胆管がんとは?ステージと生存率、手術できないと言われたら治療は?

肝臓と胆のう、胆管の立体模型と、机に置かれた聴診器

胆管がんは、がんが胆道のどこにできたかで手術の範囲が大きく変わり、切除できるかどうかが治療と見通しを分けるがんです。

胆のう・胆管のがん(肝内胆管がんを除く)は、2023年に国内で20,926例が診断され、2024年には17,232人が亡くなっています(国立がん研究センター がん統計「胆のう・胆管」2026年7月22日確認)。この記事では、がん情報サービスの解説(2026年8月作成)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査報告書、臨床試験の論文、院内がん登録の集計をもとに、胆道がんの種類と症状、黄疸の処置、検査とステージ、手術、手術後の薬、手術できないときの薬、生存率の数字の読み方を説明します。

胆管がんとは、どんながんですか?

肝臓でつくられた胆汁を十二指腸へ流す管(胆管)にできるがんで、胆のうがん・十二指腸乳頭部がんとあわせて胆道がんと呼ばれます。

胆汁は脂肪の消化を助ける消化液で、肝臓から胆管を通って十二指腸に流れ出ます。胆道は、胆管、胆汁をためておく袋である胆のう、胆管が十二指腸につながる十二指腸乳頭部からなります(国立がん研究センター がん情報サービス「胆道がん」2026年8月27日作成)。

胆管がんは、できた場所によって3つに分かれます。肝臓の中の細い枝の部分にできる肝内胆管がん、肝臓の出口で1本にまとまる部分にできる肝門部領域胆管がん、胆のう管と合流したあとの部分にできる遠位胆管がんです。このうち肝内胆管がんは、肝臓にできるため原発性肝がんに分類されますが、肝臓がんの大部分を占める肝細胞がんとは性質も治療方針も違います(がん情報サービス 2026年)。

胆道がんの危険を高めると考えられているのは、慢性胆管炎、胆のう炎、膵管と胆管のつなぎ目の形に生まれつき異常がある膵胆管合流異常症などの胆道の炎症や病気と、特定の化学物質に大量にさらされることです(がん情報サービス 2026年)。

できる場所 名前 根治をめざす主な手術
肝臓の中の胆管 肝内胆管がん 肝臓の右半分か左半分を切除する肝葉切除。左右にまたがれば拡大肝葉切除
肝臓の出口(肝門部) 肝門部領域胆管がん 肝臓の切除に、肝臓の外の胆管の切除とリンパ節の切除を加え、残した胆管と小腸をつなぐ
胆のう管と合流したあと 遠位胆管がん 膵頭十二指腸切除(膵臓の頭の部分、十二指腸、胆管などを一緒に切除する)
胆のう 胆のうがん 胆のうの中にとどまれば胆のう摘出。広がっていれば肝臓・胆管・膵臓・大腸・十二指腸などもあわせて切除する
十二指腸乳頭部 十二指腸乳頭部がん 膵頭十二指腸切除

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「胆道がん」(2026年8月27日作成)

がん統計の「胆のう・胆管」には、胆のうがん、肝臓の外の胆管がん、十二指腸乳頭部がんが含まれます。肝内胆管がんは「肝臓」の側に数えられるため、記事の後半で紹介する生存率も、どの集計の数字かを分けて見る必要があります。

胆のうがんは、胆管がんとどう違いますか?

胆汁をためる袋にできるがんで、胆のうの中にとどまっていれば胆のうを取る手術で済むことがありますが、周りに広がると肝臓などをあわせて切除する大きな手術になります。

胆のうは、肝臓の下に付いている袋状の臓器です。がんが胆のうの壁の中にとどまっていれば胆のう摘出術を行い、肝臓や胆管、膵臓、大腸、十二指腸、リンパ節に広がっていれば、それらもあわせて切除します(がん情報サービス 2026年)。

院内がん登録で2014〜2015年に胆のうがんと診断された3,009人の5年生存率(ネット・サバイバル)は27.2%でした。ステージ別では、Ⅰ期87.2%、Ⅱ期71.4%、Ⅲ期19.9%、Ⅳ期2.1%です(国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム「胆嚢がん(胆嚢癌)」)。Ⅱ期とⅢ期の間で、数字が大きく下がります。

同じ集計で、Ⅰ期の736人のうち713人、Ⅱ期の858人のうち827人が手術を受けていました。Ⅲ期では692人のうち539人、Ⅳ期では633人のうち185人です。この集計では、手術をした人は手術で取り出したがんを調べた結果で病期を決めています。胆のうがんのⅠ期・Ⅱ期の数字は、ほとんどが手術を受けた人の数字です。

胆管がんの症状は、何ですか?

