希少がんに漢方薬や生薬は?

最近、希少がんの患者さんがボツボツと増えています。希少がんに当院の漢方治療を希望する方と、希少がん治療のセカンドオピニオンです。

希少がんとは、新規に診断される症例の数が10万人あたり年間6例未満のがんです。
以下は国立がん研究センター中央病院のHPです。

国立がん研究センター中央病院


一方で2019年の厚生労働省のデータを基にしたがんの罹患率(病気と診断される数)は18項と19項にあるように、

男性では、10万人あたりの部位別で、大腸(結腸と直腸):73.2人、前立腺:68.2人、胃:63.4人、肺:61.9人、肝および肝内胆管:19.0人、腎・尿路(膀胱除く):17.8人、食道:17.6人、膵臓:17.3人、悪性リンパ腫:16.8人、口腔・咽頭:14.9人、膀胱:12.2人、皮膚9.2人、白血病:8.9人、胆のう・胆管:8.0人、甲状腺5.8人、脳・中枢神経系:3.7人、喉頭:3.6人、多発性骨髄腫:3.1人、乳房:0.6人

女性では、10万人あたりの部位別で、乳房:100.5人、大腸(結腸・直腸):44.9人、子宮:34.3人、肺:26.1人、胃:23.1人、甲状腺:16.8人、卵巣:15.7人、悪性リンパ腫:12.9人、膵臓:12.3人、皮膚:6.9人、腎・尿路(膀胱除く):6.6人、肝および肝内胆管:6.0人、白血病:5.7人、口腔・咽頭:5.7人、胆のう・胆管:4.6人、食道:3.4人、脳・中枢神経系:2.9人、膀胱2.9人、多発性骨髄腫:2.1人、喉頭:0.3人
となっています。

希少がんは10万人当たり6万人未満のがんです。日本の男女の人口はそれぞれ、6000万人超ですから、ザックリと希少がんの患者さんの罹患数は毎年約3600人以下になります。ですからそのがんをターゲットにしてエビデンスレベルが最も高いと言われる1000例規模のランダム化された大規模臨床試験はまず行えません。

ですから大規模臨床試験を基に決められるガイドラインをEvidence Based Guideline(エビデンスに基づくガイドライン)を作ることはできず、経験的なガイドラインは、Consensus Guideline (専門家の合意に基づくガイドライン)しか得られないのです。世界中の論文を集めたり、また希少といってもある程度の症例数を経験している施設や医師の経験に基づくガイドラインということです。

僕もベーチェエット病という難病のガイドライン作成に最初から関わっていました。ベーチェット病も稀少疾患なのでConsensus Guidelineにならざるを得ません。明らかなエビデンスには乏しいものの、精一杯の知恵が詰まっているものが作成できました。ガイドラインにはEvidence Based GuidelineとConsensus Guidelineの二種類があることを覚えておいて下さい。

がんはある程度の年齢になると毎日数千個は発生していると言われています。そんながんの芽を摘んでいるのが免疫システムで、そのがんを監視している免疫システムが低下するか、がんの勢いが増して、免疫システムを凌駕するようになると診断可能ながんに発展します。1000例規模のランダム化された大規模臨床試験がないということは明らかに有効と胸を張って言える治療法がないという結論になります。もちろん、誰の目にも有効な治療法が開発されればランダム化された大規模臨床試験は不要です。第2次世界大戦中に利用可能になった世界初の抗生物質であるペニシリンは大規模臨床試験を行っていません。ばい菌(細菌)が侵入して敗血症になって救命できない兵士が、目の前でどんどんと回復したからです。

ペニシリンのようにほとんどの患者さんに著効する抗がん剤が登場することを願っています。その前に、まず候補になるのは免疫チェックポイント阻害剤だと思います。免疫力を抑えているブレーキを外す薬です。この免疫チェックポイント阻害剤のひとつであるオプジーボの研究開発で2018年に本庶佑先生がノーベル賞に輝きました。このオプジーボの最初の臨床試験は希少がんのひとつであるメラノーマ(皮膚がんのひとつ)に対して行われました。希少がんであったことから小規模の臨床試験になりました。そして期待通りの成果を上げて保険承認され、その後はいろいろながんに対して大規模臨床試験が行われています。オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤がいろいろな希少がんに保険適用になることを僕は願っています。

上記は医療サイドができる努力ですが、患者さんができる努力は免疫力を上げることです。僕のブログでは度々登場することですが、お金がかからなくて、経験的に良いと思われることは行ってください。明らかな抗がんエビデンスがないことを僕は些細なことと呼んでいます。そんな些細なことの積み重ねも実は免疫力のアップ、または低下防止には必要なのです。①適度の運動、②日光浴、③バランスの良い食事、④適度の睡眠、そして⑤希望と安心です。

経済毒性を含めて副作用があることにはその御利益をしっかり確かめてください。ごくまれに、自分や自分の家族には使用しないものを、お金儲けのために患者さんに勧めている人もいます。経済毒性があるものには明らかな抗がんエビデンスがあるかを是非とも確認してください。

そして、生薬フアイアは肝臓がん手術後の患者さん約1000人を集めてランダム化された大規模臨床試験を行い生存率で勝ち抜きました。フアイアには経済毒性が少々ありますが、生物学的製剤を含めた抗がん剤に難治の肝臓がんで免疫力を上げて、生存率アップに貢献した世界初の生薬です。そうであれば、多くの希少がんにも有効と推論可能です。経済毒性以外の副作用はまれに起こる下痢のみです。安心して西洋医学的治療と併用可能です。

希少がんだからと諦めずに、一緒に頑張りましょう。

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