セカンドオピニオンを受けるには、原則として主治医の紹介状と検査資料が必要です。
言い出しにくいときは、主治医以外に相談できる窓口があります。
この記事では、紹介状なしで受けられるのか、費用はいくらか、どんな手順で進むのかを、国立がん研究センターや厚生労働省の公開情報をもとに整理します。あわせて、主治医に言い出しにくいときの相談先と、主治医に伝える内容をまとめます。
この記事の内容
セカンドオピニオンは紹介状なしで受けられますか?
多くの病院では受けられません。紹介状(診療情報提供書)と検査資料を、受診の条件にしているためです。
国立がん研究センターのがん情報サービスは、セカンドオピニオンに必要なものとして次を挙げています(がん情報サービス「セカンドオピニオン」2024年)。
- 紹介状(診療情報提供書)
- 血液検査、病理検査・病理診断などの記録
- CT・MRIなどの画像データ(通常はCD-ROMなどにコピーしたもの)
同じページは、これらを「セカンドオピニオンを担当する医師に患者さんの客観的な状況を伝える」ための非常に重要な情報と位置づけています。国立がん研究センター中央病院も、相談時間の中に、医師が紹介状などを確認して報告書を作る時間を含めています。
2026年10月に、がん診療を行う8病院のセカンドオピニオン案内を確認しました。8病院すべてが紹介状を必要書類に挙げていました。そのうち5病院は、紹介状や検査資料を持参できない場合は相談を受けないと明記していました。
手続きの組み立て方にも特徴があります。今かかっている医療機関から紹介状をFAXしてもらう病院や、申し込み自体を今かかっている医療機関から行う病院がありました。こうした病院では、主治医を通さずに申し込むことが手順上できません。
紹介状なしで受け付けると明記した病院は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。ただし受け付けの条件は病院ごとに違います。受けたい病院が決まっているなら、その病院の窓口か、後で述べるがん相談支援センターで確認するのが確実です。
セカンドオピニオンと転院・一般外来の受診はどう違いますか?
セカンドオピニオンは、今の主治医のもとで治療を続けることを前提に、別の医師の意見を聞くことです。転院とは別のものです。
がん情報サービスは、セカンドオピニオンを「担当医とは別の医師に、診断や治療選択について第2の意見を求めること」と説明し、現在の担当医のもとで治療を受けることを前提に利用するものだとしています(がん情報サービス 2024年)。
「紹介状なしで行ける場所」を探しているときは、窓口ごとに何ができるかを分けて考えると混乱しません。
| 窓口 | 何をするところか | 紹介状 | 費用 |
| セカンドオピニオン外来 | 別の医師が診断や治療方針について意見を述べる | 原則必要 | 公的医療保険が使えず全額自己負担 |
| 大きな病院の一般外来(初診) | その病院で診察・治療を受ける | なくても受診はできる | 保険診療の自己負担に加え、紹介状がなければ特別の料金(医科の初診で7,000円以上) |
| がん相談支援センター | 情報提供と相談。治療方針の判断はしない | 不要 | 無料 |
セカンドオピニオン外来は、最初からその病院での治療を希望する人を対象にしていない病院があります。確認した病院の中には、その場合は紹介状を持って一般外来を受診するよう案内しているところがありました。
一般外来の特別の料金は、特定機能病院、一般病床200床以上の地域医療支援病院、一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関が対象です。初診で医科7,000円以上、再診で医科3,000円以上と定められています(厚生労働省 2022年10月の見直し)。2026年度の診療報酬改定では、この負担は「今改定では変更なし」とされています(厚生労働省 2026年)。
セカンドオピニオンの費用はいくらかかりますか?
セカンドオピニオン外来は公的医療保険が使えない自由診療で、全額自己負担です。一方、紹介状の作成には保険が適用されます。
がん情報サービスは、費用は病院によって異なるため事前に確認すること、遠方の病院では交通費も考えておくことを勧めています(がん情報サービス 2024年)。2026年10月に各病院の案内で確認した金額は次のとおりです。
| 病院 | 費用(税込・全額自費) | 時間 |
| 国立がん研究センター中央病院(対面) | 44,000円 | 最大1時間(医師が紹介状を確認し報告書を作る時間を含む) |
| 国立がん研究センター東病院 | 30分以内33,000円。超えると15分ごとに11,000円を加算 | 30分から(延長あり) |
| 確認したほかの3病院 | 30分11,000円〜27,500円 | 30分から(延長は加算) |
金額は病院の案内を確認した時点のものです。改定されることがあるため、申し込む前に必ず病院の窓口で確認してください。病理標本(プレパラート)の見直しを希望する場合は、セカンドオピニオンとは別の手続きを案内している病院もあります。
セカンドオピニオンはどんな手順で受けますか?
