がんの生存率は何%?部位別・ステージ別の5年・10年生存率

がんの5年生存率は、最新の全国集計で64.8%です。
ただし部位とステージで、数字は大きく変わります。

生存率は、がんと診断された人のうち一定の年数後に生存している人の割合を示す数字です。この記事では、国立がん研究センターが公表している最新の集計をもとに、全体の数字、生存率の種類、部位別・ステージ別の5年と10年の数字を一覧にします。あわせて、その数字がいつ診断された人のものか、何を表していないのかを整理します。

この記事に出てくる統計の言葉を、先にまとめておきます。

言葉 意味
5年生存率・10年生存率 がんと診断された人のうち、5年後・10年後に生きている人の割合
実測生存率 死因に関係なく、すべての死亡を含めて計算した生存率
相対生存率 がんと診断された人の生存率を、性別・生まれた年・年齢が同じ日本人全体と比べて表した生存率
ネット・サバイバル(純生存率) がん以外の病気や事故で亡くなる人がいなかったと仮定して計算した生存率
全国がん登録 全国のがん患者を対象にした集計
院内がん登録 がん診療連携拠点病院などで診断・治療を受けた人の集計
ステージ(病期) がんの広がりの分類。0期からⅣ期まで

がんの生存率は、最新の統計で何%ですか?

2018年に診断された人の5年相対生存率は、男女計で64.8%です。

がんの生存率の3つの集計が、何年に診断された人の数字で、いつ公表されたかを示した図。2012年診断の10年生存率は2025年3月、2014〜2015年診断の5年生存率は2023年3月、2018年診断の全国の5年生存率は2026年7月に公表
公表されている生存率は、どれも何年も前に診断された人の数字。
出典:国立がん研究センター「最新がん統計」(2026年7月14日更新)、「院内がん登録生存率最新集計値」

男性は63.2%、女性は66.8%です。国立がん研究センターが2026年7月14日に、全国がん登録のデータで更新した値です(国立がん研究センター がん統計「最新がん統計」)。

生存率の集計は、1つではありません。集計する登録の仕組みと、計算の方法が違う数字が並んで公表されています。検索して出てくる数字が記事ごとに違うのは、このためです。

集計 診断された年 期間 数字
全国がん登録(全国の患者) 2018年 5年相対生存率 64.8%
院内がん登録(拠点病院など447施設) 2014〜2015年 5年ネット・サバイバル 66.2%
院内がん登録(拠点病院など361施設) 2012年 10年ネット・サバイバル 54.0%

院内がん登録の数字は、国立がん研究センター がん情報サービス「院内がん登録生存率最新集計値」によります。5年は2023年3月、10年は2025年3月の公表です。部位別・ステージ別の数字が出ているのは、院内がん登録のほうです。

3つの数字は、対象の患者も計算方法も違います。64.8%と66.2%を比べて、生存率が下がったと読むことはできません。

生存率には、どんな種類がありますか?

主に3種類あります。がん以外の死亡をどう扱うかが違います。

がんの5年生存率を、すべての死亡を含めた場合と、がん以外の死亡を除いた場合で比べた図。全がんは60.3%と66.2%、前立腺がんⅠ期は89.6%と100.0%
同じ人たちの数字でも、がん以外の死亡を含めるかどうかで生存率は変わる。
出典:国立がん研究センター「院内がん登録生存率最新集計値」(2023年3月公表)
種類 何を数えているか
実測生存率 死因に関係なく、すべての死亡を含めた生存率。がん以外の病気や事故で亡くなった人も含む
相対生存率 がんと診断された人の生存率が、性別・生まれた年・年齢の分布が同じ日本人全体と比べてどのくらい低いかで表す
ネット・サバイバル(純生存率) がん以外の死亡がなかったと仮定したら実現したであろう生存率。相対生存率の弱点を補う方法として考案された

