リンパ節転移があるから手術できないと言われるのは、転移が手術で取る範囲の外にあるか、範囲の中でも広がりが大きいときです。
リンパ節転移があっても、手術の対象になる人は多くいます。この記事では、手術で一緒に取れるリンパ節転移と、手術の対象になりにくいリンパ節転移の違いを、肺がん・胃がん・食道がん・子宮頸がんの例で示します。あわせて、手術の代わりに選ばれる治療、治療で小さくなってから手術を検討する場合、「手術できない」と言われたときに確かめることを、国立がん研究センターの情報と学会のガイドライン、臨床試験の論文で整理します。
この記事の内容
「リンパ節転移があるから手術できない」とは、どういう意味ですか?
リンパ節転移そのものが理由なのではなく、転移したリンパ節の場所や広がりから、手術だけでは切除が難しい、または手術以外の治療が標準とされている、という意味であることが多くあります。
がんの手術では、がんと一緒に、その周りのリンパ節も取るのが基本です。これをリンパ節郭清といいます。MSDマニュアル(プロフェッショナル版)は、原発腫瘍の外科的切除に「所属リンパ節の切除」が含まれると説明しています(MSDマニュアル プロフェッショナル版「がん手術」2024年7月改訂)。
所属リンパ節(領域リンパ節)は、がんの手術で一緒に取ることを前提に、臓器ごとに範囲を決めてあるリンパ節です。
この範囲の中に転移があっても、それだけで手術ができなくなるわけではありません。手術できないと言われるのは、主に次のような場合です。転移と浸潤という言葉の区別は、転移と浸潤の違いの記事で説明しています。
- 転移したリンパ節が、領域リンパ節の外(遠くのリンパ節)にある
- 領域の中でも、転移が多い、大きく固まっているなど、手術だけでは切除が難しいと見込まれる
- そのがんとその病期では、手術より化学放射線療法などが標準治療とされている
- 体の状態から、手術と麻酔の負担に耐えるのが難しい
どれに当たるかで、その後の選択肢は変わります。最初の3つは「がんの状態」、最後の1つは「体の状態」の話です。言われた理由がどちらなのかを分けて聞くと、判断の中身が見えやすくなります。
リンパ節転移の扱いは、がんの種類によって違いますか?
違います。どのリンパ節までを領域とし、どこからを遠隔転移とするか、どの段階で手術以外の治療が中心になるかは、がんの種類ごとに決まっています。
4つのがんについて、一次資料で確認できた範囲を表にまとめます。
| がんの種類 | リンパ節転移の分け方 | 手術以外の治療が中心になりやすい例 |
| 肺がん(非小細胞肺がん) | N1:同じ側の気管支の周り・肺門・肺内。N2:同じ側の縦隔・気管分岐部の下。N3:反対側の縦隔・肺門、首の付け根(斜角筋)や鎖骨の上 | 手術はⅠ期・Ⅱ期とⅢ期の一部が対象。切除できないⅢ期は化学放射線療法が主な対象 |
| 胃がん | 胃の周りのNo.1〜12と14vが領域リンパ節。大動脈の周り(No.16)は領域の外で、遠隔転移(M1) | 大動脈周囲リンパ節転移は薬物療法が中心。限られた少数なら術前化学療法のあとの切除が弱く推奨 |
| 食道がん(胸部) | 手術では首・胸・おなかの3つの領域にわたってリンパ節を郭清する | 手術が難しい場合や手術を希望しない場合は根治的化学放射線療法。ⅣA期は化学放射線療法が標準 |
| 子宮頸がん | 骨盤のリンパ節への転移はⅢC1期、大動脈の周りのリンパ節への転移はⅢC2期 | Ⅲ期・ⅣA期は同時化学放射線療法。ⅢC期は広がりによって手術を検討する |