がん情報サービスは5つの手順で説明しています。そのうち3つの手順で、主治医とのやりとりが入ります。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「セカンドオピニオン」(2024年)をもとに作成
1. 主治医の説明を理解する
診断名、病状、進行度、勧められている治療とその理由を確認します。がん情報サービスは、いつまでに治療を選ぶ必要があるのかも主治医に確認しておくよう勧めています。
2. 受ける病院を決める
専門性の高い医師に意見を聞きたい場合は、主治医に紹介を頼む方法があります。迷うときは、がん相談支援センターで、セカンドオピニオンを受けられる病院や各病院の専門領域の情報を得られます。
3. 受診を手配する
受ける病院の窓口に連絡し、受診方法、予約方法、費用、相談時間、必要な書類を確認します。そのうえで主治医にセカンドオピニオンを受けたいと伝え、紹介状と検査資料を用意してもらいます。
4. セカンドオピニオンを受ける
セカンドオピニオンの医師に伝えたいこと、聞きたいことを整理して臨みます。
5. 結果を主治医に報告する
結果を主治医に報告し、今後の治療方針をあらためて話し合います。結果を受けて転院を考える場合は、まず転院できるかを確認し、できるなら主治医に転院の希望を伝えて、紹介状などの書類をあらためて用意してもらいます。
主治医に言い出しにくいときはどうすればいいですか?
主治医以外の医療スタッフや、がん相談支援センターに相談できます。がん情報サービスもその方法を案内しています。
がん情報サービスは、「担当医に言い出しにくい」と感じる人は少なくないと書いています。そのうえで、セカンドオピニオンは制度として認知されており、担当医に気を遣ったり遠慮したりする必要はないとしています(がん情報サービス 2024年)。
それでも言い出せないときの相談先として、次が挙げられています。
- がん相談支援センター
- 看護師
- 受付スタッフなど、主治医以外の医療スタッフ
がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などに置かれている相談窓口です。患者さんや家族だけでなく、その病院に通っていない人も、無料・匿名で利用できます(がん情報サービス「がん相談支援センターとは」2022年)。ただし、主治医に代わって治療を判断する場所ではありません。
主治医に伝える内容
言い出しにくさの一部は、何をどこまで伝えればよいかが分からないことから来ます。がん情報サービスと病院の案内から、主治医に伝える内容を整理すると次のようになります。
| 伝えること | 理由 |
| セカンドオピニオンを受けたいこと | 紹介状と資料は主治医が用意するため |
| 受ける病院の名前 | 紹介状は受診先あてに作られ、病院によっては今の医療機関から送ってもらう手順になっているため |
| 必要な資料(紹介状、画像、病理・血液の記録) | 受診先ごとに求める資料や画像の形式が違うため |
| いつまでに治療を決める必要があるか | セカンドオピニオンの日程を、治療の開始に間に合わせるため |
| 結果を報告すること | 結果をもとに主治医と治療方針を話し合うのが、手順の最後だから |
受ける病院の窓口で、必要な書類や画像の形式を先に確認しておくと、主治医への依頼が一度で済みます。確認した病院の中には、画像はCD-RのDICOM形式に限り、DVDは受け取らないと案内しているところもありました。
紹介状を頼まずに、検査資料だけ手に入れられますか?
診療記録の開示を求めることはできます。ただし、開示された資料を紹介状の代わりとして受け付けるかは、受診先の病院によります。
厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」は、患者さんが診療記録の開示を求めた場合、医療従事者等は原則としてこれに応じなければならないとしています。開示にかかる費用は、医療機関が徴収できるとされています(厚生労働省「診療情報の提供等に関する指針」2003年)。
一方で、確認した病院のセカンドオピニオン案内は、いずれも主治医が作成した紹介状を求めていました。開示で手に入る記録と、主治医が受診先にあてて病状と経過をまとめた紹介状は、別のものとして扱われています。開示した資料で受け付けてもらえるかは、受けたい病院に事前に問い合わせてください。
家族だけで受けたり、オンラインで受けたりできますか?
