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皮膚がんなんですね。治療は進歩しました。
代表的な皮膚がんは悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がん、有棘細胞がんです。どれも希少がん(10万人あたり毎年の罹患数が6人未満)です。他には乳房外パジェット病やボーエン病(有棘細胞がんの前段階)、皮膚リンパ腫、血管肉腫、メルケル細胞がんなどがあります。
放射線治療は1895年のレントゲンによるX線の発見の1ヶ月後に始まりました。 がん治療としては、1896年には手術不能の咽頭癌に第一例が行われ、疼痛緩和を得ることに成功しました。 そして1899年にスウェーデンのステンベックによる皮膚がんの治療が世界初の放射線治療による癌の根治例となりました
また、1898年にキューリー婦人はラジウムを発見します。そして3年後にはそのラジウムを用いて皮膚がんの放射線治療を行っています。キューリー婦人は1903年にノーベル物理学賞、そして1911年にノーベル化学賞を受賞しています。
皮膚がんは世界ではじめて人工的に発がんできたものとして有名です。山極勝三郎はウサギの耳にコールタールを塗擦し続けて、1915年に人工的に皮膚がんを発生させることに成功しました。これはコールタールを扱う職人の手や顔や頭にがんが発生しやすいという臨床的事実からヒントを得たものでした。この業績はノーベル賞に値するものと言われましたが、山極は受賞できませんでした。
私が医師になった当時、約40年前は、皮膚がんは外科的切除にて治すものでした。そしてその傾向は今でも続いています。他の領域のがんでは殺細胞性抗がん剤の使用方法や使用量、組合せが工夫され、また分子標的薬が導入され、そして免疫チェックポイント阻害剤がどんどんと使用されていることに比べるとちょっと遅れています。
悪性黒色腫(メラノーマ)はノーベル賞に輝いた本庶佑先生が開発した免疫チェックポイント阻害剤であるオプジーボの最初の保険適用病名として有名です。当時は悪性黒色腫に対する薬物治療は極めて僅かで、また悪性黒色腫自体が希少がんであることから、少数のランダム化された臨床試験で厚生労働省が保険適用としたからです。
悪性黒色腫以外の皮膚がんの多くは高齢者に発生することが多く、進行も遅く、それほどは命を脅かすものではありません。しかし、がんですから周囲に浸潤したり、遠隔転移します。命に関わることもあるのです。悪性黒色腫では1年間に600人ぐらいが亡くなりますが、実はその他の皮膚がんで亡くなる方の総数は、悪性黒色腫よりも多いのです。
分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤の導入で、治療方法の選択肢が増え、また保険適用されて、皮膚がんはますます長生きできる可能性があるがんになりました。
悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫は「黒い皮膚がん」の代表です。白人に多い病気で、日本人は10万人あたり2人未満が毎年罹患します。オーストラリアは日本人の数十倍、米国は10倍以上の割合で毎年罹患しています。ところが、日本人の悪性黒色腫は欧米に比べて進行して発見されることが多いのです。私は悪性黒色腫という病気が一般に認知されていないからではと思っています。
本邦の悪性黒色腫にはBRAFという遺伝子変異がある患者さんが約1/3います。白人の悪性黒色腫では約半分の患者さんにBRAF遺伝子変異があります。このBRAF遺伝子変異に有効な分子標的薬が使用できるので、まずこの遺伝子変異の有無を確かめるのです。
以前は悪性黒色腫に使用できる薬剤はダカルバジンひとつでしたが、2014年以降に、分子標的薬が4種類(タフィンラー、メキニスト、ビラフトビ、メクトビ)、免疫チェックポイント阻害剤が3種類(オプジーボ、キイトルーダ、ヤーボイ)使用可能になりました。
悪性黒色腫は大きさ(広さ)よりも、厚さで悪性度が決まります。多くのがんでは大きさで悪性度が高くなりますが、悪性黒色腫はちょっと異なります。リンパ節に転移がなければ、切除のみで終了です。以前は予防的にリンパ節切除を行っていましたが、その後のリンパ浮腫などが厄介なので、最近はセンチネルリンパ節生検を行って、センチネルリンパ節に転移がなければ終了です。センチネルリンパ節生検が陽性なら、しっかりとリンパ節郭清を行っていました。ところが、最近はセンチネルリンパ節が陽性でも、敢えて経過観察(アクティブサーベイランス)を選択して、リンパ節が腫れれば、薬剤を開始するという対応も増えています。その理由は悪性黒色腫に有効な薬剤が導入されたからです。
現在の悪性黒色腫に対する治療は、悪性度に応じて、手術治療+抗がん剤(分子標的薬と免疫チェックポイント阻害剤)の組合せです。分子標的薬にはBRAFとMEKを阻害するものがあります。放射線治療は、以前は悪性黒色腫では有効性が低いと考えられていましたが、免疫チェックポイント阻害剤に放射線治療を併用すると効果が増加することがわかっています。悪性黒色腫の脳転移には放射線治療が利用されます。
基底細胞癌
基底細胞癌は「治りやすい黒い皮膚がん」です。悪性黒色腫が「治りにくい黒い皮膚がん」であることとは対照的です。アジア人では黒色ですが、白人では赤いのです。高齢者に起こりやすく、99%は転移しないがんです。高齢などの理由で手術ができないときは放射線治療や凍結療法なども施行されます。
有棘細胞癌
