分子標的薬とは?抗がん剤との違いがわからない人へ、検査と副作用

分子標的薬は、がんの増殖に関わる特定の分子を狙う薬です。
その分子ががんにあるかを、使う前に検査で確かめます。

この記事では、分子標的薬とは何か、従来の抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬とどう違うのか、飲み薬と点滴の2つの種類、使う前に検査が必要な理由、薬ごとに違う副作用、効かなくなる仕組みを、国立がん研究センターの情報、薬の添付文書、臨床試験の論文をもとに整理します。

分子標的薬とは、どんな薬ですか?

がんの発生や増殖に関わるタンパク質などの分子を標的にして、その働きを抑えることでがんを攻撃する薬です。

国立がん研究センターのがん情報サービスは、分子標的薬をこのように説明しています(がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」2025年3月11日更新)。

標的になる分子は、がん細胞の中にあるものも、がん細胞の表面や周りにあるものもあります(同)。どこにある分子を狙うかで、薬の種類が分かれます。

標的になる分子の中には、変化した遺伝子から作られたタンパク質もあります。そのため、使う前に、薬に対応する遺伝子の変化があるかを調べます。変化があれば、その分子標的薬を使います(同)。この記事では、この「先に調べる」手順を軸に説明します。

抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬とは、何が違うのですか?

がんを攻撃する仕組みが違います。分子標的薬は特定の分子を狙い、従来の抗がん剤は細胞が増える仕組みの一部を邪魔します。

がんの薬物療法で使う薬は、働き方によって主に4つに分けられます(がん情報サービス「薬物療法」2025年、同「薬物療法 もっと詳しく」2025年)。

種類 どう働くか 副作用の例
細胞障害性抗がん薬(従来の抗がん剤) 細胞が増える仕組みの一部を邪魔して、がんを攻撃する。がん以外の正常な細胞も影響を受ける 吐き気、食欲低下、だるさ、口内炎、下痢、脱毛、手足のしびれ、白血球の減少など
分子標的薬 がんの発生や増殖に関わる特定の分子を標的にし、その働きを抑える 標的の分子によって異なる。皮膚障害、高血圧、間質性肺炎、タンパク尿など
免疫チェックポイント阻害薬 がん細胞が免疫細胞にかけたブレーキを外し、免疫細胞ががんを攻撃できるようにする 免疫反応が、がんのない部位でも強くなって起こる。時期や症状、出る場所の予測が難しい
内分泌療法薬(ホルモン療法薬) ホルモンを利用して増えるがん(乳がん、前立腺がんなど)に対し、ホルモンの分泌や働きを妨げる ほてり(ホットフラッシュ)、生殖器・関節・骨・筋肉の症状など

「抗がん剤」という言葉は、この4つ全部を指して使われることも、細胞障害性抗がん薬だけを指して使われることもあります。説明を受けるときは、どの種類の薬の話なのかを確かめると、副作用の見通しを取り違えずにすみます。

免疫チェックポイント阻害薬は、分子標的薬に入りますか?

資料によって扱いが違います。がん情報サービスの薬物療法の解説では、免疫チェックポイント阻害薬を分子標的薬とは別の種類として並べています(2025年)。一方、同じがん情報サービスの非小細胞肺がんの治療の説明では、分子標的薬が標的にするものとして「がんを攻撃する免疫に関わるタンパク質」も挙げています(がん情報サービス「非小細胞肺がん 治療」2026年8月26日更新)。

どちらも特定の分子に結合する薬ですが、免疫チェックポイント阻害薬はがん細胞そのものではなく、免疫の働きを狙う点が違います。この記事では、がん情報サービスの薬物療法の解説に合わせて別の種類として扱います。免疫チェックポイント阻害薬が生まれた経緯は「がん免疫療法の歴史」で説明しています。

分子標的薬には、どんな種類がありますか?

