抗がん剤治療中や治療後の運転を一律に禁じる決まりはなく、使っている薬と、その日の体の状態で判断が変わります。
判断の材料になるのは、薬の電子添文に書かれた運転の注意、運転に響く副作用、そして道路交通法の決まりの3つです。この記事では、抗がん剤とあわせて使う吐き気止めや痛み止めも含めて、一次資料に書かれていることを整理します。
この記事の内容
抗がん剤治療中・治療後に、車の運転はできますか?
がんや抗がん剤治療を理由に、運転を一律に禁じる決まりはありません。運転してよいかは、使っている薬とその日の体調で変わります。
電子添文は、薬の効能や使い方、注意を記した公式の文書です。医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開しており、運転についての注意もここに書かれます。
抗がん剤のなかには、電子添文に運転の注意があるものと、ないものがあります。たとえば多発性骨髄腫などに使うサリドマイドには「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること」とあり(サレドカプセル 電子添文 2025年5月改訂 第5版)、大腸がんなどに使うオキサリプラチンの電子添文には、運転についての記載がありません(エルプラット点滴静注液 電子添文 2025年9月改訂 第6版)。
がんと交通事故の関係を調べた研究もあります。フィンランドで2013〜2019年にがんと診断され、有効な運転免許を持つ12,651人を、虫垂炎や胆のう炎などでがんではない6,334人と比べた登録研究では、自分に過失があり、けが人が出た事故の起こしやすさに、がん全体として差は見られませんでした。ハザード比は0.89、95%信頼区間は0.65〜1.21で、事故が35%少ない側から21%多い側までの幅があります(Huuskonen ML, et al. Cancer Med 2022)。この研究では、診断から3か月以内のがんの治療も、事故の増加との結びつきは見られませんでした。
ただし、これは集団としての結果です。同じ研究は、症状や薬、ほかの病気によっては危険が高まる人がいる可能性を残しています。一人ひとりの判断には、次に挙げる薬と副作用を見る必要があります。
道路交通法では、どう決まっていますか?
病気や薬の影響で正常な運転ができないおそれがある状態での運転は、誰であっても禁じられています。
道路交通法第66条は「何人も、前条第1項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と定めています(法務省 公表資料「参照条文」道路交通法第66条)。
条文に書かれているのは病名や薬の名前ではなく、「正常な運転ができないおそれがある状態」かどうかです。だるさ(倦怠感)は、がんそのものや治療の副作用でも起こるとされています(がん情報サービス「倦怠感(だるさ)」2026年1月23日更新)。
これとは別に、運転免許の取得や更新を拒否・保留されることがある「一定の病気等」が法令で定められています(警察庁「運転免許の拒否等を受けることとなる一定の病気等について」)。
- 認知症
- アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤の中毒
- 統合失調症(安全な運転に必要な能力を欠くおそれのある症状を示さないものを除く)
- てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症(発作のおそれがないものなどを除く)
- そううつ病、重度の眠気の症状を示す睡眠障害など
一覧に、がんそのものは挙がっていません。免許の取消しや停止の対象には、これに加えて、目が見えないことや体幹・手足の障害など、安全な運転に支障を及ぼすおそれのある身体の障害が含まれます(警察庁)。免許の更新では病気の症状についての質問票に答える必要があり、虚偽の記載には罰則があります。一定の病気等に当たる人を診察した医師が、任意で届け出る制度もあります(茨城県警察「一定の病気等に該当する運転者を対象とする制度」2023年9月11日更新)。
電子添文に運転の注意がある薬には、どんなものがありますか?
