膀胱がんとは?ステージと生存率、筋層に届いていたら治療はどう変わる?

病室のベッドで体を起こし、窓の外を見る年配の男性

膀胱がんは、がんが膀胱の壁の筋層まで届いているかどうかで、治療の組み立ても生存率も大きく変わるがんです。

痛みのない血尿をきっかけに膀胱がんと言われると、どこまで進んでいるのか、膀胱を取ることになるのかが、まず気になります。この記事では、国立がん研究センターのがん情報サービスと統計、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の電子添文、臨床試験の論文をもとに、症状と検査、ステージ、筋層に届いているかで分かれる治療、転移があるときの薬、生存率の数字の読み方を順に説明します。

膀胱がんとは、どんながんですか?

尿をためる膀胱の内側にできるがんで、90%以上は膀胱の内側をおおう尿路上皮から発生する尿路上皮がんです。

膀胱は骨盤の中にある袋の形をした臓器で、腎臓でつくられた尿を一時的にためて、体の外に出す働きをしています(国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」2024年6月28日更新)。進行すると、リンパ節や肺、肝臓、骨などに転移することがあります。

国内では2023年に23,970例が膀胱がんと診断され、そのうち男性が17,901例、女性が6,069例でした。2024年の死亡数は9,725人です(国立がん研究センター がん統計「膀胱」2026年7月22日確認)。男性の診断数は女性のおよそ3倍です。

膀胱がんの初期症状は、何ですか?

最も多いのは血尿で、痛みを伴わないことが特徴です。頻尿や排尿時の痛みなど、膀胱炎に似た症状が出ることもあります。

がん情報サービスが挙げている症状は次のとおりです(がん情報サービス 2024年)。

  • 血尿:目で見てわかる赤い尿のほか、健診の尿検査で顕微鏡でしかわからない血尿として見つかることもある
  • 排尿の症状:頻尿、排尿時の痛み、尿が残っている感じ、急に我慢できなくなる尿意
  • 進行したときの症状:尿が出にくい、わき腹・腰・背中の痛み、足のむくみ

血尿や排尿の症状は、膀胱炎、尿路結石、前立腺肥大症、腎盂・尿管がん、前立腺がんなどでも起こります。がん情報サービスは、こうした症状があるときは早めに泌尿器科を受診するよう案内しています。痛みがないために様子を見てしまいやすい点が、膀胱がんの血尿の注意点です。

膀胱がんになりやすいのは、どんな人ですか?

最も大きな危険因子は喫煙です。日本人のデータでは、たばこを吸っている人のなりやすさは、吸ったことがない人の男性で1.96倍、女性で2.35倍でした。

日本の10のコホート研究をまとめた解析は、男性157,295人、女性183,202人を追跡し、その間に男性936人、女性325人が膀胱がんと診断されました。たばこを吸ったことがない人と比べた、現在吸っている人のハザード比は、男性1.96(95%信頼区間1.62〜2.38)、女性2.35(同1.67〜3.32)でした(Masaoka H, et al. J Epidemiol 2023)。

同じ解析で、男性では禁煙してからの年数が長いほど危険は下がり、10年を超えて禁煙している人では、吸ったことがない人との差がはっきりしなくなっていました(ハザード比1.26、95%信頼区間0.97〜1.63)。差がないと証明されたのではなく、統計的に差を示せなかったという結果です。

喫煙のほかに、厚生労働省の会議資料は、仕事で芳香族アミンなどの化学物質にさらされること、ヒ素を含む飲み水、一部の薬(フェナセチン、シクロホスファミド)、放射線を危険因子に挙げています。仕事でのばく露から発症までは、20年ほどかかるのが一般的とされています(厚生労働省 会議資料「膀胱がんに関する基礎的知見」)。

膀胱がんは、どんな検査で診断しますか?