早い時期には症状がないことが多く、進むと、皮膚や白目が黄色くなる黄疸、白っぽい便、濃い茶色の尿、皮膚のかゆみなどが出ます。

がん情報サービスが挙げている症状は次のとおりです(がん情報サービス 2026年)。

  • 黄疸:がんで胆管が細くなったりふさがったりして、胆汁の成分のビリルビンが血液に流れ込むことで起こる
  • 便と尿の変化:胆汁が腸に流れにくくなって便が白っぽくなり、尿が濃い茶色になる
  • 皮膚のかゆみ
  • みぞおちや右わき腹の痛み、発熱、だるさ、食欲がない、体重が減る

痛みや発熱は胆石症などでも起こるため、症状だけでは胆道がんかどうかは決められません。胆道がんについて、国の指針で定められたがん検診はありません(がん情報サービス 2026年)。

黄疸が出たら、どんな処置をしますか?

ふさがった胆道から胆汁を外に出す胆道ドレナージを行い、黄疸をやわらげてから、手術や薬の治療に進みます。

胆道ドレナージは、黄疸を改善するとともに、そのあとの治療を安全に行うための処置で、多くは入院して行います。方法は大きく2つあります(がん情報サービス 2026年)。

方法 どうするか 暮らしへの影響
外ろう 鼻またはおなかからチューブを体の外に出し、胆汁を袋に集める チューブと袋があるため、日常生活に制限がある
内ろう(胆道ステント) プラスチックや金属の管(ステント)を胆管の中に置き、胆汁を腸に流す。内視鏡で入れる方法と、おなかの皮膚から肝臓を通して入れる方法がある 体の外に管は出ない。ただし詰まったり抜けたりしても気づきにくく、詰まると再入院が必要になることがある

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「胆道がん」(2026年8月27日作成)

肝臓を大きく切除する手術を予定していて黄疸がある場合は、手術の前に胆道ドレナージで黄疸を下げておきます(がん情報サービス 2026年)。ステントは、手術をしない場合にも胆汁の流れを保つために使われます。

胆管がんは、どんな検査で診断し、ステージを決めますか?

血液検査と超音波・CT・MRIで胆管の狭いところと広がりを調べ、内視鏡で組織を採ってがんを確かめ、ステージは場所ごとに別の分類で決めます。

がん情報サービスが挙げている主な検査は次のとおりです(がん情報サービス 2026年)。

  • 血液検査:ビリルビン、ALP、γ-GTPで胆汁の流れの悪さを見る。腫瘍マーカーのCA19-9とCEAは診断の補助や経過の確認に使う(腫瘍マーカーとは)
  • 画像検査:腹部超音波で胆管が狭くなったり広がったりしていないかを見る。CTとMRIでがんの広がりと転移を調べ、MRCPで胆管と胆のうの形を映す
  • 内視鏡を使う検査:超音波内視鏡(EUS)、内視鏡から胆管に造影剤を入れるERCP、胆管の中から超音波を当てるIDUS、胆管の中を直接見る経口胆道鏡(POCS)。ERCPやPOCSの多くは入院して行う(がんの内視鏡検査)
  • 生検・細胞診:組織や細胞を採って顕微鏡で調べ、がんと確定する。胆管がんでは、ERCPや胆道ドレナージのときに一緒に採ることがほとんど
  • PET-CT:ほかの検査で広がりがはっきりしないときに追加する

ステージは0期からⅣ期まであり、がんの深さや広がり(T)、リンパ節への転移(N)、離れた臓器への転移(M)の組み合わせで決まります(がんのステージはいくつまで?)。胆道がんでは、場所によって使う分類が違います。肝内胆管がんは原発性肝癌取扱い規約 第7版(2025年)、肝門部領域胆管がん・遠位胆管がん・胆のうがん・十二指腸乳頭部がんは胆道癌取扱い規約 第7版(2021年)で、それぞれ別の表で病期を決めます(がん情報サービス 2026年)。同じ「Ⅲ期」でも、場所が違えば条件が違います。

胆管がんの手術は、どこまで切りますか?