抗がん剤のほか、吐き気止め、抗不安薬、抗アレルギー薬、医療用麻薬、神経の痛みの薬などにあります。
抗がん剤治療では、抗がん剤そのものに加えて、副作用を抑える薬や点滴の前に使う薬(前投薬)が一緒に処方されます。PMDAで確認した電子添文の記載を並べます。
| 薬(商品名の例) | 治療で使われる場面 | 電子添文の運転についての記載 |
| サリドマイド(サレド) | 多発性骨髄腫などの治療 | 傾眠、眠気、めまい、失神、意識消失などが起こることがあるので、運転などに従事させないように注意 |
| エンザルタミド(イクスタンジ) | 前立腺がんの治療 | 痙攣発作があらわれることがあるので、運転などを操作する際には注意させること |
| クリゾチニブ(ザーコリ) | ALK融合遺伝子などが陽性の肺がんの治療 | 視覚障害があらわれることがあるので、運転などを操作する際には注意させること |
| オランザピン(ジプレキサ) | 抗がん剤(シスプラチンなど)による吐き気・嘔吐 | 傾眠、注意力・集中力・反射運動能力などの低下が起こることがあるので、運転などに従事させないよう注意 |
| ロラゼパム(ワイパックス) | 不安や緊張をやわらげる | 眠気、注意力・集中力・反射運動能力などの低下が起こることがあるので、運転などに従事させないよう注意 |
| ジフェンヒドラミン(レスタミンコーワ) | パクリタキセルの前投薬(抗アレルギー薬) | 眠気を催すことがあるので、運転などには従事させないよう十分注意 |
| オキシコドン(オキシコンチンTR) | がんの痛み(医療用麻薬) | 眠気、めまいが起こることがあるので、運転などに従事させないように注意 |
| プレガバリン(リリカ) | 神経の障害による痛み。しびれに補助的に使われることもある | めまい、傾眠、意識消失などがあらわれ、自動車事故に至った例もあるので、運転などに従事させないよう注意 |
| デュロキセチン(サインバルタ) | うつ病、糖尿病性神経障害に伴う痛みなど。しびれに補助的に使われることもある | 眠気、めまいなどが起こることがあるので、運転などを操作する際には十分注意させる。症状を自覚したら運転しないよう指導 |
出典:PMDA 医療用医薬品情報検索の各電子添文(サレドカプセル 2025年5月改訂 第5版、イクスタンジ錠 2026年6月改訂 第6版、ザーコリカプセル 2023年3月改訂 第2版、ジプレキサ錠 2026年8月改訂 第4版、ワイパックス錠 2023年5月改訂 第2版、レスタミンコーワ錠10mg 2022年2月改訂 第1版、オキシコンチンTR錠 2026年3月改訂 第4版、リリカ 2026年10月改訂 第9版、サインバルタカプセル 2026年5月改訂 第5版)をもとに作成。「運転など」は電子添文の「自動車の運転等危険を伴う機械の操作」
各薬の電子添文は、サレド、イクスタンジ、ザーコリ、ジプレキサ、ワイパックス、レスタミンコーワ、オキシコンチンTR、リリカ、サインバルタで確認できます。オランザピンは統合失調症などの効能をもつ薬で、抗がん剤(シスプラチンなど)による吐き気・嘔吐にも効能があります。抗うつ薬や抗けいれん薬は、抗がん剤のしびれに補助的に使われることがあります(がん情報サービス「しびれ」2025年9月17日更新)。吐き気止めの種類は、抗がん剤の吐き気はいつまで続くかの記事で扱っています。
パクリタキセル(タキソール)の点滴では、表のジフェンヒドラミンのように、点滴の前に使う薬(前投薬)にも眠気による運転の注意があります。
「従事させない」と「注意させる」は、どう違いますか?
