でした(ハザード比0.89)。両群とも多くの人が、リンパ節領域への放射線治療を受けています(de Boniface J, et al. N Engl J Med 2024)。
日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン2022年版は、こうした試験をふまえて、状況ごとに推奨を分けていました。2026年版でも、マクロ転移で郭清を省けるかは、乳房部分切除術の場合と乳房全切除術の場合に分けて問われています(CQ2a・CQ2b)が、推奨の中身はここでは2022年版のものを示します。
| 状況 | 2022年版の推奨 | 推奨の強さ/エビデンスの強さ |
| 微小転移 | 郭清の省略を強く推奨する | 1/中 |
| マクロ転移で乳房部分切除術(T1〜T2、臨床的にリンパ節転移なし、転移は2個まで、適切な術後の放射線治療と薬物療法が前提) | 郭清の省略を弱く推奨する | 2/中 |
| マクロ転移で乳房全切除術、放射線治療なし | 郭清を省略しないことを強く推奨する | 4/非常に弱い |
| マクロ転移で乳房全切除術、放射線治療あり(T1〜T2、適切な術後の薬物療法が前提) | 郭清の省略を弱く推奨する | 2/弱 |
出典:日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 外科療法 CQ1
乳房全切除術で放射線治療をしない人は、これまでのランダム化比較試験の対象に入っていません。そのため、2022年版では、この場合は郭清を行う推奨になっていました(乳癌診療ガイドライン2022年版 外科療法 CQ1)。
センチネルリンパ節生検そのものを、省くことはありますか?
海外では、しこりが小さく、わきのリンパ節に転移がないと判断された人で、生検をしない群と比べた試験が報告されています。
SOUND試験は、しこりが2cm以下で、手術前のわきの超音波検査で転移がなかった1,463人を、センチネルリンパ節生検をする群としない群に分けました。解析した1,405人の5年遠隔無病生存率は、生検をした群で97.7%、しなかった群で98.0%で、生検をしなくても劣らないという結果でした(ハザード比0.84、90%信頼区間0.45〜1.54、非劣性のp=0.02)。追跡期間の中央値は5.7年です(Gentilini OD, et al. JAMA Oncol 2023)。
INSEMA試験は、臨床的にリンパ節転移のない5cm以下(T1〜T2)の乳がんで、乳房部分切除術を予定していた5,502人を、生検をしない群と生検をする群に1対4で分けました。治療計画どおりの4,858人の5年無浸潤疾患生存率は、生検をしなかった群で91.9%、生検をした群で91.7%でした(ハザード比0.91、95%信頼区間0.73〜1.14)。生検をしなかった群では、リンパ浮腫が少なく、腕が動かしやすく、腕や肩を動かしたときの痛みも少なくなっていました(Reimer T, et al. N Engl J Med 2025)。
日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインは2026年6月に新しい版(2026年版)が出ています。2026年版の腋窩手術の項目には、乳房温存療法を受ける、臨床的にリンパ節転移のない早期乳がんで「センチネルリンパ節生検の省略は勧められるか?」という問い(CQ1)が立てられています(金原出版「乳癌診療ガイドライン 2026年版」)。2022年版の腋窩手術の項目には、この問いはありませんでした。
生検を省くと手に入らない情報
SOUND試験では、生検をした群の13.7%(97人)でリンパ節転移が見つかっています(Gentilini OD, et al. JAMA Oncol 2023)。生検を省くと、この情報がないまま術後の治療を決めることになります。INSEMA試験のわきの再発は、生検をしなかった群で1.0%、した群で0.3%でした(Reimer T, et al. N Engl J Med 2025)。どちらの試験も対象は小さいしこりの人が中心で、INSEMA試験では約9割が臨床的にT1でした。乳房全切除術を受ける人や、しこりが大きい人にそのまま当てはめられるかは、これらの試験からはわかりません。
郭清を省くと、リンパ浮腫はどのくらい減りますか?
