脳のがん(悪性脳腫瘍:神経膠腫/悪性リンパ腫/胚細胞腫瘍/転移性脳腫瘍など)に漢方薬や生薬は?

脳腫瘍・脳のがんなんですね。治療は進歩しました。

腫瘍には良性と悪性があります。がんは悪性腫瘍のことです。漢字の癌は上皮性の悪性腫瘍を示します。脳には上皮性の部分はないので、「脳の癌」とは言わず、「脳のがん」とします。脳のがん=悪性脳腫瘍です。

私が医師になった当時、約40年前は、悪性脳腫瘍を含めて固形がんも血液がんも不治の病でした。当時の抗がん剤はほぼ無効で、手術治療のみが一縷の望みを繋ぐ手段でした。CT検査もやっと普及し始めた頃で、当時は脳の血管造影を三次元的に撮影して腫瘍の場所を同定していました。外科医1年目のフレッシュマンでしたから懐かしいです。

その後、放射線治療が進歩し、抗がん剤も進歩し、手術と放射線、抗がん剤の3本柱が治療の基本になりました。

悪性という意味は他の臓器に転移したり、また周囲の臓器に浸潤します。浸潤は、濡れたスポンジにインクを垂らすとジワジワと滲みて広がるイメージです。

脳の良性腫瘍である髄膜腫や下垂体腺腫は悪性ではありません。ですから手術治療単独で治ることもあります。放射線治療や抗がん剤は基本的に使用されません。がんではないので経過観察(アクティブサーベイランス)も行われます。

他の臓器のがんが脳に転移すると転移性脳腫瘍と言われます。脳に最初から生じる原発性脳腫瘍と区別されます。

原発性悪性脳腫瘍には、神経膠腫、悪性リンパ腫、胚細胞腫瘍などがありますが、それぞれの疾患の罹患数は少なく、全体で10万人当たり10人前後で、それぞれの疾患はすべてが希少がん(10万人当たり6人未満)になります。

脳は頭蓋骨の中にピッタリと収まっています。ですから、良性腫瘍が大きくなると、脳を圧迫するので、実は命に関わることもあります。他の部分に生じる命には特段悪影響を及ぼさない良性腫瘍とは異なります。

悪性腫瘍の治療は正常な脳に浸潤している腫瘍の切除を要します。脳にはそれぞれの部分にいろいろな役割があります。生命維持、運動・感覚、言葉や文字の使用と理解、知的な活動、想像力、記憶、感情のコントロールなどを行っています。その部分を切除すると他の部分では代用できないのです(幼少時は別)。ですから、切除したことによって生じる手術後の不利益と治療のメリットを勘案して手術範囲が決められます。経験豊富な施設で、経験豊富な手術チームが行うことが大切です。

すべてが希少がんに分類される悪性脳腫瘍ですが、最近はがんの遺伝子解析を行って、異常がある遺伝子に則した分子標的薬を利用することが行われています。つまり「○○がんならこの治療」という作戦ではなく、「○○の遺伝子異常ならこの治療」という作戦になります。こうなると希少がんという領域の病気でも薬剤選択の幅がとっても広がるのです。

いろいろな治療方法が開発され、悪性脳腫瘍は不治の病から、長生きできる可能性があるがんになりました。

脳のがん(悪性脳腫瘍)は今でも難治

他のがん治療も脳のがん(悪性脳腫瘍)と同じように進歩しています。ザックリとした僕の印象では乳がん、胃がん、大腸がん、前立腺がんなどと比較すると同じように治療しやすい脳の悪性腫瘍もあります。脳の悪性リンパ腫や胚細胞腫瘍です。また膵臓がんや肝臓がん、小細胞肺がんなどと同じイメージの相当手強い悪性脳腫瘍もあります。

脳には脳血管関門 (Blood-brain barrier) とうバリヤーがあると学生時代から習ってきました。内皮細胞同士が密に結合して細胞間隙を介した非特異的な物質の脳への侵入を防ぐ障壁と習いました。だからこそ脳へ薬剤を送るには特殊な工夫が必要という理屈です。確かに、悪性脳腫瘍には一般的な殺細胞性抗がん剤が効きにくいこともあります。ところが、最近はこの脳血管関門は脳に必要な物質を選択的に取り込み、脳で産生された不要物質を動的に排出する動的なシステムだとも考えられています。つまり、未だに脳への栄養や薬剤の移動のシステムの詳細が不明なのです。