がんの場所によって、肝臓を大きく切除する手術や、膵臓の頭の部分と十二指腸までをあわせて切除する手術になり、切除したあとに残る肝臓の働きが足りるかどうかが手術の条件になります。

手術ができるかどうかは、手術に耐えられる体の状態であること、離れた臓器に転移がないこと、肝臓を切除する場合は手術のあとに残る肝臓の働きが十分あると予測できること、の3つで判断します。転移がなくても、がんが血管などに広がっていて技術的に切除が難しいこともあり、その判断は施設や医師によって異なることがあります(がん情報サービス 2026年)。

肝臓を半分以上切除する場合は、手術の前に、切除する側の肝臓へ向かう門脈という血管をふさいで、残す側の肝臓を大きくする門脈塞栓術を行うことがあります。手術のあとには、肝不全、胆汁がもれる胆汁漏、膵液がもれる膵液漏、胸水、腹水、胆管炎などの合併症が起こることがあり、重い合併症の多くは手術後1週間以内に起こります(がん情報サービス 2026年)。

どのくらいの人が手術を受けているかを、院内がん登録の2014〜2015年の集計で数えると、病期のわかっている肝内胆管がん1,991人のうち1,302人(65.4%)、胆のうがん2,919人のうち2,264人(77.6%)が手術を受けていました(院内がん登録生存率集計結果閲覧システム「肝内胆管がん(肝内胆管癌)」、胆嚢がん(胆嚢癌))。この集計の「手術有」は、がんを切除できたかどうかまでは分けていません。また、肝臓の外の胆管がんと十二指腸乳頭部がんは、この閲覧システムに項目がないため数えられません。

手術のあとにも、薬の治療をしますか?

手術でがんを切除したあとは、S-1という飲み薬を約半年続ける術後補助化学療法が標準治療として勧められています。

根拠になったのは、日本の38施設で行われたJCOG1202(ASCOT)試験です。胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がんを手術で切除した440人を、S-1を飲む群と、薬を飲まずに経過をみる群に分けました。S-1は4週間飲んで2週間休むのを4回くり返します。3年後に生きていた人の割合(3年全生存率)は、S-1の群が77.1%、経過をみた群が67.6%で、ハザード比は0.69(95%信頼区間0.51〜0.94)でした(Nakachi K, et al. Lancet 2023)。

一方、再発せずに生きていた期間(無再発生存期間)のハザード比は0.80(95%信頼区間0.61〜1.04)で、差ははっきりしませんでした。信頼区間は、再発または死亡の危険を4割近く減らす可能性から、4%増やす可能性までを含んでいます。S-1の群では、好中球の減少が14%、胆道の感染が7%に起こりました。がん情報サービスは、S-1による術後補助化学療法を、推奨されている標準治療として紹介したうえで、手術後の回復の状態、年齢、本人の希望をふまえて行うかどうかを決めると説明しています。胆道癌診療ガイドラインの最新版は改訂第4版(日本肝胆膵外科学会編 2025年7月刊行)で、がん情報サービスの解説もこれを参考文献に挙げています。術後補助化学療法の考え方は、術後補助化学療法とはで説明しています。

手術できないときは、どんな治療がありますか?

最初の治療は、ゲムシタビンとシスプラチンに、免疫チェックポイント阻害薬のデュルバルマブかペムブロリズマブを加える組み合わせが中心です。

手術が難しい胆道がんの薬の治療として、がん情報サービスは、ゲムシタビンとシスプラチン(GC療法)、ゲムシタビンとS-1(GS療法)、3剤を合わせたGCS療法、GC療法に免疫チェックポイント阻害薬を加える治療を挙げています。免疫チェックポイント阻害薬で効果が証明されているのは、2026年8月時点で、GC療法に加えて使う方法だけです(がん情報サービス 2026年)。薬の仕組みは免疫チェックポイント阻害薬とはで説明しています。

デュルバルマブ(商品名イミフィンジ)は2022年12月に(CareNet 2022年12月23日)、ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)は2024年5月に(日刊薬業 2024年5月17日)、治癒切除できない胆道がんに使えるようになりました。根拠となった2つの試験の結果は次のとおりです。

