腫瘍内科

がんと言われたらまずやること

がんと言われたらまずやること(まず落ち着くことです)

「がん」と言われたらまず落ち着いて下さい。日本人の2人に1人が一生涯で一度は「がん」と言われる時代になりました。そして日本人の3人に1人ががんで亡くなる時代も目の前です。がんは身近な病気です。特別な病気ではありません。

そして21世紀になってがん治療は進歩しました。固形がんでは外科治療だけが主な治療だったのは昔の話で今は抗がん剤も進歩し、新しい放射線の機器もどんどんと登場しています。どのがんの予後も数十年前に比べると改善しています。

がんは突然できる訳ではありません。ある年齢を超えると1日に数千個のがん細胞が誕生しているという仮説は合っていると思います。そして免疫力によってその細胞は逐次退治されているのです。そんな免疫力とがんの均衡が崩れるとがんは増殖し、大きさを増し、臨床的にわかる大きさになります。ですから、相当の年数をかけてがんは徐々に大きくなり診断できる状態(大きさ)になるのです。慌てて手術を含めた治療を行う必要はありません。まず落ち着いて下さい。数週間治療が遅れてもまったく問題ありません。数ヶ月治療が遅れても通常は問題ありません。

まず本当にがんであるかを確かめましょう。いろいろな技術が進歩した現代でも多くのがんは病理学的診断にて確定されます。組織を取れない特殊ながんを除いて病理診断はその後の治療にとって大切な情報なのです。

がんと疑われたら、また確定診断されたら、精査と治療をする施設を選びましょう。僕のお勧めは自宅から遠くない(近い)大きな病院です。大きな病院は、がんと疑ったクリニックや病院から紹介されることが多いと思います。他には近くに大きな病院がないときはその病院の一択になります。複数の病院がある時はいろいろな情報から選択するのですが、間違いない指標は手術を含めたその領域でのがんの治療件数だけです。各地のがんセンターのように特別にがんの治療経験が多い病院もありますが、ある程度の数以上の治療を行っていれば問題ありません。その領域の治療件数があまりにも少ない施設は選ばない方がいいと思います。

どの病院を選ぶか、どの主治医になるかは今後の治療にとってとても大切なことです。なんとなく腑に落ちないときは主治医を変えてもらいましょう。そしていっそ病院を変えることができるならそれも選択枝になります。

病院と主治医に満足しているなら、すべてお任せも悪くない選択枝です。ネットなどには医療情報が氾濫しています。ある程度の医療知識があれば玉石混交の中から正しい医療情報の選択や、すくなくともトンデモない治療の除外は可能ですが、医療情報の収集に慣れていないとどれが信用できる情報かの判断は本当に難しいのです。ですから、「病院と主治医にすべてお任せ」は、その病院と主治医が平均以上であれば、ある意味最良の選択枝になります。

病院や主治医の治療が腑に落ちないときは、セカンドオピニオンを希望してください。僕は1998年にオックスフォード大学大学院から帰国し、日本で最初に保険診療で、そして大学病院でセカンドオピニオンを始めました。約四半世紀前にのことです。当時はセカンドオピニオンはまったく理解されず、あからさまに嫌がる主治医や病院も存在しました。しかし、僕たちの努力で、「セカンドオピニオンを受けない病院はダメ」、「セカンドオピニオンのための紹介状を書かない病院もダメ」という当然の風潮が醸造されました。今やセカンドオピニオンは患者さんの権利です。しっかりと権利の行使を行って下さい。

「セカンドオピニオンを行っている間にがんが進行する!」とか言って脅かす主治医が今でもいます。そんなに早く通常はがんは進行しません。運悪く進行が早いがんであればすでに微小転移が起こっています。慌てる必要はありません。落ち着いて、自分が納得できる施設を選んで下さい。微小転移には抗がん剤が有効です。遠隔転移があるステージ4でも長期に亘って共存している人が増えています。

まずできることは免疫力を上げることです。がんは免疫力による抑止とがんの増殖力のバランスが崩れるから大きくなるのです。エビデンスがなくても良さそうなことは積み重ねて下さい。僕は明らかなエビデンスがないことを「些細なこと」と呼んでいます。そんな「些細なこと」の積み重ねも大切なのです。僕がお勧めしている「些細なことは」、①散歩(適度の運動)、②日光浴、③バランスの良い食事、④適度な睡眠、そして⑤希望と安心です。

ストレスはがんの増殖にとっても大敵です。僕が2013年にイグノーベル医学賞を頂いた研究は「脳と免疫」に関するものでした。マウスでもいろいろな脳への刺激で免疫力は変化します。ですからヒトではもっと「脳と免疫」は相関していると推論できます。

怪しい医療情報に躍らされることなく、基本は標準治療を選んで下さい。そしてエビデンスがなくても正しそうなことを積み重ねて下さい。そこに経済毒性がなければ、その些細なことは間違っていません。お金がかかる(経済毒性がある)ものや副作用があるものには明らかなエビデンスを求めて下さい。明らかなエビデンスとは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験です。

「がん」と言われたらまず落ち着いて下さい。ひとりで考え込まないで、誰かに相談してください。相談する人がいない時、または落ち着けない時は新見正則医院にお電話ください。しっかりと対応させて頂きます。当院は安心と希望を与えるクリニックですから。

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