未知なことはまだまだ山積されています。ですから、いろいろとよさそうなことをトライすることが大切です。50歳を越えれば毎日数千個以上のがん細胞の芽が産生され、それを免疫力が退治しています。いろいろな治療を組み合わせながら、しっかりと免疫力をアップしましょう。

悪性脳腫瘍を根治するには、また共存して長く生き抜くには、免疫力をアップすることを可能な限り並行して行うことが大切です。

髄膜腫

髄膜腫は脳腫瘍の中ではもっとも多く、そして良性の腫瘍です。脳を包んでいる髄膜から生じる腫瘍です。髄膜腫が正常な脳を圧迫して神経症状などの症状を出しているときは手術適応になります。無症状のときは経過観察(アクティブサーベイランス)も行われます。放射線治療や抗がん剤などは基本的には使用されません。

神経膠腫(グリオーマ)

髄膜腫の次に多い脳腫瘍です。脳を形成するのは神経細胞(ニューロン)と神経膠細胞(グリア)です。神経膠細胞が腫瘍化したものが神経膠腫(グリオーマ)です。悪性度が高いものは神経膠芽腫(グリオブラストーマ)と呼ばれます。神経膠腫は組織型によってグレード分類され、治療方法も予後も異なります。

遺伝子発現治療製品デセルパツレブ(商品名デリタクト)が2021年に悪性神経膠腫に対して保険収載されました。これはいわゆる腫瘍溶解ウイルスで、腫瘍内でのみ増殖し、腫瘍を溶解します。ですから腫瘍内に投与します。6回までが認められています。

中枢神経悪性リンパ腫

脳には明らかなリンパ組織がありませんが、なんと原発性にリンパ腫が発生します。全身を調べて、脳にだけ病巣が存在するときに中枢悪性リンパ腫と呼ばれます。中枢神経悪性リンパ腫は非ホジキンリンパ腫がほとんどです。以前は予後の悪い悪性腫瘍でしたが、全脳照射に大量のメトトレキサート療法が加わり予後は改善しました。そして近年そこに抗体薬などを加えたR-MPV療法と全脳照射で飛躍的に予後は改善しました。

下垂体腺腫

下垂体腺腫は髄膜腫と同じく良性腫瘍です。下垂体は頭蓋骨内の低い部分にあるホルモン産生臓器です。ホルモンとはタンパク質で血液を流れてターゲットの組織に信号を伝えています。葉書や手紙のイメージです。神経が張り巡らされた電線で電気信号を送っているのと対照的です。

下垂体は副腎や卵巣、甲状腺などのホルモン産生臓器に下垂体ホルモン(副腎刺激ホルモン、卵巣刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン)を血液内に分泌して信号を送るほか、直接に骨や筋肉、臓器に成長ホルモン、腎臓にバゾプレシン、乳房にプロラクチンなどのホルモンで信号を送っています。

下垂体腫瘍はホルモンを産生しない非機能性下垂体腺腫とホルモン産生性下垂体腺腫に分類されます。非機能性下垂体腺腫では腫瘍による圧迫症状がでなければ経過観察(アクティブサーベイランス)も可能です。ホルモン産生性下垂体腺腫であれば症状に応じて手術が選択されます。

神経鞘腫

神経の鞘が腫瘍化するものです。聴神経鞘腫がもっとも多く、良性の腫瘍ですが、腫瘍の増大は人それぞれで、経過観察(アクティブサーベイランス)がまず行われます。

いろいろな治療を組み合わせましょう

手術が可能なら手術を行ってがんを肉眼的に取り切る努力をしましょう。しかし、手術できる範囲を越えてがんが広がっている場合や、大切な脳の部分を切除してまで大きな手術を行うと手術後に相当不自由な状態が生じます。頭蓋骨の中にピッタリと収まっている脳ですから、腫瘍のボリュームを減らすことは正常な脳機能の維持には必須ですが、やり過ぎは禁物です。

