がんに効果的な漢方薬や生薬をお探しですか? これまでの研究結果によると、実はがんを退治する漢方薬や生薬はほとんど見つかっていません。しかしながら副作用を減らしたり、からだを健康に保つには漢方薬の力を借りることができます。事実、多くの病院で漢方薬をがんの補完治療に活用することは日常的に行われています。このページでは、がんの西洋医療にも漢方診療にも詳しい新見正則(オックスフォード大大学院医学博士)が、がんにおける漢方の活用法について解説します。この記事は新見正則が上梓した「フローチャートがん漢方薬」(新興医学出版社)に基づいています。興味がある方は書籍に詳しく載っていますのでお求めください。
目次
漢方薬とは
ここではそもそも漢方薬とは、について解説します。
漢方薬は生薬の足し算である、とは
日本で伝統的に「漢方薬」と称されて使用されてきた複数の生薬の組み合わせからなる処方のことをいいます。漢方薬は生薬の組み合わせ(足し算と呼んでいます)でできています。生薬とは自然界に存在し薬効があるものです。生薬の多くは植物、まれに鉱物、ごくまれに動物です。これらの生薬の足し算で、特に中国、韓国、日本で作られたものを漢方薬と呼んでいることが多いのです。生薬の足し算でもインドのカレーや欧米のミックスハーブなどは漢方薬とは一般的には呼ばれていません。しかし、漢方薬には国が決めた定義はありません。
中国では中医学として現在まで受け継がれている
生薬の起源は不明です。人がある程度知能を持った段階で、いろいろと困った症状に対して生薬で対応したはずで、また生薬でしか対応できなかったはずです。ですから中国文明が発達したと言われる4000年前を遙かに遡って生薬の歴史はあると思われますが、その詳細は不明です。そして生薬の作用を増し、副作用を減らし、新しい作用を作るために生薬を加えていくことを試みていきました。そのテストの結果の叡智が漢方薬と考えてください。
中国では西洋医になる大学があり、同じく中国の漢方(中医学)を使用する中医になる大学もあります。ともに5年間の勉強をします。中国の書店に行くと中医学の教科書を購入可能です。5年間も勉強するために、理路整然とした中医学の教科書が存在しています。
中国では漢方薬は中医師が処方し、西洋医が漢方薬を処方することは基本的にはありません。
日本では漢方薬148種類が保険診療に
中医学の知識は奈良時代には輸入され、正倉院には鑑真が持って来たと言われる生薬が保管されています。日本漢方(和漢)が進歩したのは江戸時代とされています。和漢は中医学とは相当異なり、診察法も、漢方理論も、そして使用する生薬も異なることが多いのです。漢方製剤は1967年に4処方が保険収載されました。順次処方数は追加され、148処方が現在保険適用になっています。
日本では医師であれば、誰でも漢方薬を処方することができます。中国の中医師のように漢方薬だけを処方する国家資格は日本にはありません。また薬剤師は医師が発行した処方箋に従って漢方薬を調剤することはできますが、実は薬剤師が自分の判断で漢方薬を調剤できません。自費診療の漢方薬局などでは、患者さんからの申出に従って生薬を調剤しているという建前で、自費診療の煎じ薬が提供されていることがあります。
医療用漢方と市販品に差はない
また、ドラッグストア等で売っている市販薬(第二類医薬品)と、医師が処方し薬局で販売される医療用医薬品の漢方も、大きな差はありません。どちらもメーカーが同じなら、同じ工場で同じ原料配合で製造されています。市販薬は医療用医薬品の1/2量や3/4量の場合もありますが、それ以外はパッケージや袋が違うのみです。医師の診察が面倒と感じたら、ご自分で市販品を購入して試すことも可能です。(添付文書をよく読んでご使用ください)
西洋医学では説明できない奇跡も
生薬は自然界のものですから多成分系の薬剤です。西洋薬のほとんどは単一成分の薬剤です。多くの生薬では有効成分が未だに判明していません。多くの生薬で指標成分は記載されていますが、多成分系のほとんどの作用や原理はまだまだ未解明です。多成分系の薬剤でまだまだ未解明だからこそ、そこにサイエンスがないように映ります。21世紀になっても多成分系を解析するサイエンスが追いついていないのです。単一成分の西洋薬はストーリーを語りやすく、論理的です。一方で多成分系の生薬や漢方薬は作用や効能が実はブラックボックスなのです。使ってみて、そして効いたという経験知の集積こそが、未だ未解明なサイエンスを補う方法なのです。多成分系で複雑系だからこそ、西洋医学では説明できない、また西洋医学では治せない症状や訴えを生薬や漢方薬が解決することがあるのです。
がんは昔の人はどうしていたか
漢方は日本でも中国でも伝統的な医療です。では現在のように手術や放射線治療、抗がん剤がない時代、たとえば江戸時代などはがんに対してどうしていたのでしょうか。