項目 デュルバルマブ+GC療法(TOPAZ-1試験) ペムブロリズマブ+GC療法(KEYNOTE-966試験)
比べたもの GC療法に、デュルバルマブを加えるか偽薬を加えるか GC療法に、ペムブロリズマブを加えるか偽薬を加えるか
参加した人 685人(うち日本人78人) 1,069人(うち日本人102人)
全生存期間の中央値 12.8か月と11.5か月 12.7か月と10.9か月
ハザード比(95%信頼区間) 0.80(0.66〜0.97) 0.83(0.72〜0.95)
日本人だけで見たハザード比 0.72(0.39〜1.29) 1.08(0.70〜1.68)
続け方 GC療法は最大8回。そのあとはデュルバルマブだけを4週ごとに続ける シスプラチンは最大8回。ゲムシタビンとペムブロリズマブは続ける

出典:PMDA イミフィンジ 審査報告書(2022年)、PMDA キイトルーダ 審査報告書(2024年)

日本人の集団では、差が見えていない

KEYNOTE-966試験の日本人102人では、全生存期間の中央値はペムブロリズマブを加えた群が10.0か月、加えなかった群が12.3か月で、ハザード比は1.08でした。PMDAは、日本人の人数が少なく結論に限りがあるとしたうえで、試験全体の結果などをもとに日本人にも効果が期待できると判断しています(PMDA キイトルーダ 審査報告書 2024年)。TOPAZ-1試験の日本人78人のハザード比0.72も、信頼区間が0.39から1.29までと広く、PMDAは確かな結論は出せない人数だとしています(PMDA イミフィンジ 審査報告書 2022年)。2つの薬を直接比べた試験はありません。

最初の薬が効かなくなったあとは、薬の種類を変えて治療を続けることがあります(がん情報サービス 2026年)。放射線治療は、手術ができず遠隔転移がない場合に、進行を抑える、ステントが詰まるのを防ぐ、痛みをやわらげるといった目的で行うことがありますが、効果は十分に証明されていません。肝内胆管がんでは、手術で治すことが難しい場合に、2022年4月から陽子線・重粒子線治療が保険で受けられるようになりました(日本放射線腫瘍学会 JASTRO NEWSLETTER 144号、重粒子線と陽子線の違い)。体と心のつらさをやわらげる緩和ケアは、診断されたときから受けられます(緩和ケアはいつから受けられる?)。

遺伝子の検査で使える薬は、ありますか?

がんの遺伝子にFGFR2融合遺伝子やIDH1遺伝子変異が見つかった場合、最初の薬のあとに、それぞれを狙う飲み薬が保険で使えます。

がん情報サービスは、胆道がんで調べる遺伝子やその状態として、FGFR2、BRAF V600E、MSI-High、TMB-High、NTRK、IDH1、HER2、RETを挙げ、変化があればそれに対応する薬を使うことがあると説明しています(がん情報サービス 2026年)。日本肝胆膵外科学会が2023年5月に公表した胆道癌診療ガイドラインの追補資料は、FGFR2融合遺伝子は主に肝内胆管がんで見つかるとして、肝内胆管がんや肝門部領域胆管がんで最初の治療が効かなくなったときに調べることを提案していました(日本肝胆膵外科学会 胆道癌診療ガイドライン CQ37〜39 正誤・追補)。いま使える薬は次の3つです(インサイト発表 2021年3月、日刊薬業 2023年6月26日、PMDA 医療用医薬品情報 イボシデニブ)。調べ方はがんゲノム医療の遺伝子パネル検査で説明しています。

遺伝子の変化 薬(商品名) 国内で胆道がんに使えるようになった時期 対象
FGFR2融合遺伝子 ペミガチニブ(ペマジール) 2021年3月 抗がん薬のあとに悪化した、治癒切除できない胆道がん
FGFR2融合遺伝子 フチバチニブ(リトゴビ) 2023年6月26日 抗がん薬のあとに悪化した、治癒切除できない胆道がん
IDH1遺伝子変異 イボシデニブ(ティブソボ) 2026年6月19日 抗がん薬のあとに悪化した、治癒切除できない胆道がん

