ケモブレインは、がん治療の前後に起こる物忘れや集中力の低下で、多くは時間とともに軽くなりますが、長く続く人もいます。
この記事では、ケモブレインで出る症状、どのくらいの人に起こり、いつまで続くのか、抗がん剤のほかに考えられている原因、対処法の効果がどこまで確かめられているか、受診の目安、仕事や生活での工夫を、米国国立がん研究所(NCI)の専門家向け情報と、患者さんを追った大規模な研究の数字で整理します。
この記事の内容
ケモブレインとは何ですか?
がんやその治療に伴って、記憶、集中、考える速さなどが落ちる状態の呼び名です。研究では、がん関連認知機能障害(CRCI)と呼ばれます。
「ケモ」は、抗がん剤による治療(化学療法、ケモセラピー)からきた言葉です。米国がん協会は、この状態を認知機能障害と呼び、ケモブレインやブレインフォグ(頭に霧がかかったような状態)とも呼ばれると説明しています(米国がん協会「Changes in Memory, Thinking, and Focus (Chemo Brain)」2024年3月13日改訂)。
名前に抗がん剤が入っていますが、抗がん剤だけで起こるものとは考えられていません。研究では、抗がん剤に限らない呼び方として、がん関連認知機能障害(Cancer-Related Cognitive Impairment:CRCI)という言葉が使われます。国際がんサポーティブケア学会(MASCC)の神経合併症の研究グループは、CRCIを、脳以外のがんの患者さんによく見られ、病気と治療の経過のどの時期にも起こるものとしています(Mayo SJ, et al. Support Care Cancer 2021)。
NCIの専門家向け情報(PDQ)は、認知機能を、注意・集中、実行機能(段取りを立てて進める力)、情報を処理する速さ、空間をとらえる力、言語、学習・記憶の6つの領域に分けて説明しています。検査では、がんの経験者の一部に、記憶、集中、処理の速さ、実行機能の低下が見られるとしています(NCI「Cognitive Impairment in Adults With Cancer (PDQ)」2024年11月7日更新)。
ケモブレインでは、どんな症状が出ますか?
物忘れ、集中が続かない、言葉が出てこない、段取りや同時進行が難しい、作業に時間がかかる、といった症状です。
米国がん協会は、次のような変化を挙げています(米国がん協会 2024年)。
- 名前や日付、出来事を忘れる
- 集中が続かない、周りで起きていることを追えなくなる
- 計画を立てる、決める、考えを出すことが難しい
- いくつかのことを同時に進められない
- 新しいことを覚えにくい
- 作業を終えるのに時間がかかる、言葉が出てこない
同協会は、こうした変化は周りの人には気づかれにくい一方で、本人は気づくことが多いとしています。また、記憶や考える力の変化は多くの場合時間とともに消えていき、アルツハイマー病のような重い病気のしるしではないことが多いとも説明しています。
ケモブレインは、どのくらいの人に起こりますか?