定義は国立がん研究センターの用語集によります(実測生存率、純生存率)。

ネット・サバイバル100%は「誰も亡くならなかった」ではない

2014〜2015年に診断された前立腺がんⅠ期の5年生存率は、ネット・サバイバルで100.0%、実測生存率で89.6%です。10人に1人ほどは5年のうちに亡くなっていますが、同じ年齢の男性全体と比べたとき、がんによる上乗せが見られなかったので100%になります。

この集計で、前立腺がんの人の平均年齢は71.7歳です。高齢で診断されるがんほど、がん以外の理由で亡くなる人の分だけ、実測生存率とネット・サバイバルの差が開きます。全がんでも、実測60.3%に対してネット・サバイバル66.2%と差があります。どちらの数字を見ているのかで、受け取る印象は変わります。

部位別・ステージ別の5年生存率は?

同じ部位でも、Ⅰ期とⅣ期では数字が大きく違います。

院内がん登録で2014〜2015年に診断された人の、5年ネット・サバイバル(%)です。集計対象は447施設・94万2717人です。

部位 全体 Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期
食道 47.8 78.4 48.9 27.4 8.7
胃 70.2 92.8 67.2 41.3 6.3
大腸(結腸・直腸) 70.9 92.3 85.5 75.5 18.3
肝細胞がん 45.1 63.0 45.2 16.0 4.4
肝内胆管がん 21.1 58.2 34.9 29.8 6.0
胆のう 27.2 87.2 71.4 19.9 2.1
膵臓 12.7 53.4 22.5 6.2 1.6
小細胞肺がん 11.5 43.2 28.5 17.5 2.2
非小細胞肺がん 47.5 82.2 52.6 30.4 9.0
喉頭 78.4 93.3 83.5 68.7 47.1
女性乳房 91.6 98.9 94.6 80.6 39.8
子宮頸部 74.4 94.9 79.4 64.0 25.9
子宮体部 83.0 94.7 87.6 65.7 21.5
卵巣 64.5 90.6 76.6 46.2 27.8
前立腺 95.1 100.0 100.0 98.5 60.1
腎臓 81.6 94.9 87.9 76.5 18.7
腎盂・尿管 44.2 77.7 66.2 51.8 12.1
膀胱 62.6 82.0 53.9 40.2 18.3
甲状腺(乳頭・濾胞) 96.4 98.1 98.6 99.3 89.5

国立がん研究センター がん情報サービス「院内がん登録生存率最新集計値」(2023年3月公表)より作成。結腸と直腸を分けた数字、実測生存率、症例数も同じページに出ています。

ステージだけでなく、部位でも大きく違う

膵臓がんはⅠ期でも53.4%で、甲状腺がん(乳頭・濾胞)はⅣ期でも89.5%です。Ⅳ期の甲状腺がんのほうが、Ⅰ期の膵臓がんより数字が高い。ステージの数字は部位をまたいで比べられないことが、ここにも表れています。

ステージがどう決まり、なぜ部位によって意味が違うのかは、がんのステージの記事で整理しています。

10年生存率はどうなっていますか?

2012年に診断された人の10年生存率は、全がんで54.0%です。

院内がん登録で2012年に診断された人の、10年ネット・サバイバル(%)です。集計対象は361施設・39万4108人で、2025年3月に公表されました。

部位 全体 Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期
食道 33.3 59.4 34.0 17.1 5.5
胃 57.9 79.1 52.0 29.3 3.9
大腸(結腸・直腸) 58.1 79.2 70.7 61.6 11.6
肝細胞がん 23.9 36.3 21.6 7.1 1.9
肝内胆管がん 11.2 33.9 21.4 16.7 3.1
胆のう 22.3 72.1 50.4 12.3 1.6
膵臓 6.4 34.5 12.2 2.7 0.6
小細胞肺がん 6.3 24.4 15.1 11.1 0.8
非小細胞肺がん 32.6 64.6 31.7 15.4 2.8
喉頭 61.1 77.0 65.0 52.8 29.9
女性乳房 82.5 93.7 85.4 63.8 17.0
子宮頸部 67.5 91.0 71.0 52.6 16.0
子宮体部 80.5 92.0 78.6 61.9 18.0
卵巣 52.8 87.4 61.3 27.6 14.9
前立腺 84.0 93.8 95.1 86.2 35.9
腎臓 67.9 83.6 73.7 53.5 8.4
腎盂・尿管 34.0 59.2 49.4 40.6 8.9
膀胱 47.8 62.1 40.8 31.0 15.2
甲状腺(乳頭・濾胞) 90.5 97.3 89.0 95.4 72.9

