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悪性骨軟部腫瘍なんですね。治療は進歩しました。
私が医師になった当時、約40年前は、悪性骨軟部腫瘍を含めて固形がんも血液がんも不治の病でした。当時の抗がん剤はほぼ無効で、手術治療のみが一縷の望みを繋ぐ手段でした。
肉腫とは、ザックリと内臓、血液、脳、皮膚以外から発生する悪性腫瘍のことです。がんは悪性腫瘍全般を示し、漢字の癌は上皮性腫瘍を示します。ですから、肉腫は「癌」ではありません。肉腫は「がん」です。
以前は悪性骨軟部腫瘍の手術は切断術が主流でした。そして四肢の切断を行って長期生存を得た人、その後天命を全うしたひとが少なからずいました。悪性骨軟部腫瘍が体幹にできれば手術不可能なこともありました。
骨軟部腫瘍の特徴は、①まれながんであること(希少がん)、②多数の組織型があること、③全身の様々な部位に発生すること、の3点です。整形外科がんは悪性骨軟部腫瘍で、骨と軟部組織に分類されます。骨の悪性腫瘍は骨肉腫とユーイング肉腫で、ともに中高生にピークがあり、その後低下し高齢化するに従って再び増加します。一方で軟部肉腫には若年者のピークはなく高齢化するに従って増加します。ですから、骨肉腫やユーイング肉腫はAYA世代のがんに該当します。
以前は四肢の悪性骨軟部腫瘍の患者さんの多くには四肢の切断術で対応していましたが、現在は多くの患者さんが切断することなく治療を行っています。その理由は術前に化学療法を行い(これをネオアジュバンドと称します)、または放射線治療を行い、腫瘍を小さくしてから手術を行うことができるからです。また、腫瘍の栄養動脈から抗がん剤を注入する動注化学療法も行われます。腫瘍に巻き込まれている大切な神経を上手に残して(腫瘍の残存は一部覚悟して)腫瘍切除を行っても、長期間に亘って元気な患者さんも少なからず存在します。
悪性骨軟部腫瘍に対する抗がん剤は、アドリアマイシンなどの殺細胞性抗がん剤であるアンスラサイクリン系のものが第一選択で使用されます。ユーイング肉腫は抗がん剤に感受性が高く、骨肉腫も比較的感受性がありますが、軟部肉腫には著効しません。
二次治療には、エリブリン、トラベクテジン、パゾパニブなどが使用されます。エリブリンは海綿由来の天然有機化合物で、微小血管阻害薬です。治療歴を有する平滑筋肉腫や脂肪肉腫に対して有効性が示されました。トラベクテジンはホヤの抽出物から発見され、治療歴を有する平滑筋肉腫や脂肪肉腫に対して有効性が示されました。パゾパニブはチロシンキナーゼを阻害剤する分子標的薬で、血管新生を阻害して抗腫瘍作用を呈します。非脂肪細胞性軟部肉腫に有効です。
高精度放射線治療や重粒子線、陽子線治療も併用されます。重粒子線や陽子線の保険適用は、①組織学的に肉腫と診断されている、②根治的切除非適応である、③局所療法が予後に寄与すると判断されるといったことが条件です。
液体窒素処理自家骨や人工関節を使用して肢の切断をできる限り回避できるようになりました。欠損部位は形成外科的治療で修復可能になりました。
私は血管外科の専門医でしたから、整形外科の手術に動脈や静脈再建のために参加しました。動脈や静脈などの血管再建は人工血管や自家静脈が使用できるのでほとんどの場合に施行可能ですが、神経の再建は現状の医学では無理なのです。神経は人工物で代用できません。
神経は術前の化学療法や放射線治療で腫瘍を神経から離れるようまでに縮小させる必要があるのです。神経を切除すると肢の温存はできますが、不自由な肢が残ります。特に下肢であれば不自由な下肢よりも、優れた義足が好まれる時代になりました。
悪性骨軟部腫瘍では遠隔転移があればステージ4、リンパ節転移があればステージ3になります。ステージ1または2では手術治療が基本で、切除縁にがん細胞が顕微鏡的に認められなければ、その後は経過観察になることも少なくありません。しかし、病理学的に良性と悪性の境の判断は難しく、良性と診断されても後日悪性化することもあります。また悪性と診断されても長期間に亘っておとなしい状態を保つこともあります。私が外科病理の研修に参加していた当時、骨軟部腫瘍の診断は本当に厄介なものでした。自分が良性と思っても指導医からは悪性と言われ、自分が悪性と診断しても指導医からは良性と書き直されることもありました。
病理診断は相当大切で、悪性度が低い腫瘍の時にはむしろ手術をしないで経過を観る(アクティブサーベイランス)方が予後がよいとも言われています。病理診断に基づかないいい加減な手術は患者さんの予後を悪くするということです。
そして悪性骨軟部腫瘍に対するその他の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験も進行中です。
いろいろな治療方法が開発され、そして保険適用されて、整形外科がん(悪性骨軟部腫瘍)は不治の病から、長生きできる可能性があるがんになりました。
悪性度が高い骨軟部腫瘍は今でも難治
悪性骨軟部腫瘍はいろいろな組織型があります。そして悪性度もいろいろです。ですから予後もいろいろなのです。それぞれのがんは症例数が少なく希少がんに該当します。希少がんでは明らかな抗がんエビデンスを求めるランダム化された大規模臨床試験を行えません。それだけの症例数が集まらないからです。ですからエビデンスに基づいたガイドライン(Evidence based Guideline)の作製は困難で、治療経験がある専門家の意見の集積に基づく経験的なガイドライン(Consensus Guideline)にならざるを得ません。