電子添文の運転の注意には、運転を控える段階と、運転するときに注意する段階の2つの書き方があります。
上の表でも、サリドマイドやオランザピンは「従事させないよう注意」、エンザルタミドやクリゾチニブは「操作する際には注意させること」と、言い方が違います。厚生労働省は、運転についての記載を加える必要があるかを調べた際の判断基準を公表しています(厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報 No.308」2013年12月)。
| 区分 | PMDAが示した判断基準 | 電子添文の書き方の例 |
| 禁止に当たるもの | 因果関係が否定できない重大な事故が複数報告されているもの、または重大な事故に至る可能性が高いもの | 運転などに従事しないよう、患者などに十分に説明すること |
| 注意に当たるもの | 重大な事故に至る可能性は高くないが、意識障害などの症例が多いものなど | 運転などに従事する際には注意するよう、患者に十分に説明すること |
| 記載が要らないもの | 小児のみ、入院中のみ、重い病気への使用など、運転が想定できないもの | 記載なし |
出典:厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報 No.308」(2013年12月)をもとに作成
記載は固定ではありません。2026年3月17日、厚生労働省は、カルバマゼピン、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、ラコサミド、レベチラセタムの抗てんかん薬5成分について、飲み薬のてんかんの効能に限り、一律に運転を止める書き方を改め、医師が日本てんかん学会の留意事項をふまえて運転の適否を判断する書き方にするよう、製造販売業者に「使用上の注意」の改訂を指示しました(医薬安発0317第1号)。同じ日に、医療機関と薬局への周知を自治体に依頼する事務連絡も出しています(厚生労働省 医薬局医薬安全対策課 事務連絡 2026年3月17日)。脳腫瘍や脳への転移でけいれんの薬を使っている人では、この改訂が関わることがあります。
運転の記載が要るかどうかは、薬ごとに点検されています。総務省が2011年12月から2013年3月にかけて行った調査(2013年3月勧告)では、失神などの意識障害の副作用報告が多かった上位46成分のうち22成分で、電子添文(当時は添付文書)に意識障害の記載はあるのに、運転の禁止や注意の記載がありませんでした。このうち4成分では自動車事故の報告が8件ありましたが、PMDAは、服用と事故との因果関係が明確でないとして、22成分に運転の記載は不要と判断しています(総務省「医薬品等の普及・安全に関する行政評価・監視 勧告に対する改善措置状況(1回目のフォローアップ)」2014年3月)。一方、PMDAが点検した340品目のうち運転の注意の必要性を個別に検討した25品目については、厚生労働省が2013年11月26日、ドネペジルやレボフロキサシンなど13成分の使用上の注意の改訂を指示しました(総務省 2014年、厚生労働省 No.308 2013年12月)。
また、厚生労働省は2013年、電子添文に運転の禁止や注意が書かれた薬を処方・調剤するときは、医師や薬剤師から患者に説明するよう徹底を求める通知を出しています(厚生労働省 薬食総発0529第2号・薬食安発0529第2号 2013年5月29日)。
運転に影響しうる副作用には、どんなものがありますか?
手足のしびれ、眠気、めまいや意識が遠のく感じ、視覚の変化、けいれん、だるさが挙げられます。
| 副作用 | 運転への影響と、電子添文などの記載 |
| 手足のしびれ(末梢神経障害) | 足の感覚が鈍ると、ペダルを踏む感覚がわかりにくくなることがあります。抗がん剤のしびれを経験した14人への聞き取りでは、5人が運転への支障を語りました |
| 眠気 | サリドマイドの電子添文では、多発性骨髄腫で傾眠が54.1%に報告されています。吐き気止め、抗不安薬、抗アレルギー薬、医療用麻薬にも眠気の注意があります |
| めまい・意識が遠のく感じ | プレガバリンの電子添文は、めまい、傾眠、意識消失などで自動車事故に至った例があるとしています |
| 視覚の変化 | クリゾチニブの電子添文では、視覚障害(霧視、複視、視野欠損、まぶしさなど)が59.0%に報告されています |
| けいれん | エンザルタミドの電子添文では、痙攣発作が0.2%に報告されています |
| だるさ(倦怠感) | がんそのものや治療の副作用で起こります。道路交通法第66条は、過労や病気で正常な運転ができないおそれがある状態での運転を禁じています |
出典:Tofthagen C. Clin J Oncol Nurs 2010、サレドカプセル・リリカ・ザーコリカプセル・イクスタンジ錠の各電子添文、がん情報サービス「倦怠感(だるさ)」(2026年)、道路交通法第66条をもとに作成
しびれについては、抗がん剤のしびれを経験した14人への聞き取りで、5人(36%)が運転に支障があると答え、「ペダルがほとんど感じられない」と話した人もいました(Tofthagen C. Patient perceptions associated with chemotherapy-induced peripheral neuropathy. Clin J Oncol Nurs 2010)。人数の少ない聞き取りの研究で、割合をそのまま一般に当てはめることはできません。
数字の出典は、傾眠がサレドカプセル、視覚障害がザーコリカプセル、痙攣発作がイクスタンジ錠の各電子添文です。
しびれを起こしやすい薬と、治療後にどれくらい残るかは、抗がん剤のしびれはいつまで続くかの記事で説明しています。
医療用麻薬を使っていても、運転できますか?