昔の人はがんに対して為すすべがなかった
がんになったらどうしていたか。為すすべもなくどうしようもなかったのです。しかし、日本人の平均寿命は実は明治時代で約40歳、戦後でもやっと50歳前後でした。ですから、多くの日本人はがんが発症することが多い高齢者(65歳以上)になる前に亡くなっていたのです。命を奪う原因の多くは悪性腫瘍よりも感染症でした。もちろんそんな時代でも長生きした人はいます。そんな少数の長寿者にはがんが発生していました。ところががんを診断する方法が昔はありませんでした。わずかに、肉眼で見える「皮膚がん」や触ってわかるまでに進行した「乳がん」だけは診断が可能でした。しかし、がんに漢方薬では為すすべがありませんでした。
日本の漢方医が西洋的な手術治療を発明
その証拠は華岡青洲(1760〜1835)の話です。華岡青洲は江戸時代の漢方の名医でした。そんな名医でも漢方薬で乳がんを退治できなかったので、チョウセンアサガオなどの生薬を用いた全身麻酔の開発を行ったのです。そして漢方薬では対応できない乳がんにおいて、患者さんに全身麻酔を施して手術で取り除いたのです。
家族を実験台にして全身麻酔を成功に導く物語は有吉佐和子による「華岡青洲の妻」で小説になっています。1804年に華岡青洲は世界ではじめて全身麻酔を成功させたといわれていますが、その秘技は門下で極秘にされ、孫弟子が漏らしたものが現在に伝わっていると言われています。しかしこのように秘技にしてしまうと世界に伝わりません。全身麻酔は1846年にウイリアムモートンがエーテル麻酔をハーバード大学での公開実験で披露し、瞬く間に全世界に広まりました。
江戸時代の病気感
江戸時代はどのような病名が一般的に(庶民に)認識されていたのでしょうか。そのひとつの答えが病気番付で窺い知れます。江戸の中期、相撲番付が出たのを機に、いろいろな番付が登場します。
病薬道戯競は当時の病気番付で、初編では、大関に疱瘡(天然痘)、関脇に五疳(疳の虫)、小結に悪疾(治りにくい病気)、前頭に中風(脳血管障害)、癪(上腹部痛)、逆上(のぼせ)、黄疸、咳、狂気(精神疾患)、癰丁(できもの)、病目(眼科全般)と続きます。
行事の欄には、寸白(寄生虫疾患、下肢静脈瘤)、労症(疲労性疾患、結核性疾患)、傷寒(急性発熱性疾患)とあります。
こんな病名を一般江戸人が認識していたと知ることが出来ます。がんは一切登場しません。
また、江戸時代の名医と言われる和田東郭(1744〜1803)のことを門人が語った書籍で「蕉窓雑話」というものがあります。その中では乳がんが「乳岩」として悪性腫瘍(がん)としては唯一登場します。他のがんはがんと認識されるのではなく、胃の不調(幽門狭窄など)、吐血、喀血、下血、黄疸、腹痛、腰痛、全身衰弱などとして理解されていたと思われます。「蕉窓雑話」を私が読みやすく訳したものが「飛訳モダン・カンポウ 拾い読み蕉窓雑話」(新興医学出版社)として発刊されています。江戸時代の医療に興味がある方は是非一読してください。
現代の中国でもがんはまずは西洋医学で
現代の中医学ではがんは基本的に西洋医が対応しています。中国では西洋医学と中医学を両方とも勉強した人もいて、中西結合医と呼ばれます。これは誰でも名乗れる訳ではなく、試験に合格する必要があるそうです。中医学は手術を行いませんから、固形がんの治療の多くが手術治療を中心に組み立てられているので、最初から中医学ががん治療に大きく関わることは中国でも少ないのです。
日本の現代のがん治療における漢方の立ち位置
日本でも同様で、がんに対しては西洋治療の補完医療として漢方薬は活用しています。日本漢方(和漢)で利用されている漢方薬はほとんどが保険適用漢方エキス製剤です。ごくまれに自費診療で煎じ薬やオリジナルな処方を使用している漢方の専門家もいます。
また漢方薬に抗がん作用があると謳って治療を行っているクリニックや漢方薬局もあります。明らかな抗がんエビデンスを伴う治療を行っているかはご自身でお確かめください。
保険診療で漢方製剤を使用するには、添付文書にある効能効果と用量用法に準拠していることが必須です。その範囲を越えて漢方エキス製剤を使用する時は保険適用にはなりません。ですから漢方薬をシバリなく自由自在に使用したい医師は自費診療を選択しています。
補完医療として漢方が活用できる、とは
西洋医学的治療の副作用を軽減したり、がんに対してからだの免疫力を高めるという目的で漢方薬の効果が期待できます。
まずは西洋医学的治療をちゃんと行う