大きく分けて、小分子化合物(小分子薬)と抗体薬の2種類があります。

分子標的薬の種類を、標的がある場所で示した図。抗体薬(〜マブ)と抗体薬物複合体は細胞の外や表面の分子に結合し、多くは点滴。小分子薬(〜チニブなど)は細胞の中に入り、中の分子に作用し、多くは飲み薬
分子標的薬は、標的が細胞の外にあるか中にあるかで、抗体薬と小分子薬に分かれます。
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」(2025年)をもとに作成

2つは、薬の大きさと、標的がある場所で分かれます(がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」2025年)。

小分子化合物(小分子薬) 抗体薬
大きさ 小さい 小分子化合物より大きい
狙う場所 細胞の中に入り込み、細胞の中にある分子を標的にできる 多くの場合、がん細胞の表面や、がん細胞の周りにある分子を標的にする
使い方 多くは飲み薬(内服) 多くは点滴
名前の語尾の例 〜チニブ(ゲフィチニブ、イマチニブなど) 〜マブ(トラスツズマブ、ベバシズマブなど)

名前の語尾で、種類の見当がつきます

薬の国際的な一般名(INN)は、世界保健機関(WHO)が決めています。語尾には薬の種類を表す決まった部分があり、「-tinib(チニブ)」はチロシンキナーゼ阻害薬、「-mab(マブ)」はモノクローナル抗体を表します(WHO「Pre-stems: Suffixes used in the selection of INN」2024年3月)。

ただし、語尾だけで分子標的薬かどうかは決まりません。2つの注意があります。

  • 〜マブでも、分子標的薬とは別の種類として扱われる薬がある。たとえばニボルマブはヒト型の抗PD-1モノクローナル抗体で、免疫チェックポイント阻害薬に分類されます(オプジーボ 添付文書 2026年8月 第29版)
  • 抗体の名前の付け方は2021年10月に変わり、新しく名前が付く抗体の薬には「-mab」を使わず、「-tug」「-bart」「-mig」「-ment」の4つを使うことになりました(Guimaraes Koch SS, et al. mAbs. 2022;14(1):2075078)。今後承認される抗体薬は、〜マブで終わらないものが増えていきます

抗体薬物複合体(ADC)とは何ですか?

がん細胞を標的とする抗体に、細胞障害性抗がん薬を結合させた薬です。抗体ががん細胞まで薬を運び、がん細胞を効率よく攻撃することを狙っています(がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」2025年)。

たとえばゲムツズマブ オゾガマイシンは、CD33という分子に対する抗体に抗腫瘍性抗生物質を結合させた薬で、再発または難治性のCD33陽性の急性骨髄性白血病に使われます(マイロターグ 添付文書 2022年3月改訂 第2版)。乳がんで使われる抗体薬物複合体と、その条件になる検査は「トリプルネガティブ乳がん」の記事で説明しています。

代表的な分子標的薬には、どんなものがありますか?

標的の分子ごとに、さまざまな薬があります。多くは、標的があることを検査で確かめてから使います。

一部を、添付文書の効能・効果とあわせて示します。条件の欄は、添付文書の「効能又は効果」と「効能又は効果に関連する注意」に書かれている内容です。

薬(種類) 標的 使える条件の例(添付文書から)
ゲフィチニブ(小分子) EGFR EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発の非小細胞肺がん。EGFR遺伝子変異検査を実施する
オシメルチニブ(小分子) EGFR EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん。承認された検査で変異を確認した患者に使う
アレクチニブ(小分子) ALK ALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん、など。承認された検査で陽性を確認した患者に使う
イマチニブ(小分子) BCR-ABLなど 慢性骨髄性白血病、KIT(CD117)陽性の消化管間質腫瘍、フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病など
トラスツズマブ(抗体) HER2 HER2過剰発現が確認された乳がん、胃がん、など
セツキシマブ(抗体) EGFR RAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の大腸がん、頭頸部がん
ベバシズマブ(抗体) VEGF(血管内皮増殖因子) 大腸がん、非小細胞肺がん(扁平上皮がんを除く)、乳がん、卵巣がん、子宮頸がんなど

出典:各薬の添付文書(イレッサ 2025年10月 第4版、タグリッソ 2026年1月 第8版、アレセンサ 2026年5月 第3版、グリベック 2023年1月 第3版、ハーセプチン 2025年6月 第7版、アービタックス 2025年12月 第6版、アバスチン 2026年6月 第7版)。

表のうちベバシズマブは、がん細胞そのものではなく、がんに栄養を運ぶ血管に関わる分子を標的にする薬です(がん情報サービス「非小細胞肺がん 治療」2026年)。効能・効果に、標的の遺伝子変化を調べる検査の条件が書かれていない点で、表のほかの薬と違います。

アレクチニブのように、肺がんなど特定の臓器ではなく「ALK融合遺伝子陽性の固形がん」という形で、臓器を問わずに承認されている薬もあります(アレセンサ 添付文書 2026年5月)。

なぜ、使う前に検査が必要なのですか?