72の研究をまとめた解析では、腕のリンパ浮腫は腋窩リンパ節郭清で19.9%、センチネルリンパ節生検で5.6%でした。2つの値は、それぞれ別の研究をまとめたもので、同じ人たちを比べた結果ではありません。
乳がんの手術のあとに片側の腕に出るリンパ浮腫を調べた研究をまとめた解析では、全体の発生率は16.6%(95%信頼区間13.6〜20.2%)でした。郭清を受けた人では19.9%(95%信頼区間13.5〜28.2%、18研究)、センチネルリンパ節生検の人では5.6%(18研究)です。2つの値はそれぞれ別の18研究から求めたもので、同じ人たちを2つの手術に分けて比べた結果ではありません。発生は、診断や手術から2年ごろまで増える傾向がありました(DiSipio T, et al. Lancet Oncol 2013)。
放射線治療でもリンパ浮腫は起こります。AMAROS試験の5年の時点では、郭清を受けた群の24.5%、わきへの放射線治療を受けた群の11.9%にリンパ浮腫がありました(Bartels SAL, et al. J Clin Oncol 2023)。国立がん研究センターも、腋窩リンパ節郭清や放射線治療を行った場合はリンパ浮腫が起こりやすくなると説明しています(がん情報サービス「乳がん 治療」2025年)。
リンパ浮腫の予防には、スキンケアや適度な運動がよいとされています。手術後1か月は激しい運動を控え、ウォーキング程度の軽い運動を行います。すでにリンパ浮腫と診断されている場合は、弾性包帯や弾性着衣で圧迫しながら、肩や肘の関節を動かします(がん情報サービス「乳がん 治療」2025年)。
リンパ浮腫のほかにも、手術には体への負担や合併症があります。手術全体で得られるものと引き受けるものは、がんの手術のメリットとデメリットの記事で整理しています。
乳がん以外では、どのがんでセンチネルリンパ節生検を行いますか?
保険診療では、悪性黒色腫などの皮膚がん、外陰がん、子宮頸がん・子宮体がんでも行います。
| がんの種類 | 保険で行える条件・時期 |
| 乳がん | 触診と画像診断で腋窩リンパ節に転移がないと判断され、手術を予定している場合 |
| 悪性黒色腫、メルケル細胞がん、乳房外パジェット病、長径2cmを超える有棘細胞がん | 触診と画像診断で遠隔転移がなく、所属リンパ節の腫れが確認されていない場合 |
| 外陰がん | 2024年度の診療報酬改定で加算が認められました |
| 子宮頸がん・子宮体がん | 2026年度の診療報酬改定で加算が認められました。画像診断で所属リンパ節への転移が認められない場合に限ります |
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(医科診療報酬点数表と留意事項通知)、日本婦人科腫瘍学会「婦人科悪性腫瘍センチネルリンパ節ナビゲーション手術の手引き」Ver4.0(2026年7月10日)
婦人科のがんについて、日本婦人科腫瘍学会の手引きは、対象を進行期で細かく定めています。たとえば子宮体がんで、センチネルリンパ節に転移がなければ郭清を省くナビゲーション手術は、手術前の推定でⅠA期・ⅠB期・Ⅱ期、組織型は原則として類内膜がんのG1・G2が対象です。子宮のがんの加算は、施設基準を満たして届け出た施設でしか算定できません(日本婦人科腫瘍学会「婦人科悪性腫瘍センチネルリンパ節ナビゲーション手術の手引き」Ver4.0 2026年)。
悪性黒色腫(メラノーマ)の場合
国立がん研究センター中央病院は、悪性黒色腫のセンチネルリンパ節生検を、原発巣のがんの厚さが一定以上ある場合に、正確な病期診断のために行うとしています。転移がなければ、それ以上のリンパ節の切除(郭清)を省略できると説明しています(国立がん研究センター中央病院「メラノーマ」)。
センチネルリンパ節に転移があった1,934人を、すぐに郭清する群と、超音波検査で経過を見る群に分けたMSLT-II試験では、3年のメラノーマ特異的生存率はどちらも86%でした(p=0.42)。3年の時点でリンパ節の再発を抑えられていた割合は、郭清した群92%、経過を見た群77%で、郭清した群で高くなっています。リンパ浮腫は、郭清した群の24.1%、経過を見た群の6.3%に起きています(Faries MB, et al. N Engl J Med 2017)。国立がん研究センター中央病院の説明で郭清を省けるとしているのは、センチネルリンパ節に転移がなかった場合です。MSLT-II試験は、転移があった場合に郭清をするか経過を見るかを比べたもので、場面が違います。同じページは、郭清を、センチネルリンパ節生検で転移が見つかった場合や画像でリンパ節への転移が明らかな場合に行う手術とし、リンパ浮腫などの負担と効果のバランスを見極めて行うとしています。
9.8%
わきのリンパ節に実際に転移があった人のうち、センチネルリンパ節では転移が見つからなかった人の割合です。
「転移なし」の結果は、転移がないことの保証ではありません。この見落としを含んだうえで、郭清を省いた群の生存率に統計的な差は出ていません。
出典:Krag DN, et al. Lancet Oncol 2007(NSABP B-32、766人中75人)
監修
新見正則(にいみ まさのり)
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。
日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)
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よくある質問
Qセンチネルリンパ節生検の偽陰性率はどのくらいですか?