出典:Huang J, et al. J Thorac Oncol 2024(肺がんのN分類)、がん情報サービス「非小細胞肺がん 治療」2026年、日本胃癌学会 胃癌治療ガイドライン2021年版(英語版、Gastric Cancer 2023)、がん情報サービス「食道がん 治療」2023年、Bhatla N, et al. Int J Gynaecol Obstet 2019(FIGO 2018)、国立がん研究センター「子宮頸がん 治療」2025年
子宮頸がんでは、大動脈の周りのリンパ節に転移していても、病期はⅢC2期で、Ⅳ期ではありません(Bhatla N, et al. Int J Gynaecol Obstet 2019)。それでも、Ⅲ期・ⅣA期の治療は手術ではなく同時化学放射線療法で、ⅢC期で手術が検討されるのは広がりによる場合とされています(国立がん研究センター「子宮頸がん 治療」2025年7月29日)。手術が選ばれるかどうかは、病期の数字だけでなく、がんの種類ごとの標準治療で決まります。
胃がんでは逆に、大動脈の周りのリンパ節は領域の外です。日本胃癌学会のガイドラインは、領域リンパ節をNo.1〜12と14vとし、それ以外のリンパ節への転移をM1(遠隔転移)としています(日本胃癌学会 胃癌治療ガイドライン2021年版(英語版)Gastric Cancer 2023)。同じ「大動脈の周りのリンパ節」でも、子宮頸がんではⅢ期、胃がんでは遠隔転移です。
遠隔転移があるとなぜ手術が選ばれにくいのか、その例外を含めた説明は、ステージ4はなぜ手術できないのかを説明した記事にまとめています。
肺がんでは、リンパ節転移があると手術できないのですか?
リンパ節転移があっても、Ⅱ期やⅢ期の一部は手術の対象です。N2では手術を組み込む場合と化学放射線療法を選ぶ場合があり、手術を加えても全生存期間が延びなかったランダム化試験があります。
非小細胞肺がんのリンパ節転移は、場所によってN1からN3に分けられます。N1は同じ側の気管支の周りや肺門・肺内のリンパ節、N2は同じ側の縦隔(左右の肺の間)や気管分岐部の下のリンパ節、N3は反対側の縦隔や肺門、首の付け根(斜角筋)や鎖骨の上のリンパ節への転移です。国際肺癌学会(IASLC)は、TNM分類第9版に向けて、N2を転移が1つの領域(ステーション)にとどまるN2aと、複数の領域に及ぶN2bに分けることを提案しました。N2aのほうがN2bより予後がよかったためです(Huang J, et al. J Thorac Oncol 2024)。
がん情報サービスは、手術の対象を「Ⅰ期、Ⅱ期と、Ⅲ期の一部」としています。放射線治療は「切除できないⅢ期の非小細胞肺がんが主な対象」とされ、放射線治療と抗がん薬は時期を分けるより同時に行うほうが効果が高いとされています。化学放射線療法のあとに病状がコントロールできている場合は、免疫チェックポイント阻害薬による治療を行うことがあります(がん情報サービス「非小細胞肺がん 治療」2026年8月26日更新)。
Ⅱ期や一部のⅢ期では、手術の前の治療(術前導入療法)を行う場合があります(がん情報サービス 2026年)。同じN2でも、手術を組み込むか、化学放射線療法で治療するかは、転移の広がりと体の状態をみて決まります。
N2の肺がんで、手術の役割を確かめた2つの試験
N2の非小細胞肺がんでの手術の役割は、くじ引きで治療を分けるランダム化比較試験で確かめられています。ただし、2つの試験は比べたものが違います。北米の試験は化学放射線療法に手術を加えるかどうか(上乗せ)を、欧州の試験は抗がん薬のあとの局所の治療を手術にするか放射線治療にするか(置き換え)を比べました。
