がん診療連携拠点病院とは?一般の病院と何が違うか

緑に囲まれた大きな病院の外観。がん診療連携拠点病院と一般の病院の違いを説明する記事

がん診療連携拠点病院とは、国が定める体制と診療件数の要件を満たし、都道府県の推薦を受けて厚生労働大臣が指定した、がん医療の中核となる病院です。

2026年4月1日現在、地域がん診療病院を含めて全国で468か所が指定されています。一般の病院との違いは、手術・放射線治療・薬物療法を組み合わせる体制、緩和ケアチーム、がん相談支援センター、院内がん登録がそろっていることを国の要件で確かめられている点です。指定の物差しは体制と件数で、病院ごとの生存率ではありません。

がん診療連携拠点病院とは何ですか?

専門的ながん医療、地域の医療機関との連携、患者や住民への相談支援と情報提供を担う病院として、国が指定した病院です。

がん情報サービスの用語集は、がん診療連携拠点病院を、国が定める指定要件を踏まえて都道府県知事が推薦したものについて、厚生労働大臣が適当と認め、指定した病院と説明しています(がん情報サービス 用語集「がん診療連携拠点病院」2024年7月2日更新)。

指定の目的は、全国どこでも質の高いがん医療を受けられるようにすることです。国の指針は、拠点病院等が、都道府県全体またはそれぞれのがん医療圏全体を対象に、がん医療の質の向上を進める役割を担うとしています(厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備について」令和8年7月30日 健生発0730第1号)。

厚生労働省によると、2026年4月1日現在の指定数は、都道府県がん診療連携拠点病院51、地域がん診療連携拠点病院357、特定領域がん診療連携拠点病院1、地域がん診療病院59の、合わせて468か所です(厚生労働省「がん診療連携拠点病院等」)。2026年10月1日現在の一覧表でも、種類ごとの数は同じです(厚生労働省「がん診療連携拠点病院等一覧表」令和8年10月1日現在)。

拠点病院には、どんな種類がありますか?

都道府県の中心となる病院、がん医療圏ごとの中心となる病院、特定のがんに特化した病院、拠点病院のない医療圏を受け持つ病院の4種類です。

種類 役割と配置 指定数(2026年4月1日)
都道府県がん診療連携拠点病院 原則として都道府県に1か所。都道府県全体のがん医療を牽引し、都道府県がん診療連携協議会の事務局を担う 51
地域がん診療連携拠点病院 医療計画で定めるがん医療圏に原則1か所。必要性が示されれば複数も認められる 357(うち特例型11)
特定領域がん診療連携拠点病院 特定のがんについて、都道府県内で最も多くの患者を診療している病院 1
地域がん診療病院 拠点病院のないがん医療圏に原則1か所。がん診療連携拠点病院とグループで指定される 59

出典:厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備について」(令和8年7月30日)、同「がん診療連携拠点病院等」

2026年10月1日現在の一覧表では、特定領域がん診療連携拠点病院は鹿児島県の相良病院の1か所です。地域がん診療連携拠点病院のうち「特例型」は、指定要件の一部を満たしていない病院で、要件を満たすことが確認されれば通常の地域がん診療連携拠点病院に指定されます(がん情報サービス 用語集「地域がん診療連携拠点病院(特例型)」)。

名前の似た、別の指定もあります

「拠点病院」と付く国の指定は、ほかにもあります。がん診療連携拠点病院とは別の仕組みで、指定の数も対象も違います。

がんゲノム医療の病院で受ける検査については、がんゲノム医療の遺伝子パネル検査とはで説明しています。

都道府県が独自に指定する病院もあります

国の拠点病院とは別に、都道府県が独自の基準でがん治療を行う病院を指定している場合があります(がん情報サービス「病院選びQ&A」2025年6月2日更新)。たとえば埼玉県には「埼玉県がん診療指定病院」があり、広島県も国の指定とは別に県の指定を設けています(さいたま市「がん診療連携拠点病院」、広島県「がん診療連携拠点病院」)。

拠点病院に指定されるには、どんな要件がありますか?