電子添文は運転などに従事させないよう注意するとしています。一方で、運転への影響を調べた研究の結果は分かれています。
がんの痛みに使うオキシコドンの電子添文は「眠気、眩暈が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること」としています(オキシコンチンTR錠 電子添文 2026年3月改訂 第4版)。医療用麻薬で痛みをやわらげる考え方は、がんの痛みと医療用麻薬の記事で扱っています。
研究を見ると、結論は一つにまとまっていません。前の節のフィンランドの研究では、トラマドールやコデインなどの弱いオピオイドを使う人は事故が多く(ハザード比2.31、95%信頼区間1.06〜5.04)、モルヒネやオキシコドン、フェンタニルなどの強いオピオイドを使う人はむしろ少ない(ハザード比0.32、95%信頼区間0.14〜0.74)という結果でした(Huuskonen ML, et al. Cancer Med 2022)。米国の総説は、オピオイドが検出される運転者が増えており、オピオイドの使用は事故の危険と結びつくとする一方、運転の能力を測った研究の結果はまちまちだとまとめています(Kirsch C, et al. Reg Anesth Pain Med 2026)。
フィンランドの登録研究が数えていたもの
フィンランドの研究(Huuskonen ML, et al. Cancer Med 2022)が数えたのは、自動車保険の請求記録に残った、けが人の出た事故です。対象は12,651人で、けが人の出た事故で過失があったのは、がんではない人を含めて167人と少数でした。走った距離はわかっておらず、がんの人が運転を減らしていた可能性を著者自身が挙げています。強いオピオイドで事故が少なかったことも、薬が運転を安全にするという意味にはなりません。日本の道路や制度にそのまま当てはまるとも限りません。
日本の病院の調査では、医療用麻薬で痛みを抑えている人は運転を控える必要があり、ほかの薬に置き換えにくいことから、著者らは電子添文の記載の妥当性を今後検証する必要があると述べています(Nakashima M, et al. 医療薬学 2015)。
運転が必要なとき、薬を変えてもらうことはできますか?
吐き気止めや痛みの補助薬では、運転に影響しにくい薬に変えて運転を続けられた例が報告されています。
鹿児島市医師会病院の薬剤師らは、外来でがんの薬物療法を受けた127人を調べました。運転に影響する薬を処方されていたのは21人で、そのうち16人が日常的に車を運転し、14人が運転を控えるのは難しいと答えました(Nakashima M, et al. がん薬物療法領域における自動車の運転に影響を与える薬剤服用患者の調査と薬剤選択の提案に関する取り組み. 医療薬学 2015)。
薬剤師が運転に影響しにくい薬への変更を提案し、吐き気止めや痛みの補助薬を変えることで、症状を悪化させずに運転を続けられた例がありました。著者らは、薬を選ぶときに運転が必要かどうかを確かめることを求めています。
1つの病院の127人から見えたこと
この調査(Nakashima M, et al. 医療薬学 2015)は1つの病院の外来で行われ、論文の要旨では、21人がどの薬を使っていたかの内訳や、薬を変えた人数は示されていません。運転に影響しない薬に必ず変えられるわけではなく、医療用麻薬では置き換えが難しいとされています。それでも、運転が必要だと伝えなければ、薬を選ぶときの材料になりません。
治療が終わったら、いつから運転してよいですか?
治療が終わった日で一律に決まるわけではありません。残っている副作用と、続けて使う薬で変わります。
抗がん剤の点滴が終わっても、しびれは数カ月から1年以上続くこともあるとされています(がん情報サービス「しびれ」)。飲み薬の抗がん剤やホルモン療法の薬、痛み止め、けいれんの薬を続ける人は、その薬の電子添文の注意が引き続き当てはまります。
抗てんかん薬の新しい書き方では、日本てんかん学会の留意事項として、処方を変えたあとに観察の期間(発作の再発はおよそ6か月、運転に影響する副作用はおよそ1か月)を置き、その間は運転を控えるよう指導すること、すでに運転している人は少なくとも3か月に1回外来で診察して運転できるかを確かめることなどが挙げられています(厚生労働省 事務連絡 2026年3月17日)。
主治医や薬剤師には、何を確かめればよいですか?