北米のIntergroup 0139試験は、組織で確かめたN2(T1〜3、N2、M0)の非小細胞肺がん396人を対象に、抗がん薬と放射線治療を同時に行ったあとに手術をする群(202人)と、手術をせずに放射線治療を61Gyまで続ける群(194人)を比べました。全生存期間の中央値は、手術を加えた群で23.6か月、加えなかった群で22.2か月で、統計的な差はありませんでした(ハザード比0.87、95%信頼区間0.70〜1.10)。無増悪生存期間の中央値は12.8か月と10.5か月で、手術を加えた群で長くなりました。治療に関連した死亡は、手術を加えた群で16人(7.9%)、加えなかった群で4人(2.1%)でした。手術を加えた群の16人のうち14人は、片側の肺をすべて取る手術(肺全摘)のあとの死亡でした(Albain KS, et al. Lancet 2009)。
欧州のEORTC 08941試験は、ⅢA-N2期の非小細胞肺がんで、3回の抗がん薬治療が効いた332人を、手術群(167人)と放射線治療群(165人)に分けました。全生存期間の中央値は手術群16.4か月、放射線治療群17.5か月、5年全生存率は15.7%と14%(ハザード比1.06、95%信頼区間0.84〜1.35)で、著者らは手術は放射線治療と比べて全生存も無増悪生存も改善しなかったと結論しています(van Meerbeeck JP, et al. J Natl Cancer Inst 2007)。
| 試験(発表年) | 対象と比べたもの | 手術を含む群/比べた群 |
| Intergroup 0139(2009年) | 組織で確かめたN2(T1〜3、N2、M0)、396人。化学放射線療法のあとに手術を加える群と、手術をせず放射線治療を続ける群(手術の上乗せ) | 全生存期間の中央値 23.6か月/22.2か月(ハザード比0.87、95%信頼区間0.70〜1.10)。治療関連死 7.9%/2.1% |
| EORTC 08941(2007年) | ⅢA-N2期、抗がん薬が効いた332人。手術をする群と、手術の代わりに放射線治療をする群(局所の治療の置き換え) | 全生存期間の中央値 16.4か月/17.5か月。5年全生存率 15.7%/14%(ハザード比1.06、95%信頼区間0.84〜1.35) |
出典:Albain KS, et al. Lancet 2009、van Meerbeeck JP, et al. J Natl Cancer Inst 2007
問いは違いますが、どちらの試験でも、手術を含む群の全生存期間は比べた群を上回りませんでした。EORTC 08941試験の著者らは、合併症と死亡が少ないことから、この人たちには放射線治療を優先すべき局所の治療と考えるべきだとしています。Intergroup 0139試験のハザード比0.87の95%信頼区間0.70〜1.10は、手術を加えると死亡のリスクが3割下がる側から、1割上がる側までを含む幅で、どちらとも決められなかったことを示します。Intergroup 0139試験の著者らは、手術を加えるかどうかにかかわらず化学放射線療法はⅢA(N2)期の選択肢であり、手術をするなら肺の全摘より肺葉切除が望ましいとしています。背景には、上に書いた肺全摘のあとの死亡の多さがあります。
2つの試験が行われた時代
どちらの試験も、免疫チェックポイント阻害薬が使われる前に行われました。がん情報サービスが書いているように、今は化学放射線療法のあとに免疫チェックポイント阻害薬を使うことがあり、手術の前後に薬物療法を組み合わせる方法もあります(がん情報サービス 2026年)。2つの試験の数字は、今の治療の成績そのものではありません。示しているのは、N2の肺がんでは、手術を加えても、放射線治療の代わりに手術を選んでも、全生存期間が延びなかった場面がランダム化試験で確かめられている、ということです。
胃がんで、大動脈の周りのリンパ節に転移していたら手術できませんか?
