膵臓がんステージ4の余命は?治療でどれだけ延びるのかが怖い

膵臓とその周りの臓器の透過イラストで、膵臓にできたがん

膵臓がんステージ4で薬物療法を受けた人の全生存期間の中央値は、遠隔転移の人だけを対象にした主な第3相試験の併用療法の群で8.5〜11.1か月です。

この数字は、試験の参加条件を満たした人だけを数えたものです。主な試験は全身状態のよい人に限っており、年齢や血液検査の値に条件を付けた試験もあります。日本で使える薬は海外の試験と同じとは限らず、黄疸や痛みへの対処も、治療を続けられるかどうかに関わります。

膵臓がんのステージ4とは、どんな状態ですか?

がんが膵臓から離れた臓器や腹膜などに転移している状態(遠隔転移がある状態)です。

日本では、膵臓がんのステージに、日本膵臓学会の膵癌取扱い規約第8版か、UICCのTNM分類第8版が使われます(がん情報サービス「膵臓がん」2026年3月19日更新)。TNM分類第8版では、遠隔転移(M1)があれば、がんの大きさやリンパ節転移の有無にかかわらずⅣ期になります。国立がん研究センターの院内がん登録の対応表は、取扱い規約の遠隔転移に、腹膜への転移(P1)と肝臓への転移(H1)を含めています(国立がん研究センター 院内がん登録「進展度,UICC TNM分類対応表」2022年7月25日更新)。

遠隔転移がある膵臓がんは、手術でがんを切除できない「切除不能」に分けられ、薬物療法が治療の中心になります。がん情報サービスは、薬物療法について「薬物療法だけでがんを完全に治すことは難しいですが、がんの進行を抑えたり、がんによる症状を和らげたりすることが分かっています」と説明しています(がん情報サービス「膵臓がん 治療」2026年3月19日更新)。

進行すると、腹痛、食欲不振、おなかの張り、黄疸、体重減少、腰や背中の痛みなどが起こります(がん情報サービス「膵臓がん」2026年)。遠隔転移があると手術が選ばれにくい理由はステージ4はなぜ手術できないかの記事で、ステージ4と「末期」の違いは末期がんとはの記事で説明しています。

膵臓がんステージ4で治療を受けると、余命はどのくらいですか?

遠隔転移のある人だけを対象に一次治療を比べた主な第3相試験(PRODIGE 4/ACCORD 11、MPACT、NAPOLI 3)では、併用療法の群の全生存期間の中央値は8.5〜11.1か月でした。

一次治療は、診断されて最初に行う薬物療法です。下の表は、一次治療の標準を決めてきた主な試験です。どの試験も、くじ引きで2つ以上の群に分けて治療を比べています。GEST試験は局所進行の人も対象に含むため、答えに書いた8.5〜11.1か月の範囲には入れていません。

試験(国・地域、発表年) 対象 比べた治療と全生存期間の中央値
PRODIGE 4/ACCORD 11(フランス48施設、2011年) 遠隔転移があり、18〜75歳、PS 0〜1、血液中のビリルビン値が基準値上限の1.5倍以下。342人 FOLFIRINOX療法 11.1か月/ゲムシタビン単独 6.8か月
MPACT(国際共同試験、2013年) 遠隔転移があり、カルノフスキー指数(全身状態の指標)70以上。861人 ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法 8.5か月/ゲムシタビン単独 6.7か月
NAPOLI 3(18か国187施設、2023年) 遠隔転移があり、PS 0〜1。770人 NALIRIFOX療法 11.1か月/ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法 9.2か月
GEST(日本と台湾、2013年) 局所進行または遠隔転移があり、抗がん剤治療を受けていない。834人 S-1単独 9.7か月/ゲムシタビン単独 8.8か月/ゲムシタビン+S-1 10.1か月

出典:Conroy T, et al. N Engl J Med 2011/Von Hoff DD, et al. N Engl J Med 2013/Wainberg ZA, et al. Lancet 2023/Ueno H, et al. J Clin Oncol 2013。PSは全身状態の指標(0〜4)。

フランスのPRODIGE 4/ACCORD 11試験では、FOLFIRINOX療法の群の死亡の危険はゲムシタビン単独の群より低く(ハザード比0.57、95%信頼区間0.45〜0.73)、1年後に生存していた人は48.4%と20.6%でした(Conroy T, et al. FOLFIRINOX versus gemcitabine for metastatic pancreatic cancer. N Engl J Med 2011)。