研究によって大きな幅があります。治療中に何らかの変化を訴える人は最大75%と報告されていますが、数字は測り方と比べる相手によって変わります。
米国の研究者による総説は、認知機能の低下は、抗がん剤を始める前の時点で最大30%の人に見つかり、治療中には最大75%の人が何らかの変化を訴え、治療を終えて何年もたってからも最大35%の人に残るとしています(Janelsins MC, et al. Int Rev Psychiatry 2014)。どれも、研究ごとの数字の上限です。NCIのPDQによると、乳がんの患者さんが自分で感じる不調を調べた27の研究では、その割合は21%から90%まで開いていました。
幅が出る理由の1つは、何で測るかです。研究には、本人に質問票で答えてもらう方法(自己申告)と、記憶や注意を決まった課題の検査で測る方法(神経心理検査)があります。
| 測り方 | 何を測るか | 特徴 |
| 自己申告(FACT-Cogなどの質問票) | 本人が感じている物忘れや集中しにくさ | 生活の中の困りごとをとらえる。不安や気分の落ち込みがある人ほど点数が低い傾向が報告されている |
| 神経心理検査 | 記憶、注意、処理の速さ、実行機能などの成績 | 治療前の成績や、がんでない人の成績と比べて変化を見る |
出典:NCI PDQ(2024年11月7日更新)、Janelsins MC, et al. J Clin Oncol 2017をもとに作成
米国の地域のがん診療施設が参加した研究では、抗がん剤治療を受ける乳がんの女性581人と、がんでない同年代の女性364人を、抗がん剤の前、終了後、終了6か月後の3回、FACT-Cogで比べました。患者さんの48%はアントラサイクリン系の薬を含む治療でした。自分で感じる認知機能がはっきり落ちた人の割合は次のとおりです(Janelsins MC, et al. J Clin Oncol 2017)。
| 比べた期間 | 乳がんの患者さん | がんでない女性 |
| 抗がん剤の前から終了後まで | 45.2% | 10.4% |
| 抗がん剤の前から終了6か月後まで | 36.5% | 13.6% |
出典:Janelsins MC, et al. J Clin Oncol 2017(乳がん581人、がんでない女性364人)
同じ研究グループは、580人と363人に神経心理検査も行いました。患者さんでは、視覚の記憶の成績が抗がん剤の前から終了6か月後にかけて下がり、がんでない女性では変わりませんでした。記憶、注意、実行機能のほかのいくつかの検査でも、患者さんの成績のほうが低い結果でした(Janelsins MC, et al. J Clin Oncol 2018)。対象はⅠ期からⅢC期の乳がんの患者さんです。
本人の感じ方と検査の成績は、そろわないことがある
NCIのPDQは、自己申告と神経心理検査の結果の関係を調べた24の研究のうち、はっきりした関連が見られたのは8つだったとする系統的レビュー(Hutchinson 2012)を紹介しています。検査で差が出ても本人は困っていないことも、本人が困っていても検査で差が出ないこともあり、研究では両方が別々に調べられています。また、自己申告の数字には、がんでない人にも起こる変化が含まれます。上の研究では、がんでない女性でも13.6%が、同じ期間にはっきり落ちたと答えていました。
抗がん剤を始める前から、物忘れが出ることはありますか?
あります。抗がん剤を始める前の時点で、すでに認知機能の低下が見つかる人がいます。
NCIのPDQは、早期の結腸がんの患者さんのうち37%に、抗がん剤を受ける前の時点で、処理の速さと実行機能の低下が見られたという研究を紹介しています。新たに乳がんと診断された人の研究では、認知機能の低下に、心的外傷後ストレスの症状がかかわっていたと報告されています(NCI PDQ 2024年)。
米国がん協会も、こうした変化は治療を受けていない人や、治療を終えてしばらくたった人にも起こることがあるとしています(米国がん協会 2024年)。
抗がん剤を始めてから物忘れに気づいても、そのすべてが抗がん剤によるとは限りません。上で紹介した研究が、患者さんの治療前の値と比べ、さらにがんでない人とも比べているのは、このためです。
ケモブレインは、いつまで続きますか?
多くは時間とともに軽くなりますが、治療を終えて6か月たっても残る人や、数年続く人もいます。
NCIのPDQは、研究をまとめた解析で、治療を終えてからの時間が長いほど認知機能が回復する傾向が見られたとしています。続く期間を調べた研究の結果は次のとおりです。
| 研究 | 対象 | わかったこと |