診療体制、専門の医療者の配置、年間の診療件数、相談支援、院内がん登録などの要件が、国の指針で決められています。

要件は「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」に書かれています。現行の指針は2026年7月30日の通知に添えられたもので、2022年8月1日の通知(健発0801第16号)は2026年7月31日をもって廃止されました(厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備について」令和8年7月30日)。

地域がん診療連携拠点病院の主な要件は、次のとおりです。

  • 手術、放射線治療、薬物療法を効果的に組み合わせた集学的治療を行う
  • 職種を超えて患者の支援などを話し合うカンファレンスを月1回以上開く
  • 緩和ケアチームを置き、病棟の回診やカンファレンスを行う
  • 放射線治療と病理診断に、それぞれ専従の常勤医師を1人以上置く
  • 外来化学療法室に、薬物療法に携わる専従の常勤看護師を1人以上置く
  • がん相談支援センターを置き、院内がん登録を行う

手術・放射線・薬の組み合わせ方は集学的治療とはで、緩和ケアを受けられる時期は緩和ケアはいつから受けられるかで説明しています。

診療件数の要件

指針は、地域がん診療連携拠点病院の診療実績として、次の①か②をおおむね満たすことを求めています。同じがん医療圏に複数の地域拠点病院を指定する場合は、①をすべて満たす必要があります。

区分 項目 基準
① 院内がん登録数 年間500件以上
① 悪性腫瘍の手術件数 年間400件以上
① がんに係る薬物療法のべ患者数 年間1,000人以上
① 放射線治療のべ患者数 年間200人以上
① 緩和ケアチームの新規介入患者数 年間50人以上
② 医療圏での診療の割合 当該がん医療圏に居住するがん患者のうち、2割程度について診療実績があること

出典:厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」(令和8年7月30日通知の別添)Ⅱ2(1)

指針はさらに、2029年度(令和11年度)の改定で、悪性腫瘍の手術件数と放射線治療のべ患者数を、医療圏に地域拠点病院が1か所しかない場合でも必須の要件とすることを検討する、としています。厚生労働省のQ&Aは、同じ改定でがんゲノム医療中核拠点病院等の指定を必須の要件とすることも見込んでいます(厚生労働省「『がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針』に関するQ&A」令和8年8月31日)。

今回の指針で新たに必須になった要件は、推薦の時点で満たしているか、2027年9月1日までに満たす見込みがあればよいとされています(同Q&A)。都道府県がん診療連携拠点病院には、地域拠点病院の要件に加えて、さらに要件が課されています。

年間500件

地域がん診療連携拠点病院の診療実績の要件のうち、院内がん登録数の基準。
診療実績の要件は、このような件数と、医療圏の患者をどれだけ診ているかの割合で書かれています。生存率のような治療成績の数値は、この要件に入っていません。

厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」令和8年7月30日

拠点病院は、一般の病院と何が違いますか?

国の要件を満たす体制がそろっていることを、指定の手続きで確かめられている点が違います。拠点病院でなくても、標準治療を受けられる病院は多くあります。

がん情報サービスは、拠点病院等であれば標準治療を受けることができ、拠点病院等以外でも、希少がんを除き、専門医がいる、または年間で数十件程度の実績があるなどの病院であれば標準治療を受けられることが多い、としています(がん情報サービス「病院選びQ&A」)。標準治療とは、有効性と安全性が確認され、専門家によって現時点で最良と考えられた治療法のことです。