有棘細胞がんは「赤い皮膚がん」です。紫外線や放射線、化学物質などで生じるがんです。やけどの跡にも生じます。日光角化症は有棘細胞がんの前段階とされていますが、この時にはベセルナクリームなどを塗ってがんへの進展を防止します。放射線治療も利用されます。薬剤はCPT-11とペプロマイシンが使用可能で、併用時には殺細胞性抗がん剤も利用できます。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤はまだ保険適用にはなっていません。
乳房外パジェット病
高齢者の病気です。においのする汗がでる下腹部、外陰部、腋窩などから発生します。パジェット病は、そもそもは乳首に発生するものでした。そこで、乳房外パジェット病と称されます。湿疹と間違えられることが多い病気です。放射線治療はよく効きます。保険適用になる薬剤はありません。進行すると予後不良なものがあります。
その他
メルケル細胞がん、皮膚血管肉腫、皮膚のリンパ腫なども皮膚がんです。
メルケル細胞がんは高齢の白人に発症する進行の早い皮膚悪性腫瘍ですが、まれです。
皮膚のリンパ腫では菌状息肉症・セザリー症候群は半数を占めます。治療は悪性リンパ腫に準じます。
皮膚血管肉腫は悪性度の高いがんです。不明瞭な赤いシミの内出血から始まります。
どれも、希少がんにて標準治療はありません。
進行した悪性黒色腫は今でも難治
皮膚がんにはいろいろな種類があります。基底細胞がん、有棘細胞がん、乳房外パジェット病などは進行がゆっくりです。予後も良好です。一方で悪性黒色腫は早期で見つかれば手術のみで対応可能で、経過観察(アクティブサーベイランス)になりますが、進行した悪性黒色腫は今でも難治です。
いろいろな治療を組み合わせましょう
手術を慌てて決める必要はありません。十分に熟慮して決めて下さい。そして、免疫力を上げる努力を積み重ねましょう。発がん頻度や発がん時期に幅があるのは、免疫力が発がんを抑えている証拠です。免疫力を上げると発がん時期を後ろに移動させることができます。天命を全うするまで延ばせれば、そんな選択肢もOKです。
明らかな抗がんエビデンスがないことでも良さそうで、経済毒性(過度な費用負担)がないことは積み上げましょう。①散歩(適度な運動)、②日光浴、③バランスのよい食事(タンパク質を多く)、④適度な睡眠、⑤安心と希望(ストレスを減らす)などなどです。日光浴は紫外線を浴びるので皮膚がんでは避けることが多いですが、がん全体を俯瞰すると日光浴で制がん作用があるというストーリーが増えています。皮膚がんを生じる頻度が減っても、他のがんが生じれば本末転倒になります。日光浴は主治医とご相談ください。
明らかな抗がんエビデンスとは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験です。ランダム化とはクジ引きのことで、1000例規模の大規模臨床試験を勝ち抜くと明らかな抗がんエビデンスがあるとされ、通常は保険収載されます。明らかな抗がんエビデンスがなくても経済毒性を含めた副作用がないものは加えましょう。
そして多成分系の薬剤である漢方薬や生薬が嫌いでなければ、生薬フアイアを是非とも治療に加えてください。
なんと生薬フアイアは明らかな抗がんエビデンスがあります。
生薬フアイアはなんと、1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いています。約1000例の肝臓がん手術後の患者さんをクジ引きでフアイアの内服群と内服しない群に分けて、生存率で内服群は非内服群を96週後に約14%も上まわりました。この結果は超一流英文誌「GUT」に掲載されました。
肝臓がんの結果ですが、皮膚がんにも有効だと推論が可能です。そして実際に新見正則医院でも何人かの皮膚がん患者さんが生薬フアイアを治療に加えて健在です。
どんな治療にも併用可能です。
フアイアは生薬ですから漢方薬と同じく多成分系の薬剤です。残念ながら、フアイア以外の生薬や漢方薬には明らかな抗がんエビデンスを有するものはありません。そして単一成分由来の西洋薬とは異なり、フアイアにはいろいろと不思議なことが起こります。フアイアはオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤と同じように免疫力をアップさせますが、オプジーボなどとは異なり免疫が上がりすぎて起こる副作用を生じません。その理由は多成分系の解析技術が未だに発展途上である現在、まだまだ解明されていません。ただただ、生薬フアイアを他の治療に加えると、または単独で使用しても、有効性を体感できることが多いという事実が多数存在します。そんな多成分系で、かつ明らかな抗がんエビデンスがあるフアイアを是非とも治療の選択肢に加えてください。
新見正則医院にご連絡ください。
フアイアは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜きましたが、保険収載されていません。少々経済毒性があります。しかし経済毒性以外の副作用はなく(まれに起こる下痢のみ)、またどの治療とも併用可能なため、機会損失(他の治療が行えない)もありません。
フアイアのお試し希望の方は以下を参考にして下さい。1ヶ月分30包が3万3000円(税込、送料無料)です。電話対応の場合は、初診料は不要です。
●内部リンク(当サイト内でご参考になる記事)
がんの例え話「雑草と土壌」
がんの例え話「雑草と土壌」2
がんの例え話「雑草と土壌」3
がんの例え話「雑草と土壌」4
生薬フアイア概説
まずフアイアを試したいときには
執筆者略歴 新見正則
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主宰者。
新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
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