大動脈の周りのリンパ節への転移は遠隔転移として扱われ、薬物療法が中心になります。ただし、転移が限られた範囲の少数であれば、先に抗がん薬で治療したあとの切除が弱く推奨されています。
がん情報サービスは、胃がんの遠隔転移(M)を「がんができた場所から離れた臓器やリンパ節への転移」とし、リンパ節に転移がある場合や手術で取りきることが難しい場合には、手術の前に術前補助化学療法を行うこともあると説明しています(がん情報サービス「胃がん 治療」2026年1月13日更新)。
日本胃癌学会のガイドライン(2021年版、英語版)は、大動脈周囲リンパ節の転移がNo.16a2とNo.16b1に限られた少数の場合に、術前化学療法のあとの切除を弱く推奨しています(エビデンスの強さC)(日本胃癌学会 Gastric Cancer 2023)。
胃の周りのリンパ節が大きく腫れて固まっている状態(bulky N)や、大動脈周囲リンパ節への転移がある胃がんについて、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の2つの試験をまとめた解析は、その背景に、こうした胃がんは「一般に切除できないとみなされている(commonly regarded as unresectable)」と書いています。この解析では、手術の前に抗がん薬を2〜3回行い、大動脈の周りまでリンパ節を郭清する胃切除(D3郭清)をした96人の5年全生存率は、bulky Nと大動脈周囲リンパ節転移の両方があった人で19.2%、bulky Nだけの人で50.7%、大動脈周囲リンパ節転移だけの人で43.5%でした(Katayama H, et al. Gastric Cancer 2019)。
第Ⅱ相・洗浄細胞診陰性・PS 0〜1という前提
19.2%〜50.7%は、くじ引きで比べる対照の群を置かない2つの第Ⅱ相試験の数字です。参加できたのは、腹膜への転移を調べる洗浄細胞診が陰性で、スキルス胃がんの型ではなく、体の状態がよい(PS 0〜1)人などに限られていました。腹膜に転移がある人や、抗がん薬と大きな手術を続けて受けるだけの体力がない人は、この数字の外にいます。両方の転移があった人の19.2%について、著者らは治療のさらなる改善が必要だとしています(Katayama H, et al. Gastric Cancer 2019)。
なお、転移が見つかっていない段階で、予防のために大動脈の周りまで郭清を広げても生存は延びなかったという試験もあります。その結果は手術で免疫力は落ちるのかを扱った記事で紹介しています。
食道がんでは、リンパ節転移があると手術できないのですか?
Ⅱ期・Ⅲ期では、手術ができる場合は抗がん薬のあとの手術が第一選択です。手術が難しい場合や希望しない場合は、完治を目指す根治的化学放射線療法が選ばれます。
がん情報サービスによると、胸部の食道がんの手術では、首・胸・おなかの3つの領域にわたってリンパ節を郭清します。Ⅱ期・Ⅲ期で手術ができる場合は手術が第一選択で、手術の前に抗がん薬による治療を行う方法が標準です。手術が難しい場合や本人が手術を希望しない場合は、根治的化学放射線療法を行います。ⅣA期は化学放射線療法が、ⅣB期は免疫チェックポイント阻害薬と抗がん薬を組み合わせた薬物療法が標準治療です(がん情報サービス「食道がん 治療」2023年3月29日更新)。
根治的化学放射線療法は、手術の代わりに完治を目指して行う治療です。治療後にがんが残ったり再発したりした場合には、救済治療として手術や内視鏡治療を行うことがありますが、救済手術は合併症の頻度や手術後の死亡率が高くなるとされています(がん情報サービス 2023年)。食道がんでは、手術と化学放射線療法のどちらでも完治を目指せる場面があり、「手術できない」が「治療の目標が下がる」と同じ意味になるとは限りません。
手術の代わりに選ばれるのは、どんな治療ですか?
リンパ節転移が領域の中にとどまっている場合は化学放射線療法や放射線治療、遠隔転移として扱われる場合は薬物療法が中心になります。
ここまでの例をまとめると、手術の代わりに選ばれる治療は次のようになります。
| 状況 | 中心になる治療 | 根拠 |
| 肺がんの切除できないⅢ期 | 化学放射線療法。コントロールできていれば、そのあと免疫チェックポイント阻害薬 | がん情報サービス 2026年 |
| 食道がんで手術が難しい・希望しないⅡ期・Ⅲ期 | 根治的化学放射線療法(完治を目指す治療) | がん情報サービス 2023年 |
| 子宮頸がんのⅢ期・ⅣA期 | 同時化学放射線療法 | 国立がん研究センター 2025年 |
| 胃がんの大動脈周囲リンパ節転移 | 薬物療法。限られた少数の転移は術前化学療法のあとの切除が弱く推奨 | がん情報サービス 2026年、日本胃癌学会 2023年 |
出典:がん情報サービス「非小細胞肺がん 治療」2026年・「食道がん 治療」2023年・「胃がん 治療」2026年、国立がん研究センター「子宮頸がん 治療」2025年、日本胃癌学会 胃癌治療ガイドライン2021年版(英語版)
化学放射線療法は、放射線治療と抗がん薬を組み合わせる治療です。照射の回数や副作用は放射線治療とはの記事で、手術・放射線・薬を組み合わせる考え方は集学的治療とはの記事で説明しています。
治療でリンパ節が小さくなれば、あとから手術できますか?