手術ができるのなら手術を、放射線治療ができるならそれを、効果のある抗がん剤治療であればそれを標準治療として勧められます。それらはEBM(Evidence based Medicine)に基づいた治療法があるからです。しかし、エビデンスに基づく治療とは、治療しない群に比べて統計的に有益であるという結果であって、治療をする時としない時の差の程度は論じてはいません。ほんの少しばかりの差しかない治療法もあれば、相当な差を示すものもあります。言い換えれば、治療の御利益を得られる人が少ない治療と、多くの方に治療の御利益がある治療が存在するのです。
西洋医学的診断を行い、西洋医学的治療を考慮し、そして補完医療として保険適用漢方製剤を使用することが正しい選択です。
ただし西洋医療にはダメージもある
がんの三大治療は、手術、抗がん剤、放射線治療です。どれも体にダメージがあります。
手術は組織を切り取りますので、通常は全身麻酔を必要とします。全身麻酔に耐える体でないと手術は行えません。また、生命維持に必要な臓器であれば、切除できる量に限界があります。そして切除することにより通常のルートが阻害されるときは、新しいルートを作り直す必要があります。それを再建と称します。手術中にも偶発的な異常が生じることがありますが、この数十年で麻酔の安全性は向上しました。また手術後に合併症を起こして、再手術が必要になったり、手術死亡という最悪の合併症が起こることもあります。
放射線治療は組織に火傷をさせてがんを退治するイメージです。放射線が照射される部分に直線的に傷害が生じますから、放射線を当てる器械を回転させて、腫瘍以外の部位に当たる放射線量を減らす工夫などが行われています。また陽子線や重粒子腺治療では傷害が及ぶ部位の距離や深さもコントロール可能なため正常組織の障害が極めて少ないのです。放射線治療は昔に比較すると合併症の頻度が減っていますが、それでも皆無ではありません。
手術と放射線治療は局所を治療する目的ですが、抗がん剤治療は全身の治療が可能です。点滴薬や内服薬として投与されますので、抗がん剤は全身を巡ります。これは微少ながん転移にも効く可能性があるのでむしろ抗がん剤の利点ですが、全身を抗がん剤が巡るということは、正常組織も抗がん剤に暴露されます。ですから、がん細胞以外の部位の正常細胞が存在する部位にいろいろな合併症が生じるのです。がん細胞は新陳代謝が盛んなので、抗がん剤は新陳代謝が盛んな細胞を攻撃することが多いのです。すると正常組織でも新陳代謝が盛んな口腔内を含めた消化管粘膜を傷害すると、口内炎や下痢が生じます。また毛根細胞を傷害するので脱毛が起こります。造血細胞を障害すると貧血や血小板の減少、白血球減少などを生じます。神経毒性がある抗がん剤ではしびれが生じることもあります。
ダメージを抑えるには漢方の出番
漢方はからだを健やかに保とうとする働きがあります。複数の生薬と、その組み合わせのマジックで、エビデンスでは解明できない作用が起こります。多成分系で複雑系の漢方薬の魅力です。些細なことの積み重ねが体にとってプラスに働くのです。保険収載されており経済毒性(お金がかかること)も軽微なのは保険適用漢方製剤です。厚生労働省お墨付きの治療として保険適用漢方製剤を上手に利用しましょう。
漢方をがんの補完医療として活用する例
この章では、拙著「フローチャートがん漢方薬」をベースに、がんと診断されたり、その後の治療において副作用に悩まれる方への漢方薬の使い方を一部ご紹介します。
がんと診断されたら
がんと診断されたら、まず落ち着きましょう。「急いで手術をしないとがんが進行したり、転移する可能性が高いので直ぐに治療を始めましょう!」といって、半ば強制して治療を開始する主治医や施設があります。がんは突然にできたのではなく、長い年月をかけて診断できる、自覚できる大きさになったのです。1ヶ月から数ヶ月治療が遅れても差異はありません。1年待っても問題ないこともあります。まず、落ち着いて、いろいろな情報を集めて、そして自分と家族が納得できる主治医のもと、納得できる施設で治療を行いましょう。主治医と治療施設を選ぶことが大切です。そして主治医や治療施設に納得できない時、不信感があるときはセカンドオピニオンを受けましょう。そんな治療までの間にも漢方薬の内服がお勧めです。人参と黄耆を含む参耆剤に相当する補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯、加味帰脾湯などを飲んで下さい。気力と体力が回復します。
がん性疼痛
がん性疼痛に対する医療は本当に進歩しました。モルヒネなどに代表されるオピオイドも多くの施設で上手に使えるようになりました。漢方薬にがん性疼痛の緩和を期待することはちょっと無理があります。ペインクリニックや緩和医療の専門家の知恵を借りながら西洋医学的疼痛管理を優先して行いましょう。漢方薬は西洋薬と併用するといいでしょう。オピオイドの類は便秘となります。そんな時に麻子仁丸や潤腸湯で快便となります。