尿の検査や超音波で疑い、膀胱鏡で膀胱の中を直接見ます。確定診断は、内視鏡で切除した組織を調べるTURBTで行います。

がん情報サービスが説明している主な検査は次のとおりです(がん情報サービス 2024年)。

  • 尿検査:尿に血が混じっていないかを見る尿潜血検査と、尿の中のがん細胞を探す尿細胞診
  • 腹部超音波検査:痛みがなく簡便だが、がんの位置や大きさによっては見つけられないことがある
  • 膀胱鏡検査:尿道から内視鏡を入れて膀胱の中を観察する。診断と治療方針を決めるために必ず行う検査とされている
  • CT・MRI:CT(CT尿路造影を含む)は転移の確認などに、MRIはがんの深さと骨盤内のリンパ節転移を調べるのに使う
  • TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術):尿道から入れた内視鏡でがんを切除し、組織を顕微鏡で調べて確定診断する

尿の中のNMP22やBTAという腫瘍マーカーを測ることもありますが、これだけでは確定診断はできません。TURBTはほぼすべての人に行われ、切除した組織の病理検査で、がんの種類と、膀胱の壁のどの深さまで届いているかが決まります。病理検査の結果が出るまでの流れは、病理検査の結果は何日で出るかの記事で説明しています。

膀胱がんのステージは、どう決まりますか?

がんの深さ(T)、骨盤内のリンパ節転移(N)、離れた臓器への転移(M)の組み合わせで、0a期からⅣB期までに分けます。

がんの深さは、膀胱の内側から順に、粘膜の表面にとどまる(Ta・Tis)、粘膜の下の結合組織まで(T1)、筋層まで(T2)、筋層を越えて周りの脂肪組織まで(T3)、前立腺・子宮・腟などの隣の臓器や骨盤の壁まで(T4)と進みます。

ステージ がんの広がり
0a期 粘膜の表面に、乳頭のような形で盛り上がったがん(Ta)。リンパ節や離れた臓器への転移はない
0is期 粘膜の中を平らに広がる上皮内がん(Tis)。転移はない
Ⅰ期 粘膜の下の結合組織まで届いている(T1)。転移はない
Ⅱ期 筋層まで届いている(T2a・T2b)。転移はない
ⅢA期 筋層を越えている、または隣の臓器に広がっている(T3a・T3b・T4a)。あるいは、骨盤内のリンパ節1個に転移がある
ⅢB期 骨盤内の複数のリンパ節、または総腸骨リンパ節に転移がある
ⅣA期 骨盤の壁や腹壁まで広がっている(T4b)、または骨盤の外のリンパ節に転移がある
ⅣB期 肺・肝臓・骨など、離れた臓器に転移がある

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」(2024年6月28日更新、腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 第2版に基づく)

0a期と0is期は、がんが粘膜の表面にとどまっている段階です。0期の意味と、がん保険での扱いは、上皮内がんとはの記事でまとめています。ステージの数字が何を表すかは、がんのステージはいくつまでかの記事で説明しています。

筋層に届いているかどうかで、治療はどう変わりますか?

筋層に届いていなければ、内視鏡の手術で膀胱を残すのが基本です。届いていて転移がなければ、膀胱を全部取る手術が標準治療です。

がんが筋層に届いていないもの(Ta・Tis・T1)を筋層非浸潤性膀胱がん、届いているもの(T2以上)を筋層浸潤性膀胱がんと呼びます。治療の出発点は、この区別と、転移があるかどうかです。

区分 治療の中心 加えることがある治療
筋層非浸潤性膀胱がん(Ta・Tis・T1) TURBTでがんを切除し、膀胱を残す 再発や進行の危険に応じて、膀胱の中に抗がん薬やBCGを入れる膀胱内注入療法。高リスクではBCGにデュルバルマブを組み合わせることもある
筋層浸潤性膀胱がん(T2〜T4、転移なし) 膀胱全摘除術と、尿の出口をつくり直す尿路変向術 手術の前の抗がん薬治療、手術の前後の免疫チェックポイント阻害薬。手術が難しい場合や本人が希望する場合は、膀胱を残す治療を行うこともある
切除できない、または転移がある 全身に効く薬物療法 症状を和らげる緩和ケアを並行して受けられる

出典:がん情報サービス「膀胱がん 治療」(2024年6月28日更新)、イミフィンジ電子添文(2026年9月改訂)をもとに作成

筋層に届いているかどうかは、生存率の差にも表れます。院内がん登録の集計では、筋層に届いていないⅠ期と、筋層に届いたⅡ期で、5年生存率(ネット・サバイバル)に28.1ポイントの差がありました(院内がん登録生存率集計結果閲覧システム「膀胱がん」)。数字の詳しい読み方は、最後の節で説明します。

筋層非浸潤性膀胱がんは、どう治療しますか?