MPACT試験では、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法の群のハザード比は0.72(95%信頼区間0.62〜0.83)でした。1年後の生存は35%と22%、2年後の生存は9%と4%です(Von Hoff DD, et al. Increased survival in pancreatic cancer with nab-paclitaxel plus gemcitabine. N Engl J Med 2013)。

NAPOLI 3試験は、NALIRIFOX療法とゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法を直接比べました。ハザード比は0.83(95%信頼区間0.70〜0.99、P=0.036)です(Wainberg ZA, et al. NALIRIFOX versus nab-paclitaxel and gemcitabine (NAPOLI 3). Lancet 2023)。信頼区間は、死亡の危険を約3割減らす側から1%減らす側までに収まっています。差はあったものの、小さい側の端では差がほとんどない幅です。グレード3以上の副作用は、87%と86%の人に起きていました。

日本と台湾で行われたGEST試験では、飲み薬のS-1単独がゲムシタビン単独に劣らないことが示されました(ハザード比0.96、97.5%信頼区間0.78〜1.18)。ゲムシタビンとS-1を併用する治療は、ゲムシタビン単独より生存を延ばすとは示されませんでした(ハザード比0.88、97.5%信頼区間0.71〜1.08、P=0.15)。この信頼区間は、死亡の危険を約3割減らす可能性から、逆に8%増やす可能性までを含んでいます(Ueno H, et al. J Clin Oncol 2013)。

中央値は、参加者の半数が亡くなった時点です。11.1か月より早く亡くなった人も、ずっと長く生きた人も、同じ集団に入っています。中央値と一人ひとりの余命の関係は、余命宣告はいつされるかの記事で扱っています。

試験の数字は、どんな人の数字ですか?

全身状態がよい人の数字です。PRODIGE 4/ACCORD 11試験は75歳以下でPS 0〜1の人に限り、MPACT試験はカルノフスキー指数70以上の人を対象にしました。

PS(パフォーマンスステータス)は、日常生活がどのくらい制限されているかを0〜4で表す指標です。PS 0は「まったく問題なく活動できる」状態、PS 1は「肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる」状態です。PS 2は、身の回りのことはすべてできるものの作業はできず、日中の50%以上をベッドの外で過ごす状態を指します(がん情報サービス 用語集「パフォーマンスステータス」)。PRODIGE 4/ACCORD 11試験とNAPOLI 3試験には、PS 2以上の人は参加していません。

PRODIGE 4/ACCORD 11試験は、黄疸に関わる条件も付けていました。血液中のビリルビン値が基準値上限の1.5倍以下の人に限っています(Conroy T, et al. N Engl J Med 2011)。ビリルビンは、胆汁の流れが滞って黄疸が出ると高くなる値です。

同じ治療でも、試験が違うと数字は変わります。ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法の全生存期間の中央値は、MPACT試験では8.5か月、NAPOLI 3試験で比べる側の治療として使われたときは9.2か月でした。MPACT試験の結果は2013年に発表され、NAPOLI 3試験の参加者は2020年2月〜2021年8月に18か国で集められました。2つの試験は、参加者を集めた時期も参加条件も違います。

試験に入れなかった人は、表のどこにもいない

ここで紹介した試験には、全身状態が悪い人、黄疸が強い人、臓器の働きが落ちている人などは入っていません。数字は、条件を満たした人をくじ引きで分けた群どうしの比較で、試験をまたいで並べて「どの治療が何か月長い」と比べることはできません。FOLFIRINOX療法とNALIRIFOX療法はどちらも11.1か月ですが、比べた相手の治療が違い、この2つを同じ試験で比べた結果は、ここで紹介した試験には含まれていません。

11.1か月

75歳以下、PS 0〜1、ビリルビン値の条件を満たした人に限ったFOLFIRINOX療法の群の全生存期間の中央値です。
全身状態の条件で選ばれた人たちでも、半数は1年たたないうちに亡くなっていました。

Conroy T, et al. N Engl J Med 2011(PRODIGE 4/ACCORD 11、フランス48施設、342人)

日本では、どの薬物療法が使われますか?

