がん相談支援センターとは?誰に相談すればいいかわからないときの窓口

がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などにある相談窓口です。
その病院に通っていない人も家族も、無料・匿名で相談できます。

がんと言われたあと、誰に何を聞けばいいのかわからなくなることがあります。この記事では、国立がん研究センターのがん情報サービスと厚生労働省の指針をもとに、がん相談支援センターで何を相談できるか、相談員はどんな人か、相談した内容は主治医に伝わるのか、いつ行けばよいか、どう探すかを整理します。

がん相談支援センターとは、どんなところですか?

がんの治療や療養生活の悩みを、看護師やソーシャルワーカーなどの相談員に相談できる窓口です。全国のがん診療連携拠点病院などに置かれています。

がん情報サービスによると、がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院や小児がん拠点病院、地域がん診療病院などに置かれています(がん情報サービス「がん相談支援センターとは」2022年)。

このうち、がん診療連携拠点病院と地域がん診療病院は、2026年4月1日現在で合わせて468か所が指定されています(厚生労働省「がん診療連携拠点病院等」)。内訳は次のとおりです。

種類 数(2026年4月1日現在)
都道府県がん診療連携拠点病院 51
地域がん診療連携拠点病院 357(うち特例型11)
特定領域がん診療連携拠点病院 1
地域がん診療病院 59
合計 468

基本的な使い方は次のとおりです(がん情報サービス 2022年)。

項目 内容
使える人 患者さん本人、家族、その病院に通っていない地域の人
費用 無料
名前を言う必要 なし。匿名で相談できる
相談の方法 主に面談か電話
相談員 がんに詳しい看護師、生活全般の相談に対応するソーシャルワーカーなど
秘密 相談した人の同意なしに、担当医や病院のスタッフを含むほかの人に知られることはない
しないこと 担当医に代わって治療について判断すること

病院によっては、「医療相談室」「地域医療連携室」「患者サポートセンター」などの名前が一緒に書かれていることがあります(がん情報サービス 2022年)。

その病院に通っていなくても、相談できますか?

相談できます。患者さん本人だけでなく、家族や、その病院に通っていない地域の人も、無料・匿名で利用できます。

今かかっている病院にがん相談支援センターがなくても、近くの拠点病院のがん相談支援センターに相談できるということです。

国の指針も、拠点病院に対して、がん相談支援センターの案内に「自施設に通院していない者からの相談にも対応する旨を明記すること」を求めています(厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」2026年7月30日)。同じ指針は、次のことも求めています。

  • 必要に応じてオンラインでの相談を受け付けるなど、情報通信技術も活用する
  • コミュニケーションに配慮が必要な人や、日本語を母国語としていない人への配慮ができる体制を確保する
  • 院内の見やすい場所に、がん相談支援センターについて分かりやすく掲示する

受付時間や予約が要るかどうかは、病院ごとに違います。行く前に、そのがん相談支援センターの案内で確かめておくと確実です。

どんなことを相談できますか?

治療や副作用のこと、お金や仕事のこと、家族や医療者との関係、今の気持ちまで、がんに関わることを相談できます。特別な相談がなく、今の気持ちを話したいだけでも利用できます。

がん情報サービスは、相談できることの例を次のように挙げています(がん情報サービス「がん相談支援センターで相談できることの例と利用者の声」2025年)。

分野 相談の例
治療 検査や治療の流れ、標準治療の意味、複数の治療法で迷ったとき、先進医療や臨床試験を受けられるか、副作用のつらさ、外見の変化への対処
希少がん 希少がんの情報、治療、療養
療養生活・制度 医療費の見通しと使える制度、仕事の継続、職場や学校への伝え方、在宅療養での訪問看護の使い方
今の気持ち つらさや不安。特定の相談がなくてもよい
家族 診断を家族にどう伝えるか、本人への接し方、治療について本人と家族の意見が違うとき
医療者とのかかわり 専門用語が多い説明への対応、医師への質問の仕方、セカンドオピニオンを求めることへの気兼ね
AYA世代 15歳ごろから30歳代の、治療、学校、就職、妊娠・出産、子育て
妊孕性・性 がんや治療が妊娠・出産や性機能に与える影響