TURBTでがんを取り除いたあと、再発や進行の危険の大きさで4つのグループに分け、膀胱の中に薬を入れる治療を加えるかを決めます。

TURBTは全身麻酔か腰椎麻酔で行います。T1で悪性度の高い(高異型度の)がんの場合や、Taで高異型度のがんのうち1回目のTURBTで筋層の組織が採れなかった場合には、残っているがんがないかを確かめるため、もう一度TURBTを行うことが推奨されています(がん情報サービス「膀胱がん 治療」2024年6月28日更新)。

切除後は、がんの数・大きさ・深さ・悪性度、上皮内がんがあるかどうかなどから、低リスク・中リスク・高リスク・超高リスクに分けます。低リスクでは抗がん薬の膀胱内注入、高リスクではBCGの膀胱内注入が中心で、超高リスクでは膀胱全摘除術を考えることもあります。

BCGは、弱毒化したウシ型結核菌を膀胱の中に入れて、再発や進行を抑える治療です。導入の6〜8回のあと、1〜3年の維持療法を続けるのが標準的で、頻尿や排尿時の痛み、発熱などの副作用が出ることがあります。予防のワクチンとがんの治療に使うワクチンの違いは、がんワクチンとはの記事で整理しています。

2026年8月24日には、BCGに免疫チェックポイント阻害薬のデュルバルマブ(イミフィンジ)を組み合わせる使い方が、高リスクの筋層非浸潤性膀胱がんに承認されました(PMDA イミフィンジ 医薬品リスク管理計画書 2026年8月21日提出)。根拠になったPOTOMAC試験は、TURBTを受けた、BCG治療が初めての高リスクの1,018人を3つの群に分けて比べています(De Santis M, et al. Lancet 2025)。

比べた群 人数 再発・死亡などの割合(追跡中央値60.7か月) 治療に関連するグレード3〜4の有害事象
デュルバルマブ+BCG(導入と維持) 339人 20% 21%
デュルバルマブ+BCG(導入のみ) 339人 ―(標準群との差は示されず) 15%
BCGのみ(導入と維持) 340人 29% 4%

出典:De Santis M, et al. Lancet 2025(POTOMAC試験)。無病生存の評価で出来事が起きた人の割合

BCGの導入と維持にデュルバルマブを加えた群の、BCGのみの群に対する無病生存のハザード比は0.68(95%信頼区間0.50〜0.93)でした。デュルバルマブを導入の時期だけ加えた群では、ハザード比1.14(同0.86〜1.50)で、差は示されませんでした。

加えた分の効果と、加えた分の副作用

POTOMAC試験で差が出たのは、デュルバルマブをBCGの維持療法の期間まで続けた群だけでした。その群では、治療に関連する重い有害事象が21%と、BCGのみの4%より多く出ています。標準のBCG治療でも、追跡の間に29%の人に再発などが起きていました。高リスクの筋層非浸潤性膀胱がんは、治療を強めても、膀胱鏡での確認を長く続ける病気です(De Santis M, et al. Lancet 2025)。

治療のあとは、膀胱鏡検査と尿細胞診で再発がないかを定期的に確かめます。間隔は、リスクや膀胱内注入療法を受けたかどうかで決まります(がん情報サービス 2025年3月21日確認)。

筋層浸潤性膀胱がんは、どう治療しますか?

転移がなければ膀胱全摘除術が標準治療です。手術の前後に抗がん薬を使うことがあり、免疫チェックポイント阻害薬を手術の前後に組み合わせる使い方も承認されています。

膀胱全摘除術では、男性は膀胱・前立腺・精のう、女性は膀胱・子宮・腟の一部と尿道などを、骨盤内のリンパ節とともに取り除きます(がん情報サービス 2024年)。膀胱を取るため、尿の出口をつくり直す尿路変向術を同時に行います。方法は、尿管をおなかの皮膚に直接出す尿管皮膚ろう、腸の一部を通り道にしておなかに出口(ストーマ)をつくる回腸導管、腸で新しい膀胱をつくって尿道につなぐ自排尿型新膀胱の3つで、国内で最も多いのは回腸導管です。

ストーマをつくった場合は、身体障害者手帳の「ぼうこう又は直腸の機能障害」の対象になることがあります。申請の条件と使える支援は、がんで障害者手帳はもらえるかの記事で扱っています。