乳がん5,611人を対象にしたNSABP B-32試験では9.8%でした。わきのリンパ節に実際に転移があった766人のうち75人で、センチネルリンパ節には転移が見つかりませんでした(Krag, Lancet Oncol 2007)。
Qセンチネルリンパ節に転移があったら、必ず腋窩リンパ節郭清をしますか?
必ずではありません。日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン2022年版では、微小転移なら郭清の省略が強く推奨され、乳房部分切除術で転移が2個までのマクロ転移なら、適切な術後の放射線治療と薬物療法を前提に省略が弱く推奨されていました。乳房全切除術で放射線治療をしない場合は、郭清を省略しないことが強く推奨されていました。2026年版でも、マクロ転移で郭清を省けるかは、乳房の手術の方法ごとに問われています。
Qセンチネルリンパ節生検だけでもリンパ浮腫になりますか?
なることがあります。72の研究をまとめた解析では、腕のリンパ浮腫はセンチネルリンパ節生検で5.6%、腋窩リンパ節郭清で19.9%でした(それぞれ別の研究をまとめた値。DiSipio, Lancet Oncol 2013)。放射線治療を受けた場合も起こりやすくなります。
Qセンチネルリンパ節生検は保険適用ですか?
2026年度の診療報酬では、乳がん、悪性黒色腫などの皮膚がん、外陰がん、子宮頸がん・子宮体がんで認められています。乳がんや子宮のがんでは、施設基準を満たして届け出た医療機関で行う場合に限られ、リンパ節転移が画像などで認められないといった条件があります。
Qセンチネルリンパ節生検をしないこともありますか?
海外のSOUND試験とINSEMA試験では、しこりが小さく臨床的にリンパ節転移がない乳がんで、生検を省いても遠隔無病生存率や無浸潤疾患生存率が劣らなかったと報告されています。日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン2026年版では、乳房温存療法を受ける、臨床的にリンパ節転移のない早期乳がんで、生検の省略を勧められるかという問いが立てられています。
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」(2025年6月19日更新)
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/treatment.html - 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科「メラノーマ(悪性黒色腫)」
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/dermatology/melanoma/index.html - 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」(医科診療報酬点数表、留意事項通知)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html - 日本婦人科腫瘍学会 センチネルリンパ節生検普及WG「婦人科悪性腫瘍センチネルリンパ節ナビゲーション手術の手引き」Ver4.0(2026年7月10日)
https://jsgo.or.jp/opinion/10.html - 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 外科療法 総説2「乳癌初期治療における腋窩手術」
https://jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/g_index/s2/ - 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 外科療法 CQ1「センチネルリンパ節に転移を認める患者に対して腋窩リンパ節郭清省略は勧められるか?」
https://jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/g_index/cq1/ - 日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2022年版 外科療法 CQ2「術前化学療法後に,腋窩リンパ節郭清省略を目的としたセンチネルリンパ節生検は推奨されるか?」
https://jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/g_index/cq2/ - Krag DN, et al. Technical outcomes of sentinel-lymph-node resection and conventional axillary-lymph-node dissection in patients with clinically node-negative breast cancer: results from the NSABP B-32 randomised phase III trial. Lancet Oncol. 2007
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