そんな悪性骨軟部腫瘍を根治するには、また共存して長く生き抜くには、どの治療を選択しても免疫力をアップすることを可能な限り並行して行うことが大切です。
AYA世代の悪性骨軟部腫瘍には 〜妊孕性を大切に〜
AYA世代(Adolescent and Young Adult、思春期から30歳代まで)の人に起こる悪性骨軟部腫瘍の多くは骨肉腫とユーイング肉腫です。
そしてAYA世代の女性が悪性骨軟部腫瘍になった場合は、妊孕性に留意することが大切です。卵巣は卵子の貯蔵庫で、子宮は受精卵が育って胎児を育む場所です。悪性骨軟部腫瘍の抗がん剤や放射線治療では子宮や卵巣が障害を受けます。ですから、妊孕性の維持のためには受精卵の凍結を行いましょう。パートナーが決まっていれば受精卵の凍結、パートナーが決まっていない時には未受精卵の凍結を行います。未受精卵の凍結は、以前は解凍後の成績が受精卵凍結に比べて悪かったのですが、いろいろな技術が進歩し、ほぼ遜色ないほど改善しました。
いろいろな治療を組み合わせましょう
悪性骨軟部腫瘍では、手術が可能なら手術を行ってがんを肉眼的に取り切る努力をしましょう。腫瘍から数センチの距離を離して切除できることが理想です。しかし、大きな腫瘍や大切な神経や臓器に浸潤している場合は手術治療、放射線療法、抗がん剤治療などを組合せて(集学的治療と称します)腫瘍のボリュームを減らす努力をします。すでに遠隔転移がある場合でも腫瘍を切除する治療が抗がん剤や放射線治療と一緒に行われることがあります。
そして免疫力を上げる努力を積み重ねましょう。免疫力があれば腫瘍の再発防止や、腫瘍との共存が可能です。
明らかな抗がんエビデンスがないことでも良さそうで、経済毒性(過度な費用負担)がないことは積み上げましょう。①散歩(適度な運動)、②日光浴、③バランスのよい食事(タンパク質を多く)、④適度な睡眠、⑤安心と希望(ストレスを減らす)などなどです。明らかな抗がんエビデンスとは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験です。ランダム化とはクジ引きのことで、1000例規模の大規模臨床試験を勝ち抜くと明らかな抗がんエビデンスがあるとされ、通常は保険収載されます。明らかな抗がんエビデンスがなくても経済毒性を含めた副作用がないものは加えましょう。
そして多成分系の薬剤である漢方薬や生薬が嫌いでなければ、生薬フアイアを是非とも治療に加えてください。
なんと生薬フアイアは明らかな抗がんエビデンスがあります。
生薬フアイアはなんと、1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いています。約1000例の肝臓がん手術後の患者さんをクジ引きでフアイアの内服群と内服しない群に分けて、生存率で内服群は非内服群を96週後に約14%も上まわりました。この結果は超一流英文誌「GUT」に掲載されました。
難治のがんに分類される肝臓がんで有効な生薬フアイアは悪性骨軟部腫瘍にも有効だと推論が可能です。そして実際に新見正則医院では悪性骨軟部腫瘍の患者さんが生薬フアイアを治療に加えて、主治医が予想した予後よりも相当長生きしています。
どんな治療にも併用可能です。
フアイアは生薬ですから漢方薬と同じく多成分系の薬剤です。残念ながら、フアイア以外の生薬や漢方薬には明らかな抗がんエビデンスを有するものはありません。そして単一成分由来の西洋薬とは異なり、フアイアにはいろいろと不思議なことが起こります。フアイアはオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤と同じように免疫力をアップさせますが、オプジーボなどとは異なり免疫が上がりすぎて起こる副作用を生じません。その理由は多成分系の解析技術が未だに発展途上である現在、まだまだ解明されていません。ただただ、生薬フアイアを他の治療に加えると、または単独で使用しても、有効性を体感できることが多いという事実が多数存在します。そんな多成分系で、かつ明らかな抗がんエビデンスがあるフアイアを是非とも治療の選択肢に加えてください。
新見正則医院にご連絡ください。
フアイアは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜きましたが、保険収載されていません。少々経済毒性があります。しかし経済毒性以外の副作用はなく(まれに起こる下痢のみ)、またどの治療とも併用可能なため、機会損失(他の治療が行えない)もありません。
フアイアのお試し希望の方は以下を参考にして下さい。1ヶ月分30包が3万3000円(税込、送料無料)です。電話対応の場合は、初診料は不要です。
●内部リンク(当サイト内でご参考になる記事)
がんの例え話「雑草と土壌」
がんの例え話「雑草と土壌」2
がんの例え話「雑草と土壌」3
がんの例え話「雑草と土壌」4
生薬フアイア概説
まずフアイアを試したいときには
執筆者略歴 新見正則
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主宰者。
新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
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