比べる点 がん診療連携拠点病院 拠点病院以外の病院
体制の確認 国の指針の要件を、都道府県の推薦と国の指定で確認 国の指定はない。都道府県が独自に指定している場合がある
標準治療 受けることができる 希少がんを除き、専門医がいる、年間数十件程度の実績があるなどの病院なら受けられることが多い
がん相談支援センター 設置が要件。通院していない人の相談にも対応する 病院による
院内がん登録 国の指針に従って行うことが要件 参加している病院もある(2023年の全国集計には拠点外病院415施設が参加)
治療費 同じ治療であれば、病院によって大きく変わらない。差額ベッド代は病院や部屋で異なる 同じ治療であれば、病院によって大きく変わらない。差額ベッド代は病院や部屋で異なる

出典:がん情報サービス「病院選びQ&A」、厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」、国立がん研究センター「院内がん登録2023年登録集計 公表」(2025年2月13日)

院内がん登録の2023年の集計には、拠点病院461施設、小児拠点6施設、拠点外病院415施設の計882施設が参加し、全登録数は1,149,859例でした(国立がん研究センター「院内がん登録2023年登録集計 公表」2025年2月13日)。がんの診療は、拠点病院の外でも広く行われています。

持病がある人は、別の見方も必要です

がん情報サービスは、がんセンターには糖尿病や心臓、腎臓など他の病気を専門とする医師が少なく、体制が十分でない場合があるとしています。持病がある場合は、かかりつけの病院での治療が最善のことも多く、まずかかりつけ医に相談するよう勧めています(がん情報サービス「病院選びQ&A」)。

拠点病院のがん相談支援センターでは、何ができますか?

治療や療養生活、お金や仕事のことを相談できます。その病院に通っていない人も利用できます。

指針は、拠点病院等に「がん相談支援センター」と表示した窓口を置き、国立がん研究センターの研修を修了した相談員を含めて、専従と専任の相談員をそれぞれ1人以上置くことを求めています。社会福祉士を1人以上含めることが望ましいともしています。自院に通院していない人からの相談にも対応する旨を明記することも要件です(厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」)。

厚生労働省のQ&Aは、相談支援センターの業務について、件数だけで判断するのではなく、業務を行える体制があるかで判断するとしています(厚生労働省「整備に関する指針」に関するQ&A)。相談できる内容、相談員の職種、主治医との関係は、がん相談支援センターとはで詳しく説明しています。

診療件数の多い拠点病院ほど、よい病院なのですか?

必ずしもそうではありません。がん情報サービスは、件数や生存率で病院の優劣をつけることはできないとしています。

がん情報サービスは、病院ごとの生存率を治療成績とみなして病院の優劣をつけることはできない、としています。高齢の患者や重い病気を抱える患者の割合など、病院ごとに患者の背景が違うためです(がん情報サービス「病院選びQ&A」Q10)。

院内がん登録を使って病院ごとの診療数を調べる仕組みについても、次のような注意が書かれています(がん情報サービス「がん種別の診療数で病院を探す」2025年9月3日更新)。

  • 登録されているデータは、全国のがんすべてのデータではない
  • データは2、3年前のものが最新で、当時診療した医師が今もその病院にいるとは限らない
  • 過去にそのがんの患者を診た病院が、そのがんを専門としているとは限らない
  • 罹患数の多いがんでは、多くの患者を診ている病院が必ずしもよいとは限らない

指定は「合格ライン」で、順位ではありません

拠点病院の指定は、体制と件数の要件を満たしているかどうかの確認です。拠点病院どうしを比べて順位をつける仕組みではありません。「特例型」のように、要件の一部を満たしていない状態で指定されている病院もあります。指定の有無だけで、自分に合う病院かどうかは決まりません。

近くに拠点病院が複数あるときは、それぞれのメリットとデメリットを比べ、身近な人とも相談して決めることが勧められています。別の医師の意見を聞きたいときは、拠点病院の医師にセカンドオピニオンを求める方法もあります。手順はセカンドオピニオンは紹介状なしで受けられるかにまとめています。