がん情報サービスは、手術の効果を高めるために、膀胱全摘除術の前や後に細胞障害性抗がん薬を使うことがあるとしています。2025年9月19日には、手術の前にゲムシタビン・シスプラチンとデュルバルマブを3週ごとに4回まで使い、手術のあとにデュルバルマブを4週ごとに8回まで続ける使い方が承認されました(PMDA イミフィンジ 電子添文 2026年9月改訂、同 医薬品リスク管理計画書)。

根拠になったNIAGARA試験は、シスプラチンを使える筋層浸潤性膀胱がんの1,063人を、ゲムシタビン・シスプラチンにデュルバルマブを加える群(533人)と、加えない群(530人)に分けて比べました(Powles T, et al. N Engl J Med 2024)。

評価項目 デュルバルマブを加えた群 加えない群
2年無イベント生存率 67.8% 59.8%
2年全生存率 82.2% 75.2%
治療に関連するグレード3〜4の有害事象 40.6% 40.9%

出典:Powles T, et al. N Engl J Med 2024(NIAGARA試験、1,063人)

無イベント生存のハザード比は0.68(95%信頼区間0.56〜0.82)、全生存のハザード比は0.75(同0.59〜0.93)でした。どちらの群も手術前の抗がん薬は受けており、比べたのは、そこに免疫チェックポイント阻害薬を加えるかどうかです。

手術のあとの病理検査の結果によっては、ニボルマブ(オプジーボ)を術後補助療法として12か月まで使うことがあります(オプジーボ 電子添文 2026年9月改訂)。

がん情報サービスは、高齢や心臓・肺・肝臓の持病で手術が難しい場合や、本人が膀胱を残すことを希望する場合に、TURBT・抗がん薬・放射線治療を組み合わせて膀胱を残す治療を行うことがあるとしています(がん情報サービス 2024年)。この治療が選べるかどうかは、がんの数や大きさなどの条件によって変わります。

転移がある膀胱がんでは、どんな薬を使いますか?

最初の治療として、抗体薬物複合体のエンホルツマブ ベドチンと、免疫チェックポイント阻害薬のペムブロリズマブの併用が、2024年9月に承認されています。

がん情報サービスの治療の解説(2024年6月28日更新)は、切除が難しい場合や転移がある場合はまず細胞障害性抗がん薬の併用療法を行い、そのあとに免疫チェックポイント阻害薬や抗体薬物複合体を使うと説明しています。この解説が書かれたあとに、最初の治療の選択肢が増えました。

2024年9月24日、エンホルツマブ ベドチン(パドセブ)とペムブロリズマブ(キイトルーダ)の併用が、根治切除不能な尿路上皮がんの一次治療として承認されました(アステラス製薬 適時開示 2024年9月24日)。尿路上皮がんの薬は、膀胱がんだけでなく、腎盂・尿管のがんにも使われます。

根拠になったEV-302試験は、治療を受けていない、局所進行または転移のある尿路上皮がんの886人を、この併用(442人)と、プラチナ製剤を含む抗がん薬(444人)に分けて比べました。無増悪生存期間の中央値は12.5か月と6.3か月(ハザード比0.45、95%信頼区間0.38〜0.54)、全生存期間の中央値は31.5か月と16.1か月(ハザード比0.47、同0.38〜0.58)でした。治療に関連するグレード3以上の有害事象は、併用の群で55.9%、抗がん薬の群で69.5%でした(Powles T, et al. N Engl J Med 2024)。

2026年9月時点の電子添文で確認できた、切除できない・転移のある尿路上皮がんの主な薬の使い方は次のとおりです。

使う場面 薬 電子添文で確認した条件
最初の治療 エンホルツマブ ベドチン(パドセブ)+ペムブロリズマブ(キイトルーダ) パドセブの効能は「根治切除不能な尿路上皮癌」(2026年2月改訂)
最初の治療 ニボルマブ(オプジーボ)+ゲムシタビン・シスプラチン ゲムシタビン・シスプラチンとの併用で始め、その間のニボルマブは3週ごとに6回まで。そのあとはニボルマブを単独で続ける
抗がん薬で進行しなかったあと アベルマブ(バベンチオ) 化学療法で病気の進行が認められていない人の維持療法

出典:パドセブ電子添文(2026年2月改訂)、オプジーボ電子添文(2026年9月改訂)、バベンチオ電子添文(2026年9月改訂)

どの順番で何を使うかは、腎臓の働き、シスプラチンを使えるか、それまでの治療などで変わります。EV-302試験のように、グレード3以上の副作用が半数を超える治療もあるため、効果と副作用の両方を見ながら続けるかを決めます。免疫チェックポイント阻害薬の仕組みと副作用の出方は、免疫チェックポイント阻害薬とはの記事で説明しています。

膀胱がんの生存率は、どのくらいですか?