手術のみの時代は昔の話です。重粒子腺や陽子線などを含めた放射線治療もこの20年で相当進歩しました。また、抗がん剤も21世紀になって飛躍的に進歩しています。

手術だけで悪性脳腫瘍の全てを取り切るような大きな手術をイチかバチか行うよりも、免疫力を温存して抗がん剤を使用したり放射線治療を併用した方が長生きできるようになったのです。免疫力の低下はがんの進行を早めます。抗がん剤が進歩した今日、イチかバチかの手術は敬遠される傾向にあります。ですから進歩した抗がん剤治療に、薬剤治療に期待しましょう。

そして、免疫力を上げる努力を積み重ねましょう。明らかな抗がんエビデンスがないことでも良さそうで、経済毒性(過度な費用負担)がないことは積み上げましょう。①散歩(適度な運動)、②日光浴、③バランスのよい食事(タンパク質を多く)、④適度な睡眠、⑤安心と希望(ストレスを減らす)などなどです。明らかな抗がんエビデンスとは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験です。ランダム化とはクジ引きのことで、1000例規模の大規模臨床試験を勝ち抜くと明らかな抗がんエビデンスがあるとされ、通常は保険収載されます。明らかな抗がんエビデンスがなくても経済毒性を含めた副作用がないものは加えましょう。

そして多成分系の薬剤である漢方薬や生薬が嫌いでなければ、生薬フアイアを是非とも治療に加えてください。

なんと生薬フアイアは明らかな抗がんエビデンスがあります。

生薬フアイアはなんと、1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いています。約1000例の肝臓がん手術後の患者さんをクジ引きでフアイアの内服群と内服しない群に分けて、生存率で内服群は非内服群を96週後に約14%も上まわりました。この結果は超一流英文誌「GUT」に掲載されました。

肝臓がんの結果ですが、悪性脳腫瘍にも有効だと推論が可能です。しかし、悪性脳腫瘍の患者さんはまれで、当院でも非常に少なく、本当にフアイアが原発性悪性脳腫瘍に有効かはわかりません。一方で転移性脳腫瘍の患者さんには多数の投与経験があり延命効果があるとの実感があります。フアイアは免疫力を上げる生薬にて、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤が有効であるがんには著効を期待できるのです。ところが原発性悪性脳腫瘍ではまだ免疫チェックポイント阻害剤は保険適用されていません。

フアイアには副作用がなく、また西洋医学的治療の邪魔もせず、西洋医学的治療にフアイアの効果の邪魔もされません。ですから、悪性脳腫瘍に対する使用例が新見正則医院でもまだまだ少ないのが現状ですが、私は今までのストーリーからはフアイアは悪性脳腫瘍にも延命効果があると思っています。

どんな治療にも併用可能です。

フアイア は生薬ですから漢方薬と同じく多成分系の薬剤です。残念ながら、フアイア以外の生薬や漢方薬には明らかな抗がんエビデンスを有するものはありません。そして単一成分由来の西洋薬とは異なり、フアイアにはいろいろと不思議なことが起こります。フアイアはオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤と同じように免疫力をアップさせますが、オプジーボなどとは異なり免疫が上がりすぎて起こる副作用を生じません。その理由は多成分系の解析技術が未だに発展途上である現在、まだまだ解明されていません。ただただ、生薬フアイアを他の治療に加えると、または単独で使用しても、有効性を体感できることが多いという事実が多数存在します。そんな多成分系で、かつ明らかな抗がんエビデンスがあるフアイアを是非とも治療の選択肢に加えてください。

新見正則医院にご連絡ください。

フアイアは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜きましたが、保険収載されていません。少々経済毒性があります。しかし経済毒性以外の副作用はなく(まれに起こる下痢のみ)、またどの治療とも併用可能なため、機会損失(他の治療が行えない)もありません。

フアイアのお試し希望の方は以下を参考にして下さい。1ヶ月分30包が3万3000円(税込、送料無料)です。電話対応の場合は、初診料は不要です。

内部リンク(当サイト内でご参考になる記事)


がんの例え話「雑草と土壌」
がんの例え話「雑草と土壌」2
がんの例え話「雑草と土壌」3
がんの例え話「雑草と土壌」4
生薬フアイア概説
まずフアイアを試したいときには

執筆者略歴 新見正則

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主宰者。

新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
新見正則オフィシャルサイトはこちら

PAGE TOP