国の指針は、がん相談支援センターが窓口になって、病院全体で対応できる体制をつくるよう求めている業務として、次を挙げています(厚生労働省 2026年)。

  • がんの予防・検診・治療に関する一般的な情報提供
  • 自施設の診療機能と、連携先の医療機関の情報の収集・提供
  • 治療に関する意思決定の支援、セカンドオピニオンに関する情報提供
  • 治療による生殖機能への影響や、生殖機能の温存に関する相談
  • 小児がんの長期フォローアップ、がんゲノム医療、希少がんに関する相談
  • アピアランスケア(外見の変化へのケア)に関する情報提供・相談支援
  • 療養生活全般(経済的支援を含む)に関する相談支援と情報提供
  • 就学・就労に関する支援
  • AYA世代、高齢の患者さん、障害のある患者さんへの支援に関する相談
  • 患者会やピア・サポーターと共同で運営するサポートグループ、患者サロンなどの支援

同じ指針は、患者さんと家族が心の悩みや体験を語り合う患者サロンなどの場を設けることも求めています。オンラインでの開催もできるとされています(厚生労働省 2026年)。

この記事に書いた相談先から、具体的な話に進むときは、それぞれの記事が参考になります。主治医にセカンドオピニオンを言い出しにくいときはセカンドオピニオンは紹介状なしで受けられるかの記事、働き続けるか迷っているときはがんでも仕事は続けられるかの記事、家族として何から始めればいいかわからないときは家族ががんと告知されたらの記事にまとめています。休んでいる間の収入については、傷病手当金はがんでも使えるかを整理した記事があります。

がん相談支援センターで、治療方針を決めてもらえますか?

決めてもらうことはできません。がん相談支援センターは、担当医に代わって治療について判断する場所ではないとされています。

がん情報サービスと冊子「がん相談支援センターにご相談ください」は、この点をはっきり書いています(冊子「がん相談支援センターにご相談ください」第3版第5刷 2021年)。

その代わりに、判断の材料をそろえる手伝いをします。がん情報サービスが挙げる例には、担当医の専門的な説明がよくわからなかったときに補足の説明を受けたり、医師への質問の仕方を教えてもらったりした利用者の声があります(がん情報サービス 2025年)。治療を決めるのは、担当医と話し合ったうえでの患者さん本人です。

相談員は、どんな人ですか?

がんに詳しい看護師や、生活全般の相談に対応するソーシャルワーカーなどです。拠点病院には、国立がん研究センターの研修を修了した相談員を置くことが決められています。

国の指針は、地域がん診療連携拠点病院に、国立がん研究センターによる「がん相談支援センター相談員基礎研修(1)〜(3)」を修了した、専従と専任の相談員をそれぞれ1人以上置くことを求めています。そのうち1人は社会福祉士であることが望ましいとしています(厚生労働省 2026年)。

冊子「がん相談支援センターにご相談ください」によると、国が指定した研修を修了した相談員は、ロゴをかたどったバッジを着けています(2021年)。

国立がん研究センターは、がん相談に必要な一定以上の知識と技術がある相談員を「認定がん専門相談員」として認定しています。認定がん専門相談員が必ず複数名いることなどを条件に、施設を「国立がん研究センター認定がん相談支援センター」として認定する仕組みもあります(がん情報サービス「国立がん研究センター認定がん相談支援センターとは」2022年)。

相談した内容は、主治医に伝わりますか?

相談した人の同意なしに、担当医や病院のスタッフを含むほかの人に知られることはありません。

がん情報サービスは、このことを「がん相談支援センターとは」のページで明記しています(2022年)。名前を言わずに相談することもできます。

そのため、主治医に直接は言いにくいことも相談できます。がん情報サービスが紹介する利用者の声には、相談した内容が病院のスタッフに伝わらないと聞いて安心して利用できた、というものがあります(がん情報サービス 2025年)。

いつ相談に行けばいいですか?