標的がないがんでは、分子標的薬の効果が期待しにくいからです。標的がない人では、従来の抗がん剤より結果が悪かった試験もあります。

このことを示した代表的な試験が、IPASS試験です。東アジアで、たばこを吸わない、または喫煙量の少なかった、未治療の進行肺腺がんの1,217人を、ゲフィチニブとカルボプラチン+パクリタキセル(従来の抗がん剤)に分けて比べました(Mok TS, et al. N Engl J Med. 2009;361:947-957)。

EGFR遺伝子変異の有無が分かった437人について、結果を分けて見ると次のようになりました(同)。

EGFR遺伝子変異 人数 奏効率(ゲフィチニブ) 奏効率(従来の抗がん剤) 無増悪生存のハザード比
あり 261人 71.2% 47.3% 0.48(ゲフィチニブが良い)
なし 176人 1.1% 23.5% 2.85(ゲフィチニブが悪い)

同じ薬が、変異のある人では従来の抗がん剤を上回り、変異のない人では下回りました。ハザード比は、ゲフィチニブ群で病気の進行または死亡が起きる危険度を、従来の抗がん剤の群と比べた値です。1より小さいとゲフィチニブが良く、大きいと悪いことを表します。

1.1%

EGFR遺伝子変異のない肺腺がんで、ゲフィチニブでがんが縮んだ人の割合。
同じ人たちに従来の抗がん剤を使った群では23.5%でした。

Mok TS, et al. N Engl J Med. 2009(IPASS試験、EGFR遺伝子変異のない176人の解析)

この試験の対象は、限られた人たちです

IPASS試験の対象は、東アジアの、たばこを吸わないか喫煙量の少なかった肺腺がんの人に限られています。また、遺伝子変異の有無が分かったのは参加者の一部です。それでも、同じ薬で、標的の有無によって従来の抗がん剤との優劣が逆になったことが示されました。

現在の添付文書でも、ゲフィチニブにはEGFR遺伝子変異検査の実施が、オシメルチニブやアレクチニブには承認された検査で陽性を確認することが求められています(イレッサ 2025年、タグリッソ 2026年、アレセンサ 2026年 添付文書)。

1つの薬に対応する遺伝子を1つずつ調べる検査のほかに、多くの遺伝子を一度に調べる遺伝子パネル検査もあります。こちらは「がんゲノム医療」の記事で説明しています。

分子標的薬は、副作用が少ない薬ですか?

ひとくくりにはできません。分子標的薬が狙う分子は正常な細胞にもあり、それが副作用の原因になることがあります。

がん情報サービスは、分子標的薬の標的となる分子は実際には正常な細胞にもあり、副作用の原因となることがあると説明しています。症状は標的の分子によって異なり、皮膚障害、高血圧、間質性肺炎、タンパク尿などさまざまです(がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」2025年)。

細胞障害性抗がん薬でよく知られる吐き気や脱毛が目立たない薬もありますが、そのかわりに、その薬に特有の副作用があります。添付文書に書かれているものを、いくつか挙げます。

薬 添付文書に書かれている主な副作用(頻度)
ゲフィチニブ 急性肺障害・間質性肺炎(1〜10%未満)。投与初期に起こり致死的になることが多いため、少なくとも投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理下で観察する(警告)。発疹、ざ瘡などの皮膚症状(10%以上)
セツキシマブ 重度の皮膚症状(18.8%)、発疹(45.0%)、ざ瘡・ざ瘡様皮膚炎(44.5%)、重度のインフュージョンリアクション(0.8%)
ベバシズマブ 高血圧(18.2%)、出血(19.3%)、尿タンパク陽性(10.5%)、消化管穿孔(0.9%)
トラスツズマブ 心不全(4.5%)など。投与開始前に心機能を確認する(警告)
イマチニブ むくみ(顔、まぶた、足など。5%以上)、胸水・腹水(各5%未満)

出典:各薬の添付文書(イレッサ 2025年10月、アービタックス 2025年12月、アバスチン 2026年6月、ハーセプチン 2025年6月、グリベック 2023年1月)。頻度は各添付文書の集計方法によるもので、薬どうしを比べるための数字ではありません。