筋肉が攣縮するような痛みには芍薬甘草湯が著効します。攣縮とはあしがつった時のイメージです。攣縮に有効な西洋薬はないので、筋肉がキューと痛む時には芍薬甘草湯を試してください。
またがん性疼痛は冷えによって悪化します。入浴で楽になります。西洋薬で体を温める効果があるものはほとんどありません。ですから漢方薬で温めてがん性疼痛が楽になることは少なからずあります。気力と体力をつける参耆剤(人参と黄耆を含む漢方薬)に附子という体を温める生薬を加えることが多いです。参耆剤の代表は補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯で、それらに附子を加えたものを使っています。
白血球減少
抗がん剤はがん細胞以外に正常細胞にも影響を与えます。特に新陳代謝が盛んな正常細胞がターゲットになります。脱毛、口内炎、消化器症状などがそれにあたります。そして血液細胞も日々生産されているので、そんな新陳代謝が盛んな造血細胞が抗がん剤のターゲットになると白血球減少症や、貧血、そして血小板の減少が起こるのです。
貧血には自己血輸血(自分の血液をあらかじめ貯蔵しておく)でも対応可能です。他の人から血液をもらう輸血も昔に比べると格段に安全になりました。血小板輸血も可能です。またG-CSF(granulocyte-colony stimulating factor)と称される顆粒球コロニー刺激因子の薬剤もあります。これを使うと好中球が増加します。
現代的な手法に比べると漢方薬の力には限りがあります。経験的に四物湯(当帰、芍薬、川芎、地黄)を含む漢方薬が貧血に対応するとされています。四物湯を含む漢方薬で有名なものは十全大補湯で、抗がん剤使用中の患者さんにはしばしば併用されています。血小板の減少には加味帰脾湯を使うこと多いですが、そこに明らかなエビデンスはありません。
悪心・嘔吐
抗がん剤の副作用で以前は苦しむ順番の上位にあげられていた悪心・嘔吐です。ところが悪心・嘔吐に対する極めて有効な西洋薬剤が21世紀になり次々に登場しました。悪心・嘔吐は薬剤で辛さを相当軽減できる抗がん剤の副作用になりました。ですから、悪心・嘔吐に関しては昔のような過度の心配はまったく不要です。
漢方薬は悪心・嘔吐に著効する西洋薬剤が登場する以前には使用されていましたが、現在は漢方薬だけで悪心・嘔吐に対応することは希で、西洋薬単独か、西洋薬剤に漢方薬を併用する形で使用されています。
つわりに頻用されている漢方薬が抗がん剤の悪心・嘔吐にも転用されていました。もしも漢方薬を抗がん剤の悪心・嘔吐に使用する時は小半夏加茯苓湯や人参湯などが使用されます。
口内炎
抗がん剤の副作用で口内炎は有名です。簡単に治るものから、なかなか治らない(難治性)のものまでさまざまです。難治性の口内炎が生じると食べることに多大な影響を及ぼすので要注意です。口内炎にはまずステロイドを含んだ軟膏が使用されます。ムコスタという胃薬をうがいしながら飲むと有効なことがあります。
漢方薬では桔梗湯をムコスタのように口の中に相当な時間含んで、うがいをしながら飲み込むと効果的なことがあります。また、黄連という生薬を含む漢方薬(黄連湯、黄連解毒湯、半夏瀉心湯など)を抗がん剤の投与前から飲むと口内炎になりにくい印象があります。これらの漢方薬を少量の熱湯で溶いてペースト状にして口内炎に塗ると劇的によくなることがあります。印象というのは明らかなエビデンスはないということですが、保険適用漢方エキス製剤を利用すれば、経済毒性も、機会損失(他の治療の機会を失う)も、副作用もまれなため、漢方薬を希望される場合は、積極的に勧めています。
腹水
腹水を取り出して、濾過して濃縮した後に、体に戻す治療はCART療法(腹水濾過濃縮再静注法)は保険適用されています。西洋薬剤では利尿剤と称されるものが腹水にも利用されますが、尿量が増えても腹水がまったく減少しない時もあります。まず利尿剤を試して、効果がない時には利尿剤の過度な使用は控えましょう。
一方で漢方薬の五苓散は水のアンバランスを上手に治すことができる可能性があります。腹水だけを優先的に排除するイメージです。五苓散もまず試してみるといいでしょう。五苓散に小柴胡湯を加えた柴苓湯が著効することもあります。
血液中の栄養素(タンパク質など)が不足すると、血液の浸透圧を保つことができずに、体の水分を血液内に戻すことができなくなります。タンパク質の経口摂取をしっかり行うことも大切な努力のひとつになります。
放射線皮膚炎
放射線皮膚炎は軽度な人から、重度に感じる人まで様々です。放射線が腫瘍に火傷をさせて治療するイメージですが、その火傷は放射線の通り道に沿って生じます。そこで火傷を分散させるために、いろいろな方向から少量の放射線照射を行って、がんの部位には十分な放射線が当たるが、他の部位には少量の放射線しか当たらない工夫を行っています。しかし、少量の放射線は皮膚には当たるので皮膚障害が起こるのです。