膵癌診療ガイドライン2025年版の作成資料(推奨作成関連資料の最終案、2024年10月)では、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法とFOLFIRINOX療法が強く推奨され、全身状態や年齢などから併用療法が合わない人にはゲムシタビン単独かS-1単独が提案されています。

遠隔転移のある膵臓がんの一次化学療法について、日本膵臓学会は、膵癌診療ガイドライン2025年版を作る過程の資料を公開しています。次の表は、薬物療法グループが2024年10月15日にまとめた推奨文の最終案で、ガイドライン本体の推奨文ではありません(日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン2025 推奨作成関連資料 化学療法 最終案)。

治療 使う薬 最終案での位置づけ
ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法 ゲムシタビン、ナブパクリタキセル(いずれも点滴) 行うことを推奨する(推奨の強さ:強い、エビデンスの確実性:A)
FOLFIRINOX療法 オキサリプラチン、イリノテカン、フルオロウラシル、レボホリナート(いずれも点滴) 行うことを推奨する(強い、A)
NALIRIFOX療法 リポソーム製剤のイリノテカン、オキサリプラチン、フルオロウラシル、レボホリナート 行うことを提案する(弱い、B)。「日本では適応外」と付記
ゲムシタビン単独療法 ゲムシタビン(点滴) 全身状態や年齢などから上の治療が適さない人に、行うことを提案する(弱い、A)
S-1単独療法 S-1(飲み薬) 同じく、上の治療が適さない人に提案する(弱い、A)

出典:日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン2025 推奨作成関連資料 化学療法 MC1 最終案(2024年10月15日)。使う薬はOzaka M, et al. 2018、Wainberg ZA, et al. 2023をもとに作成。NALIRIFOX療法は2026年11月時点で一次治療として未承認(PMDA 電子添文)。

NALIRIFOX療法に使うリポソーム製剤のイリノテカン(商品名オニバイド)について、製造販売元の日本セルヴィエは2025年12月16日、未治療の治癒切除不能な膵臓がんへの適応を追加する承認申請を行ったと発表しています(日本セルヴィエ ニュース 2025年12月16日)。2026年11月時点の電子添文(2026年4月改訂 第4版)では、効能・効果は「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌」で、一次治療での有効性と安全性は確立していないとされています(PMDA オニバイド点滴静注43mg 電子添文)。2026年11月時点では、NALIRIFOX療法は日本で一次治療として承認されていません。

日本で量を一部減らしたFOLFIRINOX療法

副作用の出方は、試験によって違います。フランスのPRODIGE 4/ACCORD 11試験では、FOLFIRINOX療法の群で発熱性好中球減少(白血球の一種が減ったときの発熱)が5.4%でした(Conroy T, et al. N Engl J Med 2011)。日本で標準の量のFOLFIRINOX療法を調べた先行試験では、22.2%でした(Okusaka T, et al. Phase II study of FOLFIRINOX for chemotherapy-naïve Japanese patients with metastatic pancreatic cancer. Cancer Sci 2014)。

日本の39施設で行われた別の第2相試験は、イリノテカンの量を減らし、最初に急速に入れるフルオロウラシルを省いた方法(modified FOLFIRINOX)を、遠隔転移のある膵臓がんの69人に行いました。発熱性好中球減少は8.7%、全生存期間の中央値は11.2か月でした(Ozaka M, et al. A phase II study of modified FOLFIRINOX for chemotherapy-naïve patients with metastatic pancreatic cancer. Cancer Chemother Pharmacol 2018)。

同じ11か月台でも、試験の組み方が違う

この試験は、参加者全員に同じ治療を行う単群の第2相試験です。参加者は20〜75歳、PS 0〜1の人で、UGT1A1という遺伝子の型からイリノテカンの副作用が強く出やすいと考えられる人は除かれていました。11.2か月をPRODIGE 4/ACCORD 11試験の11.1か月と並べて、量を減らしても効果は同じだと結論づけることはできません。

遺伝子検査の結果で使う薬

がんの遺伝子検査の結果によっては、BRCA遺伝子の変化があればプラチナ製剤を使う治療とその後の分子標的薬による維持療法、MSI-HighやTMB-Highであれば免疫チェックポイント阻害薬、NTRK融合遺伝子・RET融合遺伝子やBRAF V600E変異があれば分子標的薬を使うことがあります(がん情報サービス「膵臓がん 治療」2026年)。検査の受け方と、検査をしても使える薬が見つからない場合があることは、がんゲノム医療の遺伝子パネル検査とはの記事で説明しています。

一次治療が効かなくなったら、次の治療はありますか?