車を運転する必要があることを伝えたうえで、薬ごとの運転の注意と、控える期間を確かめます。
- ふだん車を運転するか、通院に車を使うか(最初に伝える)
- 抗がん剤、吐き気止め、痛み止め、睡眠薬、前投薬のそれぞれに、運転の注意があるか
- 注意は「運転しない」段階か、「運転するときに注意する」段階か
- 点滴の日と、その後の何日間に気をつければよいか
- 運転に影響しにくい薬に変えられるか
- しびれ、眠気、めまい、見え方の変化が出たら、どう判断し、誰に伝えるか
- 治療が終わったあとも続ける薬に、運転の注意があるか
電子添文の注意は、薬を使う人すべてに同じ形で書かれています。運転が仕事や生活に欠かせないかどうかは、伝えなければ医師にも薬剤師にもわかりません。
8件
総務省の調査で、意識障害の記載はあるのに運転の禁止や注意が書かれていなかった22成分のうち、4成分で報告されていた自動車事故の件数です。PMDAは、服用と事故との因果関係が明確でないとして、この22成分に運転の記載は不要と判断しました。
電子添文に運転の注意がないことは、事故の報告が1件もないという意味とは限りません。報告された事故と薬との因果関係を見極めたうえでの判断です。
出典:総務省「医薬品等の普及・安全に関する行政評価・監視 勧告に対する改善措置状況(1回目のフォローアップ)」(2014年3月)
監修
新見正則(にいみ まさのり)
新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。
日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)
次に読む
点滴の日に誰の運転で通うか、帰ってから具合が悪くなったらどこに連絡するか。通院の治療は、病院を出たあとの備えまで含めて組み立てられています。
抗がん剤は通院で大丈夫?入院との違いと、家で副作用が不安なとき
抗がん剤を通院で受ける場合と入院で受ける場合の違いを整理した記事です。外来で抗がん剤を行う病院に国の基準で求められている24時間の連絡体制と緊急時の入院の体制、帰宅後に連絡すべき症状、主治医に確かめることをまとめています。
よくある質問
Q抗がん剤治療中に車を運転してもいいですか?
がんや抗がん剤治療を理由に一律に禁じる決まりはありません。ただし、道路交通法第66条は、病気や薬の影響で正常な運転ができないおそれがある状態での運転を禁じています。使っている薬の電子添文の注意と、しびれや眠気などの副作用は、主治医や薬剤師に確かめることができます。
Q抗がん剤の点滴の前に使う薬で眠くなりますか?
眠くなる薬があります。パクリタキセルの前投薬に使われる抗アレルギー薬のジフェンヒドラミンの電子添文は、眠気を催すことがあるとして、運転などには従事させないよう十分注意するとしています。吐き気止めのオランザピンや抗不安薬のロラゼパムにも、運転の注意があります。
Q医療用麻薬を使っていると運転できませんか?
オキシコドンなどの電子添文は、眠気やめまいが起こることがあるとして、運転などに従事させないよう注意しています。運転への影響を調べた海外の研究は結果が分かれており、日本の研究者は電子添文の記載の妥当性を今後検証する必要があると述べています。
Q抗がん剤のしびれがあると運転は危ないですか?
足の感覚が鈍ると、ペダルを踏む感覚がわかりにくくなることがあります。抗がん剤のしびれを経験した14人への聞き取りでは、5人が運転への支障を語りました。しびれの程度と、生活で困っていることを主治医に具体的に伝えると、運転できるかを判断する材料になります。
Qがんになると運転免許を返さなければいけませんか?
