抗がん剤はやるべき?抗がん剤の効果はどれくらい?メリット&デメリットは

抗がん剤のメリットとデメリットをイメージで理解する方法のひとつが、predict breast cancerというイギリスのサイトです。

https://breast.predict.nhs.uk/

predict breast cancerの使い方は以下のHPに詳しく記載があります。

https://www.survive-gastriccancer.com/how-to-use-predict-for-bc/

診断時の年齢、閉経の有無、がんがホルモン陽性か? HER2陽性か? KI−67の状態、腫瘍のサイズ、腫瘍のグレード、転移リンパ節の数などを入力すると、抗がん剤治療、ホルモン剤治療、抗HER2薬の使用の有無で、5年、10年、15年後の生存率を教えてくれるのです。

日本よりも平均寿命が短いイギリスのソフトなので、日本人の場合にはもう少し予後がよいと僕は思っています。そして結果は、Table, Curve, Chart, Texts, Iconsで表現されます。どれを選んでもOKです。Tableは表で、Curveは横軸が年数の図, Chartは棒グラフ, Textsは文字で解説, そしてIcons1010個のオセロ盤の様な記載で合計100人の転帰がわかります。

乳癌は抗がん剤治療が有効ながんのひとつですが、いろいろな変数を変えて表示すると、従来型抗がん剤(殺細胞性抗がん剤)で効果のある人、ホルモン剤で効果のある人、HER2薬で効果のある人が、100人中それぞれざっくりと5から15人ぐらいとわかります。

その結果を「100人のうちの10人も効果があるのか!」とポジティブに受け止める人もいれば、「100人のうちでたった10人にしか御利益がないのか」とネガティブに受け止める人もいます。

是非、抗がん剤の効果を説明する主治医に、5年後、10年後に御利益を受ける人の割合を聞いてください。僕の経験からは、このpredict breast cancerで説明をすると抗がん剤治療を止める人が少なくない印象です。しかし、その後、ゆっくりと再考して、「やっぱり抗がん剤治療を受けます」と翻意するひともいます。僕は正しい情報を語るだけなのです。

理想の医療は、100%の人に効果がある抗がん剤です。その効果とは腫瘍の縮小とか、腫瘍マーカーの減少とかではなく、生存率の改善(向上)です。現状の抗がん剤には副作用が相当ありますが、その反面、御利益は多くの患者さんが理解しているよりも少ないのです。

乳癌の抗がん剤治療などに当てはまる喩えですが、100人中の90人が何もしなくても再発しないとしましょう。そこに抗がん剤治療を加えると95人が再発しないとしましょう。この結果はこの抗がん剤治療で御利益を受ける人は100人中5人であることを物語っています。たった5%にしか御利益がないと理解すると抗がん剤治療を受けない人が増えます。医療サイドの立場に立って抗がん剤治療を勧めたいときは「再発率が半分になる! 何もしないと10人再発するが、抗がん剤治療を行うと半分の5人ですよ!」と言うと、多くの患者さんは抗がん剤治療をやると決断します。同じ結果の説明ですが表現の違いで受け止め方が異なります。

そんな事情も斟酌して、現状をわかりやすく話してくれる主治医が大切です。そして抗がん剤のメリットとデメリットを理解して、ご自身が心底希望する治療をしっかりと選びましょう。抗がん剤のメリットとデメリットがまだしかりと把握できていない患者さんは、新見正則医院にお越し下さい。また電話診療でも対応可能です。

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