2018年に診断された人の5年相対生存率は66.6%です。病院のデータでは、Ⅰ期82.0%からⅣ期18.3%まで、ステージで大きく違います。

全国がん登録で2018年に膀胱がんと診断された人の5年相対生存率は66.6%で、男性70.4%、女性55.6%でした(がん統計「膀胱」)。

ステージ別の数字は、全国のがん診療連携拠点病院などが集めた院内がん登録で見ることができます。2014〜2015年に診断された膀胱がんの5年生存率は、次のとおりです。

ステージ 人数 実測生存率 ネット・サバイバル
Ⅰ期 9,102人 70.5% 82.0%
Ⅱ期 2,823人 46.6% 53.9%
Ⅲ期 1,268人 35.7% 40.2%
Ⅳ期 1,115人 16.6% 18.3%
全体(0期を除く) 14,708人 54.1% 62.6%

出典:国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム「膀胱がん(膀胱癌)」2014-2015年 5年生存率

実測生存率は、ほかの病気や老衰による死亡も含めて5年後に生きていた人の割合です。ネット・サバイバルは、がん以外の原因による死亡の影響を取り除いた数字です。Ⅰ期では2つの数字に11.5ポイントの差があり、がん以外の原因で亡くなる人が少なくないことを示しています。生存率の種類の違いは、部位別・ステージ別のがんの生存率の記事で説明しています。

表の「Ⅳ期」は、いまのⅣ期と同じ範囲ではない

この集計は、2014〜2015年に使われていたUICC TNM分類 第7版で病期を決めています(国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計 説明資料 2023年)。第7版では、離れた臓器への転移がなくても、骨盤内のリンパ節に1個でも転移があればⅣ期でした(NCI Thesaurus「Stage IV Bladder Urothelial Carcinoma AJCC v7」)。いまの分類では、骨盤内や総腸骨のリンパ節への転移は、ⅢA期・ⅢB期に入ります。また、表の人たちが治療を受けたのは、エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用も、手術前後のデュルバルマブも承認される前です。0期(0a期・0is期)は集計から除かれています。

31.5か月

転移のある尿路上皮がんで、最初の治療にエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用を受けた人の、全生存期間の中央値です。
抗がん薬の16.1か月から大きく延びましたが、半数の人が亡くなった時点を示す数字でもあります。

出典:Powles T, et al. N Engl J Med 2024(EV-302試験、886人)

新見正則医院院長 新見正則

監修

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

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泌尿器がん(腎臓がん/膀胱がん/腎盂尿管がん/精巣腫瘍)に漢方薬や生薬は?

腎臓がん・膀胱がん・腎盂尿管がん・精巣腫瘍について、40年前と今の治療の違いと、漢方薬や生薬の考え方をまとめた院長のブログです。

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よくある質問

Q膀胱がんの初期症状は何ですか?

最も多いのは痛みのない血尿です。目で見てわかる血尿のほか、健診の尿検査で見つかる顕微鏡でしかわからない血尿もあります。頻尿、排尿時の痛み、尿が残っている感じ、急に我慢できなくなる尿意が出ることもあります。膀胱炎や尿路結石でも同じ症状が出るため、泌尿器科で確かめます。

Q膀胱がんの5年生存率はどのくらいですか?

2018年に診断された人の5年相対生存率は66.6%です。院内がん登録の2014〜2015年の集計(ネット・サバイバル)では、Ⅰ期82.0%、Ⅱ期53.9%、Ⅲ期40.2%、Ⅳ期18.3%でした。この集計は古い病期分類によるもので、いまのステージとは範囲が一部違います。

Q膀胱がんは膀胱を取らないといけませんか?