出典:インサイト発表(2021年3月)、日刊薬業(2023年6月26日)、PMDA ティブソボ 審査報告書(2026年)・医薬品情報

イボシデニブの承認の根拠になったClarIDHy試験では、抗がん薬の治療を受けたIDH1遺伝子変異のある胆管がん185人を、イボシデニブと偽薬に2対1で分けました。がんが進まずにいた期間(無増悪生存期間)の中央値は2.7か月と1.4か月で、ハザード比は0.37でした。全生存期間の中央値は10.3か月と7.5か月で、ハザード比は0.79(95%信頼区間0.56〜1.12)でした。偽薬の群の43人が途中からイボシデニブに切り替えており、その影響を補正するとハザード比は0.49になります(PMDA ティブソボ 審査報告書 2026年)。

胆管がんの生存率は、どれくらいですか?

2018年に胆のう・胆管のがんと診断された人の5年相対生存率は24.8%で、ステージと手術を受けられたかどうかで大きく違います。

全国がん登録をもとにした集計では、2018年に診断された胆のう・胆管のがんの5年相対生存率は24.8%(男性27.5%、女性21.7%)でした(がん統計 2026年7月22日確認)。この数字には肝内胆管がんは入っていません。がんの種類ごとの治りにくさの比べ方は、一番治りにくいがんは?で説明しています。

ステージ別の数字は、全国のがん診療連携拠点病院などが集めた院内がん登録で見ることができます(がん診療連携拠点病院とは)。肝臓の外の胆管がんは、閲覧システムに項目がありません。

ステージ 肝内胆管がん(人数) 肝内胆管がん 5年生存率 胆のうがん(人数) 胆のうがん 5年生存率
Ⅰ期 547人 58.2% 736人 87.2%
Ⅱ期 552人 34.9% 858人 71.4%
Ⅲ期 147人 29.8% 692人 19.9%
Ⅳ期 745人 6.0% 633人 2.1%
全体 2,046人 21.1% 3,009人 27.2%

出典:国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム(2014〜2015年診断、5年生存率はネット・サバイバル)。全体には病期不明などを含む

ネット・サバイバルは、がん以外の原因で亡くなる影響を取り除いて計算した生存率です。同じ集計の実測生存率(すべての死亡を含めた数字)は、肝内胆管がんの全体で19.2%、胆のうがんの全体で24.1%でした。表の人たちが治療を受けたのは、GC療法に免疫チェックポイント阻害薬を加える治療も、手術後のS-1も、標準になる前です。

肝内胆管がんの「Ⅳ期」には、手術を受けた人が319人いる

院内がん登録の2014〜2015年の集計は、UICC TNM分類 第7版で病期を決めています(国立がん研究センター 院内がん登録 2014-2015年5年生存率集計 報告書 2023年)。第7版の肝内胆管がんでは、近くのリンパ節に転移があるとⅣA期でしたが、第8版ではⅢB期に移りました(Lee AJ, et al. Chin Clin Oncol 2018)。表の肝内胆管がんでⅢ期が147人と少なく、Ⅳ期が745人と多いのはこのためと考えられます。実際、Ⅳ期の745人のうち319人は手術を受けており、その人たちの5年実測生存率は22.3%、手術を受けなかった426人では1.6%でした。いまⅢ期と言われた人が、この表のⅢ期の数字にそのまま当てはまるわけではありません。

1.8か月

手術できない胆道がんで、GC療法にペムブロリズマブを加えて延びた、全生存期間の中央値の差です(12.7か月と10.9か月)。
承認につながった差ですが、半数の人が亡くなる時点がおよそ2か月後ろにずれた、という大きさの数字でもあります。

出典:PMDA キイトルーダ 審査報告書(2024年、KEYNOTE-966試験 1,069人)

新見正則医院院長 新見正則

監修

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

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よくある質問

Q胆管がんの初期症状は何ですか?

早い時期には症状がないことが多いがんです。進むと、皮膚や白目が黄色くなる黄疸、白っぽい便、濃い茶色の尿、皮膚のかゆみ、みぞおちや右わき腹の痛み、発熱、体重減少などが出ます。痛みや発熱は胆石症などでも起こるため、症状だけでは区別できません。

Q胆管がんの5年生存率はどのくらいですか?

2018年に胆のう・胆管のがんと診断された人の5年相対生存率は24.8%です。院内がん登録の2014〜2015年の集計では、肝内胆管がんの5年生存率(ネット・サバイバル)はⅠ期58.2%、Ⅳ期6.0%でした。当時の病期分類では、肝内胆管がんでリンパ節に転移があるとⅣ期に入っていました。

Q胆管がんは手術できますか?