表の中では、EGFRを狙うゲフィチニブとセツキシマブの両方に皮膚の症状が挙がっています。一方、VEGFを狙うベバシズマブでは高血圧や出血、HER2を狙うトラスツズマブでは心不全が挙がっています。標的が違えば、注意する副作用も違います。

点滴の抗体薬で起こるインフュージョンリアクション

抗体薬の一部では、インフュージョンリアクションと呼ばれる反応が起こることがあります。多くは投与を始めた直後から24時間以内に起こり、主な症状は悪寒、発熱、皮疹、軽い血圧の低下、息苦しさなどです(がん情報サービス 2025年)。

皮疹と効果の関係が研究でどう報告されているかは、「抗がん剤の副作用が出ないと効いていない?」で説明しています。

分子標的薬は、ずっと効き続けますか?

使い続けるうちに、効かなくなることがあります。これを耐性といいます。

分子標的薬が効いてがんが小さくなっても、その後、薬の標的が変化したがん細胞や、別の仕組みで増えるがん細胞が増えてくることがあります。そうなると、同じ薬は効かなくなります。

どんな仕組みで効かなくなったのかは、効かなくなった時点のがんを調べて分かります。EGFR遺伝子変異のある肺がんで、ゲフィチニブなどのEGFR阻害薬が効かなくなった155人のがんの組織を調べた研究があります(Yu HA, et al. Clin Cancer Res. 2013;19(8):2240-2247)。

効かなくなった時点で見つかった変化 人数(割合)
EGFR遺伝子に、T790Mという2つ目の変異が加わっていた 155人中98人(63%)
小細胞がんという別の種類のがんに変わっていた 155人中4人(3%)
MET遺伝子が増えていた 調べた75人中4人(5%)
HER2遺伝子が増えていた 調べた24人中3人(13%)

同じ「効かなくなった」でも、中で起きていることは人によって違いました。そして、仕組みが分かれば、次の薬を選べる場合があります。

オシメルチニブの添付文書は、ほかのEGFR阻害薬で治療して病気の進行が確認された人には、EGFR T790M変異が確認された場合に使うと定めています。T790M変異のある419人を対象にした試験では、無増悪生存期間の中央値が、オシメルチニブで10.1か月、従来の抗がん剤で4.4か月でした(タグリッソ 添付文書 2026年1月 第8版)。

次の一手も、また検査から始まります

オシメルチニブを使うには、効かなくなった時点でT790M変異があるかを、もう一度調べる必要があります。上の研究で見つかった変化のうち、オシメルチニブの条件になっているのはT790M変異だけです。小細胞がんへの変化など、ほかの変化では、同じ形で次の薬が決まるわけではありません。

分子標的薬の費用は、保険が使えますか?

承認された病気と条件で使う場合は、保険診療で使えます。保険診療の自己負担には、高額療養費制度の上限があります。

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が上限額を超えた場合に、その超えた額を支給する制度です(厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」2026年7月31日更新)。上限額の決まり方や、制度の対象にならない費用は「がんの治療費と高額療養費」で説明しています。

飲み薬を毎日続けたり、点滴を一定の間隔で続けたりする治療では、1回の金額だけでなく、治療がどのくらいの期間続く見込みかも、主治医や病院のがん相談支援センターで確かめておくと、見通しが立てやすくなります。

主治医には、何を確かめればよいですか?

自分のがんに、どの標的があるかです。

分子標的薬を使うかどうかは、検査の結果で決まります。次のことを確かめておくと、説明を受けたときに話がつながりやすくなります。

  • 自分のがんで、どの遺伝子やタンパク質を調べたか。結果はどうだったか
  • 勧められている薬は、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、内分泌療法薬のどれか
  • その薬は飲み薬か点滴か。どのくらいの間隔で、いつまで続ける見込みか
  • その薬に特有の副作用は何か。どんな症状が出たら連絡すればよいか
  • 効かなくなったときに、もう一度検査をする予定はあるか

分子標的薬は、標的を見つけてから使う薬です。検査の結果は、いま使う薬を決めるだけでなく、次に何を選べるかを考えるときの出発点にもなります。

僕は、分子標的薬を「鍵」にたとえています

人質を取ってドアを施錠して籠城している悪党に対して、ドアを強引にブチ破るのが殺細胞性抗がん剤、そして特定の鍵穴に合う鍵を使ってスマートにドアを開けるイメージが分子標的薬です。