| TAILORx(2020年) | ホルモン受容体陽性・HER2陰性・腋窩リンパ節転移陰性で、再発の危険を示す遺伝子検査のスコアが11〜25の早期乳がん。評価できた552人のうち、治療前と3か月の両方のデータがある454人で主に解析。抗がん剤+ホルモン療法か、ホルモン療法だけかをくじ引きで割り当て | 両群とも、3・6・12・24・36か月の時点で、自分で感じる認知機能が治療前より低かった。群の差があったのは3か月と6か月だけ |
| 大腸がんの研究(2015年) | 大腸がんの患者さんとがんでない人 | 6か月の時点で自己申告の低下があったのは、抗がん剤を受けた人32%、受けなかった人16%、がんでない人12.5%。12か月では差がなかった |
| 乳がんの研究(2018年) | 乳がん580人とがんでない女性363人 | 視覚の記憶の検査の成績が、抗がん剤の前から終了6か月後にかけて下がった |
出典:Wagner LI, et al. J Clin Oncol 2020、NCI PDQ(2024年11月7日更新。Vardy JL, et al. J Clin Oncol 2015を紹介)、Janelsins MC, et al. J Clin Oncol 2018
TAILORxは、ホルモン受容体陽性・HER2陰性・腋窩リンパ節転移陰性の早期乳がんで、抗がん剤を足すかどうかをくじ引きで決めた比較試験で、その参加者の一部が認知機能の質問票に答えました。主な解析は、治療前と3か月の両方のデータがある454人(抗がん剤+ホルモン療法218人、ホルモン療法だけ236人)です。抗がん剤を足した群では、3か月と6か月の時点で、ホルモン療法だけの群より低下が大きく、12か月以降は差がなくなりました。著者らは、抗がん剤による認知機能の低下は早い時期のもので、続くものではないとしています(Wagner LI, et al. J Clin Oncol 2020)。
一方で、ホルモン療法だけの群でも、36か月の時点まで治療前の値を下回っていました。抗がん剤を使わなかった人でも、自分で感じる認知機能の低下が3年続いていたことになります。治療を終えて何年もたってから最大35%の人に残るとする報告もあります(Janelsins 2014)。
脱毛やしびれなど、ほかの副作用が出る時期と続く期間は、抗がん剤の副作用はいつから、いつまで続くかの記事で一覧にしています。
抗がん剤のほかに、原因として何が考えられていますか?
がんそのもの、手術や放射線治療、ホルモン療法、疲れ、眠れないこと、不安や落ち込みなどがかかわると考えられていますが、仕組みはまだわかっていません。
米国がん協会は、はっきりした原因はわかっていないとしたうえで、かかわりうる要因として次のものを挙げています(米国がん協会 2024年)。
| 要因 | 例 |
| がんの治療 | 抗がん剤、手術、放射線治療、免疫療法、ホルモン療法、分子標的薬。ステロイド、吐き気止め、痛み止めなどの薬 |
| がんそのもの | 脳腫瘍を含む |
| ほかの病気や体の状態 | 糖尿病、高血圧、貧血、感染症、栄養不足、閉経などのホルモンの変化 |
| 症状と気持ち | 疲れ、痛み、眠れないこと、ストレス、不安、気分の落ち込み |
| そのほか | 高齢、体の弱さ(フレイル)、アルコールなど |
出典:米国がん協会「Changes in Memory, Thinking, and Focus (Chemo Brain)」(2024年3月13日改訂)をもとに作成
NCIのPDQは、がんの経験者212人の研究で、自分で感じる認知機能の低下には、年齢などの背景や病気・治療の内容よりも、疲れとストレスのほうが強くかかわっていたと紹介しています。血液中の炎症の指標(CRPやインターロイキン6)が高いことも、かかわる要因に挙げられています(NCI PDQ 2024年)。
ホルモン療法では、言葉の記憶、言葉がすらすら出てくる力、動作の速さ、注意、作業記憶の低下との関連が報告されています。乳がんでタモキシフェンのあとにエキセメスタンを使った人では、治療開始から1年後と5年後に、がんでない人と比べた低下が見られたという研究もあります(NCI PDQ 2024年)。ホルモン療法のほかの副作用と続く期間は、ホルモン療法の副作用の記事で扱っています。
抗がん剤がどのような仕組みで記憶や集中に影響するのかは、わかっていません。原因を1つに決められないため、NCIのPDQは、薬、ほかの病気、気分、睡眠、痛み、疲れ、ホルモンの状態など、治療で改善しうる要因を調べることを挙げています。
ケモブレインに、効果が確かめられた対処法はありますか?