厚生労働省の一覧表、がん情報サービスの「相談先・病院を探す」、都道府県のがん情報のページで探せます。

  • 厚生労働省「がん診療連携拠点病院等一覧表」:都道府県ごとに、種類別の病院名が並ぶ(令和8年10月1日現在)
  • がん情報サービス「相談先・病院を探す」:病名、地域、小児がん、相談支援センター、希少がんから探せる(hospdb.ganjoho.jp)
  • がん情報サービス「がん種別の診療数で病院を探す」:院内がん登録のデータをもとに、がん相談支援センターの相談員が調べて説明する
  • 都道府県のがん情報のページ:国の拠点病院と、都道府県が独自に指定した病院をあわせて確認できる

がん種別の診療数の検索は、都道府県がん診療連携拠点病院、一部の地域がん診療連携拠点病院、国立がん研究センターのがん相談支援センターが対応しています。受診先やセカンドオピニオン先を決める前に、相談支援センターで説明を受けることが勧められています(がん情報サービス「がん種別の診療数で病院を探す」)。

新見正則医院院長 新見正則

監修

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

詳しいプロフィール

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よくある質問

Qがん診療連携拠点病院は全国にいくつありますか?

2026年4月1日現在、都道府県がん診療連携拠点病院51、地域がん診療連携拠点病院357、特定領域がん診療連携拠点病院1、地域がん診療病院59の、合わせて468か所です。

Q拠点病院でないと標準治療は受けられませんか?

受けられる病院は多くあります。がん情報サービスは、希少がんを除き、専門医がいる、または年間で数十件程度の実績があるなどの病院であれば、標準治療を受けられることが多いとしています。

Q拠点病院に通っていなくても相談できますか?

できます。国の指針は、拠点病院のがん相談支援センターに、その病院に通院していない人からの相談にも対応する旨を明記することを求めています。

Q地域がん診療連携拠点病院の特例型とは何ですか?

指定要件の一部を満たしていない地域がん診療連携拠点病院です。要件を満たすことが確認されれば、通常の地域がん診療連携拠点病院に指定されます。2026年4月1日現在で11か所あります。

参考文献

  1. 厚生労働省「がん診療連携拠点病院等」(令和8年4月1日現在の指定数)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_byoin.html
  2. 厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備について」令和8年7月30日 健生発0730第1号(別添「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」)
    https://www.mhlw.go.jp/content/001730953.pdf
  3. 厚生労働省「『がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針』に関するQ&Aの送付について」令和8年8月31日
    https://www.mhlw.go.jp/content/001745452.pdf
  4. 厚生労働省「がん診療連携拠点病院等一覧表」令和8年10月1日現在
    https://www.mhlw.go.jp/content/001758547.pdf
  5. 厚生労働省「小児がん拠点病院等一覧表」令和5年4月1日現在
    https://www.mhlw.go.jp/content/001082929.pdf
  6. 厚生労働省「がんゲノム医療中核拠点病院等一覧表」令和8年11月1日時点
    https://www.mhlw.go.jp/content/001758546.pdf
  7. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「がん診療連携拠点病院」2024年7月2日更新
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/ganshinryorenkeikyotenbyoin.html
  8. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「地域がん診療連携拠点病院(特例型)」
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/chiikikyoten_tokurei.html
  9. 国立がん研究センター がん情報サービス「病院選びQ&A」2025年6月2日更新
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/anatani_shitte_hoshiikoto/choose_hospital_qa.html
  10. 国立がん研究センター がん情報サービス「がん種別の診療数で病院を探す」2025年9月3日更新
    https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/hospital_search.html
  11. 国立がん研究センター「院内がん登録2023年登録集計 公表」2025年2月13日
    https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/0213_2/index.html
  12. さいたま市「がん診療連携拠点病院」
    https://www.city.saitama.lg.jp/002/001/011/004/p038407.html
  13. 広島県 がん対策サポートサイト「がん診療連携拠点病院」
    https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/gan-net/iryou-kyotenbyouin.html

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