できることがあります。ただし、薬の効果が続いていて、がんを切除できる見込みがあることが条件で、どのがんでも当てはまるわけではありません。
最初は切除できないと判断されたがんに対して、薬物療法などで小さくなったあとに、根治切除を目指して行う手術をコンバージョン手術といいます。日本胃癌学会のガイドラインは、Ⅳ期の胃がんのコンバージョン手術を、抗がん薬が一定の効果を示し、その効果が続いていて、取り残しのない切除(R0切除)ができることを条件に、弱く推奨しています(エビデンスの強さD)(日本胃癌学会 Gastric Cancer 2023)。
このガイドラインのエビデンスの強さはA〜Dの4段階で、Dは「効果の推定値がほとんど確信できない」という最も低い区分です。推奨も「強く推奨」と「弱く推奨」に分かれていて、コンバージョン手術は「弱く推奨」です。大腸がんの肝転移などでのコンバージョン手術は、ステージ4の手術を扱った前出の記事で触れています。
肺がんの術前導入療法や、胃がんの術前化学療法は、はじめから手術を予定したうえで行う治療です。コンバージョン手術は、はじめは手術を予定していなかった人が、治療の経過を見て手術を検討するものです。言われている治療がどちらなのかで、手術の見込みの意味は変わります。
体の状態が理由で、手術できないと言われることはありますか?
あります。手術の負担に体が耐えられるかは、年齢そのものではなく、体の働きの状態と持病で評価されます。
MSDマニュアルは、がんの患者さんの手術のリスクは「暦年齢ではなく身体機能状態と併存症に基づいて評価する」とし、手術のリスクが高すぎる場合には放射線療法などの代わりの治療が用いられることがあるとしています(MSDマニュアル 2024年)。食道がんのⅠ期でも、がん情報サービスは手術と化学放射線療法のどちらかを「体の状態によって」行うとしています(がん情報サービス 2023年)。
がんの状態からは手術ができても、心臓や肺の働き、持病の状態から手術を避ける判断があります。この場合は、リンパ節転移の有無とは別の理由です。
「手術できない」と言われたとき、何を確かめればよいですか?