乳がんの再建を行う時は、放射線治療による皮膚障害が難点になります。放射線を当てられた皮膚は硬くなり、そして汗がでません。放射線治療の副作用をしっかりと確認して治療を選択すべきです。
漢方薬は放射線皮膚炎の防止には無力です。しかし、皮膚炎に塗る紫雲膏で皮膚の堅さが軽減される人は少なくありません。紫雲膏は生薬紫根を含むので下着が紫になります。また豚脂を含むのでベトベトするのです。すべて体に問題が残るものではないのですが、ちょっと面倒だと言うことです。
皮膚障害には十味敗毒湯がファーストチョイスになりますから、漢方薬の内服に抵抗がないときは試してください。そして抗がん剤治療中であれば、皮膚に潤いをつける四物湯を含む参耆剤である十全大補湯がお勧めです。
しびれ
「しびれ」は大問題なのです。その理由は医療サイドが抗がん剤の副作用として説明する「しびれ」と、患者さんがその説明から受け取る「しびれ」に歴然とした差異があるからです。患者さんは「しびれ」と説明されると、正座の後のピリピリ感や、肘をどこかにぶつけたときのビリビリ感を連想します。そこにはちょっと大変でも直ぐに治るというイメージがあるのです。
ところがプラチナ製剤やタキサン製剤の抗がん剤によるしびれは神経への蓄積毒性のために、長期間に亘ってしびれ感が残るのです。しびれによる不自由さは個人差が大きいのがまた問題で、相当困るしびれが継続しても日常生活にまったく問題ないとへっちゃらな人もいれば、一方でとっても軽いようなしびれなのに、日常生活がとっても困ると訴える人もいます。本当に医療サイドの説明では想像できないことが起こるのがしびれなのです。
しびれに関しては附子を含む漢方薬である牛車腎気丸が以前より使用されていました。そして臨床試験に臨んだのですが、残念ながら多くの漢方ファンが期待した結果はでませんでした。牛車腎気丸を飲んだ群と飲まない群でまったく差がありませんでした。しかし、私は牛車腎気丸に附子を増量して使用しています。牛車腎気丸に附子を加えた臨床試験はまだ行われていません。
全身倦怠感
抗がん剤投与による全身の倦怠感は実は相当患者さんを苦しめています。人に相談しても解ってもらえない倦怠感だからです。そして西洋薬剤で抗がん剤による全身倦怠感を改善するものはありません。漢方薬でこの全身倦怠感にファーストチョイスとして用いられるものは参耆剤で補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯、加味帰脾湯などが候補になります。
全身倦怠感の発生機序が判明せず、また効果を認める漢方薬が人により異なることから、いろいろな漢方薬を使用してみないと、人それぞれによる反応性を推測できない現状です。しかし、最初から適切な漢方薬に当たらなくても、いろいろと漢方薬を試してみればよいので、気長に自分の体調と漢方薬の効果を比べながら、適切なものを探していけばよいのです。
西洋薬で全身倦怠感に有効な薬剤が存在しない以上、漢方薬のそのような処方選択の方法(当たるまで順次探すこと)で改善の可能性を探ることは正しいのです。
更年期障害
乳がんでホルモンリセプター陽性の時には抗ホルモン剤が投与されます。そして閉経状態を創り上げて乳がんの再発防止に繋げています。人工的に更年期障害を創り上げているので、日常で経験される更年期障害が起こります。年齢よりも早く、そして激烈な更年期障害を経験する人も少なくありません。更年期障害にはホルモン補充療法(HRT)が選択されますが、乳がんではホルモン剤の投与は再発の危険を増加させます。そこで漢方薬の出番になるのです。ファーストチョイスは加味逍遥散で、倦怠感や疲れを伴うときには加味帰脾湯も選択肢になります。加味逍遥散や加味帰脾湯にはホルモン様作用は一切ないので、抗ホルモン剤使用時の人為的更年期障害への対処には最良の選択肢です。
下痢
抗がん剤投与に伴う下痢には半夏瀉心湯が有効なことが多いのです。真武湯で軽快するものもあります。抗がん剤のひとつであるイリノテカンの遅発性(投与後4日から10日に生じる)下痢は難治性ですが、この下痢にも半夏瀉心湯が有効です。そしてこの半夏瀉心湯がイリノテカンによる遅発性下痢を抑制するメカニズムは解っています。イリノテカンの代謝産物である腸管内のSN-38の生成を半夏瀉心湯が抑制するのです。SN-38の存在がイリノテカンの下痢を含めた毒性を増していると考えられています。ブラックボックスのように思える多成分系の漢方薬の作用機序ですが、このように解明されるものも少しずつ増えています。
漢方薬の副作用は