認知リハビリと運動には、自分で感じる不調が軽くなった比較試験がありますが、検査の成績まで良くなったかは結果が分かれています。薬は、比較試験で効果が示されたものが挙げられていません。
| 対処 | 調べられたこと | 結果 |
| 認知リハビリ(記憶や注意の練習、困りごとを補う工夫の練習) | 対面やウェブで行うプログラムの比較試験 | 良い結果の試験が多い一方、多くは50人未満の小さな試験。NCIは根拠を「控えめ」と評価 |
| 運動 | 週150分以上の有酸素運動などの比較試験 | 自己申告の改善が多く、検査の成績が良くなったのは一部 |
| ヨガ・気功・太極拳、瞑想 | 小規模な試験 | 良い結果の試験と、効果がなかった試験の両方がある |
| 薬(メチルフェニデート、モダフィニル、ドネペジルなど) | 小規模な試験、一部は比較試験 | ドネペジルの比較試験(乳がんの経験者276人)では、24週の記憶に差がなかった |
出典:NCI「Cognitive Impairment in Adults With Cancer (PDQ)」(2024年11月7日更新)をもとに作成
認知リハビリの比較試験で規模が大きいものに、オーストラリアの試験があります。抗がん剤を3サイクル以上受けてから6〜60か月たち、認知機能の症状が続いている242人を、ウェブで行う15週間のプログラム(Insight)を受ける群と受けない群に分けました。プログラムの群では、自分で感じる認知機能の低下が軽くなり、その差は6か月後も続きましたが、神経心理検査の成績には差がありませんでした(Bray VJ, et al. J Clin Oncol 2017)。
運動では、ホルモン療法を受けている閉経後の乳がんの女性153人に、週150分以上の有酸素運動を6か月行ってもらった比較試験で、情報を処理する速さが改善しました。抗がん剤を受けた乳がんの経験者181人の比較試験では、主な評価項目の記憶には差がなく、自己申告の認知機能、疲れ、生活の質、気分の落ち込みが改善しました。2018年までに発表された29の試験をまとめた系統的レビューでは、自己申告で効果が見られたのは12試験(41%)、検査で測った10試験のうち効果が見られたのは3試験(30%)でした(NCI PDQ 2024年)。
比較試験で改善したのは、まず本人の感じ方
認知リハビリでも運動でも、比較試験で多く改善が示されたのは、本人が質問票で答える認知機能です。神経心理検査の成績が良くなったかは、試験によって分かれています。どのくらいの期間、どの方法で行えばよいかを決めるだけの大きな試験は少なく、NCIのPDQも認知リハビリの根拠を「控えめ」と評価しています。
米国がん協会は、集中や記憶、仕事や日常の作業の力を取り戻すためのリハビリを検討することを挙げています。NCIの患者さん向けの情報は、ソーシャルワーカーや、神経心理学の専門家などに相談できるかを医療者に尋ねる方法を紹介しています(NCI「Memory or Concentration Problems and Cancer Treatment」2023年1月26日確認)。
物忘れが気になるとき、受診の目安はありますか?
生活や仕事に支障があるとき、不眠や気分の落ち込みが続くとき、頭痛やまひなどほかの症状を伴うときは、主治医に伝えて原因を確かめます。
NCIのPDQは、認知機能の低下を評価するときに、もともとの状態、飲んでいる薬やサプリメント、体の一部に出る神経の症状、脳や髄膜への転移のしるしを確かめるとしています。頭の画像検査は、がんや治療による特定の合併症が心配されるときを除いて、決まって行うものではないとしています(NCI PDQ 2024年)。
がんが脳に転移したときに出る症状と見つけ方は、脳転移とはの記事で説明しています。
米国がん協会は、診断の直後、治療中、治療のあとのどの時期でも、記憶や考える力、集中の変化を医療者に伝えるよう案内しています。伝えるときにまとめておくとよいこととして、次のものを挙げています(米国がん協会 2024年)。
- どんな変化を感じているか、いつ強くなるか
- 何で楽になり、何で悪くなるか
- 仕事や家事など、生活にどう響いているか
- 疲れ、眠れない、痛み、ストレスなど、一緒にある症状
- 困ったときの記録(時間帯、場所、飲んだ薬)
- 飲んでいる薬とサプリメントの一覧
物忘れのことで不安や気分の落ち込みが続くときも、伝える対象に挙げられています。
仕事や生活では、どんな工夫ができますか?