運転免許の拒否などを受けることがある「一定の病気等」の一覧に、がんそのものは挙がっていません。ただし、目が見えないことなど安全な運転に支障を及ぼすおそれのある身体の障害は、免許の取消しや停止の対象になります。
参考文献
- 警察庁「運転免許の拒否等を受けることとなる一定の病気等について」
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/list2.html - 法務省 公表資料「参照条文」(道路交通法第66条 過労運転等の禁止)
https://www.moj.go.jp/content/000102725.pdf - 茨城県警察「一定の病気等に該当する運転者を対象とする制度」(2023年9月11日更新)
https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a03_license/law/certain_diseases.html - 厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報 No.308」(2013年12月)
https://www.mhlw.go.jp/www1/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/308-1.pdf - 厚生労働省医薬食品局 総務課長・安全対策課長通知「医薬品服用中の自動車運転等の禁止等に関する患者への説明について」薬食総発0529第2号・薬食安発0529第2号(2013年5月29日)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/130529a2.pdf - 総務省「医薬品等の普及・安全に関する行政評価・監視 勧告に対する改善措置状況(1回目のフォローアップ)の概要」別添(2014年3月)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000276326.pdf - 厚生労働省医薬局医薬安全対策課 事務連絡「抗てんかん剤に係る自動車運転等についての注意喚起に関する情報提供」(2026年3月17日、横浜市掲載)
https://www.city.yokohama.lg.jp/kenko-iryo-fukushi/kenko-iryo/iryo/anzenshien/tsuchi-renraku/yakumu-jouhou/yakumu-tsuuchi2025.files/20260317_anticonvulsant.pdf - サレドカプセル25/50/100 電子添文(2025年5月改訂 第5版)医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/670142_4291019M1023_1_30 - イクスタンジ錠40mg/80mg 電子添文(2026年6月改訂 第6版)医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/800126_4291031F1025_1_11 - ザーコリカプセル200mg/250mg 電子添文(2023年3月改訂 第2版)医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/672212_4291026M1023_2_05 - エルプラット点滴静注液 電子添文(2025年9月改訂 第6版)医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/400186_4291410A1029_2_02 - ジプレキサ錠2.5mg/5mg/10mg 電子添文(2026年8月改訂 第4版)医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/450900_1179044F1029_2_02 - ワイパックス錠0.5/1.0 電子添文(2023年5月改訂 第2版)医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/672212_1124022F1067_3_05 - レスタミンコーワ錠10mg 電子添文(2022年2月改訂 第1版)医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/270072_4411001F1040_1_06 - オキシコンチンTR錠 電子添文(2026年3月改訂 第4版)医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/343018_8119002G5020_2_09 - リリカカプセル/リリカOD錠 電子添文(2026年10月改訂 第9版)医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/671450_1190017F1029_3_08 - サインバルタカプセル20mg/30mg 電子添文(2026年5月改訂 第5版)医薬品医療機器総合機構 医療用医薬品情報検索
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/340018_1179052M1022_2_25 - 国立がん研究センター がん情報サービス「しびれ」(2025年9月17日更新)
https://ganjoho.jp/public/support/condition/peripheral_neuropathy/index.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「倦怠感(だるさ)」(2026年1月23日更新・確認)
https://ganjoho.jp/public/support/condition/fatigue/index.html - Huuskonen ML, Koistinen T, Sihvola N, et al. Controlled register-based study of road traffic accidents in 12,651 Finnish cancer patients during 2013-2019. Cancer Med. 2023;12(6):7406-7413(オンライン公開2022年). doi:10.1002/cam4.5444
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36397273/ - Kirsch C, Wintergalen P, Cohen SP, et al. Driving under the influence of opioids in 2024: a narrative review of science and pandemic policy updates. Reg Anesth Pain Med. 2026;51(3):261-270. doi:10.1136/rapm-2024-105955
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39956556/ - Tofthagen C. Patient perceptions associated with chemotherapy-induced peripheral neuropathy. Clin J Oncol Nurs. 2010;14(3):E22-E28. doi:10.1188/10.CJON.E22-E28
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20529785/ - Nakashima M, Miura H, Ueno Y, et al. がん薬物療法領域における自動車の運転に影響を与える薬剤服用患者の調査と薬剤選択の提案に関する取り組み. 医療薬学. 2015;41(11):799-810. doi:10.5649/jjphcs.41.799
https://doi.org/10.5649/jjphcs.41.799