市販品と病院の処方薬で差がない「漢方薬」(処方量で違いがあることがあります)。市販品は「第二類医薬品」に分類され、登録販売者がいれば誰でも気軽に購入することができます。そのような漢方薬に、副作用はないのでしょうか。
組み合わせと量によっては起こることも
保険適用漢方エキス製剤の生薬量は、中国や韓国と比べて少なく、ザックリと言えば、中国の1/10、韓国の1/3と思っています。ですから副作用もまれなのです。だからこそ、医療用漢方製剤とまったく同じ漢方薬が、薬店で第二類医薬品として売られています。第二類医薬品は薬剤師の常駐は不要で、登録販売者の常駐で問題ありません。そして登録販売者が常駐していればよく、登録販売者が説明することは不要という建前になっています。顧客が登録販売者に相談できる体制になっていればOKということです。それほど、厚生労働省としては安全性が高いという位置づけにあるのが漢方薬です。
医療用漢方薬で併用禁忌となっているのは、小柴胡湯とインターフェロン(点滴)のみです。漢方薬は、どの漢方薬との併用禁忌もなく、どの内服西洋薬剤との併用禁忌はありません。併用注意は添付文書に詳しく載っているので、お確かめください。医薬品の添付文書は「PMDA 添付文書」と検索サイトに入力し、そこに薬剤名を入力すると最新のものを閲覧可能です。
中国の漢方薬には生薬同士の配合禁忌があります。日本の保険適用漢方製剤にも一般用漢方製剤にもその併用禁忌に該当する生薬は含まれていません。その点からも日本の漢方薬の安全性は高いと思っています。
何か起こったら中止
「自然界のものだから副作用がありませんよね!」といった質問を受けますが、自然界のものだからいろいろな副作用の可能性があると思っています。フグの毒、毒キノコ、お酒、タバコ、アヘン、どれも副作用があるものです。市販の漢方薬は厚生労働省のスタンスは、第二類医薬品ですから基本的には安全という扱いです。しかし、医薬品である以上、なにか起こる可能性は全否定できません。何か起こればまず内服を中止して、医師や薬剤師、登録販売者に質問してください。
同じ処方を継続するうえでの注意点
がんなど長くかかる病気の場合、漢方は基本的に長期服用するものだと考えています(風邪などの場合は1〜2日の短期決戦です)。しかしながら漫然と同じ処方を飲み続けるのではなく、効果と副作用の評価が必要だと思っています。初めての漢方を使用する場合は1週間から4週間継続して効果を判定します。少しでも訴えが軽くなっていたら続行です。4週間以内であっても何か起こったら中止と考えてください。
また、2〜3ヶ月に一度は肝機能やカリウムの状態を血液検査でチェックしましょう。甘草の取りすぎはむくみや高血圧になって現れます。がんの進行がわからなかったり停滞しているような時期でもこのような検査は定期的に受け、漢方処方の評価を行なってください。
軽度な副作用で継続は医師と相談
効果がある場合は、軽い副作用なら継続することも可能です。医薬品はすべて御利益と副作用とのバランスです。軽い副作用で、相当困ることが改善されていれば、続行という選択肢もあります。医師と相談して下さい。
他の漢方が使用できる可能性も
「フローチャートがん漢方薬」(新興医学出版社)ではいろいろな訴えや症状に関してファーストチョイス(第一の選択肢)を並べています。つまり、セカンドもサードもあるということです。効かない時は他の漢方薬を試してみましょう。漢方薬には明らかなエビデンスがあるものは少なく、「経験的に良い」という立場で保険適用されています。ですから、当たる確率が西洋薬よりも低いと言わざるを得ません。その欠点はいろいろな漢方薬を試せることで埋められているのです。
そしてもっと重要なことは、生薬のバラツキです。自然界のものですから、生薬はその生産場所、生産年、保存方法、そして使用部位、同じ産地でも細かな生育場所の違いで実は異なるのです。漢方薬は生薬の足し算ですから、漢方薬にもバラツキが当然にあります。ですから、あるメーカーの漢方薬が効かないときには、他のメーカーで同一名の漢方薬を試すことも実は大切な試行錯誤のひとつなのです。
些細なことの積み重ねでがんに対応する方法
些細なこととは、明らかな抗がんエビデンスがないことと同義語です。経済毒性がないもので昔から語り継がれているものは、良い可能性が高いのです。経済毒性があるものは、お金儲けの手段として、その治療に参加している医療機関や企業があるので、しっかりと抗がんエビデンスを確認しましょう。
体を温める
年齢を重ねると体温は徐々に低下します。子供を抱けば温かく、お年寄りをハグすればちょっと冷たく感じることが多いと思います。体を冷やすものはできるかぎり避けましょう。野菜ジュースがよいと聞いて、たくさんの冷え冷えの野菜ジュースを飲んで、冷え切って来院される方も少なくありません。私はどんな治療も基本的に否定しません。そこで、すくなくともジュースは常温か、ちょっと温めて飲むことを勧めると、すごく元気になる人は少なくありません。