国立がん研究センター がん情報サービス「院内がん登録生存率最新集計値」(2025年3月公表)より作成。

がんの10年生存率を1,000人に置き換えた図。甲状腺がん(乳頭・濾胞)Ⅰ期は生存973人・がんで亡くなった人27人、膵臓がんⅣ期は生存6人・がんで亡くなった人994人(院内がん登録2012年診断、がん以外の死亡を除いて計算)
10年で見ると、Ⅰ期でも100%に届く部位はなく、Ⅳ期でも0%の部位はない。
図は、Ⅰ期で最も高い部位と、Ⅳ期で最も低い部位を1,000人あたりの人数にしたもの。
出典:国立がん研究センター 院内がん登録2012年10年生存率(2025年3月公表)

ステージが上がるほど、必ず下がるわけではない

前立腺がんの10年生存率は、Ⅰ期93.8%、Ⅱ期95.1%で、Ⅱ期のほうがわずかに高くなっています。甲状腺がん(乳頭・濾胞)も、Ⅱ期89.0%に対してⅢ期95.4%です。ステージは広がりの分類であって、生存率の順位表ではありません。

5年と10年の表は、診断された年も集計した施設も違う別の集団です。同じ人たちの5年後と10年後を並べたものではないので、2つの表の差を「5年目以降に下がった分」とは読めません。

ステージ5の生存率はありますか?

ありません。ステージ5という区分がないためです。

がんの病期分類は0期からⅣ期までです。公表されている生存率で最も進んだ区分はⅣ期で、上の表のⅣ期の列がそれにあたります。Ⅳ期の中がⅣA期・ⅣB期のように分かれることはありますが、Ⅴ期ではありません。なぜⅣ期で終わるのかは、がんのステージはいくつまであるかの記事で説明しています。

生存率の数字は、自分に当てはまりますか?

そのまま当てはまるとは限りません。

生存率は、過去に同じ部位・同じステージと診断された人たちの集団の数字です。表にあるのは部位とステージの2つだけで、ほかの条件は分けて集計されていません。

表に入っていない条件

肺がんの小細胞・非小細胞のような一部を除いて、がんの組織型は分けられていません。遺伝子の特徴、年齢、全身の状態、ほかに持っている病気、受けた治療も、表の数字には分けて入っていません。同じⅢ期の胃がんでも、これらの条件によって経過は変わります。表の数字は、条件の違う人たちをまとめた平均です。

病院の集計であること

部位別・ステージ別の数字は院内がん登録のもので、がん診療連携拠点病院などで診断・治療を受けた人の集計です。全国のすべての患者を数えたものではありません。全国の患者を対象にした全国がん登録の数字(64.8%)とは、対象が違います。

生存率と並んで治療の説明に出てくる数字に、奏効率があります。がんが縮んだ割合を示す数字で、生きている割合とは別のものです。違いは奏効率と生存率の違いの記事で整理しています。

2014〜2015年

部位別・ステージ別の5年生存率の最新値は、この年に診断された人の数字です。
いま診断を受ける人の治療は、その後に変わっています。数字は、10年あまり前の医療の結果です。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス「院内がん登録生存率最新集計値」(2023年3月公表)