予定や大事なことを1か所に書き出す、一度に1つの作業にする、頭を使う作業を調子のよい時間に回す、睡眠をとる、といった工夫が挙げられています。
米国がん協会とNCIの患者さん向けの情報は、次のような工夫を挙げています(米国がん協会 2024年、NCI 2023年)。
- 手帳やスマートフォンのリマインダーを使い、予定と大事な情報を1か所にまとめる
- よくなくす物の置き場所を決め、毎日の手順を決めておく
- 一度に1つの作業をする
- 集中の要る作業は、調子のよい時間帯に回す
- 夜の睡眠を十分にとり、昼寝は1時間以内にする
- 体を動かす。パズルや言葉遊び、新しい趣味で頭を使う
- 家族や周りの人に、何が起きていて、どう手伝ってほしいかを伝える
仕事で、作業に時間がかかる、段取りが組みにくいといった変化が続くときは、働き方を変えられるかを会社と話し合うことになります。その前に主治医から聞いておく治療の見通しや、会社の制度の確かめ方は、この記事の最後の「次に読む」で紹介する記事にまとめています。
13.6%
がんでない同年代の女性のうち、乳がんの患者さんと同じ期間に、自分で感じる認知機能がはっきり落ちたと答えた人の割合です。乳がんの患者さんでは36.5%でした。
ケモブレインの割合は、がんでない人にも起こる変化を差し引いて見る必要があります。
出典:Janelsins MC, et al. J Clin Oncol 2017(乳がん581人、がんでない女性364人。抗がん剤の前から終了6か月後まで)
監修
新見正則(にいみ まさのり)
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。
日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)
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よくある質問
Qケモブレインはいつまで続きますか?
人によって違います。多くは時間とともに軽くなるとされていますが、乳がんの大規模な研究では、抗がん剤の終了6か月後までに36.5%が、自分で感じる認知機能がはっきり落ちたと答えていました(がんでない女性では13.6%)。治療を終えて何年もたってから残る人もいると報告されています。
Qケモブレインと認知症は違いますか?
米国がん協会は、がん治療に伴う記憶や考える力の変化は多くの場合時間とともに消えていき、アルツハイマー病のような重い病気のしるしではないことが多いとしています。ただし、薬や睡眠、気分の落ち込みなど、ほかの原因がかかわっていることもあるため、生活に支障があるときは主治医に伝えて確かめます。
Q抗がん剤を使っていなくても物忘れは起こりますか?
起こることがあります。抗がん剤を始める前から低下が見つかる人がいます。早期乳がんの比較試験(TAILORx)では、ホルモン療法だけの群でも、36か月の時点まで自分で感じる認知機能が治療前より低い状態でした。がんそのもの、手術、ホルモン療法、疲れ、睡眠、不安なども原因として考えられています。
Qケモブレインに効く薬はありますか?
比較試験で効果が示された薬は、NCIの専門家向け情報には挙げられていません。メチルフェニデートやモダフィニルは小規模な試験が中心で、認知症の薬のドネペジルは、乳がんの経験者276人の比較試験で、24週の記憶に差がありませんでした。
Qケモブレインは脳トレで良くなりますか?
認知リハビリの比較試験では、自分で感じる認知機能が改善したものがあります。242人の試験では、ウェブで行う15週間のプログラムで、自己申告の改善が6か月後も続きましたが、神経心理検査の成績には差がありませんでした。多くの試験は50人未満と小さく、NCIは根拠を控えめと評価しています。
参考文献
- American Cancer Society. Changes in Memory, Thinking, and Focus (Chemo Brain). 2024年3月13日改訂
https://www.cancer.org/cancer/managing-cancer/side-effects/changes-in-mood-or-thinking/chemo-brain.html - National Cancer Institute. Cognitive Impairment in Adults With Cancer (PDQ®)–Health Professional Version. 2024年11月7日更新
https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/cognitive-impairment-hp-pdq - National Cancer Institute. Memory or Concentration Problems and Cancer Treatment. 2023年1月26日確認
https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/memory - Mayo SJ, Lustberg M, Dhillon HM, et al. Cancer-related cognitive impairment in patients with non-central nervous system malignancies: an overview for oncology providers from the MASCC Neurological Complications Study Group. Support Care Cancer. 2021;29(6):2821-2840. doi:10.1007/s00520-020-05860-9
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