がんが筋層に届いていない筋層非浸潤性膀胱がんでは、内視鏡でがんを切除するTURBTで膀胱を残すのが基本です。筋層に届いていて転移がない場合は、膀胱全摘除術が標準治療です。手術が難しい場合や本人が希望する場合に、抗がん薬と放射線治療を組み合わせて膀胱を残す治療を行うこともあります。

Q膀胱がんは再発しやすいですか?

筋層非浸潤性膀胱がんは、膀胱の中に再発しやすいがんです。BCGの膀胱内注入を続けた高リスクの人の試験でも、約5年の追跡の間に29%に再発などが起きていました。このため治療後は、膀胱鏡検査と尿細胞診で定期的に確かめます。

Q膀胱がんの原因はたばこですか?

喫煙は最も大きな危険因子です。日本の10のコホート研究をまとめた解析では、たばこを吸っている人の膀胱がんのなりやすさは、吸ったことがない人の男性で1.96倍、女性で2.35倍でした。男性では禁煙してからの年数が長いほど危険が下がっていました。化学物質を扱う仕事なども危険因子に挙げられています。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」(2024年6月28日更新、療養の項は2025年3月21日確認)
    https://ganjoho.jp/public/cancer/bladder/print.html
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん 治療」(2024年6月28日更新)
    https://ganjoho.jp/public/cancer/bladder/treatment.html
  3. 国立がん研究センター がん統計「膀胱」(2026年7月22日確認)
    https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/21_bladder.html
  4. 国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 膀胱がん(膀胱癌)2014-2015年5年生存率
    https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c15
  5. 国立がん研究センター「がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計」説明資料(2023年3月16日公表)
    https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2023/0316/slide_seizonritsu2022.pdf
  6. NCI Thesaurus C8941「Stage IV Bladder Urothelial Carcinoma AJCC v7」(CISMeF掲載)
    https://www.cismef.org/page/detail/en/NCI_CO_C8941
  7. Masaoka H, Matsuo K, Oze I, et al. Cigarette Smoking, Smoking Cessation, and Bladder Cancer Risk: A Pooled Analysis of 10 Cohort Studies in Japan. J Epidemiol. 2023;33(11):582-588. doi:10.2188/jea.JE20220085
    https://doi.org/10.2188/jea.JE20220085
  8. 厚生労働省 労働基準局 会議資料【資料5】「膀胱がんに関する基礎的知見」(日付の記載なし)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/0000140041.pdf
  9. De Santis M, et al. Durvalumab in combination with BCG for BCG-naive, high-risk non-muscle-invasive bladder cancer (POTOMAC). Lancet. 2025. doi:10.1016/S0140-6736(25)01897-5
    https://doi.org/10.1016/S0140-6736%2825%2901897-5
  10. Powles T, et al. Perioperative Durvalumab with Neoadjuvant Chemotherapy in Operable Bladder Cancer. N Engl J Med. 2024. doi:10.1056/NEJMoa2408154
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39282910/
  11. Powles T, Valderrama BP, Gupta S, et al. Enfortumab Vedotin and Pembrolizumab in Untreated Advanced Urothelial Cancer. N Engl J Med. 2024;390(10). doi:10.1056/NEJMoa2312117
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38446675/
  12. アステラス製薬 適時開示「パドセブとキイトルーダの併用療法 根治切除不能な尿路上皮癌の一次治療に対する国内承認取得」(2024年9月24日)
    https://www2.jpx.co.jp/disc/45030/140120240924587871.pdf
  13. 医薬品医療機器総合機構「イミフィンジ点滴静注 電子添文」(2026年9月改訂 第15版)
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/670227_4291443A1023_1_17
  14. 医薬品医療機器総合機構「イミフィンジ点滴静注 医薬品リスク管理計画書」(2026年8月21日提出)
    https://www.pmda.go.jp/RMP/www/670227/9846dd8d-b1c9-4b11-8177-4ea809e0afdc/670227_4291443A1023_024RMP.pdf
  15. オプジーボ点滴静注 電子添文(2026年9月改訂 第30版、KEGG MEDICUS掲載)
    https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00069048
  16. 医薬品医療機器総合機構「バベンチオ点滴静注 電子添文」(2026年9月改訂 第17版)
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/380079_4291438A1022_1_18
  17. 医薬品医療機器総合機構「パドセブ点滴静注用 電子添文」(2026年2月改訂 第10版)
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/800126_4291459D1020_1_09

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