体温が低い理由は筋肉量が少ないことと、食事量の不足です。日頃から筋肉量の減少が起こらないように日々努力をしてください。そして食事をしっかり食べましょう。
体温はいざと言うときに上がればいいのです。体温が低いとがんになると脅かす人がいるそうですが、そんなときは、「冷たい海を泳いでいるクジラに皮膚がんは多いですか?」と聞いています。体温とがんに直接の関係はないと腑に落ちると思います。
漢方薬の常時の内服で体温は微妙に上がります。人参と黄耆を含む参耆剤の代表である補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯などが候補になります。日常生活に不自由を感じるほど冷えを感じるときは、生薬の附子を加えると直ぐに温まります。
高蛋白質食
食事はなにより大切です。抗がん剤治療で食欲がないときは、無理に食べなくてもいいですが、可能なら何かを食しましょう。アイスクリームでもハンバーガーでもなんでもOKです。世の中のいろいろな情報から食べるものを絞っている患者さんもいますが、それはなんでも食べられるときの話と私は語っています。ともかく闘病中は食べられるものをなんでも食べてください。
そして、ある程度なんでも食べられるようになったら、炭水化物をちょっと控えめにして、タンパク質を食べます。炭水化物はザックリと、主食、甘い物、果物です。タンパク質は大豆からできる豆腐や納豆、魚、鶏肉、四つ足の動物肉などです。
私はどの蛋白供給源でもOKなのですが、無理ない範囲で四つ足の動物肉を勧めています。その理由はタンパク質の供給源のほか、まだまだ未知な微量な物質(ビタミンや微量元素)を摂取できるからです。四つ足の動物肉は体に悪いというSNSの情報から四つ足の動物肉を避けている人が相当数います。それで元気ならば問題ないのですが、私のところに不調で来る方に、試しに四つ足の動物肉を食べてみてくださいと勧めると、本当に元気になる人が少なくないのです。
多くの人にとって良さそうなことを探す知恵はだいぶ医療情報として集積されました。ところが、それぞれの患者さんになにが良いかはまだまだわかっていないのです。ですから、不調なときは、いろいろ試すことが重要です。
有酸素運動
筋力を保つにも、体温を上げるにも、運動は大切です。ジムなどのマシーンを使って無酸素運動が気に入っているかたは、そのまま続行で問題ありません。運動をほとんどやっていない人にはまず有酸素運動がお勧めで、特に散歩がお勧めです。時間も最初は5分でもOKです。毎日の散歩がお勧めですが、杓子定規に毎日行う必要もありません。ちょっと適当に、でもちょっと頑張って、散歩などの有酸素運動を行ってください。ヨガでも太極拳でもカーブスでもOKです。
日光浴
日光浴には抗がん作用がありそうです。というか日光浴をしたほ方が長生きです。紫外線の害があまりにも多く情報発信されています。ある程度の年齢を過ぎれば、むしろ適度の紫外線を積極的に浴びた方が健康です。ビタミンDのサプリの内服ではダメですかといった質問を頂きますが、太陽から得られるビタミンDを含めたいろいろなものが体に必要と思ってください。日光浴をしてもビタミンDが足りないと言われたときは、ビタミンDの薬剤やサプリを摂りましょう。
日光浴の時間と頻度も適当でOKです。適度の日光浴がいいので、日焼けするほどの日光浴は不要です。そして毎日行う必要もなく、長い時間行う必要もありません。過度に紫外線を避けることを止めましょうといった程度でもOKです。
希望を持つ
希望と安心は大切です。ストレスが体に、そしてがんに悪いことを実臨床医は知っています。がんと宣告され、闘病をしていれば、ある程度のストレスは溜まります。過度のストレスが体に悪いと言っているのです。いろいろな人の助けを借りて、適切な医療サイドの意見も聞いて、希望を持って、ストレスを減らして生きてください。ストレスは脳に悪影響をもたらし、そして免疫力が下がると推測しています。
イグノーベル賞に輝いた「脳と免疫」の関係
明らかな抗がんエビデンスがあれば、治療群と非治療群で統計的有意差がでます。しかし、その差異が大きいことはまれです。がんに100パーセント有効な治療やがんを完全に退治できる方法はありませ。治療群でも不幸な結果になることも、非治療群で長寿となることもあります。
明らかな抗がんエビデンスがないこと(それを些細なことと私は呼んでいます)が実は免疫力に影響を与えているのです。ストレスで病気が悪化したり、がんが進行することは実臨床を真摯に行っていると少なからず経験します。そんな実臨床の体験をマウスで証明したく、私たちはいろいろな実験を行いました。