本人の同意があれば、家族だけで受けられる病院があります。オンラインでセカンドオピニオンを行う医療機関もあります。
がん情報サービスは、患者さんが入院中などの場合、本人の同意があれば家族だけで受診できることもあるとしています。対応は病院によって異なるため、事前の問い合わせが必要です(がん情報サービス 2024年)。国立がん研究センター中央病院・東病院は、家族など代理の人が来院する場合に「相談同意書」を求めています。
国立がん研究センター中央病院のオンライン・セカンドオピニオンは、原則として希少がんなど判断に迷いやすい病気を対象とし、紹介状と画像検査結果の送付を求めています(国立がん研究センター中央病院)。オンラインでも、紹介状が要らなくなるわけではありません。
8病院の確認で言えること、言えないこと
この記事の「8病院すべてが紹介状を求めていた」は、公的病院や大学病院など、案内を公開している病院を中心に確認した結果です。全国の病院から無作為に選んだものではありません。紹介状がなくても相談を受け付ける医療機関が、どこにも存在しないという意味ではありません。
7,000円以上
紹介状なしで大きな病院の外来を初診したときに、保険診療とは別に求められる特別の料金(医科)。
紹介状なしで行けるのは一般外来であって、セカンドオピニオン外来ではありません。
厚生労働省 2022年10月の見直し。2026年度改定で変更なし
紹介状は、別の医師が病状を正確に読むための資料です。主治医の判断を否定するための書類ではありません。がん情報サービスが、セカンドオピニオンを今の主治医のもとで治療を受けることを前提にした仕組みと位置づけているのも、そのためです。
自信がある病院は、セカンドオピニオンに出します
自信があれば、セカンドオピニオンに出します。そして患者さんは戻って来ます。病院には実はヒエラルキーがあります。自信がない病院はセカンドオピニオンを渋ります。
「セカンドオピニオンに時間を割いて、治療が遅れるのがもったいない」とか、「セカンドオピニオンに行っても答えは同じですよ」とかいう病院(医師)はやめたほうが得策です。セカンドオピニオンを推進してきた私からすると、「言い訳」など思い浮かびません。
セカンドオピニオンは自費診療で行っている病院がほとんどですが、その場合数万円を支払えば30分から60分の時間をとって十分に話を聞いてもらうことができます。

新見正則(にいみ まさのり)
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。
日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)
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セカンドオピニオンの手順の2番目は、受ける病院を決めることです。病院を比べる物差しを持っておくと、ここで迷いません。
がん治療病院の選び方。誰も教えてくれなかった基準
まず近くの病院を候補にする理由、がん診療連携拠点病院の指定や放射線治療医・病理医の体制といった外から確かめられる基準、口コミやランキングを重く見ない理由を書いています。セカンドオピニオンの体制も、病院を見る基準のひとつとして挙げています。
よくある質問
セカンドオピニオンは紹介状なしで受けられますか?
多くの病院では受けられません。2026年10月に確認した8病院はすべて紹介状(診療情報提供書)を必要書類に挙げ、うち5病院は紹介状や検査資料がない場合は相談を受けないと明記していました。条件は病院ごとに違うため、受けたい病院の窓口で確認してください。
セカンドオピニオンの紹介状を主治医に頼みにくいときは?
がん相談支援センターや、看護師・受付スタッフなど主治医以外の医療スタッフに相談できます。がん情報サービスは、セカンドオピニオンは制度として認知されており、担当医に気を遣ったり遠慮したりする必要はないとしています。
セカンドオピニオンに保険は使えますか?
セカンドオピニオン外来は自由診療で、全額自己負担です。紹介状の作成には保険が適用されます。相談料は病院ごとに違い、確認した病院では30分11,000円から、国立がん研究センター中央病院の対面で44,000円(最大1時間)でした。
紹介状なしで大きな病院を受診するとどうなりますか?
特定機能病院などの大きな病院では、保険診療の自己負担とは別に特別の料金がかかります。医科の初診で7,000円以上です。これはその病院で診療を受ける一般外来の受診であり、セカンドオピニオンではありません。
セカンドオピニオンは家族だけで受けられますか?
本人の同意があれば、家族だけで受けられる病院があります。相談同意書や委任状を求める病院があり、対応は病院ごとに違うため事前に問い合わせてください。
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「セカンドオピニオン」2024年6月17日更新・確認
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/dia_tre_diagnosis/second_opinion.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「がん相談支援センターとは」2022年11月7日更新・確認
https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/cisc.html - 厚生労働省「紹介状なしで受診する場合等の定額負担」制度の内容(2022年10月1日からの見直し)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000963828.pdf - 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 7.外来医療の機能分化・強化等」2026年
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001681336.pdf - 厚生労働省「診療情報の提供等に関する指針」2003年
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0623-15m.html - 国立がん研究センター中央病院「セカンドオピニオン(対面)」
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/d001/secondopinion/taimen/index.html - 国立がん研究センター東病院「セカンドオピニオン」2026年3月3日更新
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/d001/consultation/2opinion/001/index.html - 国立がん研究センター中央病院「オンライン・セカンドオピニオン」
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/d001/secondopinion/online/index.html




