2023年11月7日の毎日新聞の医療プレミアに以下の記事が載りました。
この記事の元ネタは8月28日に医学雑誌の中でも権威があるJAMA Intern Medに載ったものです。オリジナルは以下で閲覧できます。
その結論は以下で、
The findings of this meta-analysis suggest that current evidence does not substantiate the claim that common cancer screening tests save lives by extending lifetime, except possibly for colorectal cancer screening with sigmoidoscopy.
これを翻訳すると以下になります。
このメタ分析の結果は、おそらくS状結腸鏡による結腸直腸がんスクリーニングを除いて、一般的ながんスクリーニング検査が寿命を延ばして命を救うという主張を現在の証拠が実証していないことを示唆している。
今回のJAMAの論文の結論は、大腸カメラ以外の一般的ながん検診は命を延ばすという証拠がないというものです。
多くのがん検診は商業主義的な側面があります。簡単に言うと「命に関わる怖い病気を早期発見して長生きしましょう!」といったイメージのキャッチコピーでがん検診という商売をしているという指摘もあります。
僕は患者さんから、「がん検診を受けた方がいいですか?」と質問されると、「健診で見つかるといいがんは、治療ができて長生きできるがんだけですよ」、そして「治療ができないがんは見つからない方がいいし、見つからなくても寿命に関係しないがんもみつからない方がいいですよね」と言い添えています。
しかし、僕の長い臨床経験から、健診をやろうか悩んだ時はやった方がいいと思っています。結構、他の病気、特に生活習慣病などが見つかるからです。病気が見つかるか見つからないかは「運」です。僕は最近長生きに大切なものは「運」だと思うようになり、患者さんにもそう語っています。
今回の新聞記事にあるようにがん検診に大した意味はないのかもしれませんが、折角やろうと思い立ったのなら、がん検診を受けてみることです。
がんを早期発見することも大切ですが、なによりがんができにくい体(体質)を作ることが大切です。商業主義的ながん検診が増えていると実感しています。そんな最近の風潮にちょっと警鐘を鳴らす良い記事だと思いました。