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1.甲状腺がんなんですね。安心してください
年間約2万人が甲状腺がんと診断されています。しかし、1年間に甲状腺がんで亡くなった方は女性が約1200人、男性が約600人とされています。つまり甲状腺がんと診断されても、甲状腺がんで亡くなる人は極めて少ないと言えます。
本邦では甲状腺がんの9割は甲状腺乳頭がんです。残りの1割に、濾胞がん、髄様がん、未分化がんなどが含まれます。
甲状腺乳頭がんは基本的に命に関わることは稀です。1cm以下で遠隔転移やリンパ節転がない場合は「経過観察でよし」とされています。これはアクティブサーベイランスと呼ばれます。定期的な(毎年とかの)超音波検査で様子を見て、腫瘤に変化が起こった段階で治療を考えればよいという作戦です。
乳がんなどは超音波検査で腫瘤が見つかれば、腫瘤に針を刺して細胞を採取(針生検)し、それを病理に出して顕微鏡的に良悪性を判断する作戦が取られます。ところが甲状腺がんでは1cm以下で遠隔転移やリンパ節転移がなければ、針生検も不要という考え方もあります。
その理由は、甲状腺がんの早期発見は死亡率の改善には無力で、むしろ過剰診断/過剰治療となり、利益が不利益を遙かに上まわると考えられているからです。最近は動脈硬化の検査として頸動脈の超音波検査が行われますが、その時にたまたま頸動脈の隣にある甲状腺の腫瘤が発見されることも増えています。
甲状腺乳頭がんは、「早期発見、早期治療で死亡率が改善する」というがんのパラダイム(常識)を翻したのです。
他の病気で亡くなった方の甲状腺を調べると1割から4割の方(報告によりバラツキあり)に診断されていなかった甲状腺がんが見つかります。また、甲状腺の手術で半分を切除して半分を残す(葉切除)と、残した甲状腺には約1%にその後がんが発生します。一方で甲状腺のすべてを摘出(全摘)すると主病巣とは反対側の甲状腺には微小がんを含めると8割にがんが見つかるとも言われています。つまり、他の病気でわれわれが最期を迎えるまで、生命予後にまったく影響を及ぼさない甲状腺がんが相当数存在するということです。ですから、甲状腺がんと診断されても慌てないでください。むしろ安心してください。
甲状腺乳頭がん
甲状腺がんの約90%が乳頭がんです。進行しないか、極めてゆっくり進行します。ですからアクティブサーベイランス(積極的経過観察)が行われるのです。稀に突然に悪性度の高い未分化がんに変化すると言われています。
甲状腺濾胞がん
甲状腺乳頭がんと同じくゆっくり進行します。良性の甲状腺腫瘍(濾胞腺腫)との鑑別が難しいこともあります。多くはアクティブサーベイランス(積極的経過観察)が行われます。
甲状腺髄様がん
カルシトニンというホルモンを分泌する傍濾胞細胞ががん化して生じます。RET遺伝子に変異が認められることがあります。この遺伝子が陽性の場合は血縁者で発症リスクが上がります。多発性内分泌腫瘍(MEN2)では、甲状腺髄様がん、副腎褐色細胞腫、副甲状腺機能亢進症を発症します。
甲状腺未分化がん
甲状腺がんの約1%です。悪性度が高く、周囲組織への浸潤、遠隔臓器への転移を起こします。予後不良と言われていますが、治療は確実に進歩しています。
甲状腺悪性リンパ腫
甲状腺の悪性リンパ腫は慢性甲状腺炎(橋本病)から発生することが多く、高齢の女性が罹患します。治療はリンパ腫に準じます。リンパ節にできる悪性リンパ腫とは異なり、予後は比較的良好です。
2.甲状腺がんの一部は難治
甲状腺がんは予後良好なものがほとんどです。甲状腺がんの大多数を占める乳頭がんの予後が極めて良いためです。また生命に影響を及ぼす甲状腺がんが極めて稀なためです。しかし、甲状腺がんのひとつである未分化がんは急速に進行します。濾胞がんや髄様がんも甲状腺乳頭がんよりは悪さをする頻度がやや高いのです。手術単独で甲状腺未分化がんを根治させることは難しく、また抗がん剤、放射線治療も単独で有効なものはなく、またこの3つを組み合わせても難治なのです。
甲状腺乳頭がんを早期に見つける意味は生存率という観点からはほぼ意味がないことは判明しています。そして悪性の経過をとる甲状腺未分化がんを見つけるために甲状腺の検査を頻回に行うことは発見しても確実に根治させる治療法が現状ではないので、利益が極めて少ないのです。以上の2点から甲状腺のがん検診は過剰診断・過剰治療となり、不利益が利益を遙かに上まわるというのが最近の考え方です。
3.いろいろな治療を組み合わせましょう
甲状腺がんが放置をするよりも治療を行った方が多数の経験から良さそうだと判断をされると、甲状腺がんでは手術がまず選ばれます。腫瘍だけを摘出する、甲状腺の半分を切除する(葉切除)、そして甲状腺をすべて摘出する(全摘)などの手術方法があります。
甲状腺ホルモンは内服で補充可能なため、甲状腺全摘をしても実はさほどのマイナスはありません。膵臓を全摘すると膵臓から分泌されるインスリンを注射で毎食前に補うという面倒な処置が必要になりますが、甲状腺全切除は患者さんの負担が比較的少ないのです。
また、甲状腺を全切除すると放射線ヨード治療が行えます。放射線ヨード治療は甲状腺が残っていては施工できません(効果が分散します)。