転移しているリンパ節の場所、組織で確かめたかどうか、手術の代わりの治療の目的、治療のあとに手術を検討する可能性、の4つです。
主治医に確かめておくと、判断の中身がわかりやすくなる点を挙げます。
- 転移しているのは、手術で取る範囲(領域)のリンパ節か、範囲の外のリンパ節か
- リンパ節転移は画像で判断したものか、組織をとって確かめたものか
- 手術できない理由は、がんの広がりか、体の状態か
- 代わりに勧められている治療は、完治を目指すものか、進行を抑えるものか
- 治療で小さくなった場合に、手術を検討する可能性はあるか
2つ目について、英国国立医療技術評価機構(NICE)の肺がんのガイドラインは、リンパ節の状態で治療方針が変わる場合には、PET-CTで陽性になったリンパ節や腫れたリンパ節を、気管支鏡を使った超音波ガイド下の針生検(EBUS-TBNA)などで系統的に調べることを勧めています(NICE NG122「Lung cancer: diagnosis and management」2019年)。組織の検査の流れは、病理検査の結果は何日で出るかを説明した記事にまとめています。
ほかの医師の意見を聞きたいときは、セカンドオピニオンを受ける方法があります。がん情報サービスも、肺がんの治療を選ぶときにセカンドオピニオンを受けることを紹介しています(がん情報サービス 2026年)。受け方と紹介状の扱いは、セカンドオピニオンは紹介状なしで受けられるかを説明した記事で整理しています。セカンドオピニオンでは、同じ画像と病理の結果をもとに、ほかの医師の判断を聞くことになります。
23.6か月
N2の肺がんで、抗がん薬と放射線治療のあとに手術を加えた群の全生存期間の中央値です。手術を加えなかった群は22.2か月で、統計的な差はありませんでした。
リンパ節転移の段階によっては、手術を加えることが生存を延ばすとは限りません。
出典:Albain KS, et al. Lancet 2009(Intergroup 0139試験、組織で確かめたN2の非小細胞肺がん396人。ハザード比0.87、95%信頼区間0.70〜1.10)
監修
新見正則(にいみ まさのり)
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。
日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)
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手術ができないと言われたあとに、手術以外の治療とどう組み合わせて過ごすかを考える人もいます。
がんのステージ4/遠隔転移/手術不可に漢方薬や生薬は?
ステージ4や遠隔転移で手術ができない場合の治療がこの数十年でどう変わったか、がんとの共存という考え方、少数の転移(オリゴ転移)への治療、漢方薬や生薬を併用することについて、新見正則が外科医としての経験から書いたブログです。
よくある質問
Qリンパ節転移があっても手術できますか?
できることが多くあります。がんの手術では、がんの周りの決められた範囲(領域リンパ節)をがんと一緒に取るのが基本で、この範囲の中の転移は手術の対象になります。手術できないと言われるのは、範囲の外の転移、範囲の中でも広がりが大きい場合、そのがんでは化学放射線療法などが標準とされている場合、体の状態が理由の場合などです。
Q大動脈の周りのリンパ節に転移していても手術できますか?
がんの種類によって扱いが違います。胃がんでは大動脈の周りのリンパ節への転移は遠隔転移として扱われますが、限られた少数の転移であれば、術前化学療法のあとの切除が弱く推奨されています。子宮頸がんでは大動脈の周りのリンパ節への転移はⅢC2期で、Ⅲ期の治療の中心は同時化学放射線療法です。
Qリンパ節転移で手術できないと言われたら、治らないのですか?
そうとは限りません。食道がんの根治的化学放射線療法は、手術の代わりに完治を目指して行う治療とされています。肺がんの切除できないⅢ期や子宮頸がんのⅢ期でも、手術ではなく化学放射線療法が標準治療です。遠隔転移として扱われる場合は、薬物療法が中心になります。
Q抗がん剤でリンパ節が小さくなったら手術できますか?
できることがあります。胃がんのガイドラインは、Ⅳ期の胃がんで抗がん薬が一定の効果を示し、その効果が続いていて、取り残しのない切除ができる場合に、コンバージョン手術を弱く推奨しています。根拠の強さは最も低い区分で、どのがんでも当てはまるわけではありません。
QN2の肺がんは手術したほうが長生きできますか?
N2の非小細胞肺がんで、化学放射線療法に手術を加えるかどうかを比べた試験(Intergroup 0139)でも、抗がん薬のあとに手術と放射線治療のどちらをするかを比べた試験(EORTC 08941)でも、全生存期間に差はありませんでした。Intergroup 0139試験では中央値23.6か月と22.2か月です。ただし、どちらも免疫チェックポイント阻害薬が使われる前の試験です。
参考文献
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「がん手術」(2024年7月改訂)
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/11-%E8%A1%80%E6%B6%B2%E5%AD%A6%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E8%85%AB%E7%98%8D%E5%AD%A6/%E3%81%8C%E3%82%93%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%89%87/%E3%81%8C%E3%82%93%E6%89%8B%E8%A1%93 - 国立がん研究センター がん情報サービス「非小細胞肺がん 治療」(2026年8月26日更新)
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