21世紀になって、住所と名前を確認してから狙うスナイパーのような、ある特定の分子に対して働く分子標的薬が臨床応用されました。そんな分子を持つ腫瘍かどうかは遺伝子検査でも解明できるようになりました。分子標的薬は標的分子を出している腫瘍には極めて効果的です。腫瘍のボリュームダウンには極めて効果的です。

腫瘍はいろいろな種類のがんが混在していますから、分子標的薬が著効して腫瘍が小さくなっても、分子標的薬のターゲットになるタンパク質を持たないがんがその後に発生します。分子標的薬の開発速度は本当に速くなりました。標的分子の発見からわずか数年で実臨床で使用可能になる時代です。

新見正則医院院長 新見正則

監修者

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

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エビデンスを5段階のピラミッドで示し、最上位は1000例規模のランダム化臨床試験、最下位は1例の症例報告や動物・培養細胞の実験だと説明したブログです。効果とは患者さんが長生きできることだとしたうえで、「エビデンスと長生きの効果は実は比例しません」と医師の立場から主張しています。

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よくある質問

分子標的薬とは、簡単に言うと何ですか?

がんの発生や増殖に関わるタンパク質などの特定の分子を標的にして、その働きを抑えることでがんを攻撃する薬です(国立がん研究センター がん情報サービス 2025年)。標的の分子ががんにあるかどうかを、使う前に検査で確かめます。

分子標的薬と抗がん剤の違いは何ですか?

従来の抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)は、細胞が増える仕組みの一部を邪魔してがんを攻撃し、正常な細胞も影響を受けます。分子標的薬は、がんの増殖に関わる特定の分子を狙います。そのため、標的があるかどうかの検査が前提になり、副作用も標的によって違います。

分子標的薬は、誰にでも効きますか?

誰にでも効くわけではありません。肺腺がんのIPASS試験では、EGFR遺伝子変異のない人でゲフィチニブによりがんが縮んだ人は1.1%で、従来の抗がん剤の23.5%を下回りました(Mok TS, et al. N Engl J Med. 2009)。

分子標的薬は副作用が少ないのですか?

ひとくくりにはできません。標的の分子は正常な細胞にもあり、皮膚障害、高血圧、間質性肺炎、タンパク尿など、標的によってさまざまな副作用が起こります(がん情報サービス 2025年)。ゲフィチニブの添付文書は、急性肺障害・間質性肺炎について、投与開始後少なくとも4週間は入院などの管理下で観察するよう警告しています。

分子標的薬は飲み薬ですか、点滴ですか?

種類によって違います。小分子化合物(名前が〜チニブで終わるものなど)は多くが飲み薬、抗体薬(〜マブで終わるものなど)は多くが点滴です(がん情報サービス 2025年)。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」(2025年3月11日更新)
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/dt02.html
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法」(2025年3月11日更新)
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/index.html
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス「非小細胞肺がん 治療」(2026年8月26日更新)
    https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment_nsclc.html
  4. Mok TS, Wu YL, Thongprasert S, et al. Gefitinib or carboplatin-paclitaxel in pulmonary adenocarcinoma. N Engl J Med. 2009;361(10):947-957.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19692680/
  5. Yu HA, Arcila ME, Rekhtman N, et al. Analysis of tumor specimens at the time of acquired resistance to EGFR-TKI therapy in 155 patients with EGFR-mutant lung cancers. Clin Cancer Res. 2013;19(8):2240-2247.
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3630270/
  6. World Health Organization. Pre-stems: Suffixes used in the selection of INN(INN Working Document 23.574 rev., 2024年3月)
    https://cdn.who.int/media/docs/default-source/international-nonproprietary-names-(inn)/prestem-suffixes-202403.pdf
  7. Guimaraes Koch SS, Thorpe R, Kawasaki N, et al. International nonproprietary names for monoclonal antibodies: an evolving nomenclature system. mAbs. 2022;14(1):2075078.
    https://doi.org/10.1080/19420862.2022.2075078
  8. イレッサ錠250 添付文書(2025年10月改訂 第4版)KEGG MEDICUS
    https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048771
  9. タグリッソ錠 添付文書(2026年1月改訂 第8版)KEGG MEDICUS
    https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066289
  10. 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年7月31日更新)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

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