甲状腺の手術では反回神経を温存することが大切です。片方の反回神経麻痺が起こるとしわがれ声(嗄声)になります。また両側の反回神経麻痺が起こると声帯が閉じた状態で固定して、呼吸困難や窒息状態になります。
甲状腺の中に、副甲状腺という極めて小さいが重要な内分泌臓器が含まれています。通常は4個ありますが、これをすべて取り除いてしまうと、副甲状腺ホルモンが分泌されなくなり、低カルシウム血症となって、筋力が低下します。
甲状腺の手術は体表の臓器ですから簡単なように思われますが、実は危険が潜んでいて熟練を要する手術なのです。
甲状腺はのど仏のところに存在します。ですから手術では首に創が残ります。ほとんど創部がわからなくなることもありますが、ケロイド体質の人では結構な傷跡が残ります。美容的な面からは、内視鏡手術がお勧めです。頚部から遠い皮膚の穴から内視鏡を挿入して行うので頚部には傷がありません。この手術を世界ではじめて発表した英文論文で実は僕も共著者なのです (Surgical Endoscopy 2002)。
以前は甲状腺がんには有効な抗がん剤がありませんでしたが、甲状腺がんに対する化学療法も進歩しています。分子標的薬であるレンバチニブとソラフェニブは「根治切除不能な甲状腺癌」、パンデタニブは「根治切除不能は甲状腺髄様癌」に保険適用になりました。
4.なんと生薬フアイアには明らかな抗がんエビデンスがあります
生薬フアイアはなんと、1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜いています。約1000例の肝臓がん手術後の患者さんをクジ引きでフアイアの内服群と内服しない群に分けて、生存率で内服群は非内服群を96週後に約14%も上まわりました。この結果は超一流英文誌「GUT」に掲載されました。
肝臓がんで有効な生薬フアイアは甲状腺がんにも有効だと推論が可能です。その理由は、フアイアは免疫チェックポイント阻害剤のオプジーボのように免疫力を上げるからです。ですから、がんの進行防止に役立つのです。実際に新見正則医院では多くの甲状腺がんの患者さんが生薬フアイアを手術後の再発防止のために内服しています。また甲状腺乳頭がんに対してアクティブサーベイランス(積極的経過観察)で対応している患者さんが、フアイアを内服することで、何も対処しないで過ごすという心許なさから解放されて安心して日々を過ごしています。
5.どんな治療にも併用可能です
フアイアは生薬ですから漢方薬と同じく多成分系の薬剤です。残念ながら、フアイア以外の生薬や漢方薬には明らかな抗がんエビデンスを有するものはありません。そして単一成分由来の西洋薬とは異なり、フアイアにはいろいろと不思議なことが起こります。フアイアはオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤と同じように免疫力をアップさせますが、それらとは異なり免疫が上がりすぎて起こる副作用(免疫関連有害事象)を生じません。その理由は多成分系の解析技術が未だに発展途上である現在、まだまだ解明されていません。ただただ、生薬フアイアを他の治療に加えると、または単独で使用しても、有効性を体感できることが多いという事実が多数存在します。そんな多成分系で、かつ明らかな抗がんエビデンスがあるフアイアを是非とも治療の選択肢に加えてください。
6.新見正則医院にご連絡ください
フアイアは1000例規模のランダム化された大規模臨床試験を勝ち抜きましたが、保険収載されていません。少々経済毒性があります。しかし経済毒性以の副作用はなく(まれに起こる下痢のみ)、またどの治療とも併用可能なため、機会損失(他の治療が行えない)もありません。
フアイアのお試し希望の方は以下を参考にして下さい。1ヶ月分30包が3万3000円(税込、送料無料)です。遠隔診療(ビデオ通話または電話)の場合は、初診料は不要です。
7.内部リンク(当サイト内でご参考になる記事)
8.執筆者略歴 新見正則
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。98年移植免疫学にて英国オックスフォード大学医学博士取得 (Doctor of Philosophy)。外科医 x サイエンティスト x 漢方医としてレアな存在で活躍中。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授 (外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞 (脳と免疫)。現在は、世界初の抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓蒙普及のために自由診療のクリニックでがん、難病・難症の治療を行っている。漢方JP主宰者。
新見正則の生き方論は以下の書籍も参考にしてください。
しあわせの見つけ方 予測不能な時代を生きる愛しき娘に贈る書簡32通(新興医学出版社)
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