あります。それまでに使っていない薬で治療を続ける二次化学療法があり、ゲムシタビンを使った治療のあとでは、リポソーム製剤のイリノテカンにフルオロウラシルとレボホリナートを合わせる治療が、2025年版の作成資料(最終案)で強く推奨されています。

がん情報サービスは、一次化学療法の効果がなくなったときや、副作用が強くて続けられないときは、「それまでの治療で使っていないほかの薬で治療を行います」と説明しています(がん情報サービス「膵臓がん 治療」2026年)。

根拠になった試験の1つが、14か国76施設で行われたNAPOLI-1試験です。ゲムシタビンを使った治療を受けたことがある、遠隔転移のある膵臓がんの人を対象にしました。全生存期間の中央値は、リポソーム製剤のイリノテカン+フルオロウラシル+ホリナートの群で6.1か月(95%信頼区間4.8〜8.9)、フルオロウラシル+ホリナートの群で4.2か月(同3.3〜5.3)、ハザード比は0.67(同0.49〜0.92)でした(Wang-Gillam A, et al. Nanoliposomal irinotecan with fluorouracil and folinic acid in metastatic pancreatic cancer after previous gemcitabine-based therapy (NAPOLI-1). Lancet 2016)。

膵癌診療ガイドライン2025年版の作成資料(MC2 最終案)は、このほか、ゲムシタビンを使った治療のあとにFOLFIRINOX療法を含むフルオロウラシルを使った治療を、フルオロウラシルを使った治療のあとにゲムシタビンを使った治療を提案しています。どちらも推奨の強さは弱く、エビデンスの確実性はCです(日本膵臓学会 推奨作成関連資料 化学療法 最終案)。薬を続けるか、やめるかの判断は、抗がん剤のやめどきの記事で扱っています。

黄疸や痛みには、どんな対処がありますか?

黄疸には胆汁の通り道をつくる胆道ドレナージ、痛みには医療用麻薬を含む鎮痛薬や神経ブロック、放射線治療があります。緩和ケアは、薬物療法と並行して受けられます。

胆道ドレナージには、内視鏡で胆管にステントを入れる方法をはじめ複数の方式があり、がん情報サービスが方式ごとに説明しています(がん情報サービス「膵臓がん 治療」2026年)。医療用麻薬への不安や誤解については、がんの痛みの記事で整理しています。

余命の数字を聞いたとき、何を確かめればいいですか?

その数字が一次治療か二次治療か、どの治療を受けた人の数字か、そして自分の全身状態や黄疸の有無が試験の対象と合っているかを確かめると、数字との距離がわかります。

確かめること 数字が変わる理由
一次治療か、二次治療か 一次治療の主な試験は8.5〜11.1か月、二次治療のNAPOLI-1試験は6.1か月で、数え始める時点が違う
全身状態(PS) 主な試験はPS 0〜1やカルノフスキー指数70以上の人に限っている
年齢 PRODIGE 4/ACCORD 11試験は75歳以下、日本のmodified FOLFIRINOXの試験は20〜75歳に限っていた
黄疸とビリルビン値 ビリルビン値に上限を設けた試験がある。黄疸には胆道ドレナージで対処することがある
示された治療が日本で使えるか NALIRIFOX療法は、2026年11月時点で日本では一次治療として承認されていない(2025年12月に適応追加を申請)
遺伝子検査の結果 BRCA遺伝子の変化やMSI-Highなどがあると、使える薬が増える

出典:本文で引いた各試験、日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン2025 推奨作成関連資料 化学療法 最終案、がん情報サービス「膵臓がん 治療」(2026年)。

試験の中央値は、条件を満たして治療を受けた集団の真ん中の値です。自分がどの条件に当てはまり、どの条件から外れるかがわかると、示された数字をどこまで自分に重ねてよいかが見えてきます。

新見正則医院院長 新見正則

監修

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

詳しいプロフィール

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よくある質問

Q膵臓がんステージ4の余命はどのくらいですか?

遠隔転移のある膵臓がんの一次治療を比べた主な第3相試験では、全生存期間の中央値は、FOLFIRINOX療法で11.1か月、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法で8.5か月(MPACT試験)と9.2か月(NAPOLI 3試験)、NALIRIFOX療法で11.1か月でした。いずれも全身状態のよい人に限った試験の数字です。

Q膵臓がんステージ4で抗がん剤は効きますか?

国立がん研究センターは、薬物療法だけでがんを完全に治すことは難しいものの、進行を抑えたり症状を和らげたりすることが分かっていると説明しています。フランスの試験(PRODIGE 4/ACCORD 11)では、全生存期間の中央値はFOLFIRINOX療法で11.1か月、ゲムシタビン単独で6.8か月でした。

Q膵臓がんステージ4の二次治療にはどんな薬がありますか?

