「フローチャートがん漢方薬」でがんの補完医療を! そして日本東洋医学会もフローチャートに!

「フローチャートがん漢方薬」(新興医学出版社)が発刊されたのは2017年4月です。フローチャート漢方薬シリーズの嚆矢となる「フローチャート漢方薬治療」(新興医学出版社)の発刊は2011年2月ですから、その6年後になります。

フローチャート漢方薬シリーズは、モダン漢方の考え方をベースに医師や患者さん向けに書き下ろされたものです。モダン漢方の考え方とは、西洋医が、西洋医学的治療で困っている患者さんに、保険適用漢方エキス製剤で加療し、そこに漢方理論や漢方診療、そして古典の読破などは求めないことです。

今から13年前のことです。当時は漢方の専門家からは、漢方処方には漢方理論の理解、漢方診療の実践、そして処方選択の根拠としての古典の読破は必須とされていました。

そんな漢方の呪縛を、古いしきたりを破るものがモダン漢方に立脚したフローチャート漢方薬シリーズでした。幸いにも僕の師匠である松田邦夫先生の「いろいろな漢方があって良い」というお言葉に支えられ、そして松田邦夫先生の存在のお陰で、僕は、そして僕たちは、潰されることなく生き延びることができました。

過去に囚われている、そして漢方を既得権益として自分達だけのものにしておきたい人にとっては、モダン漢方的な考え方は論外の暴挙だったのです。しかし、公にアンチモダン漢方を宣言した人は昨年末の岩崎先生を除いて皆無でした。岩崎先生との対談はここをご参照ください。

この13年間で、モダン漢方的な処方方法は多くの西洋医に歓迎されました。そして、彼女達、彼らが、西洋医学的治療で困っている患者さんに実際にモダン漢方的処方で保険適用漢方エキス製剤を使用して、患者さんへの有効性と効果を実感しています。

そのひとつが「フローチャートがん漢方薬」です。この数十年の西洋医学の進歩は素晴らしいです。21世紀になってから、がん治療の進歩は加速度的です。そんな西洋医学的治療の補完医療として、実は漢方薬が相当に役立ちます。

フローチャート漢方薬シリーズは、患者さんにも読めるように記述されています。患者さんと医師が一緒に西洋医学的治療では困っている症状や訴えに効く漢方薬を探すことが基本です。

漢方薬は、中国の漢方(中医学)や日本の漢方(和漢)を極めても、100%の打率で処方が的中することはありません。僕が和漢を極めた訳ではありません。和漢を極めた松田邦夫先生から伺ったことです。そして中医学の勉強をしたく中国語は学びましたが、中国の大学で5年間真摯に勉強して国家試験を受けて、その合格後に名乗れる中医師のレベルにはまったく及びません。和漢でも中医学でも本気で勉強した人に、そして正直な人に尋ねると、100%の打率で処方が的中することはないと解るのです。

そして、2024年1月3日に日本東洋医学会が会長の三谷和男先生の名前で以下のコメントを出しました。

日本東洋医学会が能登半島地震で被災された方々に送った「能登半島地震、避難時体調管理への漢方薬活用(適正使用)のご提案」という文章です。とっても素晴らしいご提案だと思います。これを見て思ったことは、これは僕たちが10数年に亘って普及させてきたモダン漢方をベースにしたフローチャート漢方薬シリーズそのものです。ついに、日本東洋医学会までもが僕たちに追随したという感慨で一杯です。良いものは淘汰されずに生き残るのです。モダン漢方的思考は、中医学や和漢とトレードオフの関係にはありません。どちらも存在してOKなのです。

岩崎先生のように胸を張ってアンチモダン漢方を唱える人はごく少数です。多くはアンチモダン漢方のサイレントマジョリティです。そんなサイレントマジョリティの方々には今回の日本東洋医学会の提言には度肝を抜かれたと思っています。

僕的には、やっとダブルスタンダードを使い分けていた日本東洋医学会が正しく目覚めたと思っています。医療用漢方薬と一般用漢方薬は製造メーカーが同じであれば、内容量の相違はあっても基本的に同じものです。一般用漢方薬を扱う薬店には薬剤師や登録販売者に漢方理論や漢方診療、そして古典の読破などをまったく要求せず、一方で医療用漢方薬には医師に漢方理論や漢方診療、そして古典の読破を要求するというのは整合性がまったく合いません。ダブルスタンダードです。モダン漢方的処方選択で治らない患者さんには、和漢や中医学的な経験則を極めたり、現代的視点からのまったく新しい処方方法をみんなで検討してもいいでしょう。いろいろな漢方があっていいのです。僕の立ち位置は、中医学や和漢ではなく、現代的立ち位置からサイエンティストとして漢方薬を使用することです。

そんな現代的視点の漢方の進歩のひとつがフアイア+漢方薬です。フアイアが1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜き論文に掲載されたのは2018年です。(GUT 2018)

ですから、「フローチャートがん漢方薬」にはフアイアに関することは記載されていません。またフアイアは現状保険適用ではないので、保険適用漢方エキス製剤の使用を基本とするフローチャート漢方薬シリーズには基本的に載せていないのです。

西洋医学の進歩に負けないように、日本の漢方(和漢)も進歩すべきです。僕にはまったく新しい生薬フアイアを漢方薬に加えることが、多成分系の漢方薬の進歩のひとつに思えます。そして、たくさんの奇蹟が起こっています。その可能性を一緒に探究して行きましょう。

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