困ったときにいつでも利用できます。そのうえで国の指針は、初診から治療開始までの間に、患者さんと家族が一度は立ち寄れる体制を拠点病院に求めています。

がん相談支援センターに立ち寄る時期。国の指針は、外来の初診から治療開始までの間に、患者と家族が必ず一度はがん相談支援センターを訪問できる体制を拠点病院に求めている
初診から治療開始までの間に一度、相談がなくても立ち寄れるようにする。2022年の指針では「望ましい」、2026年の指針では「整備し…案内すること」と書かれています。
厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」(2022年8月1日、2026年7月30日)、がん情報サービス 2022年をもとに作成

2026年7月30日付けの指針は、がん相談支援センターを知ってもらうための体制として、次の2つを挙げています(厚生労働省 2026年)。

  • 「外来初診時から治療開始までを目処に、がん患者及びその家族が必ず一度はがん相談支援センターを訪問(必ずしも具体的な相談を伴わない)することができる体制を整備し、相談を希望する場合には適切に案内すること」
  • 「治療に備えた事前の面談や準備のフローに組み込むなど、診療の経過の中で患者が必要とするときに確実に利用できるよう繰り返し案内を行うこと」

1つ目は、2022年8月1日付けの指針では「体制を整備することが望ましい」という書き方でした。このときは、訪問には「場所等の確認も含む」とも書かれていました(厚生労働省 第7回がんとの共生のあり方に関する検討会 資料1 2022年10月11日)。相談したいことがなくても、場所を確かめに行くだけでよい、という考え方です。

では、実際にはどれくらい使われているのでしょうか。国立がん研究センターの患者体験調査では、がん相談支援センターを知っている人は55.1%でした。知っている人のうち利用した人は21.1%、利用した人のうち役に立ったと答えた人は72.4%です(国立がん研究センター「令和5年度患者体験調査」2025年7月公表)。

21.1%

がん相談支援センターを知っている患者さんのうち、実際に利用した人の割合。
知っている人そのものが55.1%です。

国立がん研究センター「令和5年度患者体験調査」2025年7月公表

調査で「若年がん患者」に分類された人では、数字が違います。がん相談支援センターを知っている人は76.9%、知っている人のうち利用した人は26.0%でした(同)。

この調査の患者さんは、2021年に診断された人です

患者体験調査の対象は、2021年にがんと診断された18歳以上の患者さんです。32,716人に送り、14,797人から回答があり(回収率45.2%)、11,169人を解析しています。つまり、初診から治療開始までに一度は立ち寄れる体制を「望ましい」とした2022年8月の指針より前に、診断を受けた人たちの答えです。調査の報告も、指針が診断後に一度は立ち寄ることを求めていることに触れ、今後の変化を見ていく必要があるとしています。2026年の指針で求め方が変わったあとの利用状況は、まだ数字になっていません。

【最新の知見】2026年10月更新

厚生労働省は2026年7月30日付けで、がん診療連携拠点病院等の新しい整備指針を出しました。2022年8月1日付けの通知は2026年7月31日をもって廃止されています(厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備について」2026年7月30日)。

がん相談支援センターは、どうやって探せばいいですか?

がん情報サービスの「相談支援センターを探す」で、都道府県から検索できます。電話で探したいときは、がん情報サービスサポートセンターが案内しています。

がん情報サービスは、探し方を2つ紹介しています(がん情報サービス「がん相談支援センターの探し方」2022年)。

  • インターネットで探す:がん情報サービス「相談支援センターを探す」で、地域(都道府県)を選んで検索する。病院の種類で絞り込むこともできる
  • 電話で探す:がん情報サービスサポートセンター(0570-02-3410/03-6706-7797)に問い合わせる。平日10時〜15時(土日祝日、年末年始を除く)

サポートセンターへの相談は無料ですが、通話料は電話をかけた人の負担です。0570で始まる番号は、一部のIP電話からは使えません(がん情報サービス 2022年)。

病院の中で探すときは、名前に注意します。指針は、病院固有の名前と一緒に書くことを認めたうえで、「必ず『がん相談支援センター』と表記すること」を求めています(厚生労働省 2026年)。病院独自の名前の窓口でも、「がん相談支援センター」の表示を探せば見つけやすくなります。

がん情報サービスサポートセンターとは、何が違いますか?