ゲムシタビンを使った治療のあとでは、リポソーム製剤のイリノテカンにフルオロウラシルとレボホリナートを合わせる治療が、膵癌診療ガイドライン2025年版の作成資料(推奨作成関連資料の最終案、2024年10月)で強く推奨されています。NAPOLI-1試験では、全生存期間の中央値は6.1か月で、フルオロウラシル+ホリナートの4.2か月より長くなりました。

Q日本でNALIRIFOX療法は受けられますか?

2026年11月時点では、NALIRIFOX療法に使うリポソーム製剤のイリノテカン(オニバイド)は、日本では一次治療として承認されていません。製造販売元は2025年12月に適応追加の承認申請を行っています。膵癌診療ガイドライン2025年版の作成資料(推奨作成関連資料の最終案)は、「日本では適応外」と付記したうえで、行うことを提案する(弱い推奨)としています。

Q膵臓がんステージ4で抗がん剤と緩和ケアは一緒に受けられますか?

受けられます。国立がん研究センターは、緩和ケアは診断されたときから受けられるとしています。痛みには医療用麻薬を含む鎮痛薬や神経ブロック、放射線治療があり、食欲の低下や不安なども緩和ケアや支持療法の対象です。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん 全ページ」(2026年3月19日更新、膵癌診療ガイドライン2025年版に基づく)
    https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/print.html
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん 治療」(2026年3月19日更新)
    https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/treatment.html
  3. 国立がん研究センター 院内がん登録「進展度,UICC TNM分類対応表(72部位,UICC第8版準拠)」(2022年7月25日更新)
    https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/can_reg/hospital/pdf/toroku09.pdf
  4. 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「パフォーマンスステータス」
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/Performance_Status.html
  5. 日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン2025 推奨作成関連資料 化学療法 最終案(薬物療法グループ 2024年10月15日。推奨文の最終案で、ガイドライン本体ではない)
    https://www.suizou.org/pdf/pcc/2025/m05-2.pdf
  6. Conroy T, et al. FOLFIRINOX versus gemcitabine for metastatic pancreatic cancer. N Engl J Med. 2011;364:1817-1825.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21561347/
  7. Von Hoff DD, Ervin T, Arena FP, et al. Increased survival in pancreatic cancer with nab-paclitaxel plus gemcitabine. N Engl J Med. 2013;369(18):1691-1703.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24131140/
  8. Wainberg ZA, Melisi D, Macarulla T, et al. NALIRIFOX versus nab-paclitaxel and gemcitabine in treatment-naive patients with metastatic pancreatic ductal adenocarcinoma (NAPOLI 3): a randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet. 2023;402(10409):1272-1281.
    https://doi.org/10.1016/S0140-6736%2823%2901366-1
  9. Ueno H, et al. Randomized phase III study of gemcitabine plus S-1, S-1 alone, or gemcitabine alone in patients with locally advanced and metastatic pancreatic cancer in Japan and Taiwan: GEST study. J Clin Oncol. 2013;31(13):1640-1648.
    https://doi.org/10.1200/JCO.2012.43.3680
  10. Ozaka M, Ishii H, Sato T, et al. A phase II study of modified FOLFIRINOX for chemotherapy-naïve patients with metastatic pancreatic cancer. Cancer Chemother Pharmacol. 2018;81:1017-1023.
    https://doi.org/10.1007/s00280-018-3577-9
  11. Wang-Gillam A, et al. Nanoliposomal irinotecan with fluorouracil and folinic acid in metastatic pancreatic cancer after previous gemcitabine-based therapy (NAPOLI-1): a global, randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet. 2016;387(10018):545-557.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26615328/
  12. 日本セルヴィエ株式会社「抗悪性腫瘍剤「オニバイド®点滴静注43mg」治癒切除不能な膵がんの一次治療に係る一部変更承認申請」(2025年12月16日、ニュース一覧)
    https://nihonservier.co.jp/our-news/
  13. 医薬品医療機器総合機構 オニバイド点滴静注43mg 電子添文(2026年4月改訂 第4版、2026年11月1日閲覧)
    https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/530457_4240404A3027_1_05
  14. Okusaka T, et al. Phase II study of FOLFIRINOX for chemotherapy-naïve Japanese patients with metastatic pancreatic cancer. Cancer Sci. 2014;105(10):1321-1326.
    https://doi.org/10.1111/cas.12501

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