オペラと免疫 (J Cardiothorac Surg 2012)
匂いと免疫 (J Cardiothorac Surg 2014)
運動と免疫 (Transpl Int 2015)
などです。オペラと免疫の論文は2013年のイグノーベル医学賞に輝きました。上記はマウスの実験ですからエビデンスレベルは一番下です。しかし、マウスでさえ、脳に対するいろいろな刺激で免疫が変化します。「脳の機能が遙かに高次元に進化したヒトでは尚更そうであろう」と推論可能です。
経済毒性がないものは、明らかな抗がんエビデンスがなくても、いろいろと積み重ねてください。標準治療は納得できれば行った方が集団としての成績は向上します。標準治療に些細な努力を積み重ねることが大切と思っています。保険適用漢方エキス製剤には明らかな抗がんエビデンスはありませんが、経済毒性が少ないので、漢方薬に抵抗がない方は是非とも治療の選択肢に加えてください。
がんに対して効果があった生薬が見つかった、とは
フアイアという生薬があります。肝臓がん手術後の患者さん約1000人のランダム化された大規模臨床試験を生存率で勝ち抜きました。抗がん剤なみの有効性が出ました。この結果は超一流英文誌「GUT」に2018年に掲載されました。(Gut 2018)
フアイアは多成分系の生薬でありながら、漢方の世界ではこれまで見つかっていない西洋医学的エビデンスを勝ち抜いた抗がん新薬です。中国ではすでに西洋医療の一環で使用されています。新見正則医院ではこのフアイアを単独処方で、またはフアイアに漢方薬を加えて処方しています。ただし、保険診療ではなく自費診療となり1ヶ月分33,000円〜かかります。ご興味のある方はお問合せください。
執筆者略歴 新見正則
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主宰者。
新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
新見正則オフィシャルサイトはこちら
付録
ここではこの記事で登場した単語等の補足説明とPMDAサイト使用時の注意点を記します。
用語解説
医療用医薬品の漢方製剤(医療用漢方製剤)=148種類(すべてが薬価基準収載)
漢方エキス製剤:品名にエキスとあるもの(すべて内服薬)で146種類
保険適用漢方製剤=漢方エキス製剤146種類+紫雲膏(漢方製剤)+四苓湯
八味地黄丸エキスと八味丸は同一種類としてカウントされています。
保険適用煎じ薬:薬価基準収載品の生薬を組み合わせて処方すれば、漢方薬を保険適用で使用することができます。
一般用漢方製剤=一般用漢方製剤製造販売承認基準に載っている294処方
一般用生薬製剤=一般用漢方製剤製造販売承認基準を満たさないもの or 医療用漢方製剤にのみ載っている4処方を一般用(OTC)医薬品として販売する場合
漢方製剤:厚生労働省による薬効分類名の520番です。生薬は510番です。590番に「その他の生薬及び漢方処方に基づく医薬品」があります。
「その他の生薬及び漢方処方に基づく医薬品」は龍角散や養命酒のような生薬を原料にしているが漢方製剤ではないものです。
生薬製剤:漢方製剤に該当しない「漢方薬」は生薬製剤になります。
薬価基準収載=保険適用 (薬価基準収載漢方薬=保険適用漢方薬)、ただし添付文書通りに使用する必要があります。
エキス製剤=エキス剤+賦形剤
医療用漢方薬=医療用漢方製剤+医療用生薬製剤
医療用漢方製剤は全て薬価基準収載品です。
薬局:薬剤師が常駐し調剤室がなくてはいけません。
店舗販売業(薬店):要指導医薬品(薬剤師のみ)、一般用医薬品(薬剤師は全て、登録販売者は第二類・第三類)を販売することができますが、調剤を行うことはできません。
OTC医薬品=一般用医薬品
PMDAの検索サイト使用時の注意点
薬効分類(医薬品の種類)で漢方製剤を選んでください。
製薬メーカーには製造メーカーと販売メーカーがあります。
PMDAの検索では、紫雲膏は漢方製剤に絞ると検索されません。
「銘柄(販売名)」とは「品目」と同義語で使用しています。販売メーカーが異なれば当然別の銘柄(販売名)になります。同じメーカーでも剤型が異なれば別の銘柄になります。
「処方(一般名)」は漢方薬や漢方製剤名です。ひとつの処方(一般名)に対して、通常は複数の銘柄(販売名)が存在します。まれにひとつの処方にひとつの銘柄(販売名)のことがあります。
医療用漢方製剤として登録されている名称が一部ひらがなのものがあります。葛根湯加川きゅう辛夷、よく苡仁湯、きゅう帰膠艾湯、麻杏よく甘湯、茵ちん五苓散、三物黄ごん湯、川きゅう茶調散、桂枝茯苓丸加よく苡仁、茵ちん蒿湯、黄ごん湯、きゅう帰調血飲です。