体が手術に耐えられ、離れた臓器への転移がなく、肝臓を切除する場合は残る肝臓の働きが十分ある見込みであれば、手術を検討します。場所によって、肝臓を大きく切除する手術や膵頭十二指腸切除が必要になります。院内がん登録では、病期のわかっている肝内胆管がんの65.4%が手術を受けていました。

Q胆のうがんと胆管がんの違いは何ですか?

胆管がんは胆汁が流れる管にでき、胆のうがんは胆汁をためる袋にできます。どちらも胆道がんに含まれます。胆のうがんは胆のうの中にとどまっていれば胆のう摘出で済むことがありますが、胆管がんでは、場所によって肝臓や膵臓をあわせて切除する手術が必要になります。

Q胆管がんで手術できない場合の治療は何ですか?

ゲムシタビンとシスプラチンに、免疫チェックポイント阻害薬のデュルバルマブかペムブロリズマブを加える治療が中心です。最初の薬のあとは、FGFR2融合遺伝子やIDH1遺伝子変異が見つかれば、それぞれを狙う飲み薬が使えます。黄疸がある場合は、先に胆道ステントなどで胆汁の流れを確保します。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「胆道がん:胆管がん(肝内胆管がんを含む)・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん」(2026年8月27日作成)
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/brochure/pdf/full_106.pdf
  2. 国立がん研究センター がん統計「胆のう・胆管」(2026年7月22日確認)
    https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/9_gallbladder.html
  3. 国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 胆嚢がん(胆嚢癌)2014-2015年5年生存率
    https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c19
  4. 国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 肝内胆管がん(肝内胆管癌)2014-2015年5年生存率
    https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c06
  5. 国立がん研究センター がん対策研究所「院内がん登録 2014-2015年 5年生存率集計 報告書」(2023年3月)
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_reg_surv/pdf/hosp_c_reg_surv_2014-2015.pdf
  6. 日本肝胆膵外科学会 胆道癌診療ガイドライン作成委員会編「エビデンスに基づいた胆道癌診療ガイドライン 改訂第4版」医学図書出版(2025年7月)
    https://www.maruzenjunkudo.co.jp/products/9784865176445
  7. 日本肝胆膵外科学会「胆道癌診療ガイドライン CQ37〜39 正誤・追補」(2023年5月現在)
    https://www.jshbps.jp/uploads/files/publications/CQ37-39_rev.pdf
  8. Nakachi K, Ikeda M, Konishi M, et al. Adjuvant S-1 compared with observation in resected biliary tract cancer (JCOG1202, ASCOT): a multicentre, open-label, randomised, controlled, phase 3 trial. Lancet. 2023;401(10372):195-203. doi:10.1016/S0140-6736(22)02038-4
    https://doi.org/10.1016/S0140-6736%2822%2902038-4
  9. 医薬品医療機器総合機構「イミフィンジ点滴静注 審査報告書」(2022年11月)
    https://www.pmda.go.jp/drugs/2022/P20221223004/670227000_23000AMX00485_A100_1.pdf
  10. 医薬品医療機器総合機構「キイトルーダ点滴静注 審査報告書」(2024年4月11日)
    https://www.pmda.go.jp/drugs/2024/P20240709001/170050000_22800AMX00696_A100_1.pdf
  11. 医薬品医療機器総合機構「ティブソボ錠 審査報告書」(2026年5月29日)
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  14. 日刊薬業「キイトルーダ、胃がんと胆道がんで適応追加」(2024年5月17日)
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    https://nk.jiho.jp/article/181988
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    https://www.businesswire.com/news/home/20210326005270/ja
  17. 日本放射線腫瘍学会「JASTRO NEWSLETTER 144号 特集」(2022年)
    https://www.jastro.or.jp/medicalpersonnel/journal/JASTRO_NEWSLETTER_144_tokushu.pdf
  18. Lee AJ, Chun YS. Intrahepatic cholangiocarcinoma: the AJCC/UICC 8th edition updates. Chin Clin Oncol. 2018;7(5):52. doi:10.21037/cco.2018.07.03
    https://doi.org/10.21037/cco.2018.07.03

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