がん情報サービスサポートセンターは、特定の病院ではなく、がん情報サービスが設けている電話とチャットの相談窓口です。がん相談支援センターを探す手助けもしています。

項目 がん相談支援センター がん情報サービスサポートセンター
場所 全国のがん診療連携拠点病院など 特定の病院ではない
相談の方法 主に面談か電話 電話、チャット
受付 病院ごとに違う 電話は平日10時〜15時、チャットは平日12時〜15時(土日祝日、年末年始を除く)
相談員 がんに詳しい看護師、ソーシャルワーカーなど がん相談の教育・研修を受けた、看護師や心理士などの国家資格を持つ人
費用 無料 無料。通話料・通信料は自己負担

サポートセンターでも、治療や検査、お金や仕事、病院選びやセカンドオピニオン、緩和ケアなどを相談できます。ただし、医学的な判断が必要な質問には答えられず、個人の医師を紹介することもできません。病院は、がん診療連携拠点病院を中心に複数を紹介するとしています。相談は原則1日1回、20分以内です(がん情報サービス「がん情報サービスサポートセンターのご案内」2026年)。

制度について、僕が本に書いたこと

高額療養費制度や医療費控除、失業保険、障害者年金などなど、いろいろな公的支援制度がありますが、公的支援制度は基本的に申請主義です。

こちらがアクションを起こさないと、その利益を享受できません。社会福祉士や医療に詳しいファイナンシャルプランナーに相談しましょう。

新見正則医院院長 新見正則

監修者

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

詳しいプロフィール

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がん相談支援センターは、治療方針を決める場所ではありません。主治医が示した方針そのものを、ほかの医師にも聞きたいと思ったら、次に知っておきたいのがセカンドオピニオンです。

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よくある質問

がん相談支援センターとは何ですか?

全国のがん診療連携拠点病院や小児がん拠点病院、地域がん診療病院などに置かれている、がんの相談窓口です。がんに詳しい看護師やソーシャルワーカーなどの相談員に、治療や療養生活、お金や仕事、家族のことなどを、面談か電話で相談できます。

がん相談支援センターは、その病院に通っていなくても使えますか?

使えます。患者さん本人だけでなく、家族や、その病院に通っていない地域の人も利用できます。国の指針も、通院していない人からの相談に対応することを案内に明記するよう、拠点病院に求めています。

がん相談支援センターの相談は無料ですか?

無料です。匿名で相談することもできます。電話で探す窓口のがん情報サービスサポートセンターも相談は無料ですが、通話料は電話をかけた人の負担です。

がん相談支援センターに相談したことは、主治医に伝わりますか?

相談した人の同意なしに、担当医や病院のスタッフを含むほかの人に知られることはありません。ただし、がん相談支援センターは担当医に代わって治療について判断する場所ではありません。

がん相談支援センターはどうやって探せばいいですか?

がん情報サービスの「相談支援センターを探す」で、都道府県を選んで検索できます。電話では、がん情報サービスサポートセンター(0570-02-3410/03-6706-7797、平日10時〜15時)が探す手助けをしています。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「がん相談支援センターとは」2022年11月7日更新・確認
    https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/cisc.html
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「がん相談支援センターで相談できることの例と利用者の声」2025年10月2日更新・確認
    https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/content.html
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス「がん相談支援センターの探し方」2022年11月7日更新・確認
    https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/supportcenter_search.html
  4. 国立がん研究センター がん情報サービス「国立がん研究センター認定がん相談支援センターとは」2022年11月7日更新・確認
    https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/cisc_ncc_certified.html
  5. 国立がん研究センター がん情報サービス「がん情報サービスサポートセンターのご案内」2026年5月1日更新・確認
    https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/support_center/guide.html
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス編集委員会 編『がん相談支援センターにご相談ください』第3版第5刷 2021年11月
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/pdf/001.pdf
  7. 国立がん研究センター がん情報サービス「相談支援センターを探す」
    https://hospdb.ganjoho.jp/kyoten/soudansearch
  8. 厚生労働省「がん診療連携拠点病院等」(指定状況 2026年4月1日現在)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_byoin.html
  9. 厚生労働省健康・生活衛生局長通知「がん診療連携拠点病院等の整備について」(健生発0730第1号)別添「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」2026年7月30日
    https://www.mhlw.go.jp/content/001730953.pdf
  10. 厚生労働省 第7回がんとの共生のあり方に関する検討会 資料1(「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針:令和4年8月1日」がんとの共生に係る部分の抜粋)2022年10月11日
    https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000998900.pdf
  11. 国立がん研究センター「令和5年度患者体験調査」結果公表 2025年7月3日
    https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2025/0703_1/index.html

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