フアイアが免疫力をアップしてがん患者さんの延命効果があることを示した論文は2018年に超一流英文誌であるGutに掲載されました。医学雑誌には素晴らしさを反映するインパクトファクターというものがあります。その医学雑誌が他の医学雑誌から引用される回数を計算して数値化しているもので、インパクトファクターが高いほどよい雑誌になります。インパクトファクターが10点を超えれば超一流誌ですが、Gutは現在31点を超えています。
こんな超一流英文誌になぜ生薬であるフアイアが載ったのかというと、1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いたからです。ランダム化というのはくじ引きということでフアイアを飲んだ群と飲まない群をくじ引きで分けて比べています。1000例規模のランダム化された大規模臨床試験は米国腫瘍学会のエビデンスピラミッドの頂点に輝くもので、最もエビデンスが高い臨床研究になります。
次に大切なことはエンドポイントが生存率であるということです。エンドポイントとは比較する目標ですが、どのくらい生きるかという僕達が、そして患者さんが切に願う目標で比較していることです。腫瘍が一時小さくなっても、腫瘍マーカーの値が低下しても、延命に繋がらなければ意味がありません。
そして、生薬として査読者から質問されることは、生薬のバラツキについてです。オックスフォード大学博士課程で過ごした5年間には、一流英文誌に投稿し受理される方法も学びました。その後、一流英文誌の査読を多数行って来ました。大切なことのひとつは同じ実験を他のグループが行うことができるかなのです。西洋薬の多くは単一物です。西洋薬も最初は生薬などの薬効を有する多成分系のものの中から主成分を分離精製しました。すると化学構造が判明し、化学構造が判明すると化学合成できるようになります。つまり西洋薬は基本的に純物なのです。今流行の抗体製剤にしても、ある抗原に特異的に結合する単一の抗体をクローン増殖させているのです。つまり純物です。
生薬は自然界のものですから、イメージは食品と同じです。同じ系統の野菜でも果物でも味が異なることを皆さんは経験しています。つまり同じ系統でも同じ味である保証がないのです。医療用漢方薬の最大手である株式会社ツムラのサイトにも、以下のような文言があります。
『漢方製剤の原料である生薬には、天然物由来の素材につきものの「ばらつき」があります。同じ生薬であっても複数の系統が存在しており、含有成分や成分バランスが異なっています。また、同一系統の生薬であっても、産地や生育環境・採取時期、保管状態などによって成分が変動します。』
このバラツキを査読者に納得させないと漢方薬や生薬の臨床研究はすくなくとも超一流英文誌には載らないのです。再現性がないからです。
このバラツキに関しては、フアイアは実は克服されているのです。数十年前に中国では肝炎から肝硬変、そして肝臓がんに至る患者さんがたくさんいました。そんな時に生薬をいろいろ試したのです。そしてエンジュの老木に生えるキノコのひとつに抗がん作用があることが判明し、1992年には抗がん新薬として認められています。そしてこのエンジュの老木に生えるキノコは乱獲され、天然物はほぼなくなりました。この時に、このキノコの菌糸体を培養して同じ成分を有するエキス製剤が作成可能になりました。それがフアイア顆粒です。つまりフアイア顆粒は現在では工場内ですべての過程が終了する工業製品なのです。このフアイア顆粒は均質性も担保され、農薬や重金属の心配もありません。
このフアイア顆粒を用いて、肝臓がん手術後の方を集めて、1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を行い、エンドポイントを生存率にして勝ち抜いたからこそ超一流英文誌のGutに生薬でありながら採択されたのです。そして、フアイア顆粒は明らかな抗がんエビデンスを獲得した世界初の生薬・漢方薬に輝いたのです。
●内部リンク(当サイト内でご参考になる記事)
まずフアイアを試したいときには
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執筆者略歴 新見正則
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主催者。
新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
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