10年生存率を、僕はこう読んでいます

10年生存率で見ると、Ⅰ期でも100%のがんはありません。Ⅳ期でも0%のがんはありません。

つまり、運が悪いとⅠ期でもがんが原因で亡くなることがあり、運が良ければⅣ期でも10年後に生きていられるということです。同じステージのがんでも、バラツキがあるのです。プレシジョンメディシンと呼ばれる個別化医療が進歩すれば、ほかの要素も勘案して、ひとりひとりにもっと当てはまる数字が示せるようになるでしょう。

それまでは、運がいい群に入ることを願って標準治療を受け、合併症が起こらないことを願い、そして日常生活で改善できるものは行うことです。日常生活には、標準治療にあたるような明らかなエビデンスを獲得したものは多くありません。経験的に良さそうに思われることを積み重ねましょう。

僕は、明らかな抗がんエビデンスがないことを「些細なこと」と呼んでいます。そんな些細なことの積み重ねで、同じステージのがんでも、生き抜ける人と、運悪くがんが原因で亡くなる人に分かれると思っています。

新見正則医院院長 新見正則

新見正則(にいみ まさのり)

新見正則医院院長。1985年慶應義塾大学医学部卒業。1998年、英国オックスフォード大学にて移植免疫学の医学博士(Doctor of Philosophy)取得。2020年まで帝京大学医学部博士課程指導教授(外科学、移植免疫学、東洋医学)。2013年イグノーベル医学賞受賞(脳と免疫)。外科医、免疫学者、漢方医として臨床と研究の両方に携わる。

日本外科学会 外科専門医・指導医/日本消化器外科学会 消化器外科指導医/日本東洋医学会 漢方専門医/アメリカ外科学会フェロー(FACS)

詳しいプロフィール

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治療の説明では、生存率と並んで奏効率という数字が出てきます。

奏効率とは?生存率との違いがわからないと数字を読み違えます

奏効率は、がんが縮んだ人の割合です。生きている人の割合ではありません。奏効率が高い治療が、生存期間を延ばすとは限らない理由を整理しています。

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よくある質問

がんの5年生存率は何%ですか?

2018年に診断された人の5年相対生存率は、男女計で64.8%(男性63.2%、女性66.8%)です。国立がん研究センターが2026年7月に全国がん登録のデータで更新した値です。部位とステージによって数字は大きく変わります。

がんの10年生存率は何%ですか?

院内がん登録で2012年に診断された人の10年生存率(ネット・サバイバル)は、全がんで54.0%です。2025年3月に公表された集計で、部位別・ステージ別の値も出ています。

ステージ4(Ⅳ期)の5年生存率はどのくらいですか?

部位によって大きく違います。2014〜2015年に診断された人の5年生存率(ネット・サバイバル)では、膵臓がん1.6%、胃がん6.3%、大腸がん18.3%、女性乳がん39.8%、前立腺がん60.1%、甲状腺がん(乳頭・濾胞)89.5%でした。

がんのステージ5の生存率はありますか?

ありません。がんの病期分類は0期からⅣ期までで、Ⅴ期という区分がないため、ステージ5の生存率も存在しません。公表されている生存率で最も進んだ区分はⅣ期です。

生存率が100%とはどういう意味ですか?

ネット・サバイバルが100%でも、誰も亡くならなかったという意味ではありません。がん以外の死亡がなかったと仮定して推定した値で、同じ年齢・性別の人と比べて、がんによる死亡の上乗せが見られなかったことを示します。2014〜2015年診断の前立腺がんⅠ期では、ネット・サバイバル100.0%に対し、実測生存率は89.6%でした。

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん統計「最新がん統計」(2026年7月14日更新)
    https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「院内がん登録生存率最新集計値」(5年:2023年3月公表/10年:2025年3月公表)
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_reg_surv/latest.html
  3. 国立がん研究センター がん統計 用語集「実測生存率」
    https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/qa_words/word/zixtusokuseizonritu.html
  4. 国立がん研究センター がん統計 用語集「純生存率」
    https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/qa_words/word/junseizonritsu.html
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